今回の撮影場所の舞台は、荒川と、その隣りに流れる綾瀬川の土手や河川敷でした。頭上には無機質な首都高速のジャンクションが通り、その真下に位置するコンクリート造りの土手は都会的ではあるものの、どこか退廃的な不安定さも漂います。ここでのメンバーの衣装は、女性陣は着物、そして男性陣はジャケット(スーツ)。自分達らしい世界観を打ち出していきました。
人通りは殆ど無い場所でしたが、車も入れる場所では無く、当然の如くキーボードやドラムはここまで運んでこなければなりませんでした。しかも、途中からは場所も変えて撮影を行うとの事で、楽器運搬の移動はなかなか大変でした。その代わり、撮影環境はまずまずと言ったところでしょうか。川の向こうにはスカイツリーが臨めましたが、恐らくこれはPVには写らないように工夫させるかもしれませんが…(笑)。
…とにかく、場所を決め、そして撮影に入るまでが今回は最も苦労したように思います。女性陣は着物の着付けがありましたし、現場はわりと風が強い場所だったので、それに応じた髪型も考えていかなかければなりません。午前中はそれらの作業を円滑に進めさせる為に、近く(そんなに近くもなかったですが…笑)にスタジオ兼カフェを貸し切り、女性陣はそこでスタンバイ。その間に男性陣で楽器運搬やロケハンを行うという手筈にしていたのでした。
その後、女性陣のソロ撮影をしている間に、男性陣のヘアメイクの準備を進めていきますが、こちらは止むを得ず車中でのメイクとなっていて、狭いながらも何とかやっていけたという感じでした。朝の10:00頃から動き始めて、結局バンドメンバー全員での撮影がスタート(左上写真参照)されたのは15:00ぐらいだったでしょうか…。ここからは日没までの時間が勝負となる事は確実で、ハイペースで撮影は進められていったのでした。
その後、土手から河川敷へと撮影場所を写します。背後には広大な荒川の川面が迫り、先程とは変わって開放的な雰囲気が作り出されていました。日も傾きかけて焦ってきますが、そもそも西日というのは撮影に向いている状況なので、かえって良かったのかもしれません…。ここでもバンドメンバー全員の演奏風景を撮りましたが、メインはどちらかというと、それぞれソロでの撮影。ここでは楽器を持たないでの完全なソロ撮影だったので、若干の演技力も要求されたりしたのですが(笑)、黒船PVに新たなシーンが表れてくるのかもしれませんね…。
最後は本当にハイペースで撮影は進み、何とか日が沈む前に終えられた感じでしょうか。その後も僅かな明かりを利用し、メンバーそれぞれのアー写も撮っていった感じでしたが、こちらは夜らしい明かりを利用したものともなり、PVとはまた違った雰囲気が見られ事でしょう。PVと共に、こちらも完成を楽しみにして下さい(下写真は、ただの記念写真です…笑)!
こうして2作品目のPV撮影が終了しました…。この映像がどのような形でお披露目させるかはまだ決まっていませんが、恐らく近いうちに皆さんに公開が出来るのではないかと思います。そして、黒船の 2nd.CDアルバム制作については、現在クラウドファンディングの形をとって進めさせて頂いています。詳細は➡こちら。PVも含め、更に発展させた黒船の世界観を是非ともお楽しみ下さい。それでは、引き続きよろしくお願いします!
☆黒船のHP…http://www.peaceofcake.net/kurofune/
第1日目は、まだ誕生日には程遠い(笑)4月5日に行われました。福生(最寄りは拝島駅)にある石川酒造という所でのライブで、この辺りはいづみさんが学生時代に過ごした地域らしいのですが、酒造やビール工房、レストラン、蕎麦所等がその敷地内に点在する所で、その中にある内蔵という建物の2階でライブは行われました。木の温もりが感じられるその空間にグランドピアノが置かれていて、和の要素も感じられる素敵な場所でした。ここでは弾楽というバンドで出演したのですが、このバンドもジャズと和の雰囲気をテーマに進めているところもあるので、正にピッタリの場所だったかもしれません。このメンバーに、お馴染みのドラムのチッコソウマさんを加えて、5人編成でお届けしていきました。
ちなみに、この建物の1階には前述のビール工房が入っていて、2階では作り立てのビールを味わう事が出来ました。このビールの美味しい事美味しい事…。更に日本酒も出され、この日はビッフェスタイルで客席を展開させていくなど、落ち着いた雰囲気の中で、少し華やかさも表現された演出も施していきました。
最近の弾楽ではオリジナル曲が順調に増え、その中には和のテイストを感じさせる曲も少なくありません。こういった曲調の曲を、今回のような場所で演奏出来るというのは、また大きな意味を持っていた気がしますし、曲の成長にも一役買っていた事でしょう。それらのオリジナル曲を中心に、チッコさんのボーカル曲等も交えて楽しく進めていきました。
また、ステージの最後の方には、タップダンサーやボーカル、そして楽器を持った人達を交えてのセッションタイムも設けられ、これはもう賑やかさを全面に出した時間となりました。一体この時のステージ上は何人の演奏者、パフォーマーが存在していたのか…、よく分からないぐらいでしたが(笑)、大団円で終了させた1日となりました。皆さんの楽しそうな表情がとても印象的でした。そしてこのまま、第2日目のバースデー・ライブへと繋がっていくのです。
第2日目は富士の Koln(ケルン)にて、前述の1週間後の4月11日に行われました。昔から存在する、非常に有名なジャズのライブハウスで、今年の1月に自分の誕生日も祝って頂いた事〔弾楽で、35歳のバースデーを祝われる参照〕は記憶に新しいです。弾楽は、どちらかというと静岡県内でのライブが多いバンドで、ある意味でここはホームと言える場所でもあるのです。昔から足を運んで頂いてる方や、何度か自分達が訪れる内に知り合いになったお客さん等、本当に沢山の方々に囲まれ、温かみのある時間を過ごせたと思います。
早速、ステージ中にサプライズでいづみさんにケーキを仕掛け、曲中にそのまま、いづみさんを祝福する時間に突入させます。皆でそれぞれプレゼントを渡したり、いつの間にか撮影タイムまで設けられてしまいましたが(笑)、バースデー・ライブならではの光景とも言えましょう。お客さんも弾楽メンバーも皆笑顔…。この日こそ、皆で祝えたバースデー・ライブだったのかもしれません。
その後は、バルーン・アートの方のパフォーマンスを弾楽の演奏中にコラボさせたりと、そのスペシャルな1日はまだまだ続いていきます。最後には“Stand By Me”を皆で歌って終了となりました♪…弾楽のメンバーと、お客さんとが一体となって作り上げられ、とても心に残る1日になったに違いありません。地元からの愛を感じられたのがまた良かったと思います。
あまりに盛り上がったので、調子に乗って、お店特製の焼きそばを頼んでしまいました。ここのも一応、富士宮焼きそばになるのでしょうか。思い切り食べました(笑)。…味については、美味しい意外に言葉が見付かりませんでした。
そして第3日目となったのが、実際の?誕生日直後の4月25日。再度、舞台を東京に移し、渋谷にある The Guinguette by MOJA というお店で行われました。ここは昨年のクリスマスにもライブをやりましたが〔弾楽、渋谷 The Guinguette by MOJA でクリスマスライブ参照〕、今回は弾楽のメンバーではなく、ベースは石川慎一郎さんにお願いし、また、チッコソウマさんも加えて、全部で5人編成でお送りしていきました。サーカスのような、フランスのキャバレーのような、独特のこのお店で行われるバースデー・ライブは、他の2日間の時とはまた異なり、とにかくパーティー感が全面に押し出された1日になったと思います。いづみさんの写真の衣装は手作りらしく、何とこの日の朝に作ったのだとか…。流石、この日に力を入れているだけありますね。ちなみに、この日は2度の衣装チェンジが行われました(笑)。
それにしても、この日もなかなか豪華なステージでした。ゲストの方を加えたり、いづみさんもタップダンスを披露させてみせたり、演奏面だけではない見所が沢山でしたね。また、いづみさんとお店の方とで考えだされたカクテルやデザート、そしてパスタ等のメニューもあり、なかなか好評だったので、今後のお店に加わるかもしれないとの事。流石、素晴らしい影響力ではありませんか…。
…いや、むしろこの影響力をそのまま受け入れて、この日のライブが完成されていたのだと思います。色々と紆余曲折はあったものの、最後には皆でやり切った表情が滲み出ており、今月のバースデー・ライブの締め括りを体感出来ました!…本当に三者三様のバースデー・ライブで、1人のバースデー・ライブを複数行うも、これだけカラーの違う日を作り出すというのは、並大抵の事ではないでしょう。いづみさんの企画力ならではだと思います。皆さんお疲れ様でした。そして改めて誕生日“月”、おめでとうございました!
4月は、いづみさんと6日間も共演していたというのも驚きでしたが、来月の5月も、結構な頻度で共演をさせて頂きます(笑)。その殆どが弾楽のライブとなりますが、また色々な趣向を凝らして、我々を驚かしてくれる事でしょう。また楽しみにしていて下さい。どうもありがとうございました!
☆拝島石川酒造のHP…http://www.tamajiman.co.jp
☆富士 Koln のHP…http://www.fujinokuni.co.jp/cz/koln.htm
☆渋谷 The Guinguette by MOJA のHP
…http://www.cafecompany.co.jp/brands/partyplan/the_guinguette_by_moja/
店舗での展開も前回の3作目〔CDショップ巡り(『ReInterpret the passage』編)参照〕以上に大きく扱われ、より多くの方の期待と協力があって、今回の『Voyaging』は送り出す事が出来たのだと思いました。今回も、タワーレコードを中心に各店舗へ足を運ばせて頂いたので、少しばかり紹介させて下さいませ。
まず最初に伺えたのが、タワーレコード新宿店(左上写真参照)、そして、いつも大きな展開をさせて頂いているタワーレコード渋谷店(右上写真参照)です。どちらも、棚を2、3段も使わせて頂いての展開で、しかも渋谷店のポップは本当に詳しく的確で、恐れ多いくらい有り難いものでした。
そして、ジャズ・コーナー自体がそんなに広くなく、故に置かれるスペースが限られてしまう TSUTAYA 渋谷店内(左上写真参照)でも、横1段を使っての展開がなされていました。渋谷駅から徒歩1分で行けてしまう場所だけに、この配慮は本当に嬉しいです。また、自分の地元範囲内のCDショップと言えるタワーレコード池袋店にもこの通り(右上写真参照)。トリオのCDだけでなく、TRI4TH のCDも隣りに置いて頂けているところがニクい演出です(笑)。
どちらも丁寧に解説もして頂いて、多くの方の目に触れられればなと思います。また、よく店内にもこの音源を流して下さっているようで、その音をたまたま聴いてCD購入に至るケースもあったらしく、本当に嬉しい限りです。より沢山の方に聴いて頂きたいですね。
そして、上写真が現在のタワーコード渋谷店の様子です。更にポップが増え、トリオメンバー全員のコメントも揃って、皆様をお待ちしています。写真に写っているのは、このお店のジャズ担当の岩見さん。沢山のポップを制作してくれた方でもあります。もう感謝しかありません!…引き続き、よろしくお願い致します!
他にも、ヴィッレッジ・ヴァンガード等での店舗展開もされているらしいので、自分としてはこちらも見ておきたいところです。また足を運び次第、お知らせてさせて頂きたいと思います。改めまして、CD『Voyaging』、好評発売中でございます!
☆タワーレコードのHP…http://tower.jp
☆TUTAYA のHP…http://tsutaya.tsite.jp
よく考えたら、このフロアに降り立つのは今回が初めてだったかもしれません。ステージ自体はジャズフロアと同じような場所で用意されていましたが、やはりグランドピアノが1台置かれるだけで、そのステージの重厚感が増して見えます。そして背景には音楽書籍が置かれており、ピアノの他にウッドベースやドラムセット(今回は都合によりバスドラムはカホン仕様になりましたが…)を配置する事で、少しラグジュアリーな雰囲気を作る事にも貢献していました。今までのインストアライブではあまり見ない光景だったように思います。
客席スペースも広くとってあり、そして今回は座席も並べてありました。そしてその脇には、今回リリースされた 4th.CD『Voyaging』を陳列させておきます。正にこれはこの日の為に作られたステージで、インストアライブという状況にプレミアム感を出す事に成功させていました。既にフロア内のBGMは『Voyaging』のものに切り替っており、クラシックフロアで流れるのも悪くない…等と思っていたりしたものでした(笑)。
インストアライブのステージは約30分。…とは言え、この後に予定されているサイン会と合わせて約1時間…という見方をしているので、時間はたっぷりと取って、特に1曲1曲それぞれをコンパクトにしようとはせずに演奏に臨むようにしました。勿論、この事は事前にメンバーに言ったものではなく、いざ皆で音を出して、そしてお互いに聴き合って、今回の具合を確かめるわけです。1曲は“Overseas”、2曲目は“Late Sunrise”…、当然、CD『Voyaging』からの選曲で、特に“Late Sunrise”の方はCDとは異なるソロの順番、構成をもって臨み、ライブならではの臨場感を出させてみました。
3曲目はこの日唯一のカバー曲で、“In A Sentimental Mood”をお送りしました。これこそ、このタワレコで『Voyaging』を購入した時に付いてくる特典音源に収録されているもので、全曲オリジナル曲である『Voyaging』の中で異色のジャズ・スタンダード・カバー曲となっているのでした。デューク・エリントンの有名バラードですが、敢えて自分達は7拍子を軸としたリズムを用い、原曲とはまた違った雰囲気で、それでもメロディの良さとハーモニーの良さを大切にしたアレンジを取り入れて、今回世に送り出させて頂きました。今までにも何度か演奏はしていますが、このタワレコでのインストアライブで披露させるというのは、ひと際重要な意味を持っているような気がしたものです。
4曲目には、自分のピアノトリオの可能性の幅を広げた“Veins of Leaf”。ベースとドラムは、ただリズムをサポートする楽器ではなく、それぞれがメロディを奏でられ、それぞれが音色を表現出来る楽器です。自分のトリオでは、そういった部分も追求していきたい気持ちが大きいのだと思います。
そして最後の5曲目には、リクエストも多い“Casa Familia”。今回は、グランドピアノを使用させて貰った感謝を込めて、テーマの前半部分はピアノ1本だけでやらせて頂きました。…こうして、あっという間に全5曲が終わってしまったのですが、いつの間にか客席の後ろの方まで立ち見が出ていた状態になっており、本当に多くの方に見て頂けたのだと思いました。サイン会にもとても多くの方にお越し頂き、1枚1枚、メンバー全員で丁寧にサインをさせて頂きました。実はこの日、タワレコ限定の特典音源が付けられたCDが在庫切れになっていて、直ぐさま発注をし、特典分のCDはサイン会中にあと何分かで到着する…というような状況になってしまっていたようなのですが、無事にサイン会中にそれは間に合い、ここでお買い求めて頂いた方には行き渡っていたようです。ご迷惑をおかけ致しました…。
さて、サイン会の後には、メンバーで6階のジャズフロアへと移動し、大展開をさせて頂いている『Voyaging』の前で記念写真。メンバーそれぞれのコメントもここで全部揃いました。是非店頭にも足を運んで頂きたいと思います。非常に手応えのある1日になりました。
本当にタワレコ渋谷店さんにはお世話になりましたが、実は竹内トリオでは、次回のライブもインストアライブとなる事が決まっています。場所はタワーレコード池袋店で、ある意味で自分の地元にあるCDショップにて…という事にもなるでしょう。流石にここではキーボード使用となってしまいますが、また異なったスタイルでの竹内トリオの演奏を是非ともお楽しみ頂きたいと思います。
☆5月13日(水)タワーレコード池袋店6階
Open…10:00〜、Start…19:00〜約30分
Charge…無料
Member…(Key)竹内大輔、(B)池田暢夫、(Ds)佐々木俊之
どうぞよろしくお願いします。今回はどうもありがとうございました!…思わず2ステージ分やりたくなってしまうくらい(笑)、楽しい時間でした。
●今回のセットリストです!
1、Overseas(オリジナル)
2、Late Sunrise(オリジナル)
3、In A Sentimental Mood
4、Veins of Leaf(オリジナル)
5、Casa Familia(オリジナル)
☆タワーレコード渋谷店のHP…http://towershibuya.jp
☆池田暢夫のHP…sites.google.com/site/nobuoikedawebsite/
☆佐々木俊之のブログ…http://toshi-sasaki.seesaa.net/
タワレコ渋谷店にはよく立ち寄らせて貰うものの、インストアライブというと個人的に初めてだったのですが、機材搬入の動線部分を体験する事に何だか新鮮味がありました(笑)。車ごと載せられるエレベーターで下がったり上がったり…、そして、スタッフ専用の裏の階段が外に面していて、意外に眺めが良かった事等々、始まる前から、良いテンション作りは出来ていたような感じはありました(笑)。
また、もうリリースからは時間が経ってしまいましたが、1st.CD『CROSSOVER』も店内で大展開!…そしてよく見ると、今回のインストアライブを機に、タワレコ渋谷店限定で販売を開始させた、奄美ライブのミニ音源入りCDR『LIVE at AMAMI』も同じく目立つ所に置いてあり(一瞬、どっちがどっちだか分からなくなりそうでしたが…笑)、とても有り難く思いました。ステージは売り場の角にスペースを作って貰い、各自でセッティング、そしてリハーサルへ…。もうこの時点で多くのお客さんに集まって頂いていましたが、その後改めて本番を迎えるという事になりました。
本番は17:00から時間通り始まりました。日曜日という事もあり、最も良い時間だったようにも思います。客席は特に座席が用意されるわけでもなく、本当に売り場のスペースを利用して立ち見で御覧になって頂くしかないのですが、人は多く、その集まりはCDが陳列されている棚と棚との間にまで及んでいました。そこに響き渡るのは、奄美民謡アレンジの“豊年節”…。そして津軽三味線の力強いソロもお届けさせます。
こう書くと、ここは本当にジャズフロアなのかと思わせるサウンドが店内に広がらせていったわけですが、これこそ黒船の特徴でもあり、自分達にしか無い音楽なのだと自信を持って言える事なのです。オリジナル曲の“New Frontier”では、頭に津軽三味線の独奏も盛り込む等、更なるオリジナリティを持って披露していきました。
勿論、その中でのジャズバンドなので、それぞれのメンバーのソロも大爆発させます。今回は時間的には30分ステージの予定だったのですが、少しくらい長くなっても問題は無いとの事。それは“Actual Proof”や“六調”のピアノソロにも反映されていたように思います(笑)。大きな拍手も頂き、有り難い瞬間でもありました。
最後にはオリジナル曲の“A Night In Bali”を演奏して終了となりましたが、結局は45分くらいのステージになっていたのではないでしょうか…。予想より長くなってしまいましたが、自分達も満足、そしてお客さんも満足して頂いたようです。それは、その後のサイン会への長蛇の列が物語っていたと思います。お客さん達は皆笑顔で、今後のライブにも期待してくれている様子がよく分かりました。これはインストアライブならではの、ステージと客席の近さによるものかもしれません。お客さんの表情もよく分かり、その姿がまた演奏に力を与えてくれるのです。会場はとても温かく、集中して楽器に打ち込む事が出来ました。どうもありがとうございました。
次回の黒船ライブは5月9日(土)、銀座 No Bird で予定されています。勿論ワンマンライブであり、たっぷりの2ステージが行われます。更にじっくりと黒船の音楽に触れるには絶好の機会です。皆さんのお越しをお待ちしております。
そして、黒船は 2nd.CDアルバムを制作するにあたり、今回もクラウドファンディングという形をとってプロジェクトを進める事になりました。詳細は➡こちらになります。前作以上の作品になる事は間違い無く、そして特典も色々と御用意させて頂いているようです。今後の黒船の展開に、どうぞ御注目下さい。どうぞよろしくお願いします!
☆黒船のHP…http://www.peaceofcake.net/kurofune/
☆タワーレコード渋谷店のHP…http://towershibuya.jp
今回はテーマに“春”というのものを念頭に置きながら演奏していきました。ここは45分程のステージを1回のみなので、いつも5〜6曲という感じでセットリストを組んでいるのですが、パット・メセニーの“It's For You”を最初に爽やかに持ってきつつ、2曲目は早速、昨年リリースした『Fly Beyond』の中から“川の流れのように”をお送りします。そして、1曲ぐらいは自由度の高いジャズ・スタンダード曲を…という事で、“I'll Remember April”。春らしい…と言うか、全体的に春というキーワードをどこかで感じさせるような選曲…という趣向でしょうか。それでもそのキーワードにおける曲というのは、この熱帯植物館での環境に不思議と合いますし、曲もまた特徴的な印象を与えていると思いました。
この後には、Bridge の代表曲とも言える“Fly Beyond”をお送りし、この時点では次で最後の曲となる筈でした。…筈でした…というのは、この日、会場でのリハーサルの為に本番の1時間前ぐらいに郷原君と顔を合わせた時まではそうだった…という感じでしょうか。ここでの演奏は、ステージ前にプログラムが書かれた小冊子がお客さんに配られるので、言わばセットリストは既に皆さんに伝わっている状態です。つまり、何日も前から選曲は決めていたのわけすが、郷原君が突如、「“Water Lily Part 2”をやらない?」…と言い出すではないですか。
そうです。この曲は、先日リリースした自分のピアノトリオの新作CD『Voyaging』の中に収められている曲でもあり、〔『Voyaging』CD、自宅到着、曲解説!参照〕、郷原君とのデュオ編成でもよく取り上げていた曲でもあったのでした…。そして、先日リリースした事を郷原君も知っており、だったらこの日もやろう…という提案をしてくれたのでした。
しかし、既にセットリストはお客さんに伝わってしまっていたので、曲を差し替える等、ここから色々と変更させるのも大変です。結局は、そのまま1曲増やしてお送りする…という事に落ち着いたのですが、久し振りにお届け出来て良かったかもしれません。…とは言え、予想通り、“Water Lily Part 2”を演奏し終えた時点で演奏時間は45分を越えており(笑)、…かといってここで終わらせるのも悔しいので、強引にアンコール仕立てで最後の曲、“A Short Novel”へと移らさせて頂きました。こちらもなかなかの盛り上がりで、時間はオーバーしていましたが、流れは良かったと思います。
Bridge としては久し振りのライブになりましたが、やはりフロント楽器とのデュオ編成は楽しいですね。ピアノの負担が大きいのは確かですが、その分、ピアノで表現出来る事を全て取り入れて弾くのが許される状況でもあるのです。それもまた遣り甲斐に繋がる時間でもありました。早速ここでは『Voyaging』の手売りも開始させて頂きましたが、何枚か購入頂いて嬉しい限りでした。改めて、どうもありがとうございました!
Bridge としての次のライブは決まっていませんが、やはりこうしたデュオでのライブは続けていきたい思いが強いです。また何か機会があったらお知らせてしていきたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いします!
☆Bridge のHP…http://bridge-duo.com
☆郷原繁利のHP…sgohara.com/
☆新木場夢の島熱帯植物館のHP…www.yumenoshima.jp/
そして明治7年(1874年)には、日本で2番目となる鉄道となる大阪駅〜神戸駅間が開業します。その後はルートの選定を繰り返し、最終的に東京〜名古屋間は東海道に沿って、その先の名古屋〜草津間は中山道に沿って作られる事に決定、徐々に延伸をしていきます。…そうして明治22年(1889年)には新橋駅〜神戸駅間の全線が開業し、首都圏と京阪神が鉄道で結ばれる事となりました。この時、直通列車も1往復だけ設定され、所要時間は20時間強だったそうです。尚、この時の国府津駅〜沼津駅間は現在のJR御殿場線ルートだったのですが、この事に関しては〔鉄道さんぽ 12.(JR東海、御殿場線編)〕を参照頂ければと思います。
…その後、東京駅の開業(大正3年)やルート変更等を経て、徐々に現在の東海道本線の形に近くなってくるのですが、昭和62年(1987年)の国鉄分割民営化によって、東海道本線はJR東日本、JR東海、JR西日本の3社に管轄が分かれました。民営化後は、それぞれで独自の運営方法がなされ、今回取り上げるJR東日本の区間は首都圏の郊外路線という性格がより強くなってきます。
昔は、山手線は通勤路線、東海道本線は近郊路線というように、路線の性格で分けて扱われていた感じがあったのですが、実際に車両も前者は4扉ロングシート(103系、205系等)、後者は3扉セミクロスシート(113系、211系等)等と、雰囲気も結構異なっていました。しかし、現在東海道本線を走っている普通列車の車両の主力はE231系と、これらは山手線で走っているものと基本的には同じ車両が使われており、もはや首都圏では通勤路線、近郊路線という区分けは曖昧なものとなっているのかもしれません。かろうじて?東海道本線に使われているE231系はセミクロスシート車も存在しますが、どちらにしろ4扉車ではあるので、通勤路線感が否めないと思います。
そして、この東海道本線が大きく変わったのが、2001年の湘南新宿ラインの開業、また記憶に新しい、先月の上野東京ライン〔2015年3月14日ダイヤ改正参照〕の開業でしょう。この開業によって、東海道本線の車両は首都圏を越えて北関東にも顔を出すようになり、壮大な直通運転を行うに至ったのです。東京都心を縦に貫くという運行形態は、通勤路線そのものの顔を窺わせてくれるものでもありました。東海道本線の歴史は、日本の鉄道の歴史でもあるという事を、今でも感じさせる出来事だとは思います。
今回の記事で扱う東海道本線は、タイトル通り、JR東日本区間(東京駅〜熱海駅間)のみとさせて頂きます。他のJR各社の区間を扱う日が来るかはさておき(笑)、東海道本線の支線であり、JR横須賀線やJR湘南新宿ラインのルートである品鶴線も取り上げておきます。また、JR山手線の東京駅〜品川駅間や、JR京浜東北線の東京駅〜横浜駅間、そしてJR横須賀線の東京駅〜大船駅間もそれぞれ独立した線路があるものの、正式路線名的には東海道本線の別線、増線…という扱いになっているので、こちらも組み込んでおきました。…尚、東海道新幹線も、東海道本線の線増として建設されましたが、流石にこれは別扱いとしておきます(笑)。また、貨物線も多い東海道本線ですが、ここでは旅客線だけを取り上げる事にしているので、それも項目からは外しておきます。
東海道本線の全区間である東京駅〜神戸駅間からしたら、JR東日本区間の東京駅〜熱海駅間なんて僅かなものですが、非常に歴史があり、そして日本の大動脈を永らく支えてきた事から、取り上げる項目はそれでも膨大な物になってしまいそうです。上野東京ラインが開業し、正に取り上げるなら今のタイミング…とも思っていたのですが、それでも少し躊躇するぐらい、(記事にするのが)大変そうな路線なのでした。そんな背景もあり、全部の要素は流石に伝えられないでしょう…と、今のうちに断りを入れつつ(笑)、JR東日本区間の東海道本線を“さんぽ”出来たらと思います。それではどうぞ御覧下さいませ!
●日時…2015年4月15日
●距離(JR東日本区間のみ)…172,5km
(東京駅〜熱海駅…104,6km、
品川駅〜武蔵小杉駅〜鶴見駅…17,8km、
浜松町駅〜東京貨物ターミナル駅
〜浜川崎駅…20,6km《旅客営業無し》、
鶴見駅〜八丁畷駅…2,3km《旅客営業無し》、
鶴見駅〜東高島駅〜桜木町駅…8,5km《旅客営業無し》、
入江信号所〜旧・新興駅…2,7km《旅客営業無し、事実上廃止》、
鶴見駅〜横浜羽沢駅〜東戸塚駅…16,0km《旅客営業無し》)
●駅数(JR東日本区間のみ)…35駅
(東海道本線…32駅《緩行線の駅数も含む》、
品鶴線…3駅《品川駅、鶴見駅を除く》)
最近の『鉄道さんぽ』は早起きが付き物です。それが地方の鉄道ならば更に顕著ともなるわけですが、東京を代表する東海道本線でも、今回は早起きをさせて頂きました。前述したように、今回はJR東日本だけの区間となるわけですが、いわゆる東京駅〜熱海駅間だけではなく、書類上は“東海道本線”となっている区間も取り上げなければなりません。こうなると、より時間を掛けなくてはならないのは明白で、故に東京駅には朝7:00前の到着とさせました。朝の東京駅前はまだ人が疎らではあったのですが、対照的に駅構内はラッシュが始まったとばかりの人混みで、流石は東京の玄関口となる駅だと感じさせてくれます。そして堂々たる丸の内側の駅舎は、日本を代表する駅だと感じるに充分な風格を持っているのでした。
すぐに7・8番線に向かいます。東京駅7:08に到着する寝台特急『サンライズ瀬戸・出雲』号(左下写真参照)を出迎える為で、今や貴重な、定期的に運転する唯一のJR寝台特急列車であると共に、東海道本線が熱海駅を越えて、名古屋、大阪、神戸方面へ続いているという手掛かりを知るにも大事な列車でもあります。東京駅発着のブルートレインが全廃されたのが2009年3月の事ですが、それ以降、ここでの長距離の列車というと、静岡県は下田への特急が限界という感じでしょうか。遠くへは新幹線や飛行機を使うのが一般的という現在ですが、こうした寝台特急は末永く活躍してほしいと思いますね。
また、やはり今年3月の上野東京ラインの開業により、東京駅の“終着駅感”が薄れたような気がしてしまいました…。単純に、殆どの列車がこの東京駅を通り越し、北側の路線との直通運転を始めたからでもありますが、確かに行き交う列車を見てみると、ここは中間駅のような雰囲気です。列車の停車時間も長くはなく、時間短縮や速達間をアピールするかのように、次の駅に向けて淡々と発車していきます。東京駅というと、線路の高さが1段低くなっているJR山手線やJR京浜東北線のホームと、ここJR東海道本線のホームとでは、明らかに雰囲気が違っていたのですが、今やその雰囲気が近付いているように感じました。勿論、便利になった部分は大きいのですが、いわゆる日本を代表する東海道本線…という路線の風格を見出だすのは難しいかもしれません。ここが東海道本線の起点駅だと自信を持って言える材料も、もはや書類上の話しでしかないのでしょうか…。
さて、東京駅にはここ地平ホームだけではなく、地下にも東海道本線のホームが存在します。それは“総武地下ホーム”と呼ばれる地下5階に位置する場所で、JR総武線(快速)の起点となる駅でもありますが、直通運転するJR横須賀線の電車も乗り入れています。故に、ここも中間駅のような風情が漂っていると言って良いでしょう。この横須賀線側が、書類上では東海道本線の別線として扱われています。
ここを通る列車は普通列車ばかりではなく、千葉県の銚子方面へと向かう特急『しおさい』号を始め、成田空港への足である特急『成田エクスプレス』は頻繁に発着しています。特急『成田エクスプレス』は、当駅で連結、切り離し(右上写真参照)を行い、ここから新宿方面と横浜方面へと乗客を振り分けています。
…さて、東京駅を見るだけで結構な時間が掛かってしまいましたが(笑)、地上に戻り、ようやく東海道本線に乗る事に致しましょう。何度も言うように、正式には東京駅から南側に向かう路線(JR東海道本線は勿論、JR山手線、JR京浜東北線、そしてJR横須賀線、更に広義ではJR東海道新幹線も当て嵌まります)全てが東海道本線とされているので、何を乗っても東海道本線の“さんぽ”になるのですが(笑)、ひとまずここは、案内上も東海道本線と呼ばれる路線に乗って向かう事にしましょう。東京の1つ隣りの駅は有楽町駅ですが、東海道本線の列車は通過し、1つ目の停車駅である新橋駅で、まずは下車します。
新橋駅の開業は1872年。この記事の最初に記した通り、日本で初めての鉄道が開業した時に出来た駅でもあります。現在の駅は2代目で、1914年の東京駅完成に伴い、東海道本線の起点が東京駅に変更された時に、元々が烏森駅として開業していたこの駅を新橋駅と改称させ、それまでの新橋駅は汐留駅と改称し、こちらは荷物列車と貨物列車の専用駅となりました(その後1986年に廃止され、以後再開発がされているのは周知の事と思います!)。現在、JRの高架線のホーム上に掛かる大屋根を設置工事中です。
今度はJR山手線の列車で浜松町駅に向かいます。浜松町駅は、JR東日本グループになった東京モノレール〔鉄道さんぽ 6.(東京モノレール羽田線編)参照〕の乗り換え駅として利用する方も多いと思いますが、JRの3・4番線ホームの田町駅寄りに、“小便小僧”の像(左上写真参照)があるというのは意外と知られていません。これは、ここに設置されてから60年にもなる結構古いもので、季節毎に衣装が変えられていて、通勤、通学客の目を楽しませている事と思います。
次の田町駅のホームの北側に立つと、東海道本線を始め、山手線や京浜東北線、そして東海道新幹線もが並行して臨めるポイントがあり(右上写真参照)、頻繁に行き交う列車を眺めているだけで東京の都会さを実感するのですが、この次の品川駅周辺はそれ以上に大きく都会化、そして今後も発展が見込まれている地域でもあります。田町駅と品川駅の間には、2020年を目処に新駅が開業する事も決まっています。
さて、東海道新幹線も停車する品川駅は、JRの在来線だけでも15番線までホームが存在する非常に大きな駅です。これに東海道新幹線と京浜急行の路線が加わるわけですが、JRの在来線だけでいうと、正式には殆どが東海道本線の路線であるところは流石です。尚、JR山手線は正式には当駅が起点であり、ここから大崎駅方面が、いわゆる正式な“山手線”となります。
最近の話題として、やはり上野東京ラインの開業に伴って、JR常磐線からの列車が品川駅まで乗り入れる事になった事は挙げておきましょう…。この時のダイヤ改正と同時に、新たに特急『ひたち』号、『ときわ』号という名称に変更されたE657系(右上写真参照)列車や、乗り入れは朝と夕方以降に限られますが、常磐線のE231系(左上写真参照)等、新たな顔触れが増える事となりました。
そして、東京駅では地下駅の存在だったJR横須賀線の路線も、ここ品川で地上に顔を出してきます。この先のこの路線は、品鶴線という呼ばれるルートで、既存の東海道本線とは大きく異なる行程を辿る事になるのですが、やはりこちらも正式には東海道本線なので、まずはこちら側のルートを辿って、いったん品川駅に戻り(笑)、再度東海道本線のルートを見ていきたいと思います。この時は朝のラッシュ時の真っ最中という感じだったので、215系(右上写真の左側の車両)を使用する快速『湘南ライナー』の姿も多く見掛けました。国鉄➡JRの着席定員列車の元祖とも言える列車です。
品鶴線は品川駅を出ると、本家の路線を左に見ながら分かれ、東海道新幹線と共に右にカーブしていきます。隣りにはJR山手線が並行して走っており、このままですと大崎駅に到着してしまいそうですが、今度は山手線を右に見つつ分かれ、左カーブしていきます。この時に車窓右手には大崎駅が見えますが、そこから伸びてきた路線をオーバーパスし、後にその路線と合流をします…。これが湘南新宿ラインの路線で、左上写真で見ると、左側が品鶴線で、右側が湘南新宿ラインの路線となっています。この2つの路線の合流部分は平面交差となっており、ラッシュ時を中心に行き交う列車も増えてきたお陰で時刻調整をする事もしばしばで、将来的には立体交差に改良されるようです。この合流ポイントの頭上に東急大井町線(右上写真参照)が通ります。
そして西大井駅となります。事実上、品鶴線(横須賀線)と湘南新宿ラインの分岐駅となりますが、ここで乗り換える人は少ないかもしれません。日中の列車の本数的には、横須賀線の列車が4本/時、湘南新宿ラインの列車が2本/時で、湘南新宿ラインの列車が少ないですが、これは2本/時の快速系統が当駅は通過するからです。全体的には横須賀線と湘南新宿ラインの列車本数は、ほぼ同等に設定されているようですね。
上写真の通り、頭上には東海道新幹線が通っていますが、西大井駅を過ぎると徐々に同じ目線の高さになり、長い直線区間へと入ります。列車は最高速度の120km/時をよく出す区間で、これは多摩川を渡るぐらいまで続き、そこを過ぎると武蔵小杉駅になります。JR南武線〔鉄道さんぽ 29.(JR東日本、南武線編)参照〕、東急電鉄東横線〔鉄道さんぽ 11.(東京急行電鉄、東横線編)参照〕、目黒線との乗り換え駅ですが、こちらの路線としての駅は2010年3月に開設された、比較的新しい駅(左下写真参照)となっています。
この開設の影響は大きく、都心への路線の選択肢が広がった事でとても便利になり、武蔵小杉駅周辺の高層ビルの開発は本当に目覚ましい状況となっています。確かに、品川や東京方面は勿論の事、渋谷、新宿、池袋方面もダイレクトで行けるようになったのですから、利用者が増えるのも頷けるというものです。
武蔵小杉駅を出ると、ついに東海道新幹線と分かれ、代わりに右側から貨物線が合流します。これはJR武蔵野線の貨物専用線で、遠く府中本町駅からやってきている路線です。合流した後は新鶴見信号所と呼ばれる、多くの貨物線が行き交う中継地点の役割を果たす場所へと入っていきますが、その地点に新川崎駅が存在します。
新川崎駅を出ると、次は横浜駅です。一気に飛んだ感じがありますが、東海道“本線”とは鶴見駅の手前ぐらいで既に合流をしており(左下写真参照)、ここから鶴見駅、新子安駅、東神奈川駅と、駅自体はあるものの、こちらはJR京浜東北線の路線にしか駅が無く、品鶴線ルートの列車は全て通過するからでもあります。横浜駅は一番西側の9、10番線に入線し、2004年に東急東横線のホームが地下へと移動させた以降、余った土地を利用してホームの拡張が行われました(右下写真参照)。
さて、一度品川駅に戻り、今度は所謂東海道本線のルートで改めて横浜駅に向かってみる事にしましょう。この間、東海道本線の列車自体の停車駅は品川駅、川崎駅、横浜駅と少なく、並行するJR京浜東北線が各駅停車の役割を果たしています。こちらは川崎駅の手前で多摩川橋梁を渡って神奈川県に入ります。
川崎駅を出ると、JR南武線と分かれた後に先程の品鶴線路線と合流して、後は同じルートを通っていくのですが、ここは更に京浜急行電鉄本線の線路も走っている区間でもあるので、多路線が暫く並行して走る区間を楽しめるポイントともなっています。特に注目すべきは、京浜急行電鉄の花月園前駅〜生麦駅付近で、ここはJR東海道本線、京浜東北線、品鶴線、京浜急行線の線路の他に、分岐した貨物専用線の線路も別に存在するので、合計10本の線路が敷設されている区間になるのです。面白いのは、ここを横断する踏切(右下写真参照)がある事で、開かずの踏切、そして日本一長い踏切として紹介された事もあるくらいです。
貨物線が分かれ、京浜急行本線とは離れたり近付いたりが繰り返され、その後の東神奈川駅ではJR横浜線〔鉄道さんぽ 25.(JR横浜線編)参照〕と合流します。合流…とは言っても、JR京浜東北線の路線との合流で、東海道本線の線路には乗り入れません。横浜線、この東神奈川駅止まりの列車も多いですが、半分以上はJR京浜東北線に乗り入れ、横浜駅から先、桜木町駅や磯子駅、時間によっては大船駅まで達しています。
…という事で、改めて横浜駅に着きました。横浜市の中心駅である事は言うまでもなく、当駅には合計6つの鉄道事業者が乗り入れる駅となっており、これは日本最多(2015年現在)でもあります。前述のように、東海道本線が開通した当初は、現在の桜木町駅が横浜駅と名乗っていて、その後に東海道本線が延長した時は、現在の桜木町駅がある場所からスイッチバックして国府津方面へと向かっていました。その作業が効率的でなかったので、1898年に短絡線が開通し、後に平沼駅という駅がその付近にでき、長距離の優等列車はその駅に停車していました。現在の横浜駅の場所の前身となる駅ですが、その後関東大震災等を経て再度場所が変わり、現在の場所になるのは1928年の時です(この年には東急東横線も開通しています)。当駅は工事完成前に、構内や駅周辺で次々と工事が行われる為、実質1915年(2代目横浜駅…現在の横浜市営地下鉄の高島町駅付近)から現在に至るまで、一度も工事計画が完全に完成した事が無いという、日本のサグラダ・ファミリアとも比喩される駅ともなっています。
それでは、横浜駅から先に向かいましょう。歴史的にはこちらの方が古い桜木町駅方面とは分かれて、保土ヶ谷駅方面に路線は進んでいきます。暫くは相模鉄道の本線が進行方向右側に並走します。また、ここから大船駅までは、案内上ではJR横須賀線、湘南新宿ラインとされる路線と並行して進み、こちらは保土ヶ谷駅、東戸塚駅に停車しますが、東海道本線の列車はそれらは通過し、次は戸塚駅となります。
それまで路線別で並走していたこれらの路線ですが、戸塚駅では方向別の配線になり、お互いの路線の乗り換えがホーム上で可能となっています(左上写真参照)。また、湘南新宿ラインの列車は、当駅で横須賀線方面と東海道本線方面へ、それぞれ振り分けられて運転されます。運転経路は複雑になってきており、最近は上野東京ラインの開業もあって、ますます分かりにくい状況にはなっていると思います。この戸塚駅は、それらが最も集約する場所でもあり、上り方面も下り方面も、注意して列車に乗らなければなりません。
特に上り方面が顕著で、ここから上り方面に向かう方は、列車の行き先だけを見てはいけない状態になっています。…と言うのは、例えば同じ高崎駅行き(現在は、それまでの終点であった東京駅行きは、数が非常に減りました)でも、湘南新宿ライン経由なのか、上野東京ライン経由なのかで、ルートはだいぶ異なるからです。その中で更に快速の設定もされていたりするので、注意すべきは○○経由というのと、快速運転をしているのかどうか…という感じでしょう。
運転経路は複雑ですが、走る車両の種類はだいぶ整理され、現在、この付近の東海道本線を走る普通列車はE231系とE233系にほぼ統一されています(横須賀線にはこれにE217系が加わります)。以前は列車によって車両が決まっていましたが、上野東京ライン開業以降は共通運用とされ、互いの車両の併結運転(左上写真参照)も見られます。この2系列の車両は共通設計の部分も多いので、利用者的にはどちらの車両に乗っているのかは、あまり気にならないかもしれません。前面部は結構異なりますが、側面部の差異は、ドアの形やラインカラーがドア部にも貼ってある等、だいぶ細かい点になってしまいます(笑)。車両は4扉ロングシート(一部セミクロスシート…右上写真参照)で、どちらも10両編成と、増結用の5両編成があり、それらを連結して15両編成で運転されている事が多いです。尚、10両編成には2階建てグリーン車が2両連結されています。
戸塚駅の次の大船駅を出ると、並行してきたJR横須賀線とも分かれ、いよいよ東海道本線単独の路線となります。…とは言え、まだ進行方向右側には別の路線が並行していますが、これは東海道貨物線の線路で、貨物列車は勿論の事、快速『湘南ライナー』系列の一部や、様々な回送列車、そして試運転の列車等々、意外と走行する列車を見る事は多いです。
ホームにかつての湘南型80系を模した売店がある藤沢駅(右上写真参照)は、小田急江ノ島線との乗換駅です。湘南新宿ラインが運転されて以降、小田急側も湘南急行(現在は快速急行)の運転を始め、新宿方面への競争が激化されています。東海道貨物線にもホームがありますが、これは事実上、ラッシュ時の『ライナー』用で、それ以外の時間帯は閉鎖されています。また、江ノ島電鉄〔鉄道さんぽ 4.(江ノ島電鉄線編)参照〕も乗り換えできます。
藤沢駅を出ると、辻堂駅となります。快速『アクティ』や湘南新宿ラインの『特別快速』が通過しますが、快速『アクティ』は東京駅を出て、東海道本線上では当駅が初めての通過駅となります。そもそも、東海道本線上で通過する駅が、この辻堂駅と、あと3駅程しかないのですが、それでも先行する普通列車を追い抜いたりするので、一応の速達列車という面目は果たしているのかもしれません。…というより、東京駅〜小田原駅間を走る東海道本線の普通列車は、列車によって走行時間がバラバラで、後続の快速列車を先に行かせる為に、わざとゆっくり走ったり、駅で停車時間を多めに設定させている列車も多いです。同じ普通列車でも、所要時間が10分以上違う列車もしばしばで、なるべく等間隔に列車を設定させているが故なのかもしれませんが、速達面という意味では、他の路線より1歩遅れをとっている感も否めません。
快速停車駅の茅ヶ崎駅を過ぎると相模川を渡り(上写真参照)、平塚駅となります。当駅で折り返す列車が多く存在し、行き先もだいぶ整理されてきます。快速列車は当駅で普通列車を追い越す事が多く、一部の普通列車は当駅で付属編成5両の増解結も行われます。
相模川を渡った時に、進行方向左側には海が見えている筈で、この辺りから東海道本線は相模湾に沿って、わりと海の近くを通っていきます。…が、海が見える区間というのはまだ僅かで、それは早川駅以降に持ち越されます。大磯駅、二宮駅と、前述の快速列車が通過する駅を過ぎ、国府津駅となります。かつての東海道本線のルートでもあったJR御殿場線への乗り換え駅で、こちらの詳細は〔鉄道さんぽ 13.(JR東海、御殿場線編)〕を参照して下さい。
新幹線発祥の地である鴨宮駅を過ぎると、小田原駅に到着となります。…ここでは偶然にも、今後のJR山手線に投入される新系列、E235系の試運転列車(右上写真参照)を見る事が出来ました。東海道本線に乗っていると、こんなチャンスに巡り会える機会も少なくはないという事でしょう(笑)。小田原駅で折り返す列車は多く、ここから先の区間は、日中は1時間に3本程度の運転です。湘南新宿ラインの列車は、基本的には小田原駅までの運転となります。
さて、先に進みましょう。別線となっていた東海道貨物線の線路も、ようやくここで本線へと合流し、これまで東京駅から続いてきた複々線以上の区間が、ついに複線区間という状態になりました。そのせいか、急に庶民的な雰囲気になってくるのですが(笑)、行き交う列車の多くは15両編成を組んでいますので、やはり風格ある路線なのかもしれません。早川駅は、小田原市街の南端に位置し、それは同時に、長く続いてきた関東平野の終わりも意味します。ここから先は熱海駅まで、国道135号線と並行し、また、箱根山の外輪山が海岸近くまで迫ってきている区間を通るので、それまでの路線形態が一転して、カーブやトンネルが多い区間となります。
そのトンネルを抜けた灯り区間では、広大な海を臨める区間も多く存在します。早川駅の先に存在する石橋という地域(上下写真参照)がそうで、隣りを走る東海道新幹線も含め、東海道本線の有名撮影地としても知られています。このポイントは以前、自分が中学生ぐらいだった頃に一度訪れた事があり、今回はそれ以来の訪問になったのですが、走る車両は変われど(当時は、東海道本線では113系、東海道新幹線では100系が主力という時代でした)、その堂々たる風景は健在でした。天気も良く、絶好の鉄道撮影日和だったとも思います。
この区間は、鉄道車両が入れば、どこから撮っても絵になるような所で、色々なポイントを自由に探してはカメラを向ける…という時間が続いてしまいました…。何だか、鉄道写真を必死になって追いかけていた昔を思い出すようで楽しかったです(笑)。新幹線に至っては、速度が速いわりに灯り区間が短いので、列車が見えてからカメラを向けるのでは既に遅く、事前にカメラを線路に向けたまま待機し、そして列車がやってきたらシャッターを押す…という方法を取る必要がありますが、これも中学生時代にやってのけていた事でもありました。昔の方法をまだ自然に覚えていたという事でもあり、懐かしくもある時間でしたね。
撮影地はこの他にもあり、この石橋というエリアの先にある米神という辺りなのですが、こちらは前述の撮影地のように景色との取り合わせではなく、列車そのものを迫力ある構図で撮る事が出来る区間でもあります(上写真参照)。カーブが多く続いている事と、15両という長い編成を生かし、蛇行して走る列車を収めるのです。ここも中学生の頃に、先程の石橋と同じ時に訪問した場所でもありました。
陽も徐々に暮れてきました。西側に山が聳えているので、どうやら夕暮れの時間が少し早い印象になるようです。ここまで来ると、早川駅というよりは次の根府川駅に近く、そのまま根府川駅まで“さんぽ”していきましょう。根府川駅は海には近いものの高台に存在していて、その海抜は45mにもなります。乗降客数はJR東日本区間の東海道本線では飛び抜けて少なく、また、東海道本線では支線を除けば唯一と言える、完全な無人駅です。高台にあるぶん、眺めは非常に良く、眼下には海が臨め、元旦に運転される『初日の出』号等の臨時列車は当駅に停車し、正に初日の出を当駅から拝めるプランになっていたりします。
根府川駅を出てすぐに渡る白糸川橋梁は、以前はここも鉄道撮影名所だったのですが、防風柵設置により、撮影には不向きになってしまいました…。だからこそ現在は、海をバックに列車が走る、石橋付近の撮影ポイントがより貴重になっているとも言えましょう。
ここからはラストスパートをかけ、真鶴駅、湯河原駅という観光地を抜けて、いよいよ静岡県へと入り、JR東日本区間の東海道本線の終点である熱海駅に到着しました。普通列車の殆どはここで折り返しますが、一部はJR東海区間の沼津駅まで、また、JR伊東線に乗り入れて伊東駅まで顔を出す列車も存在します。この先の沼津方面への列車は基本的には3番線から発車し、東京方面から来た熱海駅に到着した列車の多くは2番線に着くので、この時は同じホームでの乗り換えとなるので楽ですが、必ずしもそうなるとは言えず、特に逆パターンは殆どが別ホームの乗り換えとなるので大変です。また、JR東日本の列車は15両編成が多く、JR東海の列車は3両編成が多いので(列車の本数は日中はほぼ同じ)、通過客数の違いはあれど、これで収まりきるのかと思ってしまう程です(笑)。東京への重要の高さが窺えるというものですね。
駅前に保存されている機関車(左上写真参照)は、現在の東海道本線が開業する前に、小田原駅と熱海駅を結んでいた軽便鉄道の車両のもので、当時は人車軌道(その名の通り、人が車両を押していました)だったそうですが、後に蒸気運転を開始し、所要時間は2時間半程だったそうです。現在の東海道本線では約20分、新幹線では8分(笑)。なんて便利な時代になったのでしょうか…。
また、現在の変化として、上野東京ライン開業後の熱海駅からの東京方面への行き先は凄い事になっていて、JR東北本線(宇都宮線)、JR高崎線の行き先ばかりが乱立している状態でした。その中でも宇都宮駅行き(右上写真参照)…というのは凄いなと思いましたが、設定本数は少ないものの、栃木県の北端である黒磯駅行きも設定されており、その走行距離は 268,1km にもなるとの事です。所要時間は4時間48分。東海道新幹線の最速『のぞみ』号の東京駅〜博多駅間の所要時間がほぼ同じくらいという事で、興味ある方は是非乗ってみて下さい(笑)。
これにて、JR東日本区間の東海道本線の“さんぽ”は終了となりますが、せっかくなので帰りはグリーン車に乗ってみる事にしましょう。グリーン車 Suica システムになり、以前より気軽にグリーン車に乗れるようになりまして、たまにはゆったりとした雰囲気に身を委ねるのも悪くはありません。…それでは、最後に問題です。上の写真はそんなグリーン車の車両になりますが、これはE231系でしょうか、それともE233系でしょうか?…この記事をよく読んで頂いた方ならお分かりになれるかと思います(笑)。どうもお疲れ様でした!
以前にもお伝えしたように、今回は写真家の市橋織江さんとのコラボレーションにより、そのCDジャケットの写真、ブックレットの構成が決まりました。ヨーロッパの何気ない街並みの写真なのに、どうしてこんなに惹き付けられるのでしょう…。これらの写真と自分達の音楽と合わせて、正にこのCDで旅に出ているような感覚になると思います。改めまして、販促動画を御覧頂きたいと思います。
さて、今回のアルバムは全て自分のオリジナル曲となっているのですが、せっかくですので、前回のアルバムである 3rd.CD『ReInterpret the Passage』の時にも書かせて頂いた、曲解説〔『ReInterpret the passage』CD、曲解説参照〕というのを行ってみたいと思います。今までのライブで数多くやってきたものから、今回の為に書き下ろした新作、そして昔の曲から掘り起こしてきた?曲まで、全部で12曲あります。オリジナル曲を解説するというのは、初めてそれらの曲を聴く方にとっては既知感を与えてしまうので、良くも悪くも…という部分はあるのですが、それらも踏まえた上で書いていると思って頂ければ幸いです。あくまでも参考程度に見て頂けたらと思います。それではどうぞ御覧下さい。
1、Overseas
1曲目に収録させた“Overseas”は旅の始まりを予感させるもので、これから
外に向けた不安な思いや期待感をギュッと凝縮させて表現してみました。
冒頭のフレーズをモチーフに、色々なハーモニーで曲調を展開させていくと
いうのは、反復ではあるものの、様々な形が見られる海辺の波を想像させて
くれるものになるかもしれません。この曲から「旅」は始まり、この作品の
タイトルである『Voyaging』も、この曲の影響を受けて思い付いたものでした。
2、The Outside Yellow Lamp
海外で初めて訪れる街に夕方頃に着くと、空港から街までの移動の間に大体は
日が暮れてしまいます。普段見られない街並みに目にする明かりは、若干淡く
オレンジ色に輝くナトリウム灯。有機的に配列されたそのナトリウム灯の列は
とても印象的で、それが初日の街のイメージにもなるくらいです。時間的には
夜で、この次の日から始まる現地での体験を素敵なものにしてくれる事でしょう。
3、Late Sunrise
冬のヨーロッパは日の出が遅く、自分が訪れた街では8:00を過ぎて、ようやく
太陽が地面を照らし始めた…という感じだったでしょうか。しかし人の動きは
それよりも早く始まっており、空の様子は早朝を連想させられるも、鉄道は
混雑し、街の動きは慌ただしいです…。これも1つのヨーロッパらしい風景
なのだと思い、幻想的と激動の双方を1つの曲に取り入れてみました。
4、The Night Visitor
自分の曲の中では珍しい、ベースをフィーチャーさせた曲です。ベースの
高音部分で奏でたメロディは、後にピアノで重ねてハーモニーも作り出し、
更に異なったセクションへと展開されていきます。タイトル通り、深夜の
怪しげな雰囲気と、その中での遊び心を探しなら聴いて頂けたらと思います。
5、Less is More
今回の作品で初お披露目となる曲で、今回のアルバムの為に作った曲でもあります。
故に『Voyaging』の中では最も新しい曲となっているのですが、作曲の切っ掛けは
このアルバムの全体的なバランスを保つという考えによるものです。今回の作品を
俯瞰してみると、やはり静けさやメロディアスな側面が軸となっているでしょう。
しかし、そこに自分は何かしらのスパイスを入れたいと思いました。その答えが
この“Less is More”であり、変拍子であり、ソロもドラムがメインとなっていると
いう構成なのです。『Voyaging』では異質の1曲かもしれませんが、必聴です!
6、Montmartre's Cafe
フランスのパリに位置するモンマルトル。小高い丘を形成したエリアで、ここでは
偉大な芸術家が何人も誕生し、そして暮らしていった場所でもあります。この街は
新旧の歴史が織り混ざった独特な雰囲気があり、歩いているだけで芸術の片隅に
触れられる事と思います。映画『アメリ』の舞台でもあり、自分も大好きな街の
うちの1つですが、この曲が作られたのは2008年の秋頃で、実はトリオの
1st. CDアルバム『Pictures』を発売した頃には既に出来上がっていたのです。
しかし、当初はこのような曲調の曲を大事に表現するのが難しく、その後は思考を
凝らし、今回のアルバムでついに収録が実現されたのでした。敢えて目新しい事は
せず、淡々とした楽曲が何故か心地良いという、良い雰囲気に仕上がったと思います。
7、La Grande Roue de la Concorde
パリのコンコルド広場の大観覧車を意味する“La Grande Roue de la Concorde”。
移動式の観覧車で、期間限定でその姿を現してくれるものですが、初めて見た
時にはその回転する速度の速さに驚かされ、ゆったりと景色を眺めるという、
自分の中の観覧車の概念が覆された瞬間でした。パリという街は、歴史的な
外観がそのまま残され、いつまでも大事に使い続けるという信念がある反面、
最新式のものも惜しみなく導入するという「攻め」の姿勢も大事にします。
歴史的なものと最新式なものとの絶妙な同居。それがこの街の魅力の1つです。
8、Water Lily Part 2
トリオの 2nd.CDアルバム『Fingers Dance』に収録された“Water Lily”の
2楽章という名目で作らせて頂きました。この曲が作られたのは2010年の
初め頃だったので、こちらも少し前の作品になりますが、モネの代表作である
“睡蓮”の連作に肖って、自分もそういった形式の作品を目指してみたのです。
最初の“Water Lily”よりシンプルな部分が多く、特に後半のピアノソロでは、
このトリオの特徴であるインタープレイな部分がより滲み出ていると思います。
9、Carnaval
比較的新しい曲で、謝肉祭を意味する単語の曲でもありますが、自分は
祭りが終わった後の儚さを表現してみました。メロディのセクションは
そんなに種類がありませんが、コードとのハーモニーは複雑です。
短い時間に様々なハーモニーを表現してきますが、後半部では一転して、
同じフレーズの中でのドラムソロに突入します。そしてエンディングには
冒頭と同じメロディをピアノでとり、あっという間に終演を迎えるのです。
10、Veins of Leaf
葉の葉脈という意味の“Veins of Leaf”。ピアノのメロディが主体となって
いる綺麗な曲に仕上がりましたが、ここでは一定のリズムに捕われない演奏に
御注目下さい。ピアノトリオという編成では、ベースとドラムは基本的には
リズムのビートを担う役割があるのですが、ここではメロディに寄り添う
部分が多く、正に3人が奏でるメロディで曲が作られているかのようです。
自分の音楽のルーツであるクラッシックの要素も見出だせて頂けたら幸いです。
11、Casa Familia
2013年初頭の作曲後、多くの方を惹き付けてくれた“Casa Familia”。
スペイン語で“Casa”は「家」、“Familia”は「家族」という意味ですが、
バルセロナを旅行した際に見てきた建物には、これらの言葉で名付けられ
ているものが多くありました。ここでは、家と家族というものの大事さに
ついて今一度振り返り、素直にその感情を曲にしたまでではありましたが、
その素直さが受け入れられたのかもしれません。非常にメロディアスな
曲ですが、途中には変拍子も取り入れる等、実は癖のある曲なのです。
その部分を加味しても多くの方に好んで頂けたというのは嬉しい限りです!
12、Monte Fiesole
トリオの 1st.CDアルバム『Pictures』にも収録されている曲ですが、
ここではソロピアノでの演奏とさせて頂きました。トリオ編成の時とは
異なり、ソロピアノという状況は自由が多過ぎて、録音に試みるだけでも
覚悟が必要なのですが、その分やり甲斐も多く感じています。恐らく、
自分にとってソロピアノ演奏というのも、1つのオリジナル曲の表現の
仕方なのだと思いました。ここではテーマのメロディを大事に奏で、少し
だけ変化を付けてエンディングに繋げていきました。この曲のトリオでの
初演から何年も経ちますが、また1つのスタイルが見付けられたと思います。
…以上になります。長々とお付き合い頂き、どうもありがとうございました。今日から自分はこのCDを持ち歩いて仕事に向かいたいと思いますので、どうぞチェックしてみて下さいませ。それでは、今後ともどうぞよろしくお願いします!
・2009年…〔竹内大輔の写真日記(~2009)、西仲美咲バースデー・ライブ〕
・2010年…〔西仲美咲バースデー・ライブ〕
・2011年…〔西仲美咲バースデー・ライブ2011〕
・2012年…〔西仲美咲、東京ツアー(2012.4.12~4.14)〕
・2013年…〔西仲美咲、東京ツアー(2013.4.11〜4.12)〕
・2014年…〔西仲美咲、東京ツアー(2014.3.22、4.9〜4.11)〕
そして今年の2015年で、自分は7回目の参加となりました。今後も続いていくのは必至と言われていますが、今回は学芸大学の珈琲美学でのライブの1本に絞っていたのが特徴でした。そして、ギターの平岡遊一郎さん(右下写真参照)を加えたトリオ編成でお送りしたのも目新しかったと思います。左下写真はトリオ…というわけではありません。西仲さんの昔馴染みの方でございます(笑)。
自分は平岡さんとは今回が初めての共演でしたが、共通の知り合いは多く、そこに西仲さんが組み込まれるのも、もはや時間の問題だったような気もします。既に西仲さんは平岡さんと一緒にライブを行っており、そこは確かなギターサウンドでの楽曲が展開されていた事と思います。平岡さんは、どちらかと言うとギターをベースのようにも操り、リズムを刻んでいくように演奏をするタイプなのだそうで、そうなるとピアノの役割と言えば、ハーモニー等を展開させたり、メロディの間を音で埋める等の飾り付けをする部分が多くなりそうです。勿論、これはあくまでも基本の形なので、演奏中に例外のパターンが生まれる事もありますが、後は耳で聞きながらその場で対応…という感じでしょうか。しかしこれは、曲を演奏する上でごく当たり前のように行われる役割分担でもあるのです。そこが半ば即興的な判断で行われるのが、ジャズらしい特徴とも言えるでしょうか。
曲は、自分も今までやった事のある、言わばお馴染みの曲を中心にやっていきましたが、平岡さんのアレンジが加えられた曲も幾つかあり、新鮮な気持ちで演奏に臨む事が出来ました。特に何度も弾き慣れた“てぃんさぐぬ花”や、西仲さんオリジナルの“Makes Me...”は、本当に少しだけのアレンジが加えられた程度だったのですが、演奏者側として、随分と印象が異なって向き合う事が出来ました。アレンジする人が変われば、その曲への印象も変わるという事の、良い例だと思います。
そして、今年も例によって?サプライズ方式でバースデー演奏を披露させました♪…ただし今回は、たまたま珈琲美学にフライヤーを置きにきていたボーカルの市川愛さんに、突然のお願いながらバースデー・ソングを歌って貰う事にしていて、これには西仲さんも驚いた様子でした。少しいつもとは変化を付けた、なかなか楽しい時間になったように思います。
そんなこんなでバースデー・ライブは今年も無事に終了。新しいサウンドも探求しつつ、今後も楽しみな思いで終えられた1日でした。それにしても、そもそもギターとピアノでのトリオ編成という自体、自分は久し振りにやらせて貰ったのですが、今まで以上に楽しい時間を過ごせたと思います。以前にも何度か言った事があると思いますが、楽器の役割として、ギターとピアノは伴奏という面で近い部分があり、同時に存在する時には、お互いの役割分担を考えながら演奏しなければなりません。勿論それは非常に遣り甲斐のある事なのですが、色々と大変な部分がある事も見逃せません。しかし今回は、本当にストレス無く打ち込めたと言いますか、自然にお互いの弾く部分を弁えて演奏に打ち込めたような気がします。久し振りという事もあり、ちょっとは自分も成長出来たのかもしれませんが(笑)、良い発見でした。また今後に生かせたらと思います。…というわけで、誕生日おめでとうございました!
☆西仲美咲さんのHP…http://misakinishinaka.com
☆学芸大学珈琲美学のHP…http://www.coffeebigaku.server-shared.com
3月22日(1日目)
この日が、2014年における、西仲さんと自分の最初の演奏になりました。場所は、もう何度もお世話になっている銀座のわしたショップにてで、1ステージの短い時間でしたが、多くのお客さんにお越し頂き、温かい空間が出来上がっていたと思いました。
いつもは、この1ステージに色々な曲を詰め込んでお届けしているのですが、今回はゆったりと聴いて貰おうと、曲数を限定して、そして1曲毎の魅力を最大限に表現していこうという想いで臨んでいきました。わしたショップでは何度も演奏させて貰っていて、馴染みのお客さんも増えてきた事もあり、こうしたコンセプトでお届けするのも良かったように思いました。
しかし途中で、泡盛ベースの、生姜とパッションフルーツのお酒が店内に振る舞われてきた辺りから流れがおかしくなってきてしまいました。店長の粋な計らいで、それは自分達にも提供させて頂き、それなりにアルコール度も高かったので(12度)、何だかほろ酔い気分になってしまいます(笑)。それはお客さんも同じ状態だったわけで、どこからか開放されたような空気がやってきたと言いますか、演奏の終わりの時間が近付いてきても、まだまだやってくれ!という雰囲気になってきていたのでした。
自分達も(特に自分が)飲んでしまっているので、じゃあ、やらせて貰おうかな…という感じでしたし、提供して頂いた店長さん的にも、どうぞどうぞという雰囲気があり、結局、曲そのものの演奏はゆったりとしたまま、いつもの曲数ぐらいお届けしてしまいました。本来ならばここでは40分くらいのステージ時間をお願いされているのですが、恐らくこの日のステージは1時間を越えていたのではないかと思います(笑)。しかし、それでも許されてしまう空気がこの時には確かに流れていました。正に、泡盛からの沖縄マジック。東京に居ながらにして、沖縄らしい空気感が楽しめた1日になりました。ある意味、自分達はこういったライブを目指していたのかもしれません(笑)。
4月9日(2日目)
…少し日にちが空いて、バースデー・ライブ気分も盛り上がってきた頃(笑)、今回まで続くバースデー・ライブと言えばここ、吉祥寺 Meg にてのライブです。何度となく使わせて頂き、今年も例外無く開催させて頂きました。勿論、西仲さんと自分だけのデュオ編成。今まで色々な編成でライブをやってきましたが、Meg はどこかデュオという編成に縁があるような場所である気がしています。
西仲さん自身の誕生日は、この日の後に行う3本目のライブの方が日にちは近いものの、既に店内はお祝いムードになっており、差し入れやバースデー・ケーキをプレゼントしてくれた方もいらっしゃいました。お店には和やかな空気が漂い、自分達も非常にリラックスして演奏させて頂いているのですが、いざ演奏に入ると真剣モードに突入します…。演奏曲も慣れているので、固くならないで良い筈なのですが、だからこそ色々な演奏アプローチを選んでいかなければなりません。特に2人だけという場ですから、尚更です。しかし、その状況をお互いに楽しんでいるとも言えましょう。ジャズ・スタンダードから沖縄民謡まで、2人で出来る可能な限りの演奏をやらせて頂きました。
こうして最初から最後まで、精一杯やらせて頂きました。写真の笑顔が物語っているかもしれません。こうして得たものを、また次のライブへと繋げていくのです。東京でのライブ期間も、あと1日を残すのみとなりました。
4月11日(3日目)
東京ツアーと便宜上に言わせて貰ったライブ期間も、この日で一応最後となりました…。最も西仲さんのバースデー(4月12日)に近いこの日は、学芸大学の珈琲美学にて、自分達の他にパーカッションにスズキトモヒサ君を迎えてトリオでお送りしていきます。スズキ君は西仲さんと初共演になりますが、自分とは他の現場で御一緒しており、西仲さんからパーカッショニストを探してほしいとの連絡があったので、自分が推薦してこの日が実現したのでした。スズキ君にとっては今回は初めてやる曲ばかり。西仲さんのオリジナル曲は勿論、沖縄民謡曲のアレンジは他でもなかなか取り上げないと思うので、色々と大変だったとは思いますが、真摯に演奏に打ち込んでくれる姿が印象的でした。西仲さんのサウンドに、また新たな風が吹き込まれたかもしれません…。
まずはジャズ・スタンダードの“One Note Samba”で御挨拶を兼ねた演奏からスタートさせますが、本領発揮はやはり次からの、“ちんぬくじゅーしー”や“べーべーぬ草刈いが”等の沖縄民謡曲のアレンジでしょう。パーカッションは、曲のリズムを取る以外にも、サウンドの飾り付けを行える側面もあり、それこそ色々な音で楽曲を行っていきます。時には重たいビートを刻み、時にはキラキラとした音色で曲を華やかなものにし、今までの曲に新たな可能性を見出だしてくれていたと思います。
…そしてライブ中には、お決まりではありますが(笑)バースデーのサプライズも♪…店内はお客さんも交えて笑顔に包まれ、演奏時以上に華やかな空間が出来上がっていたと思いました。そして西仲さんは演奏で応えていくのです。2ステージ目は更に一歩踏み込んで、沖縄民謡曲のオンパレード!…その中には石垣島の“月ぬ美しゃ”や、沖縄のわらべ歌である“大村御殿”も含まれていました。そして“かぎやで風節”では、更に沖縄音楽の深い所に突入して、今回のライブの締め括りとします。皆、この曲に掛ける意気込みも強いものがあり、壮大な曲調にして仕上がったと思いました。
この後はアンコールが来て、今までとは一転して“Isn't She Lovely”をお送りしましたが、これはバースデー・ライブならではの明るい雰囲気をそのまま反映させたとも言いましょうか。皆でおめでとうの声を含ませ、全体で盛り上がって終了となりました♪
…それにしても楽しい時間でした。勿論、バースデー・ライブならではの空気感もあるとは思うのですが、パーカッションが入った事により、サウンドに華やかさが増したというのも理由の1つような気がします。そして、こういった要素が加われる可能性をライブ中に発見出来たというのが、何よりの楽しさに繋がったのだと思いました。1つ1つのライブを無事に終わらせる事も大事ですが、次に繋げられる側面を見付けられるのはサウンドの発展に繋がります。是非とも次に繋げたいものです。3日間お疲れ様でした。そして、今後ともよろしくお願いします!
☆西仲美咲さんのHP…http://misakinishinaka.com
☆スズキトモヒサ君のHP…http://soopydrums.blogspot.jp
☆銀座わしたショップのHP…http://www.washita.co.jp/info/shop/ginza/
☆吉祥寺 Meg のHP…http://www.meg-jazz.com
☆学芸大学珈琲美学のHP…http://www.coffeebigaku.server-shared.com

5月16日(木)