二子玉川 Kiwa は初めて訪れたお店でしたが、客席が映画館のように、後列に行くほど段が上がっていくような配列になっていて、一種独特な雰囲気がありました。ステージも、この大きさのフロアにしては広めに作られており、このまま演劇でも出来そうな感じがありましたが、だからこそ今回の“No Nukes Gig”の会場として選ばれたのかもしれません。自分達の出番の前には、ウクライナ出身のボーカル・バンドゥーラ奏者、ナターシャ・グジーさんと、盲目のボーカル・ピアニスト、木下航志君によるステージが行われ、それぞれのメッセージを時に強く、時にさり気なく発信していきました。
そして我が黒船の出番となりましたが、改めて“No Nukes Gig”というイベントに立ち向かうにあたって、どのようなステージをお届けすれば良いのか、少々頭を悩ませる事にはなりました。しかし、やはり自分達に出来る事と言えば、素直に自分達らしい音楽を届けるのみなのでした。同メンバーであり、この黒船という新プロジェクトを作る切っ掛けにもなった〔関谷友貴の Live ソムリエ bottle.5! 〕のライブを思い出しつつ、そして新たな門出を楽しみつつ、自分達の音楽と向き合っていきました。
今回、自分達に与えられたステージ時間は約30分。全部で5曲演奏させて頂きまして、前半の2曲はインストでお送りし、3曲目以降は今回からの初試みとして、ボーカルに奄美の島唄歌いの里アンナさんを迎えてお送りしていきました。
ボーカル…と書きましたが、黒船…というプロジェクトからすると、“ボイス”と言った方が適切なのかもしれません。アンナさんも入れてバンドメンバーは5人となったわけですが、その誰もが主役であり、誰もが対等であるというコンセプトがあります。黒船が紡ぎ出す音楽の根本には“ジャズ”というフォーマットがあり、楽器陣のソロ・セクションも多く盛り込まれているのですが、そこにボイスが絡んでいったりして、独特の音楽感を作り出しているのです。また、何と言っても津軽三味線がリードをとっていくサウンドも見逃せません。折しも、津軽の国と奄美の国という、日本の離れた南北の国が出会い、そしてジャズというフィールドで音楽を作っていうという形になりましたが、ここで起きる化学反応というのは、常に予想範囲を超えるものです。演奏している自分達にとっても、ステージ上で実際に音を出して進めてみないと分からない部分もあったりするので(笑)、そういった事で更なる楽しみを見出だせればと思いますね。
こういったプロジェクトを率いているのが、関谷君という、楽器で言うとベーシストであるという事が、説得力をより強いものにしているのかもしれませんね…。全員対等で有りたいというのも、ベーシストならではの発想があると思いますし、彼ならではのアイデアも大事にしたいところです。
こうして全5曲の演奏を無事に終えましたが、やはりあっという間の時間でした。今後も続々とライブが決まっていますが、それらは全てワンマンライブなので、こちらはたっぷりと演奏を楽しむ事が出来るでしょう。徐々に徐々に本領を発揮していくのかもしれませんが、そんな成長の部分もまた楽しみなのでありました。
黒船のライブの後は、“No Nukes Gig”コラボ・ステージという事で、井上さんと、バイオリンの金子飛鳥さんを中心に、各ミュージシャンがどんどん加わっていって、音と音との出会いを楽しみました。そしてステージの最後には、正に今回の出演者全員がステージに上がり、金子さん作曲の“Reflections”、そして唱歌としてご存知の“ふるさと”をお送りして、今回の締め括りとなりました。皆それぞれ想いはあると思いますが、こうして1つのイベントを通して、皆で1つの音楽を作っていけたというのは事実です。この実現を元に、また新たな可能性を作っていけたら良いのかなと思いました。
そして黒船としても、初ライブが無事に終わり、まずは安堵の気持ちでいっぱいなのではないでしょうか。しかし、実は休む暇もなくライブは決まっておりまして、9月14日(土)の梅田 Mister Kelly's、そして9月21日(土)の渋谷 Last Waltz と、本当に盛り沢山です。どちらも楽しみにして頂ければと思います!
また、DVD『Mariage』〔Kurofune、ライブDVD『Mariage』発売決定!参照〕も好評発売中でございます。ライブDVDの作品化というのも、なかなかある機会ではないので、是非ともご覧になってみて下さい。そして、今後のライブと見比べてみるのも面白いかもしれません。それでは、どうぞ御期待下さいませ♪…今回はどうもありがとうございました!
☆関谷友貴君のHP…http://www.peaceofcake.net
☆井上鑑さんのHP…http://www.akira-inoue.com
☆二子玉川 Kiwa のHP…http://oasis-kiwa.com
里アンナさん登場であらためて声も楽器なのだな、と感じました。
皆さん黒い衣装も◎ですね。
ライブはみなそうなのですが、特に黒船は楽器の音のまざりあいの
様子がその場でないと聴けない感じがして迫力があるんです。
イベント全体も、忘れてはいけないことを考えさせてくれるもので
最後に全員登場での2曲が印象的です。音楽は境界線がない、とい
うことがよくわかるし、イベントの目標を現わしてるかのようで。
バンドとしてアンナさんを加えた事の意味が、より感じられたと
思います。そして、ライブならではのサウンドが魅力ですよね。
今回、黒船名義としては第1回目のライブで、まだまだ駆け出し
という感じだとは思いますが、今後の成長を見届けて頂けたらと
思います。イベント同様、音楽を通して、色々な境界線を超えて
成長していく姿を、どうぞ楽しみにしていて下さい!