言わば、一気に都会的な路線になったわけですが、この時に川越駅を境に運転系統は分離される事になり、川越駅〜高麗川駅間ではそれとは独立された運行がなされています。こちらの区間では1996年のJR八高線の電化(高麗川駅〜八王子駅間)に伴って、八高線との乗り入れが行われるようになり、川越以東では“埼京線・川越線”、川越以西では“川越線・八高線”というような案内がなされ、ラインカラーも乗り入れ先に合わせるような形になりました(川越以東は緑、以西はグレー)。確かに川越以東の区間は、もはや埼京線の延長にしか思えない感じではありますが、歴史を紐解くと、この区間もれっきとした川越線なのです。ちなみに、埼京線…という路線ですが、この路線名は便宜上で正式に存在するものではなく、それぞれの路線の“別線”という扱いになっているのが面白いところです。
さて、そんな乗り入れ先の埼京線に、現在走っている205系という車両の置き換え目的で、E223系7000番台という車両が今年の6月30日から走り始めました。今までのパターンからすると、205系全車を置き換えるのも時間の問題で、両車の共演が見られるのも今だけでしょう。実際、今回は埼京線経由で川越線の大宮駅まで向かったのですが、もう既にE223系を見掛ける機会が多く、置き換えは思ったより早く進んでいるのだと思ったものでした。…正に過渡期とも言える現在の川越線。それではどうぞ御覧下さい!
●日時…2013年8月13日 ●距離…30,6km ●駅数…11駅
川越線の起点となる大宮駅は、埼京線と直通運転を行う為、地下のホームからの発着となっています。埼京線と繋がる前は、大宮駅の10番・11番ホーム(現在の、湘南新宿ラインからの下り列車が使用)から発着をしていました。…現在、川越線の大宮駅〜川越駅間を走る列車は、全て埼京線と直通運転を行っています。つまり、大宮駅始発の川越駅行きの設定が無いという事になりますが、ダイヤが乱れた際には直通運転が中止される事も多いので、この時にはそんな光景も見られる事になります。
大宮駅で埼京線・川越線ホームに向かう場合、駅が橋上駅舎なので、いったん駅の2階部分に上がり、そこから地下に向かわなければいけません。なので、駅舎に入ってからホームに辿り着くまでには結構な時間が掛かります。それでいて、日中の川越線の本数は20分に1本(殆ど、りんかい線からやってくる快速列車です)なので、整理はされているものの、ちゃんと時刻を確認して乗る必要があると言えそうです。
さて、早速やってきたE233系に乗り、川越駅方面に向かいましょう。大宮駅を出て暫くすると地上に上がり、右側にはJR高崎線が見えてきます(右上写真参照)。逆に、左側には鉄道博物館が見える筈です。この辺りの高崎線との並走区間は、〔鉄道さんぽ17.(JR東日本、高崎線編)〕でも書いているので、こちらも参照して下さい。そして高崎線と分かれると日進駅に到着し、ここからは単線区間となります。
日進駅を過ぎると、2009年に開業した西大宮駅となります。駅の向こう側には、吹奏楽部で有名な埼玉栄中学・高等学校がありますが、この駅が開業する前は、ここから約1、5km先の指扇駅から歩いてこなければなりませんでした。個人的に、自分の従姉妹がこの学校に通っていた時期があり、例の?吹奏楽部に入ったので朝練が存在していたわけですが、従姉妹の家が埼京線沿線だったのに、やたら朝早く出ているのを不思議に思っていたものでした。そして後々に、最寄り駅から学校までが結構な距離がある事を知るのです。
…せっかくなので、この距離を体感しようと、西大宮駅〜指扇駅間を歩いてみました(笑)。西大宮駅周辺は開発が徐々に進行しているようで、道も所々で工事中の区間も存在しましたが、概ね迷う事無く向かえる感じではありました。それでもやはり、30分弱は掛かる道のりだったので、通学時代は想像以上に大変だったのではないかと思われます…。現在ですと、西川越駅から学校までは10分も掛からない筈なので、今の学生達は、当時より20分以上は遅く家を出ても大丈夫だな…と、余計な心配をしながら(笑)、現在工事中の指扇駅(右上写真参照)を後にしました。
指扇駅を出ると、荒川橋梁を渡って川越市に入ります。そして築堤を右にカーブしながら降りていきますが、ここは川越線の撮影地としても有名(右上写真参照)です!…そのまま真っすぐ田園地帯を抜けていきますが、この南側には川越車両センターがあり、埼京線、川越線、そして八高線の電化区間(前述の、高麗川駅〜八王子駅間)を走る車両を受け持っています。ただし、りんかい線所属の70ー000形(左下写真参照)は受け持っていません(滞泊はあります)。
ここに所属している車両で特徴的なのは、クモヤ143形電車と、MUE-Train という、2つの車両でしょう…。いずれも旅客用ではなく、前者は牽引車として、後者は技術革新を目的とした車両として在籍しており、周囲の道路からもその姿が確認出来る(左下写真参照)ので、近くを通った際には是非とも目を向けてみて下さい(笑)。
…ちなみに、この日はこの周辺を2時間近く歩いていたのですが、日差しを避けられる場所が殆ど無く、だいぶ日焼けをしてしまいました…。この日も昨今の夏の例に漏れず、1日中暑い日でもあったのです。そんな川越車両センターが置かれている指扇駅〜南古谷駅間は、4、7kmの距離(今回は、南古谷駅を起点に“さんぽ”しました)…。この距離は、川越線で一番駅間の長い区間でもあります。
なかなか味のある駅舎である南古谷駅を後にし、川越駅へと進みます。ここからは路線の形態もガラリと変わり、列車も4両編成と結構コンパクトになります。そもそも車両のラインカラー(黄緑とオレンジ)も変わるので、見た目にも違う路線に入ったかのようです。…ですが、昔ながらの川越線は、やはりここからの区間だと自分では思います。
前述のように、川越駅を境に運転系統は分離されており、両区間を直通する列車は現在設定されておりません(例外的に、川越車両センターから出庫した列車が南古谷駅始発として、川越駅を通って高麗川駅方面に向かう列車が早朝にあります)。川越駅を出ると、暫くは東武東上線と並走しますが、その雰囲気は〔鉄道さんぽ21.(東武鉄道、東上本線編)〕を参照して頂ければと思います。そして東上線と分かれると、何だか心細くなるような感じ?で列車は進んでいきます。しかし、これがまた良かったりするものですから不思議なものです(笑)。
川越駅を出て暫くして、早速ローカル色の強い西川越駅に到着します。片面のみのホームで、列車の行き違いは出来ず、以前は無人駅でもありました(現在は早朝・夜間以外は駅員が配属されます)。この駅を出ると築堤に上がり、そのまま入間川を渡ります(右上写真参照)。車窓の右側には、先程分かれた東上線の橋梁も見え、まだそんなに距離が離れていない事が分かります(右下写真の奥に見える列車が東上線)。
入間川を渡ると徐々に東上線と離れ始め、的場駅に到着します。東上線側の霞ヶ関駅(開通当初はこちらが的場駅と名乗ってあり、後に霞ヶ関駅に改称…更に後に川越線が開通し、こちらに的場駅の名前が再度付けられました)は当駅から約1kmぐらいの距離にあります。駅の規模で言えば、断然こちらの方が小さいですが(笑)、日中の列車同士の交換駅にも設定されています。普段、どちらかというと下り列車が先に着き、上り列車の到着を待ってから発車していく感じになっています。
そのまま列車は西方向に進み、西川越駅と同じく、単式ホーム1面1線ホームの笠幡駅(左下写真参照)、このブログにもよく登場する、さばいばるいとうさんの自宅の最寄り駅でもある武蔵高萩駅(右下写真参照…笑)を経て、いよいよ終点の高麗川駅となります。ここまでずっと西に進んできた線路は、高麗川駅に近付くと左にカーブして南に進路を変え、右側から非電化区間のJR八高線が合流し、高麗川駅構内に進入していきます。
この先、八高線の電化区間である八王子駅まで、直通運転を行っていますが、ここまで列車は20分に1本の頻度で運転されているに対し、八高線は30分に1本の運転になるので運転間隔が合っておらず、列車によっては高麗川駅で長時間停車する事もしばしばなのですが、これもまたローカル路線の醍醐味かもしれません。駅舎の先には山々も見え、関東平野の西端である事を窺わさせてくれます。
左上の写真は、高麗川駅を出て、川越線の川越方面へ向かう209系3000番台電車です。左の線路は八高線の高崎方面へのものです(一瞬電化されているように見えますが、この先すぐに非電化区間に入ります)。右上写真は、そんな209系の車内です。今や209系の初期車両すらその数を減らしているので、本当に、関東圏内の車両の置き換えスピードの速さには驚かされます。
これにて、川越線の“さんぽ”は終了です。全区間が東京近郊区間に含まれる同線ですが、場所によってはまだまだ田園風景の残る風景も見え、手頃な“さんぽ”?としてはお勧めの路線と言えそうな印象がありました。また、この日、起点の大宮駅に降り立ったのは朝9:30頃で、この時間から“鉄道さんぽ”を開始したのですが、色々と寄り道をしても、終点の高麗川駅には15:00前には着けました。久し振りに、時間に余裕のあった“鉄道さんぽ”とも言えるかもしれません。
高麗川駅は、日高市の中心となる駅でもありますが、駅周辺はそんなに賑やかな雰囲気ではなくて、例えばレストランを探すにも一苦労です(笑)。また、この時はちょうどランチの時間帯を過ぎてしまった為か、お店があっても、支度中、準備中のお店ばかり…。しかし、そんな中でも1軒、居酒屋風レストランとでも言いましょうか…。良いお店が見付かりました。せっかくなので早めの打ち上げを行い、自分自身への乾杯を行いましょう(笑)。暑い1日の締めに、更に贅沢な時間でした♪