その後、ちょうど1週間後の9月14日に大阪で、更に1週間後の21日に東京で、それぞれワンマンライブを行うという、かなり攻めたスケジュールだと今でも思うくらいですが(笑)、ここで当時のメンバーだった津軽三味線奏者のはなわちえさんが黒船を卒業となり、黒船はCDアルバムの製作期間に入るのは御承知の通りだと思います。
ここでは、関谷君曰く“黒船第1期”という、2013年9月の大阪と東京で行われたライブを取り上げ、1年前の自分達を見ていきたいと思います。ボーカルの里アンナさんはスケジュールの関係で、この時は大阪公演のみの参加となっていましたが、そんな事情からか、当時のライブのフライヤーには“KUROFUNE Feat. Anna Sato”となっていたのが今では驚かされます…。
実際、この時はアンナさんが参加する曲もステージ全体の半分くらいだったので、まだまだ黒船はインストバンドの側面が強い時代でもあったのでしょう。現在から考えると不思議に思うくらいですが(笑)、そんな部分も含めて、時計の針を1年前に戻してみたいと思います!
9月14日(大阪1日目)
自分、関谷君、ドラムの佐々木俊之さん、はなわちえさん、里アンナさんの5人が新大阪駅に着いたのは14:00過ぎくらいだったでしょうか。黒船名義としてライブをやり始めて、2回目のライブがまさか大阪でのワンマンライブとは思いもしない状況でしたが、実際こうして大阪という地に降り立つと、改めて気が引き締まる思いがしたものです。今回のライブ会場は大阪梅田の Mister. Kelly's というお店で、ジャズのライブハウスとして、数々の演奏者が出演しているところでもあり、やはり黒船はジャズバンドとしての意識も強かったのだと思います。大阪は関谷君の故郷でもあり、その部分でも大事な1日にしたいところではありました。
…こう書くと、さざかし緊張感気味な空気感に…と思うかもしれませんが、メンバー一同は皆リラックスした表情でリハーサルを迎え、そして本番までの時間もゆったりと過ごしていたと思います。むしろ驚いたのは、今回は撮影班も呼んでおり、なんと3台ものカメラが客席に設置されていたという事でした。黒船の期待の多さを感じさせるものでもあると言えます。勿論、その間も自分達は、食事やお酒等を頂き(笑)、本番にベストな状況で出向いていくのでした。
今回はワンマンライブ。2ステージたっぷりとお届けする事が出来ます。1回目のライブは対バンライブだったので、1ステージのみの40分程の演奏しか出来ませんでしたが、今回はその倍以上の時間はあったとみて良く、インストの割合も多く、ジャズライブらしい瞬間も垣間見させられたと言って良いでしょう。そもそも黒船は、関谷君主催のセッションライブ〔関谷友貴の Live ソムリエ bottle.5!参照〕で集まったメンバー達から生まれたものでもあり、そのルーツを探る上でも、インスト演奏も欠かせない側面だったのだと思います。
…とは言え、黒船のサウンドの側面は、この時点でも沢山のものが挙げられました。まずは、やはりジャズという部分で、スタンダードの名曲から、関谷君のオリジナル曲等、即興感を大切に演奏を積み上げていくものです。そして、津軽三味線という楽器の側面です。はなわちえさんによる“津軽じょんがら節”の独奏にも見られるように、確かなテクニックと、津軽三味線を通した熱き表現力は、黒船のサウンドを強く特徴付ける部分でもあると言えます。そして、里アンナさんの島唄という側面でしょう。この時は、まだ“豊年節”ぐらいしか奄美島唄の曲は取り上げていませんでしたが、独特の歌い方と自分達の演奏を合わせる事で、更にオリジナル性の強い音楽が生まれてきているのです。歌入りの曲として、レディー・ガガの“Bad Romance”や、関谷君のオリジナル曲の“A Night In Bali”にアンナさんの歌声を乗せて…という手法もやってみましたが、特に後者は、歌を“Voice”として曲に加えていく…という、現在の黒船にも受け継がれているやり方でもあり、この時から自分達は“挑戦”をしていたのかもしれません。確かに手探りな状況ではあったものの、お客さんには好評に迎えられており、大きな遣り甲斐も感じたものでした。
…むしろ、関谷君の地元の友達らしき方々から、関谷君のMCの空回りっぷりを指摘されていたのが、自分にとっては逆に面白い状況でした(笑)。本来、関谷君にとってはホームのこの場所では、お客さんからは温かい声が沸き起こる筈なのですが、そこは敢えてストレートに言われた感じだったのでしょうか(笑)。…とは言え、今まであまり見た事の無い編成、そして音楽のライブは、大きなインパクトを持って迎えられたようです。MCの内容はさておき(笑)、確かな爪痕を残せた感じでした。黒船の2回目のライブとしても、大きな成果を得られた時間だったと思います!
このようなライブをやり終えた後は、ビールが大変美味しく感じられます(笑)。このお店での乾杯は勿論、場所を移動しての打ち上げも遅くまで盛り上がったものでした。大阪でのライブはこの日の1本だけだったので、次の日には東京に帰ってしまう状況だっただけに(アンナさんのみ、レ・ミゼラブルの大阪公演の為に、この後も暫く大阪に留まっていました)、より大事な時間だったという意識が強かったのかもしれませんね。
9月15日(大阪2日目)
そして、東京に戻る日程のツアー2日目…。帰りの新幹線はお昼過ぎくらい出発の予定だったので、皆でお昼ご飯を食べてから(…確か、更にその後に別のお店のカフェで一休みした気がします…笑)向かう事にしました。ここで寄ったのが、シンガポール料理のお店だったのですが、これがまた正解な選択で、またひと盛り上がりしてしまいました(笑)。
写真を見返すと、何だか過半数が飲んでるか食べてるか…という感じですが、実際にそんな雰囲気ではありました…(笑)。そこから生まれてくるサウンドというのも、また黒船を特徴付けるものと言えるのかもしれません。そして、この1週間後の東京でのライブ、はなわちえさんの黒船卒業ライブへと繋がっていくのです。
9月21日(東京1日目)
大阪ライブを終えてから1週間後のこの日は、ライブDVD『Mariage』のレコ発ライブであると共に、ツアーの千秋楽でもあり、且つ、はなわちえさんの黒船卒業ライブでもありました。色々とイベントが盛り沢山で(笑)、何から説明して良いのか分からなくなりますが、とにかくこの日は、メンバーが皆、はち切れるような演奏を披露していたと思います。様々な状況が交錯しており、どこか吹っ切れていた部分もあったのでしょうか…。その事が良い方向に持っていけたライブになったのだと思いました。
場所は渋谷の Last Waltz にてで、ここが前述した、黒船結成の切っ掛けを作った場所でもあるわけです。もしかしたら、そういった状況こそ、先程の吹っ切れた部分に寄与していたのかもしれません…。あれから既に半年以上の月日が流れていますが、バンド結成に至る流れになるとは思ってもいませんでした。当時のセッションの楽しさを思い出しつつ、更なる展開を呼び起こしたいものです。
自分達とやるライブでは珍しく、はなわちえさんは和装で登場。…の割りには自分達は至って普通の格好でしたが(笑)、逆に津軽三味線奏者としての華を感じられる状況にもなりました。今回はレコ発ライブでもあるので、『Mariage』の中に収録されている曲を中心とし、当然ながら全てインストで、2ステージたっぷりとお届けしました。
そして良かったのが、今回は勿論、津軽三味線をフィーチャリングしたライブという方向性ではあったものの、4人の出演メンバー誰もがここでは主役であり、対等の関係でいられたライブになっていたという事でしょう…。これこそリーダーの関谷君が目指していたライブでもあり、その事をメンバー皆が理解し、ステージを展開していき、そして楽しさを共有出来たというのが今回のライブの凄さに繋がったのかもしれません。暫く、この4人で演奏する機会は無いかもしれませんが、思い残す事無く弾き切れたように思いました。どうもお疲れ様でした!
これにて、黒船第1期(繰り返し言いますが、あくまで関谷君、談…です)は幕をひとまず閉じる事になりました。この2013年9月という時期は、黒船にとっても一気に駆け抜けた感じになりましたが、この後はいよいよ“2期”?が始まるわけです…。これまでに経験した事を踏まえて、より良い流れに持っていく決心を付けられたのが、正にこの日だったとも言えるのではないでしょうか。
…これ以降の流れは、里アンナさんの正式メンバー加入、新メンバーである白藤ひかりさんの加入、そしてレコーディング、1st.CD『CROSSOVER』の発売…と、皆さんも御存知の部分も多いでしょう。今でこそ表現出来る黒船のスタイルはありますが、サウンドのルーツと言うと、やはりこの辺りの時期にあったのではないかと思ったりもします。大事な大事な1ヶ月を過ごせたのかな…と思えたツアーでもありました。
☆関谷友貴君のHP…http://www.peaceofcake.net
☆はなわちえさんのHP…http://www.chiehanawa.munique.co.jp
☆梅田 Mister Kelly's のHP…http://www.misterkellys.co.jp
☆渋谷 Last Waltz のHP…http://lastwaltz.info
渋谷 Last Waltzのライブに参加できましたが、最初のきっかけに
なったメンバーでは最後、ということで大事に聴きました。この編
成も独特の迫力がありました…。
客席の一角で、後からいらしたお客様ととても楽しく過ごせた日だ
ったことを思い出します。
ものではありませんが(笑)、時期が経っている
からこそ書けるものもあるような気はしますね。
特に、この1年で変化の多かった黒船に関しては
尚更だと思います。…とは言え、未完の記事は
早いところ書き上げないと…ですよね(笑)。