1日目(11月23日)
周囲は紅葉の真っ只中というこの季節、天気も相まって、中央道から見える車窓はそれは素晴らしいもので、それ程所要時間を感じさせませんでした。実際、車で東京から3時間ぐらいの距離なので、伊那は言う程遠い場所でもないのです。…とは言え、中央道の伊那インターチェンジで一般道へと移り、お店の近くまで走らせてきたものの、本当にこんな所にライブハウスがあるのか…というような雰囲気です。近くの山々が見渡せるような場所だけに、何だか不思議な感じがしたものですが、そんな所に伊那 GRAMHOUSE はありました。
車を停めて辺りを見ると、車が100台以上は楽に駐車可能な広い駐車場、国道沿いで、入口に大きく『In➡』という看板、そして異様に大きい建物…、なるほど、どうやら元々パチンコ屋だった所を改装してライブハウスにしたようで、その雰囲気が色々な所に残っているのだと思いました。実際、店内も広く、恐らくパチンコフロアだった所に、囲い込みでライブスペースを入れ込んだようなような感じで、これは驚きました。GRAMHOUSE 自体は1992年にオープンしており、伊那の音楽シーンの発信地として発展し続け、2012年に現在の場所に移転してきたのだそうです。
リハーサルを順調に終え、腹ごしらえをしなくてはなりません(笑)。情報によると、ここはソースカツ丼を食べなくてはいけないらしいので、色々と調べ、志をじというお店に行ってきました。これまた店内が、ホビー雑貨の宝庫のような、インパクト有る雰囲気となっていまして、伊那という場所の拘りの強さを何だ垣間見たような気もしました。カツが器からはみ出んばかりのソースカツ丼は、当然の事ながら美味しく頂きました♪
さて、日も暮れると当然の事ながら辺りも気温も冷えてきます。この日は晴れで、現地に到着した時もまだそれ程寒さは感じなかったのですが、夜になると、ここは長野県という事を思わせてくれる寒さになってきて、身体にこたえます…。氷点下になるのも時間の問題…という感じでしょうか。しかし心配なのは、お店の周囲に殆ど民家が無い中、どれだけのお客さんが来るのだろう…というものでした。広大な駐車スペースはあれど、何だか疑問に思うのも無理は無い環境だったのです。
しかし蓋を開けてみると、既に大勢のお客さんにお越し頂いていました!…一体どこから…と思うのは失礼かもしれませんが(笑)、一瞬、都会のクラブにでも紛れ込んでしまったような、そんな熱い雰囲気が店内から感じられたのでした。
…そうして、jizue の演奏が始まりました。ギター、ベース、ドラム、キーボードのシンプルな4人編成のバンドでしたが、何と力強い演奏なのでしょう。リズムがドッシリとしていて、聴く側を飽きさせません。そして、楽曲の途中途中に入れ込んでくる、繰り返し、繰り返しをリズムでトランス状態になるかのようなアレンジング。自分からすると、長く繰り返しのリズムを演奏すると、途中に何か他の事を入れたくなってしまうのですが、そこは忍耐の演奏と言いますか、じっくりと心地良いリズムを提供出来ているこそ、このアレンジで成り立っているのだと思いました。お客さんもノリノリで、周りの人にも負けじとばかりに大きく身体を揺らし、思い思いの時間を楽しんでいるように見受けられました。伊那、凄い場所です…。
そして TRI4TH の出番となりました。とてもエネルギッシュ、且つクールな演奏を見せられてしまったので(笑)、自分達はどういったアプローチでやっていけば良いのかと悩んでしまいますが、ここはいつも通り、TRI4TH 流の踊れるジャズを展開させていきましょう!
今回は2マンライブだったので、演奏時間は約60分と、ゆったりとした時間が割り当てられています。これまでのツアーで培ってきたステージングを生かし、伊那ならではの雰囲気を受けつつ、派手にやっていきたいものです。最近の TRI4TH のセットリストの作り方を踏まえ、大きくステージを前半、中盤、後半の3つに分け、それぞれの見所を割り振って進めていきます
今回のセットリストを見るに、この1週間程前に行った Motion Blue Yokohama でのライブ〔CD『Five Color Elements』Release Party!…からの渋谷参照〕を参考に、さらに魅力を凝縮させた…という感じだったかもしれません。前半でノリを掴み、中盤で TRI4TH らしいジャズの部分を披露し、後半で爆発!(笑)という流れです。雰囲気によって、中盤が省略されたり、短くカットしたりするのですが、今回はその後者のタイプとも言えるでしょう。この中盤の置き方によって、ライブ全体の雰囲気が大きく変わるので面白いものです。
…なので、今回は中盤を“Everybody Knows That”だけとし、後半で一気に加速して盛り上げていきました。“Last Dancer”、“Rumble Fish”、そして“Hop!”…。本編はこれで終わりですが、アンコールへと繋いでいきます。こちらも“TRY AHEAD”、“Dance 'em All”と、爆発曲続きで、何とか伊那のお客さんに楽しい時間を提供出来たのでは無いかと思いました。…と言いますか、逆にこちら側が伊那の皆さんのパワーを貰ったような気もします(笑)。凄いエネルギー、そして凄く熱いものを感じた夜になりました。
ライブが終了した時点で、時刻はまだ21:30。皆、遠方から来ている方もいるので、そんな時間かなと思いましたが、このままライブハウスのロビーを打ち上げ会場にして、お客さんも交えて飲み会が決行されました!…外は寒いですが、店内は鍋を突きつつ、とても温かい雰囲気に包まれました。このお店の常連のお客さんとも色々お話しをさせて頂き、ここのイベントは間違い無い事、色々なバンドが来るのが楽しみな事、もっと伊那を熱い場所にしていきたい事…等々、とても興味深い時間を過ごさせて頂きました。
2日目(11月24日)
実は、帰りの事も考えて、当初は少しだけ顔を出して席を外そうとしていたのですが、皆本当に楽しかったのか、気付いたら時刻は24:30を回っていました(笑)。当然、車を走らせて東京に戻れたのは朝の4:00過ぎ…。自宅には5:00過ぎ…というコースになってしまいました。…とは言え、それ以上に良い経験をさせて貰えたのは確かです。伊那という場所と関係を持てた事に感謝でした。またどうぞよろしくお願いします!
☆伊那 GRAMHOUSE のHP…http://www.gramhouse.net
☆jizue のHP…http://www.jizue.com
奄美という場所は、東京からはなかなか行き辛い場所でもありました。羽田空港から直行便はあるものの、1日1便のみで、その値段は定価で片道約52000円!…1ヶ月前までに購入すると、片道1万8000円くらいにはなるものの、思い立って行くには、少々二の足を踏んでしまう場所でもありました。
しかし最近、LCC のバニラエアが成田空港から就航となりました。こちらは繁忙期を除くと、直前に購入しても片道7000円程度で、荷物を預けなかったり、席も指定しないのであれば、片道5500円からの料金が設定されています。この値段なら、ふと思い立っても「行くか!」という考えになるのではないでしょうか。
このバニラエアの存在があったこそ、今回のツアーは成り立ったと言えます。個人で企画されたツアーで大変なのは交通費の確保で、だからこそ車で移動していたりするのが常なのですが、飛行機でしか行けない場所へは、その航空券の安さが鍵となるのです。そして、そもそもが安い値段ではありましたが、今回はバニラエアに協賛という形をとって頂けました。本当に有り難い話しで、このツアーの成功に導いて下さったと言っても過言では無いでしょう。是非とも奄美線の運航を続けていってほしいものです。
奄美に足を運ばせると、島の至る所に今回のライブのチラシが貼ってあるのを発見する事が出来ました。楽器屋は勿論の事ですが、TSUTAYA にもありましたし、居酒屋、そしてファミレスのジョイフルにも貼ってありました。そして、到着した当日に、黒船メンバー全員で、地元の新聞社の取材2件と、ラジオの出演を果たし、更なる宣伝効果を狙っていったのでした。そして、やはりアンナさんの情報は島中に知れ渡っており、今回のライブへの期待感が高まります。
ライブ前には、少々の観光もしておきました。上の写真は、黒潮の森マングローブパークという場所で、展望台からはマングローブ原生林が見渡せ、奄美にいる事を実感させられた場所でもありました。天気が良くないせいもありましたが、服装を見ても分かる通り、予想より暖かい気候ではなく(笑)、自分もダウンジャケット着用の日々でした。まあ、東京に帰ったら、更に寒い気候が待ち構えていたのですが…(笑)。
…本番は、とにかく盛り上がりました。今回は、1部、2部の入れ替え制としていましたが、1ステージの長さは約90分と、いわゆる1回のライブ分のステージをお送りしました。つまりは1日で2日分ぐらいの演奏量を行ったような気はしましたが(笑)、セットリストもステージ毎に変え、通しで見られたお客さんにも配慮した形とさせて頂きました。また、ステージの途中にはアンナさんの三線弾き語りのソロ演奏も盛り込み、奄美らしい風土と空気を感じさせる時間になったのではないかと思います。
とにかく、これぞ感無量…という言葉が一番似合う1日でした。1ステージ目では立ち見も多くあり、2ステージ目のお客さんと合わせると、のべ190人ぐらいのお客さんにお越し頂いたのだとか!…まだまだ無名の黒船というバンドに、ここまで沢山のお客さんに見て頂けるとは、流石はアンナさんと言いますか(笑)、本当に貴重な体験をさせて頂いたと思いました。全ての人に感謝の気持ちで一杯です!
今回のツアーでは、あまり海を見れる機会が無かったのですが、最終日の空港に向かっている途中で、少し海を眺める事が出来ました。非常に穏やかな海で、自分達の旅路を優しく包んでくれるような、そんな光景がありました。実際、奄美の方達も温かく、何だか色々な方にお世話になった気がします。そして、旅先での新たな出会いもまた大切にしていきたいです。
まずは、福岡から続いた黒船のCD発売記念ツアーが、大成功に終われた事に感謝です。そしてこれらの経験は、きっと次回作に生かされる事でしょう。島唄を黒船風にアレンジした楽曲を本場の奄美で披露した事により、確かな手応えを感じ、確かな自信を得られたと思います。次はどんな作品を仕上げていきましょう。恐らくまた、誰もが聴いた事の無いような手法で、様々な場所で演奏機会を設けたいと思います。どうもありがとうございました!…このツアーの模様も勿論、後々にツアー日記として書かせて頂きますので、どうぞ楽しみにお待ち下さいませ。
☆黒船のHP…http://www.peaceofcake.net/kurofune/
1バンド目は Echo Park(右上写真参照)。House & Electro の2人組ユニット…との事でしたが、その名の通り、打ち込みを流しながらキーボード、そしてギターを巧みに操り、照明等も合わせてクラブシーンを牽引するような、そんな力強いパフォーマンスでした。とにかく、楽しい時間を過ごして下さい!…というMCと共に、今回の名前のイベントのトップバッターに相応しい光景を作り出していました。
そして、今年は4度目の共演となった Three Primary Colors(左上写真参照)。いつ見ても個性的なトリオ編成だと思いますが、この日はいつも以上に気合いが入っているのかアクションも大きく、お客さんと共にイベントを盛り上げていっている感じでした。そして、それぞれの出演バンドの合間には、幾人ものDJの方の時間を設け(右上写真参照)、徐々に徐々にイベントの熱量を上げていきます。
イベントも後半戦へと突入し、3バンド目の ETHENIC MINORITY(左上写真参照)、そして4バンド目の EMPTY KRAFT(右上写真参照)。どちらも秀逸な盛り上げを見せていましたが、両者のパフォーマンスは全く異なるもので、その対比も面白かったです。ETHENIC MINORITY の演奏への集中力とテクニックの高さは申し分無いですし、EMPTY KRAFT のダンスも交えた、とても動きのある演奏も格好良いのです。これこそ正に Hybrid Variety な時間だったのではないでしょうか。大いに刺激を受けてしまいました。
本当に豪華な顔触れがやってきた…という感じでしたが、自分達 TRI4TH はこの日のトリを務めさせて頂く事になっていました。これは非常に光栄ですが、素晴らしいバンドの方々の後となると、プレッシャーも相当なものです(笑)。とにかく、自分達らしさを出すべく、気合いを入れていくしか無いのですが、今年1年の総まとめの1日でもあり、更には気持ちを新たにやっていきました。
1曲目には“Hop!”で手拍子を煽り、会場を1つにしていきます。そしてこの1年で取り組んできたジャズ・スタンダード曲のカバーである“Moanin'”と“Night In Tunisia”をお送りしていきました。演奏はいい感じです。攻めの姿勢もありつつ、どこか落ち着きも見せつつ、回りを見ながら演奏出来ている雰囲気を肌で感じる事が出来ました。そして、ライブならではの展開も盛り込めていたので、自分達としてもモチベーションが上がってきます。楽しいです。
今回、持ち時間は30分しか無かったので、この時点で既にライブの約半分が過ぎていた事になり、後半の3曲は全て繋げて演奏しました。順に、“TKO”、“Explosion(仮)”そしてお馴染みの“Dance 'Em All”とやっていきましたが、曲毎に変化のある盛り上げ方を表現出来たのではないかと思います。どれもがお客さんには身体を揺らしてノって貰いたい曲で、曲毎にそれぞれ個性があり、それらを自然に見せられたのではないでしょうか。こちらとしても、演奏しやすい感覚があったので、良い時間を過ごせた手応えを感じられました。
そして、こうしたイベントでは珍しいアンコールへと突入し、まずは管楽器とキーボードのみで“きよしこの夜”を1コーラスだけ演奏し、そのまま“Hammer Head”へと傾れ込みました。最近はあまり演奏する事の無いこの曲ですが、この時間はもはやパーティー感が大事です。お客さんも一緒になって、最後の楽しい時間を過ごしました。どうもありがとうございました!
こうして、TRI4TH の2014年最後のライブは無事終了となりました。イベントはまだまだ続くも、どこかホッとした感覚がありました。共演者の皆様、お疲れ様でした。
さて、今年も色々な局面を迎えた自分達でしたが、無事に演奏活動が出来ている事にまずは感謝です。そして、ライブこそ終えたものの、今年は次回CDアルバム制作に向けたプリプロ作業の予定がまだあり、まだまだ気は抜けません。また、これは来年に引き続き立ち向かっていかなければならない事でもあるのです。来年の自分達の活動にもどうぞ期待していって下さい。これからもよろしくお願い致します。ひとまず TRI4TH としての2014年を、どうもありがとうございました!
☆TRI4TH のHP…http://www.tri4th.com
☆渋谷 Under Deer のHP…http://www.under-dl.jp
☆Echo Park の(Facebookの)ページ
…https://www.facebook.com/pages/EchoPark/280390018838652?fref=nf
☆Three Primary Colors のHP…http://www.threeprimarycolors.com
☆ETHENIC MINORITY のHP…http://www.gauchedavinci.com/ethnicminority/
☆EMPTY KRAFT のHP…http://emptykraft.com
ちなみに、恭子さんは今年も29歳になりました(笑)。記憶の良い方は、ちょうど昨年の今頃にも同じ事を書いてる〔○度目の29歳バースデー祝い参照〕と思うかもしれませんが、全くその通りでございます(笑)。…故に、今年は少しだけタイトルを変更してみました。この書き方ですと、年を追う毎に数字が増えていく事になるのですが…、来年を見守りましょう。
この日も、常連の方から、突然お越し下さった方まで、結果的に沢山のお客さん方に祝って頂けた事になりました。改めまして、誕生日おめでとうございます(確か、このブログの更新日である12月10日が、正式な誕生日だったと思います)!…そして、今年最後の Pro-Amuse への出演でもあり、こちらにも感謝の気持ちで一杯です。また来年もよろしくお願いします。
来年の出演日ですが、1月19日(月)に決定しております。こちらはまた、自分の誕生日を祝って頂ける事になりました。また皆さんにお会い出来る事を楽しみにしております。…という事で、1年間どうもありがとうございました!
☆白石恭子さんのHP…http://www.geocities.jp/reikokyoko/
☆赤坂 Pro-Amuse のHP…http://www.pro-amuse.com/
今回は、JR中央本線の大月駅から路線を延ばす、富士急行大月線を取り上げます。富士急行という名前は、富士急ハイランドを初めとしたネーミングでよく聞くかもしれません…。勿論、それらは富士急行の系列施設で、「富士急」と冠された富士急グループ会社も数多くあり、観光事業が多いのが特徴です。そして鉄道は当然の事ながら運輸事業の1つとして君臨されており、バスと並んで重要事業に挙げられています。
鉄道路線は厳密には2路線あり、大月駅〜富士山駅が大月線とで、富士山駅〜河口湖駅は河口湖線と名付けられています。これらは富士山駅でスイッチバックをするものの、両線は直通運転を行っており、案内ではまとめて“富士急行線”と呼ばれます。…なので、この記事では便宜上は大月線として取り上げますが、その先の河口湖線も一緒に取り上げ、まとめて?さんぽしていきたいと思います。
富士急行は、古くから富士登山の拠点となっていた吉田(現在の富士吉田市)と、中央本線の大月駅を結ぶ路線として、富士馬車鉄道と都留馬車鉄道という、馬車鉄道を前身としています。この2路線は途中で乗り換えが必要だったようですが、この不便さを解消する為に1921年に両社が合併され、電化もされて、併用軌道での電車運転が始まりました。そして急増する乗客に対応し、1929年には新設の鉄道線に切り替えられて、現在に近い形が出来上がります(馬車鉄道以来の軌道は廃止)。そして後の1950年に、富士吉田駅(現富士山駅)〜河口湖駅が開業し、1960年には、当時の社名だった富士山麓電気鉄道が富士急行に改称され、現在に至っています。
JR(当時は国鉄)との乗り入れは1934年から始まっており、現在でも『ホリデー快速』等の臨時列車が土日中心に、通勤電車が朝夜に数本程、JR中央本線の高尾駅、新宿駅、東京駅へと乗り入れています。また、富士急行線内のみを走る特別列車も数多く運転されており、その名も『フジサン特急』や『富士登山電車』、『トーマス電車』等、種類も豊富です。
今回は、その数多くの魅力的な列車にほぼ乗る事ができ、短いながらも変化に富んだ時間を過ごす事が出来ました。2013年に富士山が世界遺産に認定され、海外からの乗客も多くなり、ますます注目されているこの地域への観光輸送として、富士急行線の今をお伝えしていきたいと思います。それでは、どうぞ御覧下さいませ!
●日時…2014年12月6日
●距離…23,6km(河口湖線…3,0km)
●駅数…16駅(河口湖線…3駅〔富士山駅を含む〕)
この日、起点の大月駅に着いたのは朝の7:00!…だいぶ早起きをしましたが、これには大きな理由がありました。それは、富士山をバックに走る電車の写真を撮るというものです。富士急行線は富士山の近くを走る路線であるが故、電車と富士山を絡められる撮影ポイントも幾つか存在しています。しかし、富士山が綺麗に臨めるのは大抵午前中の早い時間で、太陽が昇りきってしまうと雲も多くなり、午後以降には霞んでしまう事もしばしばです。つまり午前中の早い時間が勝負という事で、自宅を朝の5:00前に飛び出し、鉄道さんぽにやってきたのでした。7:00の大月駅は、空こそ明るくなってきたものの、山に囲まれている地域だけに陽が地面にまで差し込んでいなく、早朝の時間を思わせるような状況でした。
富士急行の大月駅はJR中央本線の下りホームと繋がっていて、連絡改札は通るものの、移動はスムーズです。ただし富士急行線内では Suica や PASMO の類いが使えないので、乗り換えの際には注意が必要です(2015年の春から導入予定)。富士急行のホームはJRの隣りに位置するものの、平行には並んでいなく、少し斜めに配置されているので、両線のホームの間には空間があります。ここは現在は駐車場となっているのですが(左下写真参照)、かつては貨物列車用の側線があったそうです。…さて、そちらの方向を見ていると、JR中央線のE233系の東京駅行きがJRホームに入っていきましたが、これは朝に2本だけ設定されている、富士急行の河口湖駅発、東京駅行きの直通列車です(下り列車は夜に設定)。富士急行線内は4両編成で走り、大月駅(JR線への直通列車は、JR側のホームに発着)で6両編成を連結し、当駅からは10両編成で走ります。
そんな東京駅行きを見送りつつ、自分は富士急行線内へと入ります。車両は、元JR山手線を走っていた6000系(旧205系)で、JR九州でもお馴染み、水戸岡鋭治氏によりデザインされた車両になります。床や吊り革等に木製のものを使っているのが特徴で、この車両の隣りに停車していた『フジサン特急』8000系(右上写真参照)を含め、富士急の車両は本当に個性的になってきましたね。
ひとまず、この列車で三つ峠駅まで行きます。例の、富士山とのポイントがある場所の最寄り駅だからです。この後、再度大月駅まで戻ろうと思っていますが、以前取り上げたJR御殿場線〔鉄道さんぽ 13.(JR東海、御殿場線編)参照〕と同じような手法になっていますね。こちらも富士山との写真を収める理由によるものだったので、やはり富士山というのは人を惹き付ける何かがあるようです。
富士急行線の沿線はほぼ上り坂で、これは大月駅の標高が358mに対し、終点の河口湖駅の標高が857mな事からも頷けます。この三つ峠駅の付近でも上り坂は続いており、次の寿駅までの約3kmの区間で、約100mも高度を上げます。富士山とのポイントは、この駅間の丁度中間ぐらいに位置しており、徒歩でのアクセスが可能ですが、やはり気温は寒いです。この日の朝はマイナス2℃くらいになっていたようですが、それでも太陽が昇って日差しを浴びられるようになると、少し暖かみを感じてきたので、改めて太陽の偉大さを感じたものでした。…そして、富士山とのポイントに着きました。
こちらです!…流石は有名ポイントです。雲ひとつ無い好天で、役者も揃って素晴らしい景観を作り出してくれました!…左上写真の電車は、元京王電鉄の1000形(旧5000系)で、旧富士急塗装だったところがまた良かったです。右上写真の電車は、JR中央本線から乗り入れてきたJR115系で、旧国鉄塗装でもあり、そもそもこの車両自体が貴重なので、それも含めて良い写真を撮れたと思いました。しかも後で気付いたのですが、中央本線の115系のこの塗装の車両は、この日の運転が最後だったとの事…。ギリギリでしたが、こうした写真を撮る事が出来ると、苦手な早起きをした甲斐があったと思いますね。これだから、鉄道さんぽは続けたくなるのです(笑)。
この辺りは線路の周りが開けた場所でもあり、例え富士山が見えない角度でも、列車の編成を綺麗に収める事が出来る状況を作り出してくれます。そして列車の種類がバラエティに富んでいる事もあり、それが有名ポイントと言われる所以でもありましょう。特に土休日を中心に、右上写真の『ホリデー快速富士山』号等、JRからの臨時列車も多く運転されているので、それを狙いに来る人も多いようです。ちなみに右下写真は、2002年から走っている『フジサン特急』2000形電車です。前述の8000系もそうですが、車両に富士山を模したキャラクターが沢山描かれているのが分かりますでしょうか。フジサンキャラと呼ばれるこのキャラクターは1つ1つが異なり、その種類なんと全101種!…名前もそれぞれに付けられており、フジサンくんやフジ3兄弟に始まり、エコフジ、フジガハハ、エベレストフジ、FUZZY 等々、挙げればキリが無いですが(笑)、調べてみると何となく面白いかもしれません。尚、2000形はそろそろ引退が近付いています。
この日も、自分の他にカメラを抱えた方々が5、6人くらい、付近を移動しながら富士急行線の撮影を楽しんでられたようです。予想ではもっと沢山いるかなとも思ったのですが、この撮影日の前の月の11月まで走っていた列車もあったので、12月になって少し減ったのかもしれません。しかし、前述のようにJR115系はこの日が運転最終日だった事を考えると、やはり情報は頻繁に収集していかないと…とも思いますね。
さて、自分もバラエティに富む列車を撮る事が出来たので、いったん大月駅に戻りたいと思います。ここで選んだ列車が、富士急行線内を走るコンセプト電車『富士登山電車』で、乗車券の他に、着席券200円が必要になりますが、こちらも水戸岡デザインの本領が発揮された、正に乗って楽しい造りとなっています。
列車は2両編成で1両毎にデザインが異なり、それぞれ“赤富士”と“青富士”と呼ばれています。着席券なので車内は自由席ですが、せっかくなので1つの席に留まらず、この車両の“仕掛け”を沢山体験したいものです。ソファや展望席じゃ勿論、ライブラリーやカウンターの設置までされていて、この短い乗車時間で全てを堪能するのはむしろ大変かもしれません…。また、車内では様々なオリジナル・グッズも発売され、旅気分をより高めます。以前、JR九州の三角線を取り上げた事がありましたが〔鉄道さんぽ 15.JR九州、三角線編参照〕、その時に乗車した特急『A列車で行こう』号を思い出されたものでした(こちらも同じく水戸岡氏によってデザインされた列車です)。
車内では沿線案内のアナウンスも所々に組み入れられ、大月駅までの行程は本当にあっという間でした。そして改めて車両の塗装を見てみると、こちらも特徴的に思えます。どうやら、富士急行の開業時に走っていたモ1号という車両の“さび朱色”を再現しているのだとか。流石、抜かりがないですね!
さて、大月駅に戻りまして、また改めてこの路線を“さんぽ”していきましょう。この時点でまだ時刻は11:00頃…。やはり早起きした甲斐はあったのです!…改めて終点の河口湖駅を目指しまして、普通列車で出発です。
ここからは細かく途中下車していきますが、まずは禾生(かせい)駅にて、付近を流れる桂川を渡るポイントを抑えます。左上写真の奥に見えている高架橋はリニア実験線で、これがいずれリニア方式で走る中央新幹線として完成するのかもしれません。そこと見比べると、富士急行はいかにものんびり…といった風情で走っていますが、こちらはこちらのペースがあります。それが良いのだと思います。
禾生駅に戻って、今度乗ったのは『トーマスランド』号という仕様になった車両でした。これは富士急行に1編成だけ存在する5000形という車両で、その登場は1975年と少し古いのですが、地方私鉄としては意欲的な冷房付き自社発注新造車という事が評価され、翌年には鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。1編成のみの存在という事と、他の車両と連結する事が出来なく、運用も限定されている事から、富士急ハイランドのイベントに合わせて塗装が変更される事が多く、現在の仕様には2007年から、車内も含めて“きかんしゃトーマス”をあしらったものとなりました。普通列車として運行され、こちらは乗車券のみで利用出来るので、出くわしたらラッキー…という感じでしょう。
そしてルート的には前後してしまいますが、この列車で東桂駅まで乗り、そこから大月駅方面に2駅戻るという行程を取りたいと思います。東桂駅付近は、それまでの緩い上り坂から、急な上り坂に差し掛かってくる付近でもあり、当駅から河口湖駅方面の線路を見てみると、駅構内を出てからすぐに上り坂に差し掛かる様子がよく分かります(右上写真参照)。
ここから十日市場駅、都留文科大学前駅と、2駅分“さんぽ”したいと思います。大月駅方面に戻る形となるので下り坂となり、歩いている分には幾分楽かと思われます(笑)。この辺りも坂が続いていますが、意外と住宅が多く、辺りが開けている…という感じではありません。しかしこの狭さが、地元と密に繋がっている富士急行らしくて、こういった区間でも好きであったりはします。
十日市場駅付近では再度桂川を渡り、車内からはその眼下に蒼竜峡の渓谷美が一瞬見渡せるのですが、それを外から撮ろうと思うと、現在では左上写真のように建設中の橋脚が邪魔をして、うまく列車を臨める事が出来ません。それでも背伸び(笑)やカメラのズームを駆使し、なんとか右上写真のような光景を撮る事に成功しました。一応、左上写真にもギリギリですが鉄道橋が写っているのが確認出来るでしょうか…。どちらもほぼ同じ立ち位置から撮っていますが、努力次第でここまでになるのです。まあ、自己満足ではありますけど(笑)。
さて、都留文科大学前駅までやってきました。都留文科大学の最寄り駅であり、2004年に開設された、比較的新しい駅です。行き違い設備はなく、単式1面1線のホームを持つだけの駅ですが、駅舎は立派で、『フジサン特急』停車駅でもあります。駅前は整備され、辺りは都留市西郊の住宅地や商業施設が多く見られます。
ここからは『フジサン特急』で、一気に終点の河口湖駅まで目指してしまいましょう。乗車券の他に特急券が必要ですが、途中駅の都留文科大学前駅からですと、プラス150円で乗れてしまいます(他の区間は300円)。また、1号車は展望室付きの車両となっており、この車両に乗るには着席整理券100円を別途払わなければいけませんが、自分は迷わずこの車両を選びました(笑)。定員制という事で、席は指定されていませんが、色々と席を移動出来るこのタイプの方が、この列車には合っているようにも感じました。
今回乗ったこの2000形という車両は、元国鉄➡JR東日本の165系という車両でして、ジョイフルトレイン『パノラマエクスプレスアルプス』に改造されていた車両です。1987年に登場し、2001年に廃車(そして富士急行に売却)されるまで、JR中央線を中心に運行されていました。実はこの列車は、自分が小学生の時に乗った事があり(確か、新宿駅から甲府駅まで乗ったと記憶しています)、自分も非常に好きな車両の1つでした。引退は残念でしたが、『フジサン特急』として生まれ変わり、こうして再度乗れる事になるというのも何かの縁なのかもしれません。内装はわりと以前のままを留めており、そもそもがグリーン車として運転されていただけに、通路から1段高い所に座席が設置、そしてそのシート間隔も広めと、往年の時代を思わせるような車内の雰囲気を漂わせていました。富士急行でも近々引退になるとの事で、今回が最後の乗車となった事でしょう…。先程通った東桂駅付近や三つ峠駅から臨めた富士山もまた格別でした。
途中の富士山駅でスイッチバックをして河口湖線に入り、少しして終点の河口湖駅に到着しました。『フジサン特急』の前で記念写真を撮る外国人観光客もチラホラいまして、改めて注目の高さが伺えます。河口湖駅では多くの臨時列車を受け入れられるように、駅構内には多くの留置線が設置されているようです。2006年に完成した新駅舎は(左下写真参照)、正に観光の拠点にピッタリの雰囲気で、ここから出発する観光バスも多く、駅前は広めにとられている感じがしました。
駅前には前述のモ1号も保存されていました(右上写真参照)。この時、富士山は少々雲に隠れていて、その全容を見る事は出来なかったのですが、富士山をバックにし、スイスをイメージした駅…と、関東の駅百選にも選定(これは新駅舎が出来る前からです)されています。
さて、河口湖駅は終点ですが、もう少し“さんぽ”を続けるとしましょう。ひとまず1駅戻り、富士急ハイランド駅へと向かいます。駅前はもう富士急ハイランドの入口という環境の駅です。開業時は“ハイランド”という駅名で、カタカナ表記のみの駅名としては日本初のものでもありました。駅舎は富士急ハイランドの施設と一体化していて、チケットの窓口も設置されてはいるのですが、年間約200万人もの来場数を誇る富士急ハイランドと比較して、この駅を利用する乗客は少なめです。この日の当然の事ながら閑散としていました。
この駅からは更に3駅分戻り、下吉田駅まで“さんぽ”してみます。3駅分というと随分な距離と思うかもしれませんが、間にある富士山駅がスイッチバックの駅となっている性質上、ここからの徒歩ルートは、線路のルートよりだいぶショートカットが出来るので、距離にすれば2km程の“さんぽ”になると思われます(実際の線路のルートは約4km)。
そして、途中には富士山が臨める撮影ポイントもあります。月江寺駅〜下吉田駅の区間が上の写真になります。河口湖駅で見た富士山は半分以上雲が掛かっていましたが、それも少し薄らいできているようで、先程より裾野が多く臨める状態でもありました。…とは言え、雄大な姿には変わりありません。住宅も建て込んでいる地域ですが、何だか絵になる風景です…。富士山も長い間、この富士急行沿線を見守り続けているわけですね。
そうして下吉田駅に着きました。見て分かる人がいたら流石ですが、この駅舎は先程から何度も登場している、水戸岡氏によってデザインされたもので、2009年に建てられました。車両のデザインだけではなく、鉄道施設も取り込んでのトータルデザインという手法が感じられるというものです。この建物内には、カフェも併設されています。
また、何と言っても特筆されるのが、2011年から“下吉田ブルートレインテラス”という施設が登場して、JRのスハネフ14形寝台客車の保存・展示がされるようになった事でしょう。しかもそのヘッドマークを見てみると『富士』となっていました。これには脱帽でした。実際は寝台特急『北陸』に使われていたもので、寝台特急『富士』には使われた事は無いそうですが、実際に使用されていた車両とほぼ同等のもので、大きな改造や塗装変更も行われていたいので、当時の姿が極力再現されているものと言えそうです。車内も土休日のみ開放されており、普通に寝台に座ったり、横になる事も出来てしまいます。自分はこの駅でこんな施設がある事を知らなかったので、駅に着いていきなり目に飛び込んできて、そして車内も入れた事に、本当に驚きました。実に鉄道ファンの心をくすぐる仕掛けが多いですね、富士急行は…(笑)。
さて、富士急行の“さんぽ”も佳境です。再び河口湖駅方面への列車に乗り、2駅進んで、富士急行の中枢とも言える駅、富士山駅に到着です。スイッチバック式の駅なので、ここが終点みたいな雰囲気ですが、あくまでここは大月線と河口湖線の境界駅というだけです。元々は富士吉田という駅名でしたが、2011年に現在の富士山駅に改称しました。同時に、駅舎も水戸岡氏によってリニューアルされ、右上写真のように入口に鳥居が設置される外観となりました。駅ビルはキュースタと呼ばれ、6階建ての立派な建物となっています。正に富士登山の拠点と言える駅でもありましょう。
…そして、この富士山駅への到着をもって、富士急行の“鉄道さんぽ”もほぼ終了です。あとは新宿駅へ直通する『ホリデー快速富士山』号に乗れば、そのまま帰路となるわけです。あんなに雲掛かっていた富士山も、この時には再度全容を見せてくれました。良い見送りの景色になったのではないでしょうか(笑)。
今回は路線を行ったり戻ったりと、かなり複雑な経路での“さんぽ”となりましたが、それは如何に効率良く、殆どの車両を写真に収められるか…と考えた結果でした。列車の本数もそんなに多くないので、色々な車両を見たり乗ったりするには、ある程度の工夫が必要なのです。富士急行線内は、“富士急行遊園地線”と言いたくなる程、バラエティに富んで、面白い仕掛けが沢山ある路線なのですから…。
そして、どうしても帰りの列車を『ホリデー快速富士山』号にしたかったのでした。この列車は普段は特急『あずさ』カラーの189系が使われますが、1編成のみの存在で車両検査の関係からか、この日は旧国鉄色の189系が使用されていました。これに乗れただけでも価値があるというものです。元々特急型の車両なので居心地も良いですし、それでいて快速列車なので乗車券だけで乗れてしまうのです。そして、新宿駅まで直通というのが良いですね。朝早く起きた疲れを一気にこの列車で取り戻した感じがありました(ほぼ眠っていたという事ですが…笑)。
珍しく、事前に列車の乗車の予定を厳密に決め、そして全て順調にそれを実行出来た1日になりました。たまにはこんな計画性のある“さんぽ”も良いですね。ひと味違う達成感が得られたものでした♪
☆富士急行のHP…http://www.fujikyu.co.jp/index.php
ちなみに、広島では2回の公演がありましたが、その間には1度倉吉に出向き、また再度広島に戻ってくるという行程をとっております(笑)。しかも、忙しさは集中するもので、この日程直後にレコーディングの仕事が入っており(それこそ、以前に紹介したバイオリンの金原さんのアルバムでした〔CD『Sunaga t experience DIGS CHIEKO KINBARA JAZZ REMIXIES』に参加!参照〕)、そのプリプロを日程に組み込むという、正に TRI4TH 史に残るハードなツアーが形成されていたのでした。
流石に1年以上も経つと、記憶が曖昧になってきますが、数々の写真を見返すと、やはり思い出されますね(笑)。ハードなツアーであったものの、ツアー・ファイナルというゴールはまだまだ先〔CD『Five Color Elements』ツアー・ファイナル・ライブ!参照〕でしたので、とにかく1つ1つのライブを着実にこなしていこうという意志を信じてやっていく感じでした。多くの方と出会い、大きい経験を得られた特大ツアー…。恐らく長い記事になると思いますが(笑)、マイペースに更新していけたらと思います。どうぞよろしくお願いします!
11月3日(1日目)
まだまだ心に余裕があった(笑)ツアー1日目。この日は名古屋でのライブで、TRI4TH としては2度目の出演となる、栄の Doxy にて行われました。いつものように藤田氏の車に乗るべく皆で集合し、朝9:00に東京を出発。いつものようにメンバー内(ただし、織田君は除く)で運転を交代して、無事にお店に15:30頃に到着しました。
Doxy はグランドピアノが置いてあり、雰囲気も良く、自分達のサウンドを聴かせるには最適なお店だと思います。今回のツアーは、アルバム発売に即したものとなっていますが、この1週間程前にプレ・リリース・ライブ〔CD『Five Color Elements』pre-Release Party!参照〕を行ってをおり、少し熟したライブを披露する事が出来るのではないかと思いました。リハーサルもバッチリ行い、いよいよ楽しみだった本番を迎えました。
ライブは“Session A”から始まりました。実際、CDの1曲目に入っている曲で、この次に演奏した曲“Volare Via”(CDの2曲目でもあります)と共に、今回のライブの恒例の始まりとなる予感をさせてくれます。また、その後には4ビートのリズムの“Night Hawks”も組み込み、ジャズのお店らしい雰囲気を作っていく事も忘れません。ここにも、TRI4TH 流のジャズライブがあるように思います。
その中でも特徴的だったのは、織田君作曲の“Home”を初めて演奏した事でしょう。この曲は珍しくピアノトリオ編成となっており、全2ステージとなっていたこの日のライブの良い変化をもたらせてくれました。実際のところ、演奏は緊張の連続ではありましたが…(笑)。
名古屋の音楽大学に通っていた、織田君とタカオさんのトークも貴重です。恐らく今回のお客さんの中には、この2人と縁がある方も多い事でしょう…。そしてその機会があって、自分達が名古屋でワンマンライブを出来る事にも感謝しなければなりませんね。
Doxy は着席のお店ですが、後半はお客さんを立たせて、更なる盛り上がりへと繋げていきましょう!…以前から恒例の藤田氏の握手回り?もあり、織田君のハイジャンプ?もあり(笑)、これも含めて TRI4TH 流…なのかもしれませんが(笑)、とにかくお客さんと一緒に熱い時間を過ごす事が出来ました。また、注意して見て貰えれば分かりますが、このツアーの為に制作した TRI4TH Tシャツを着用してライブをしているのにも注目です。CDと共に、多くの方に御購入頂けて有り難かったです。
こうして、ツアー1日目として、無事に幕を開ける事が出来ました。やはり名古屋でのライブは皆さん温かく迎えてくれます。こちらとしても、ツアー公演場所として名古屋は絶対に外せないという気持ちも強かったので、こうした機会が出来て嬉しい限りです。その日の打ち上げ時でのビールは特に美味しく感じられたものでした。…しかし休む間も無く、次の日には広島での公演が控えているのです。なかなか遠い道のりですが、これはこの後に続くタイトなスケジュールの序章に過ぎなかったのでした。まだまだ安心して眠れていた時期でもありました(笑)。
まだまだ続きます!
こちらです!
自宅にあるとは思えない程の充実っぷり!…マイク、ケーブル類は勿論、キーボードもこの為に新調し、まだ調律はしていないようですが。アップライトピアノもあります。写真には写っていませんが、ドラムもありますし、ベースは当然の事ながら沢山(笑)ありますし、これは堂々と“スタジオ”と呼べる造りだと思います。
…とは言え、このスタジオでは初のバンド編成でのプリプロとなったので、作業を実際に始めようとすると、まだまだ手探りの状態が続きます…。また、「こんなのあったら便利リスト」も書き出していて、更なる充実を目指していきます。
そんな試行錯誤が続き、メンバーがスタジオに集まってから、ちゃんとした録音に至るまで、実に2時間半以上が経過してしまいました(笑)。やはり、何事も“初めて”…というのは大変な事なのですね。今後にフィードバックさせて、より良い録音環境を目指していきたいものです。しかし今回のプリプロで、スタジオ内での過ごし方に、また異なった方向性の課題が見えてきました。それは、、、
ソファが心地良過ぎる!
…という事です(笑)。プリプロを5時間ぐらい続けた後の、ソファに座った時の夢見心地の良さと言ったら、、、眠気との戦いになってしまいます(笑)。こういして新たな課題を見付けた我々は、更なるサウンドを追求すべく、プリプロを続けていくのです!
☆TRI4TH のHP…http://www.tri4th.com
それは、出演メンバー全員でキャップを被ってステージに上がり(右上写真参照)…ではなく(間違いでは無いですが…笑)、アナログシンセを使ってステージに臨んだ事でした。アナログシンセサイザーは、左上写真の右上に写っているキーボードですが、トシさんにこれをお借りしまして、既存のエレピと併用して演奏していったのでした。
そもそも、2台同時にキーボードを使って演奏するのは自分にとっては珍しく、あるとしてもポップス系の曲が殆どで、専らストリングスやブラス等の音色を使って演奏する事が多かったと思います。故に、今回のようにインストバンドで、そしてアナログシンセの音色を駆使して曲のメインのメロディを奏でる…というのは、ほぼ初めての経験に等しかったように思います。
見た目はエレピとそう変わらないですし、鍵盤楽器なので生ピアノと同じじゃないかと思われるかもしれませんが、自分にとっては全く異なる楽器で、弾き方も違いますし、何より弾いた時に感じる音の理解がまだ自分には経験が足りていません…。しかし、トシさん自身のオリジナル曲を作った時には、もう既に頭の中にはその音色が鳴っていたらしく、音色も選んで貰った事もあり、今回頑張って挑戦してみたのでした…。新曲自体は少なかったものの、アナログシンセを使ってメロディを弾くのは、これまでに無く新鮮で、またゼロから曲に立ち向かっていくようなものでした。特に Nautilus のステージは、基本的に曲と曲を繋げて、ぶっ通しで1ステージ行うスタイルを取っており、音の切り替えも迅速に行わなければなりません。また、細かいですが、ただ音色を変えるだけでなく、鍵盤数の少ないこの楽器では、オクターブの調整も考慮しなければならず、更に音色によって音量の強さもマチマチだったので、それも音色切り替えと同時に調整しなければならず、、、…普段意識していない部分をライブに導入するというのは、なかなか大変な事なのでした。
それでも、やはり曲として演奏すると、サウンド面で大きな変化が起こっている事に気付かされます。まだ精一杯な状況だとは思いますが、これで Nautilus のサウンドが、より完成に近付いたという事もあり、それは大変喜ばしい事でもあったのでした。
また、今回はゲストとして、ボーカルの市川愛さんにも1曲だけ歌って頂きました。こちらはカバー曲ではありましたが、スザンヌ・ベガの Tom's Diner という曲で、Nautilus アレンジで演奏していきました。こちらもアナログシンセを併用しつつ、市川さんもその場の雰囲気で自由に歌って貰って、面白い空間が作り出せたのではないかと思います。1曲だけではありますが、確かな軌跡が残せました。
このように、今回は初物尽くしだった Nautilus ライブ…。しかし、それはある意味で、今年の集大成とも言えるライブを思わせるもので、言わば完成系とも言えるライブを披露出来たようにも思います。それはサウンド面でも明白で、ようやく1つのゴールを迎えられたような手応えは感じられました。勿論、音色だけの変化ではなく、メンバーそれぞれの音に対する取り組み方、そして一体感も、この半年でだいぶスキルアップしたように思うのです。バンドらしいライブの1日だった…とも言えるかもしれません。
今年の5月から駆け抜けてきた Nautilus ですが、ひとまずは年内のライブは今回で全て無事に終える事が出来ました。次回のライブはまだ決まっていませんが、トシさん的に、音源制作に入りたいという気持ちもあり、また詳細が決まったらお知らせさせて頂きたいと思います。色々と変化のある期間を経験させて頂きました。どうもお疲れ様でした。そして、来年以降もまたよろしくお願いします!
☆佐々木俊之さんのブログ…http://toshi-sasaki.seesaa.net
☆外苑前 Z・imagine のHP…http://www.radio-zipangu.com/zimagine/
今回のツアーでは唯一の東京公演となるので、自分自身も楽しみにしていましたが、この日は個人的に、かなりバタバタしたスタートとなってしまいました。自分はこのライブ前に別の場所で結婚披露宴演奏を行っており、それを終えてから No Bird に向かうという状況上、リハーサルが出来ない事は分かっていたのですが、その披露宴の時間が結構押しまして、本来ならば19:00スタートだったところが、19:09現地着(笑)。この時点で厳密には間に合って無いのですが、着いて直ぐさま、19:10(!)にはスタートさせた運びになりました。現地に向かうタクシーの車内で、今回のセットリストと譜面の並び替えは終わらせ、すぐにでもステージに向かえるようにはしていましたが、本当にその状況の通りとなりました(笑)。
…とは言え、そのバタバタ感が、却って自分の集中力を高めていたのかもしれません。勿論、これまでのツアーで養ってきた部分も大きいとは思いますが、いつも以上に周りの音が聴こえ、いつも以上に頭に浮かんだ事がそのまま音に出来たという感覚がありました(ちなみに、左上写真は1ステージ目を終えた直後のものです)。ツアーによって、黒船の曲が身体に入ってはきているものの、それをアウトプット出来なければ意味が無いので、それが良いバランスで今回は作用したのかもしれません。緊張感はありましたが、精神的には楽しい時間でした。
そして、ライブも白熱していました。音環境が良いのも大きいと思います。ツアーで培ってきたステージングを、更に良いものにしていこうという想いがメンバー全員にあり、これは演奏面だけではなく、MCや間合い等もそうなのかもしれません。あまり意識はしていないとは思いますが、自然にそういった流れにしているように感じられたライブでした。
今回、特に新曲があったわけではありませんが、曲順を今までに無かったような順番にしてみたりする事で、また違った雰囲気で臨む事が出来ました。黒船のライブでの魅力の側面が色々と垣間見れたりして、興味深かったです。
今回も多くのお客さんに囲まれて、ライブを開催する事が出来ました。そして、いよいよ次のライブがツアー・ファイナルとなります。御存知の通り、ついに里アンナさんの故郷、奄美での公演が執り行われます!…少し日が空くので、新曲等も盛り込んで、次のステップの黒船の存在を見せていきたいところですね。こちらも本当に楽しみです。皆様、是非ともよろしくお願いします!…そして、今回もありがとうございました。
●黒船、奄美ツアー
・12月13日(土)名瀬(奄美大島)ASIVI
1st.:Open…18:30〜、Start…19:00〜、
2nd:Open…21:00〜、Start…21:30〜、
Charge(入れ替え制):1ステージ…2500円、通し券…3800円(共にドリンク別)
※メンバー全て《黒船》(B)関谷友貴、(Vo)里アンナ、(津軽三味線)白藤ひかり、
(Pf)竹内大輔、(Ds)佐々木俊之
☆黒船のHP…http://www.peaceofcake.net/kurofune/
☆銀座 No Bird のHP…http://www.no-bird.com
場所は久し振りの吉祥寺 Strings。広いお店ではありませんが、その分、お客さんとの距離は近く、アットホームな雰囲気が心地良いお店です。ここにビブラフォンを置くと、流石に自分達のステージの広さも限られてしまいますが(笑)、お客さんとの距離も近ければ、演奏者同士の距離も近いという、何となく一体感も出しやすい環境は良いのではないかと思います。
自分にとっては、牧山さんも宅間君も初共演で、逆に関谷君とは何度も共演している仲(特に最近は…笑)という事で、どんなライブになるかドキドキしていたものでしたが(笑)、皆で攻めの姿勢で、楽しく演奏出来たのではないかと思います。曲は、牧山さんのオリジナル曲あり、それぞれの持ち寄りの曲ありで、いわゆるジャズ・スタンダードだけに留まらず、バラエティな曲調をもったステージが展開されていきました。
…とは言え、ちゃんとした打ち合わせは…というと、この日お店に入ってから、本番までの間の約2時間。つまり、初めて音を合わせて、2時間後にはもう本番…という事です。勿論、これは敢えてやっているのですが、その分、誰もが新鮮な気持ちで演奏に打ち込めると言いますか、1つ1つの音に反応して、皆で即興で楽曲をしていく面白さを分かち合っていく…という感じでしょうか。その事が非常に楽しく思えた1日になりました。
牧山さんのオリジナル曲もとても格好良く、また一緒にやれたらと思います。ビブラフォンとの共演も、個人的には最近はなかなか無かったので、こちらも新鮮な気持ちで打ち込む事が出来ました。どうもありがとうございました。またよろしくお願いします!
☆牧山純子さんのHP…http://www.junkomakiyama.com
☆吉祥寺 Strings のHP…http://www.jazz-strings.com

5月16日(木)