普段のレコーディングで録られた音というのは、それをCDに“劣化”させて、皆さんのお手元に届くようになっています。iTunes 等で配信されている mp3 は、更に劣化させた状態でお届けしている事になっているわけですが、今回はそれとは真逆の、いわゆる高音質での配信(CDでは再現出来ない)を目指したレコーディングとなっていたのでした。
録音方式も、まだ実験段階かのような状態で特殊でした。簡単に言うと、録ったものがそのまま出来上がりの商品…というクオリティのものになるので、録ってからの編集が全く出来ないのです。…なので、完全な一発録りになる事は勿論、フェードアウトのようなエフェクトも、ここでは使う事が出来ないですし(録音中に行えば出来ますが…笑)、正直、ミスタッチもそのままです(笑)。ある意味で、現代らしくない録音方式とも言えそうな感じではありました。
しかし、これは逆を考えると、ライブ感そのままの状態を、皆さんのお手元に届けられるという事になります。特にジャズにおいてのレコーディングを考えると、音のバランスや綺麗さを重視するというよりは(勿論それも大事ですが…笑)、ライブ感や空気感を作品に残したいも気持ちが大きいので、ある意味で打って付けの状況のようにも思ったものでした。
今回のレコーディングも、そんな状況に見合った、即興性のある選曲がなされました。そして藤田君のプロデュースの下で、それこそバラエティに富んだ曲を作品として残せたと思います。普通のレコーディングと違うのは、そもそも編集が効かないので、ライブで曲を取り上げるかの如く、選曲も含めて、わりと気軽に録音に立ち向かっていけるような感覚がありました。実際、レコーディングした内の2曲は、1日目の打ち上げで、ふと話題に出た曲をそのまま2日目に取り上げてしまうという、異例の話しの早さでした(笑)。それも、逆にこういう状況だったからこそ生きたのかもしれませんね。
録音は、キングレコードさんのスタジオにて行われ、本当に素晴らしい環境でやらせて頂きました。ピアノも大好きなスタインウェイを使わせて貰い、弾く毎に楽しくなってくる自分を感じたものでした(笑)。…今のところ、どういった形で皆さんのお手元に届けられるかは分かりませんが、何ぶん新しいレコーディング・配信方式をやらせて貰った為、その部分でもまだ手探りな状況ではあるのです…。どうぞ続報をお待ち頂ければと思います。とにかく、これから始まる新しい時代の録音方式に立ち会えた事が、何よりの喜びでもあった2日間でもありました。
…と、固い話しはここまでにしておきまして(笑)、如何に高音質での配信…とは言っても、気になる演奏の内容が伴っていなければ意味がありません。…しかし御心配無く。メンバー皆が楽しめた、非常に聴き所のある“生き生きとした音”が録れています。音源を聴くと、音質と合わさって、本当に今回のメンバーが目の前で演奏しているかのような状況が楽しめるのではないでしょうか。先にレコーディングから始まってしまったので、このメンバーで是非ライブも実現したいものでした。
レコーディング日程の1日目(左上写真参照)にも、2日目(ちなみに、右上写真はこの日の2軒目…今回のプロジェクトには特に絡んでいない、エンジニアの速水さんが何故か参加…笑)にも、どちらにも進んで打ち上げを行ってしまっている事に(須永君は残念ながら不参加…)、何か新しい事をやってやろうという意気込みが感じられる事でしょう。どうもお疲れ様でした。これから、本当に楽しみにしていて良いと思います!
☆藤田淳之介君のHP…http://www.junnosukefujita.com