路線の登録上は大曲駅が起点になっていますが、東京から見ると、盛岡駅を通ってから大曲駅に達するので、実際の案内では盛岡駅から大曲駅に向かうのが“下り”で、逆が“上り”とされています。ここでもそのように記したいと思います。勿論、メインの列車は新幹線『こまち』号で、全てが東北新幹線に直通し(1往復は仙台駅発着)、東京駅~秋田駅間を4時間弱で結びます。『こまち』号の運転開始時に、その宣伝がテレビCMで流れていて、自分もよく覚えているのですが、今まで飛行機に乗ろうとした人達が、「新幹線、出来たらしいよ?」という言葉を切っ掛けに、空港からぞろぞろと移動してしまい、最後には飛行機のパイロットも新幹線に乗ろうとしてしまうという(笑)、なかなかインパクトのあるものでした。このように、所要時間の短縮も大きいのですが、“乗り換え無し”というのも重要な事で、それが、これ以降の新幹線網の発展にも少なからず影響を与えていっているのだと思いました。
そして記憶に新しいのが、今年の3月16日から走り始めた『スーパーこまち』号。E6系という新しい車両を投入し、新幹線内は最高速度320km/時(現在は300km/時で運転)で走行するという、更なる期待の星でもあります。実は『スーパーこまち』号と言われるのは暫定的なもので、それまで走っていたE3系という車両を今後全て置き換える事から全てがE6系となり、この時には名称から『スーパー』が取れるのだとか…。そう考えると、E6系とE3系が共演している現在は貴重な瞬間で、今のうちに写真に収めておきたくなったのです。自力で向かう“鉄道さんぽ”として(ツアーの合間とかを利用せず)は異例の遠さの路線でしたが(笑)、新幹線で行けるので、盛岡駅までは自宅からたったの約3時間なのです…。意外に身近の存在であった田沢湖線を、どうぞ御覧下さいませ!
●日時…2013年4月23日 ●距離…75,6km ●駅数…17駅
田沢湖線の盛岡駅は、新幹線ホームと在来線ホームに分かれます。まずは新幹線ホームから見てみる事にしましょう。基本的に『スーパーこまち』号、『こまち』号は、東北新幹線を走る時には『はやぶさ』号や『はやて』号と併結しており、この駅で列車の連結・切り離し作業を行います。この作業は人気があるようで、いつもその作業を見る人でホームは一時的に賑やかになりますが、作業自体は2,3分程で、本当に迅速に行われます。
そして、早速やってきた『スーパーこまち』号のE6系。自分はこの時に初めて生で見る事になりましたが、文句無しに格好良い車両です。流石、フェラーリをデザインした人が監修しただけの事はあります。現在、この車両を使用している『スーパーこまち』号は4往復走っており、順次E3系を置き換えていきます(早速、4月27日から一部が置き換えられます)。
ここでE5系『はやぶさ』号を切り離し、身軽になった列車は、新幹線の新青森駅方向へと走り出し、少しすると、そこから田沢湖線への連絡線へと左側に分岐していきます。逆も同じで、その場合は迅速に連結作業に入れるように、先頭の連結器を剥き出しにして盛岡駅に入線してきます(右下写真参照)。
では、在来線ホームを見てみる事にしましょう。こちらは地平ホームで、JR東北本線ホームのすぐ横に専用のホームが設けられていますが、田沢湖線の軌道(線路の幅)は改軌されているので、線路同士は繋がってはいません。在来線の車両は、秋田新幹線の開通に際して投入された701系という車両で、JR東日本の東北地方の電化路線では殆どの場所で見られる型式の車両です。田沢湖線を走る車両は5000番台と分けられており(軌道の幅が違うので、田沢湖線専用の車両です)、ラインカラー、車内(ボックスシートが千鳥状に配置されています)も独自のものになっています。
では、まずは普通列車で田沢湖線に乗ってみます。秋田新幹線が走るとは言え、普通列車に関しては所謂ローカル線であり、県を跨いで利用する人が殆どいない為か、列車の殆どは盛岡側と大曲側に分かれて運転されています。その本数も1~2時間に1本程度で、県境に近付く程その本数は減り、特に県境となる赤渕駅~田沢湖駅を通る普通列車は1日4往復のみの運転となっています。…なので、普通列車の方が実は貴重という田沢湖線(笑)では、短距離でも新幹線を利用する人が比較的多く見られます(この区間のみを乗る人は立席特急券といって、空いている席があれば座って良いという制度の特急券です…基本、全席指定席となっているので)。
乗った普通列車も、盛岡駅から3つ目の雫石駅止まりとなっていて、ここから先はグッとその本数も減ってしまいます。ここで周囲をちょっと探索してみました。この日の朝は凄く寒かったのですが、昼からは気温も上がってきて、それはここ東北地方も例外では無いようで、思った以上に暖かくて驚きました…。東北地方にも春が訪れてきている…という事ですが、そんな場所から遠くを見ると、まだ雪山が控えているという事で、やはり北国である事を感じさせます。ここ雫石駅までは盛岡の近郊圏という雰囲気でしたが、この先からはいよいよ峠を越えていく感じになってきます。
さて、では『こまち』号に乗って秋田県の田沢湖駅まで向かいましょう。この先には、前述した県境の赤渕駅~田沢湖駅間が含まれるので、普通列車で乗り通すのは困難に近いのです(ちなみに下り列車の場合、朝5時台の次に走るのが14時台という…笑)。そしてやってきたのは、E6系『スーパーこまち』号!…新幹線ホームで見た時とはまた違った魅力を醸し出しており、自分も記念すべき初乗車です!
…とは言え、車内は結構混んでいて、窓側の座席は空いていない状態でした。この区間の景色も非常に気になるので、通路側の座席は自分にとっては微妙である他になく、結局はドアの横でずっと立っているという状態で乗り通しました(笑)。赤渕駅を過ぎ、いよいよ県境区間へと突入し、人も殆ど住んでいないような場所を走り続けます。この駅間は18,1kmあり、田沢湖線のハイライトとも言える区間でしょう。雫石駅から峠を越え、田沢湖駅までは約20分。初乗車にしては少し苦い印象になってしまいましたが、今度は長い区間、そして新幹線区間でその乗り心地を体験してみたいですね。田沢湖駅は秋田新幹線の開業で新駅舎に生まれ変わっており、田沢湖の観光拠点に相応しい出で立ちでお客さんを迎えていました。
ここで『スーパーこまち』号とは別れ、また周囲を“さんぽ”してみます。特に赤渕駅側で見られる周囲の景観は素晴らしいの一言で、よく撮影地としても紹介されている程です。ただ、駅から遠いのが難点で(3km~4kmくらいの距離です)、そこまでの時間が無く、今回はその往路にタクシーを利用してしまいました(笑)。散歩…からは若干離れてしまいますが、歩くだけが“さんぽ”ではないのです。田沢湖線と並行して国道46号線が通っており、そのドライブイン的な役割である“峠の茶屋”付近のポイントは有名です(下写真参照)。
また、ここまでの展望ではないですが、田沢湖駅の赤渕駅側ではない景色も悪くはないです。田沢湖駅を望むように撮ると(左下写真参照)、雪山に向かっていくような感じがして、さながら山岳鉄道のような雰囲気にも見えてきます。このように、見所が沢山の田沢湖駅周辺。勿論、観光のメインである田沢湖が控えていますが、ここは駅から5~6km程の距離にあり、バスやタクシーで向かうのが一般的です。
さて、今度はE3系の『こまち』号で先に進みます。ここから先は大曲駅まで、徐々に標高を下げていく感じで進み、基本的に下り坂が続きます。E6系ですと7両編成ですが、E3系ですと6両編成となっており、これはE6系の場合、先頭車の流線型の部分が長過ぎて、E3系と同じ6両編成にすると定員が少なくなってしまうからです。そして、E3系も登場当時は5両編成でしたが、これが6両編成になったのは、単純に利用客が増えた為でもありました。
田沢湖線のように、在来線の新幹線化(厳密には“新幹線”ではありませんが…)をされた路線の呼び方として、ミニ新幹線という言葉があります。他の例ですと、奥羽本線の福島駅~新庄駅間がそうで、御存知の通り山形新幹線と呼ばれている路線でもあります。こちらの方が元祖で、秋田新幹線より早い1992年に福島駅~山形駅間が開通しました(新庄駅まで延長されたのは1999年)。それ故、やはり車両は特殊なものになっています。新幹線車両ではあるものの、在来線の大きさに合わせて造られているので、普通車の座席も2・2人掛けとなっていて(通常の新幹線は2・3人掛け)、車体長も在来線と同じ20m(通常の新幹線は25m)です。確かにミニ新幹線というのは的を得ているのです。そして在来線走行時の最高速度も130km/時に設定。これは通常の在来線の最高速度と同じになっています。
E3系は現在、全部で26編成が存在しますが、そのうち最初の1編成は量産先行車という、少し試作的な要素の強い車両(いわゆるプロトタイプというやつです)になっているのですが、E3系の場合、デザインも若干異なっています。…上の写真を御覧下さい。右の車両が量産先行車です。先頭のデザインが、量産先行車の方が連結器に掛けての絞り込みが大きく、少し丸みを帯びているのが分かりますでしょうか。これは、最初のミニ新幹線用に造られた400系〔竹内大輔の写真日記(~2009)、400回目!参照〕に近いデザインで、小さな差ですが、こういった変化を発見するのも面白いかもしれません。また、前照灯の位置や大きさも異なっているので、知っていれば判別は付きやすいものではあります。量産先行車は、どの列車に割り当てられるかは特に決まっていないので、見付けたら相当運が良いです(笑)。頭の片隅にでも入れておいて下さい。
さて、桜と武家屋敷で有名な角館駅で降り、次の鶯野駅まで歩いてみましょう。この区間には鉄道橋としては珍しい、2連続エクストラドーズドPC橋という、比較的新しい種類の橋梁が存在します(左下写真参照)。そこを走るE6系『スーパーこまち』号…。何とも絵になるではありませんか(笑)。
そろそろ田沢湖線の“さんぽ”も佳境が近付いてきました。角館駅を過ぎると、あとは普通列車のみが停車する駅を過ぎ、秋田県大仙市の表玄関、大曲駅に到着します。列車に乗っていると、緩やかな下り坂を真っ直ぐ降りていく感じだったのが、市街地に入って大きく左に向きを変え、右側に秋田駅からやってきた奥羽本線と合流する形で大曲駅に入線していきます。秋田駅からの奥羽本線…と書きましたが、秋田新幹線のルートは大曲駅でスイッチバックをして、先程合流した側の路線に入って秋田駅に向かっていくのです。
田沢湖線としては終点の大曲駅ですが、スイッチバックをして向かう大曲駅~秋田駅間が少し特徴的なので、こちらにも触れておきましょう…。田沢湖線が改軌したように、この奥羽本線の大曲駅~秋田駅間も改軌されたのですが、複線の区間は片側の線路しか改軌されませんでした。つまり複線のように見えて、単線が2つ並んでいる…という状態になっているのです(…なので同じ方向を走行中に、普通列車が秋田新幹線に追い抜かれる場合もあります)。
下の写真を御覧下さい。どちらも秋田からやってきた列車ですが、それぞれ使っている線路が異なっているのが分かります(軌道の幅は勿論違います)。日本の列車は左側通行ですが、左の写真の在来線車両は、右側通行として走行していますね。つまり、こちらから見て、左の線路が奥羽本線の在来線用で、右の線路が秋田新幹線用…という事です。日本では結構珍しいケースですが、一部には、秋田新幹線同士が行き違えるように、在来線軌道を三線軌条にしている区間もあり、更に複雑になっています。鉄道ファン的には興味深い事例ですね。
大曲駅でスイッチバックするという運転上、田沢湖線のホームは終着駅のような頭端式になっています。一方、そのまま駅を貫いているのが奥羽本線で、長いホームが存在するも、今や優等列車は1本も走らなくなってしまったので、その機能を持て余している感じでしょうか。この駅の主役は、完全に秋田新幹線…といった様子です。
大曲で有名なのは、全国花火競技大会(例年、8月の第4土曜日)が行われる事でしょう…。この時、盛岡方面から来た新幹線列車は大曲駅を始終着駅として増便を行い、大曲駅~秋田駅間では快速の臨時列車が設定されるそうです。いずれは見てみたいものです(花火も勿論ですが、そういった運転形態になっている状態も…笑)。
さて、田沢湖線としての“さんぽ”は終了しましたが、せっかくなので秋田新幹線としての終着駅である秋田駅まで乗ってみましょう。この間、駅は幾つもありますが、秋田新幹線の列車は全て通過し、大曲駅を発車すると、次は終点の秋田駅…という感じになります。秋田駅こそ新幹線には専用のホームが割り当てられ、改札も在来線とは別になっているので、同じ地平ホームとは言え、独自の雰囲気が漂っています。
そして、秋田駅で見られたE3系とE6系の新旧の共演…。こういった共演が見られるのも、何気にあと1年ぐらいと言われています…。E6系だけが注目されている今日ではありますが、今こそE3系に注目したい時期なのかもしれません。E3系の『こまち』号からの引退は寂しくもありますが、それでも『こまち』号がE6系ばかりになる日が楽しみでもありますね。列車の高速化は、まだまだ留まる事を知りません!
まあ、ちゃんと下調べをして書いてますからね(笑)。
旅行の案内は大得意です。余計な情報が細々入りますが…。
>たけちゃんさん
ありがとうございます。何気に何年もやってますからね(笑)。
写真はタイミングも大事なので、いつも集中して撮ってます♪
どれかわかった??
賢治ファンなので岩手と聞いただけで興奮します。
上から2段目(最初から数えて4枚目)の、
新幹線のボンネットが開いている写真の
右上辺りを見てみて下さい。薄っすらと
ですが、デカデカと岩手山がありますよ。
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