しかし、いざ行ってみると、予想以上の気温の低さ、そして険しい道中に圧倒され、なかなか厳しい環境でのツアーが自分達を待ち構えていたのですが、振り返れば、こうした中に身を置く事で、メンバー間でより強い結束力が生まれてきていたのかもしれません。全3日間でライブが3回…つまり毎晩…と、わりと詰め込んだスケジュールでもあったのですが、良い経験が出来たツアーでもありました。…それでは、どうぞ御覧下さいませ。
11月23日(1日目)
ツアー初日は、渋谷駅に朝6:00の集合となりました。何とも早い時間ですが、この日ライブが行われる場所は、山形県の酒田。ここは高速道路がまだ通っていなく、山形市経由で行くのが早いですが、それでも時間を非常に要してしまう距離です。それでいて自分達と、更に3日間分の荷物を積んでいかなくてはいけないので、今回はワゴン車をレンタルして出向きました。
こうして万全の体制で臨んだわけですが、いざ集合してみると、トランペットの織田君の顔色が優れません…。どうしたのかと聞くと、どうやら前日に食中りになったらしく、今日になっても体調が全快していないとの事。…と言って、大量の焼き肉の写真を見せられたので、危うく同情する気持ちが失せるところでしたが(笑)、寝てればまだ大丈夫…との事で、座席の無い後部で終止横たわる…というスタイル(左上写真参照)で出発する事になりました。その後の、首都高の渋滞、、、なかなか前途多難なツアーではないですか…。
…とは言え東北道に入ると道は順調になり始め、一路東北へと急ぎます。天気は曇りがちで、時折雨も降ってくるような状況だったのですが、山形の内陸部から日本海側に出るには、下道でちょっとした山越えも行うので、もしかしたら雪の心配もしなくてはならないのか…と、少々不安になりながらも、福島を抜け、宮城を抜け、山形の先で高速道路を降りました。
この時点で気温はかなり低かったのですが、雪の心配まではしなくて良さそう…という程度ではありました。…というのは、東京から酒田までの道のりとして、月山の麓を通って行くルートが一番近そうではあるのですが、どうやらこの時期は雪が積もっている可能性があるので、山形市の北の新庄市経由で、下道で来た方が良いと先方に言われていたからです。こちらですと最上川に沿っていくルートなので、カーブは多いものの、起伏をそんなに気にしなくても良いので、運転的にはまだ落ち着けそうです。その最上川とは、新庄から酒田まで、こちらのルートとほぼ並行して流れており、車窓から見えるその雄大な河川は、これから始まるツアーでの自分達を温かく包み込んでくれるようでもありました。
そんなこんなで、酒田市に到着。この日演奏させて頂くお店は、酒田 Music Factory というところで、全席立ち席の、クラブスタイルを披露出来るライブハウスでもありました。長距離の移動で疲れてしまっていますが、すぐさま楽器を降ろして準備をして、リハーサル…。休憩はその後にとっておきました。
今回、酒田と秋田では自分達のアテンドに、ばねさんという方が付いてくれたのですが、こちらが思っている以上に色々と動いてくれていたようで、それはライブハウス内のあちこちで目にしたフライヤーや、独自に制作してくれたライブ告知動画(ライブハウス内、そして外でも流してくれていました…写真左上参照)を見ても明らかでした。
これには期待に応えなくはいけません。…とは言え、酒田という場所には自分達の知り合いはほぼいなく、お客さんのお声掛けも、ばねさんに頼らざるを得ない状況となっていたのは事実でしたが、ステージに上がって客席を見た瞬間に、そういった心配も不要だったと確信しました。一体どこから来たのか…というと、酒田市に失礼になってしまいますが(笑)、街自体は静かな印象だった…という考えを払拭する程、非常に熱いお客さん方で沢山だったのです!…そして、盛り上がりたいという気持ちでここに来ている事も一瞬の内に理解し、これは大騒ぎするライブになる…と思ったものでした。
結果…、確かに大騒ぎになりました(笑)。一応今回は、休憩を挟んだ2ステージを行ったのですが、長めの1ステージでも良かったのではと思える程、“休み”という時間を設けるのが勿体無いと思えた盛り上がりようでした。また、今回のツアーで恒例とさせて貰っている、その土地の民謡を TRI4TH 流にアレンジしてライブで演奏する曲として、“最上川舟歌”をやらせて頂きました。こちらもお客さんは驚かれたようですが、実際にこの日、最上川に目をやりながら酒田市に来れたのも良かったのかもしれません。山形県への想いを入れつつ、演奏する事が出来たと思います。
アンコールも勿論来て、ここで最後の皆さんとの一体感!…夜になると風が強くなり、一層気温が低下してしまうここ酒田市ではありますが、この会場は間違い無く熱い空間でした。皆さんと一緒になって作れたライブだったと思いました。
そんなこんなで、この熱い想いをそのままに、スタッフの方や何人かのお客さんと打ち上げを行いましたが、ここで流石に織田君の体力が限界…、彼は一足先にホテルに戻って休んでいた…と付け加えておきましょう(笑)。
それにしても、初めての場所でこんなに盛り上がるとは、正直思っていませんでした。確かに自分からすると、今回のツアーで関西や札幌、広島に行き、その中には初めての場所も含まれていたので、それでも盛り上がったライブを見せてこれたという自負はあるにはあったのですが、酒田という場所でも実現出来た事には、感謝しきれないくらいの想いが芽生えます…。恐らく、自分はどこかで“場所”というもので判断してしまっている部分があったのでしょう…。しかし、こういったイベントを心から喜んでくれ、そして自分達を呼んでくれるのは、間違い無く“人”なのです。そういった触れ合いに、“酒田”という名前以上に熱さを感じた、ツアー1日目でした。これは、2日目以降も楽しくなりそうですね!
11月24日(2日目)
この日は、酒田から秋田への移動を行い、秋田でライブを行いますが、このまま酒田を後にしてしまうのは惜しまれるという事で(笑)、ばねさんに頼んで、色々と酒田の街を案内して貰う事になりました。まずは腹ごしらえの為、酒田ラーメンへ…。あまり耳馴染みが無い名前という印象はありましたが、自家製麺を使用し、醤油味をベースとしたラーメンは、素朴で美味しく、寒かった朝に嬉しい食事となりました。ちなみに、食中りから復活したという織田君は、いきなりこのお店で大盛りを頼みますが、全部食べれずに残してしまった…という事も付け加えておきましょう(笑)。
次に向かったのは、映画『おくりびと』のロケ地となった旧割烹小幡(左下写真参照)という建物です。自分はこの映画を見た事があり、結構好きだったので(笑)これは嬉しいセレクトでした。そもそも『おくりびと』自体が酒田市を舞台とした話しなので、探せばもっと映画に出てきた場所があったのでしょうが、1つの建物を見れて、既に満足した自分がいたものでした。
そして、米どころ庄内地方のシンボルである米保管倉庫である山居倉庫(右上写真参照)にも行きました。NHKドラマ『おしん』の舞台ともなっており、現在では資料館や土産ショップも併設され、定番観光スポットにもなっているとの事でした。短いながらも、酒田の街を堪能出来たように思いました。
さて、時間はお昼過ぎを回ってきましたが、いよいよ酒田を後にする時間になってきました。この次の演奏場所である秋田までは車で約2時間との事でしたが、ここで自分が、いつもの提案である“鉄道移動”を懇願します(笑)。この区間は、JR羽越本線で同じルートで秋田まで行けるので、そんなに時間も要せずに、電車でも向かえるのです。なかなか自力で酒田駅〜秋田駅を乗るのも難しいので、今回は是非とも乗りたい区間でもありました。
…というわけで酒田駅まで車で送って貰い、2両編成の鈍行列車による、秋田までの鉄道旅をスタートさせました(笑)。本数が少ないながら、特急列車も走っているのですが、急いでいる道のりでもないので、鈍行列車で十分です。それでも秋田までの所要時間は2時間だったので、あまり車と変わらないのでした。ひとまず、現地集合という言葉だけを残して…(笑)。
自分が乗ったのは、酒田駅12:40発の秋田駅行きでした。ちなみに、これを逃すと、次の列車は14:45発の特急列車になり、普通列車となると15:37発の列車まで待たなければいけません。流石のローカル線ですが、山形県と秋田県の県境を通るからかもしれません。地方の県境を通る普通列車というのは、利用者の実態を踏まえて、本数も少なめに設定されているものなのです。
要は、県境は住人が少ない…という、ただ単純な理由なわけですが、それに変わって景色の雄大さはどうでしょう。庄内地方では右手に鳥海山が見え、県境に近くなってくると、厳しい表情をした日本海が左手に飛び込んできます。酒田駅を出発した時点では、座席の半分くらいが埋まっているような乗車率でしたが、県境付近では自分も入れて、1両に3、4人…といった状況でした。しかし、列車はちゃんと目的地まで、ただ黙々と走ってくれます。この辺りにローカル線の風情の良さや魅力を感じてしまうのですが、なかなかメンバーの中で、同じルートで向かってくれる人はいませんね…(笑)。まあ、鉄道旅=1人旅…といった自分なりの公式も無視出来ないので、今が一番良い環境なのかもしれませんが…。
こういったルートを通って行くと、新幹線も通っている秋田駅なんて、ただただ大都市!…という印象を拭えませんでしたが、予定通り、列車は2時間程で到着する事が出来ました。しかし自分以外の車組は、既に20分くらい前に現地に到着しているとの事…。現地…とは、この日に演奏するお店の事で、駅からは徒歩15分くらいの距離にあるようでした。やはり、スピードと便利さで言えば、車に軍配が上がる…という事なのでしょうか。
さて、自分は無事に、Live Space 四階という名前のライブハウスで皆と合流しました。不思議な名前ですが(笑)、実際にビルの4階に位置しているお店で、広さ的には1日前の酒田のお店の3分の1くらい…といった感じでしょうか。よりダークな雰囲気はあり、実はこの日のライブは24:00以降に予定されていたのですが、それも少し理解出来たような感じはありました。
そうなると、今からリハーサルを始めて、17:00ぐらいには終わって、ホテルに向かって…、そこから本番までの長い事長い事…(笑)。これは、秋田の食を堪能しないわけにはいかないでしょう。お弁当の用意をしてくれてはいたのですが、それはそれ、これはこれ…という感じで、全員ではなかったにしろ、秋田の街へと繰り出していったものでした。
そして、改めて Live Sace 四階(左下写真参照)へと出向きました。時刻は23:30くらいで、お店の様子はというと、DJ Time のような感じになっていて、薄暗い中で大音量のサウンドが渦巻いている世界が広がっていました…。これで自分達がステージに上がるというのも、なかなかな流れが予定されているとは思いましたが、一応はこのイベントのメインの時間を任せられているわけでもあり、盛り上がったステージを見せていきたいものでした。ちなみに、楽屋はビルの3階にありました(笑)。
さて、時刻も24:00を回り、更に何分か経って自分達の出番となりました。やはり昨日の酒田の時と同様、大きな拍手でお客さんは迎えて下さり、期待してくれているというのが肌で感じたものでした。
そうなると、こちらも全力で応えなくてはなりません。この日は休憩無しの全1ステージだけを予定していたので、良い意味で、後先考えずにお送りしてしまっても良いのかもしれません。そして、こちら側が力強い演奏すると、お客さんも全力でノってくれますし、全力でレスポンスをしてくれます。自分達VSお客さんの、どちらが楽しんでられるか…合戦みたいな感じがありましたが(笑)。秋田のお客さんも熱い方ばかりでした…。
そして、ここでも各地の民謡シリーズはお送りしていきます。ここ秋田で演奏したのは、地元の方なら誰でも知っている(らしい)“ドンパン節”でした。実はこの曲のアレンジは自分がやらせて貰いまして、原曲のイメージも残しつつ、軽快なテンポに移り行くセクションを設けたりしまして、民謡とジャズの融合を目指した楽曲にしてみました。…自分が TRI4TH の為に、初めて本格的にアレンジした曲にもなりましたが、TRI4TH らしさも残せたのが良かったのかもしれません(実は、このアレンジには試行錯誤を繰り返しまして、いったん出来上がったものを白紙に戻し、より聴きやすいようにアレンジし直した…という経緯があります)。お客さんにも好評のようで、これから何度もやっていける曲にもなったように思いました。
更にライブはビルド・アップさせていき、約1時間程のステージは終了になりました。こんな時間でも(…だからこそ?)お客さんには盛り上がって頂き、こちらも気持ちが高ぶっていってしまった感じでした(笑)。既に時刻は1:30を回っており、外は昨日以上の寒さを見せていましたが…、秋田での印象的なステージを残せて良かったです。
そしてライブ後の高揚が変な方向に走ってしまったせいか、「ジャン負けウォッカ一気飲み」が始まってしまいました(笑)。自分も1、2杯は負けてしまったような気がしますが、正直、よく覚えていません…。次の日はもう帰路という感じの行程ではありましたが、最後の東北の夜を自分なりに楽しんでいたのだと思います。
11月25日(3日目)
この日、朝になっても、まだ頭がボーっとしていたので、まだまだ眠っていたい感じではありましたが、夕方までに栃木県の宇都宮まで行かなくてはならないので、眠い目を擦りながらも秋田を出発させました。運転は勿論、昨日のウォッカ・パーティー回避者達です。そう言えば朝方には、ばねさんの姿はありませんでした。昨夜は加害者兼被害者みたいな感じで立ち振る舞っていた気がしますが(笑)、ここは静かに寝かせておきましょう。お礼の言葉を残して、、、。
秋田県から岩手県に抜ける際には、雪もチラホラ見えたという感じでしたが、北上市で東北自動車道に合流した際には、もうその心配は必要無さそうでした。ここからは、徐々に暖かい地方に戻っていくという感じになっていきます。
確かに、気候というのは大事なようで、車が進むに連れて、何だか皆も元気になっていった感じがありましたが、それは所々のサービス・エリアでの行動にも表れていたような気がします。タカオさん扮する静御前のハマりっぷり(右上写真参照…歌丸師匠に似てる説もあり)や、購入したアメリカンドッグを、はしゃぎすぎて地面に落とす(左下写真参照)等、徐々に調子を取り戻して来た様子が見てとれるかと思います(笑)。そんなこんなで、この日の演奏場所である宇都宮 Jazz Bar Obbligato への到着は、スムーズそのものだった印象があった程でした。
その浮かれた様子は〔初めての東北ツアー〕の記事でも確認出来ますが(笑)、藤田君がこの時点で体調不良を訴えかけていたのが気に掛かりました。東京との気温差や長旅の疲れで、身体が弱っていたのかもしれません。しかし、当然の如くライブは堂々と行いました。このお店ではたっぷりの2ステージが予定されていて、TRI4TH の魅力を存分に盛り込んでお送り出来たかと思います。
見ての通り、そのステージも酒田や秋田とはだいぶ装いの異なるライブ・スタイルで、どちらかというと、じっくりと自分達のジャズの部分を楽しんで貰いたい…という感じでしょうか…。お客さんも、ゆったりとしたソファのようなシートに座り、1曲1曲を丹念に見て頂けたのではないかと思いました。
そんな中でも、TRI4TH 流のパフォーマンスは忘れてはいません。体調不良だった藤田君も、ステージ上では、クラブでのライブとばかりに、客席に握手を求めに行く等(笑)、音楽の部分だけでなく、“ライブ”の楽しさを知って貰おうという気持ちを元に演奏していましたし、それに続けとばかりに、メンバー皆で1つになってお送り出来たライブになったのではないかと思いました。やりきりました。
…これで、3日連続ライブの東北ツアーの、最終日となる3日目が無事に終了となりました。宇都宮を東北という地域に組み入れるのは微妙なところではありますが(笑)、最後まで一貫していたツアーでもあり、良かったのではないかと思います。それは酒田や秋田でのライブのやり方を、スタイルの異なるここ宇都宮でも応用出来た事に尽きるのではないでしょうか…。今回のツアーが終わると、次はいよいよツアー・ファイナルというものが待っているわけですが、十分にフィードバックする事ができ、それこそ、ツアーの集大成を作る事が出来るかもしれません。その意味でも、3日連続のツアーというのは TRI4TH にとって、非常に大きい出来事のように思えたのでした。
ツアー・ファイナルは、このツアーの約2週間後の事でしたが、とても楽しい思いを胸に臨めたと思います。その様子は〔“TRI4TH AHEAD" Release Tour 2012 Final♪〕の記事で読めますので、また改めて御覧になってみて下さい。
…これにて、“TRI4TH AHEAD”Release Tour に関連する記事は完結です!…だいぶ時間が掛かってしまいましたが、もう既に TRI4TH は 3rd.アルバム発売に向かって動いています。ブログ更新も休む暇がありませんが(笑)、こちらも頑張っていきたいと思います。どうぞこれからもよろしくお願いします!
☆TRI4TH のHP…http://www.tri4th.com
☆酒田 Music Factory のHP…http://www.mfinfo.jp
☆秋田 Live Space 四階のHP…http://lifestyle-co.com/yonkai/
☆宇都宮 Jazz Bar Obbligato の(宇都宮東口屋台村の)HP
…http://www.higashiguchi-yataimura.com/shop/obbligato/
な歌丸師匠似…などなどの、エピソード満載で楽しく読みました。
酒田での写真の中で、グレーの帽子の方がばねさんですか?
今年のツアーでも、ばねさんのような方とのいい出会いがたくさん
ありそうですね。皆さん体調大切に、車移動の時は安全運転にて、
全国の会場で魅了してきてくださいね。
酒田、秋田ではだいぶお世話になりましたし、
自分達と同じように、この地域でお世話になった
ミュージシャンは数多い事だと思います。
今年のツアーも、各地で色々な出会いを大切に、
そして楽しくやっていきたいと思います!