今回訪れたのは、イタリアのフイレンツェとローマの2都市で、これは5年前の2007年にイタリアを旅行を敢行した時〔竹内大輔の写真日記(~2009)、旅日記 15.(イタリア、ローマ・フィレンツェ編…2007.7.21~7.27)参照〕と全く同じ訪問先なのですが(笑)、やはりイタリアで行きたい場所となると、真っ先に自分の中で挙がるのがこの2都市なのです。それくらい、行きたい気持ちが大きくなってきていたわけでもありますが、今回は先にフィレンツェに入り、その後にローマに移動する行程をとらせて頂きました。少しでも日程に変化を付けようとしていたわけで(笑)、それは旅行に新鮮味を与えるという意味でも大きいものでした。
イタリアに行くのは今回でもう3度目で、そろそろ慣れも生じてきます…。そうなると、更に色々な場所に行ってみたいという思いが出てくるのも当然で、そういった行程も随所に組み込ませて頂きました。そのもっともたるものが、フィレンツェに向かう飛行機の、今回の乗り継ぎ地としたオランダのアムステルダムで、少々の市内観光を行った事でしょう。乗り継ぎに5時間以上の時間があったので、空港を出て、初めてのオランダの地に足を踏み入れてみましたが、これがとても印象深い訪問でもあったのです。
またまた長い記事になると思いますが(特に、イタリアに到着するまでが長そう…笑)、どうぞご覧下さい。久し振りのヨーロッパ旅行で、浮かれている様子がよく分かります(笑)。
●KLMオランダ航空で、アムステルダム乗り継ぎ、フイレンツェへ…
今回、イタリアへの旅行に選ばせて頂いた航空会社は、KLMオランダ航空(以下、KLM)でした。設立は1917年と、創設期から名称を変えずに現在に存在する、世界で最も古い航空会社の流れを組む組織で、現在では、フランスのエールフランスと持株会社方式で経営の統合を行い、お互い、それぞれのブランドは生かし、広大なネットワークで世界中を飛んでいます。
日本語のHPもあって、非常に利用しやすく、今回の航空券もこのHPから購入させて頂きました。エールフランスとの共通の組織、そして傘下にある航空会社のネットワークも一同に選ぶ事が出来るので、今回、行程的には成田→フィレンツェ→(陸路移動)→ローマ→成田…という感じに組んだのですが、KLM純粋のフライトは、成田から乗り継ぎ地のアムステルダムのみとなっていて、そこからフィレンツェまではエア・ワンという航空会社で、アリタリア航空の機材で運用されている便、そして帰りはエールフランスで、ローマからフランスのパリに飛び、そこで乗り換えて、やはりエールフランスの便で成田まで戻ってくる…というものでした。
つまり、合計3つの航空会社に乗った事になったのですが、これが全てKLMのHP上で手配でき、あたかも全て同ブランドの航空会社で移動しているような、気軽な感じで旅行が楽しめるのでした。帰りをエールフランスにしたのは、日本~ヨーロッパを結ぶ各航空会社の中で、最も遅い時間に現地を出発する便がある為(時期によって異なりますが、概ねパリを23:30頃に出発します)で、現地の滞在時間(帰路日は、ローマを20:00頃出発する便に乗れば良いのです)を少しでも伸ばせる為でもありました。
このようにネットワークが広大なので、色々なフライトから旅行の日程を選ぶ事が出来ます。ひとまず今回は、最初の目的地をフィレンツェにしたのですが、調べてみると、どうやら乗り継ぎ地であるアムステルダムからの便の設定が少ないらしく、乗り継ぎ時間に5時間以上を要する事が分かりました。…しかし逆に、その時間を利用して、アムステルダム市内を観光出来るという事でもあり、自分は喜んでその便に決定したので。そもそも目的がイタリアではなくなっていますが(笑)、これは大正解の決断でもありました。お陰で、今回初訪問となるオランダにも足を運ぶ事が出来ましたし、オランダの魅力を知る切っ掛けにもなったかもしれません。そして、ルート選びの魅力も教えてくれた、KLMに感謝したいくらいでしたね。
さて、KLMオランダ航空の成田出発は10:40。そこには、世界で一番古い航空会社だから、空の青の塗装を使えたと謳う、青色ベースのボーイング747-400M型が待っていました。貨物との混載型機で、座席の後ろの方も貨物スペースになっている珍しい機材ですが、この航空会社では何機も飛んでいる機材でもあります(それだけ貨物の搭載量も多いのでしょう)。
…そして、当初はエコノミークラスで予約していた自分だったのですが、プラス15200円で、エコノミー・コンフォートという1つ上のクラスの座席にアップグレード出来るとの事で、これもHP上で簡単に手配出来てしまうので、今回はこのクラスを利用してみる事にしました。機内食等の機内サービスはエコノミーとほぼ変わりませんが、何といっても座席の大きさが一回りは違い、前の座席とのスペースも広くなっているので、これは12時間を超えるフライトには嬉しい設備でした。ただ、自分は右側の窓側の座席を選んだつもりだったのですが、この機材では、エコノミー・コンフォートの設定場所が、機内の左半分のスペースを使ったものになっており、端は端でも、自分の右側には壁…という状態だったのは迂闊でした(機内右半分がギャレーという設定でした)。席を替えようにも、既に満席となっており、しぶしぶこの位置で12時間を過ごす他ありません。…とは言え、普段より大きめの座席で居心地は非常に快適で、機内食とお酒(オランダといえばビールのハイネケンですね!)と映画を堪能したら(外の景色こそ堪能出来ませんでしたが…笑)、すぐに現地に着いてしまった…という印象でした。これは、15000円の価値は充分にあったという事でしょう。
さて、オランダのアムステルダムに着いたのは、現地時刻の15:05。乗り継ぎのフィレンツェ行きのフライトは20:40発だったので、5時間半の余裕があります。この時間を利用して、市内に出てみない手はありません…。ただ、このアムステルダムのスキポール空港というのは、乗り継ぎに最も適した空港とも言われていて、しかも世界でも常に人気の高い空港でもあるのです。すぐ市内に出るのは勿体無いので、ちょっと空港内散策でもしてみましょう…。何だか、徐々に旅らしくなってきたではありませんか♪
スキポール空港は、ヨーロッパの中でも大空港の1つとして数えられています。ヨーロッパの中の代表的な空港というと、恐らく御三家的にはロンドンのヒースロー空港、パリのシャルル・ド・ゴール空港、フランクフルトのマイン空港となっていて、イギリス、フランス、ドイツの大都市の空港なので当然とも言えそうです。しかし、今回のスキポールも、それらと方を並べる大空港で、オランダという小さな国の割りには、その規模は特筆される程です。
…と言うのは、そもそもこの空港は、乗り継ぎ客を主体にした造りにしているからです。ここを拠点とするKLMもその事は充分承知していて、オランダ自体を行き来する客数は、国の規模からしてそんなに見込めないので、ここを経由すると、色々な場所に行けますよ…というようにアピールをしているのです。実際、自分がそうで、フィレンツェぐらいの小さな都市にある空港ですと、日本から直行便はなく、国際線はヨーロッパ内への便のみ…。こうなると、どこを経由してフィレンツェに向かえば良いか…という事になるわけで、今回の場合、イタリアの都市を経由するより、オランダを経由した方が安かったのです。これは日本発着に限らず、今回は乗り継ぎ時間が結構ありますが、要はフィレンツェ行きの便の2時間ぐらい前に、他の場所からの到着便があれば、皆オランダを経由する事で便利に移動出来る事になり、その為にスキポール空港利用者も多くなっているのです。
乗り継ぎ利用客が多いのには、オランダの位置も関係しています他の大都市であるロンドンやパリですと、ヨーロッパの中では少し西に寄っている感じがします。そう考えると、アジアからヨーロッパへの道筋を見た場合、オランダ経由というのは距離的にもロスが少なく、短い飛行時間で目的地に結べるのです。また、ロンドンやパリの空港は規模が大き過ぎて、乗り継げる選択肢は多いものの、スムーズに乗り継げるかというと、ターミナルが複数あったりして、これまた大変になる事が多いのです(今回の帰路ではパリを経由しましたが、乗り継ぎ時間が1時間半でギリギリでした)。
規模が大きくなると、ターミナルが複数になるのは止むを得ませんが、ここスキポール空港ではワン・ターミナル・コンセプトを掲げており、規模は大きくしているものの、ターミナルは全て1つとしてしており、これは全ての場所に徒歩のみで移動できる事を意味しています。日本からここを経由してヨーロッパ内に入る場合、EU圏なので当空港で入国審査をしますが、これも矢印に沿って歩いて行ければ、迷わず着く事が出来ます。その先が国内線(ヨーロッパ内路線も含む)系のターミナルになっていて、あとは次の便の搭乗口まで向かえば良いだけです。
ちなみにこの空港では、到着客も出発客も、同じターミナル内を共有出来ます。これがある意味で自由さを表していて、例えば成田空港では、到着した客は矢印通りに進むしかなく、出口に強制的に向かわされてしまいます…。しかしここでは、降りた客が空港内のお店で買い物をし、乗り継ぎ客が空港の外に出るのも出ないのも自由なのです。本当に、色々な目的の利用者がここを通過しており、それが空港の人気にも繋がっているのかもしれませんね。
さて、それでは空港の外に出てアムステルダム市内まで行ってみましょう。ここでは、空港の直下にオランダ鉄道(旧オランダ国鉄)の駅が入っており、市内のアムステルダム中央駅までは15分~20分程です。ホームに降りると早速、黄色塗装の車両が行き交っているのが目に飛び込んできました。ここは中間駅でもあるので、列車は停まってはすぐ発車するといったように、なかなか忙しそうな雰囲気です。列車本数は多く、そもそもオランダという国は鉄道密度の高い国でもあるので、ヨーロッパにありがちの電気機関車タイプの車両よりも、電車タイプの車両を多いというのも特徴の1つだそうです(日本で全国的に電車方式での運転が盛んなのは、かつて日本の鉄道省がオランダの電車網を視察した時に、日本にもこの方法が相応しいと思ったからだそうです)。
自分が乗ったのは総2階建ての車両で、DDM型と呼ばれる客車タイプの車両でした。つまりは電気機関車が客車を引っ張るタイプの車両なのですが、デザインが客車と機関車で揃えられており、プッシュプル方式といって、編成の前後に機関車が連結(世界的に多い方式です)されているので、見た目には電車と遜色無い感じではあります。
列車は地下駅のスキポール空港駅を出発すると、すぐに地上に出て、快調に空港を離れていきます。広大な平地を走り抜けていくといった雰囲気で、どこか北海道の景色にも似たような感じでしょうか(ちなみに、緯度的には北海道の宗谷岬を超え、樺太辺りだとか)。その景色も徐々に街並みが現れ、メトロ路線と並行したりして、ドーム型の天井が特徴的なアムステルダム中央駅に到着しました。ホームは5面あり、国の玄関口の駅としては、思ったより規模は小さいなと思いましたが、立派で、そして旅情を掻き立ててくれる駅です。
アムステルダム中央駅の駅舎は煉瓦造りで日本の東京駅に似てて、以前は東京駅がアムステルダム中央駅をモデルにしたと言われていましたが、建築様式の違いから、現在ではほぼ否定されているそうです。…とは言え、これら2つの駅は姉妹駅ともなっていて、やはりお互いに認め合っている感じもしなくはありません(笑)。
それにしても涼しいです。日本や、これから行くイタリアはきっと猛暑なのでしょうけど、ここでの気温はこの時点で19℃くらいになっていて(夕方はもう少し肌寒くなります)、少し長袖が欲しくなるくらいとでも言いましょうか。ただ、日差しが気持ち良いくらい注いでくるので、半袖でも十分という気にもなれます。
では、市内散策に出向いてみましょう。中央駅周辺ですと、徒歩のみでも結構回れそうでしたが、自分としてはやはりトラムに乗ってみたいところです。路線網は16にも及び、環状路線や放射路線が運転される等、アムステルダムでは重要な交通機関の1つでもあります。運賃は OV-Chipkaart という、いわゆる日本の Suica のようなカードを使うのが一般的のようですが、トラムには車掌が乗務していて、そこから1回券(1,6€…約180円)を購入して乗りました(ゾーンの範囲内なら、確か90分間は乗り換え自由)。日本よりは結構スピードが出すようで、路面電車…という感覚よりかは、軽快な電車…という感じなんでしょうね。
トラムでどこへ…という事になりますが、そもそも今回はオランダが観光のメインではないので(笑)、ガイドブック等も持ってきていない状況故、行き当たりばったりしかありません。まあ、それがまた楽しいのですが、とりあえず停留所を3つくらい過ぎた辺りで降り、寄り道しながら中央駅に戻るようなルートをとってみました。
歩いてみると、ヨーロッパ調の街造りに、運河、トラム、所狭し路地に沢山の店が並ぶ等、ある意味で独特な雰囲気があるような感じでした。観光客も恐らく多いでしょう。行き交う人は様々で、広場や教会の前等には常に沢山の人種の人だかりが出来ている感じでした。
歩いている途中に見付けた、フレンチフライの専門店?…フレーバーを幾つか選べ(別料金)、何だか予想以上に美味しかったです。ポテトのレベルが基本的に高いのかもしれません…。
この後も大いに練り歩き、あっという間に3時間くらいは経ってしまいましたね。ただし、これ以上細かく書くと、メインがオランダ旅日記に成りかねないので(笑)、この辺りで空港に戻りましょう。少し治安が良くないとのイメージがありましたが、観光客の多さと、街の雰囲気から察するに、よほど変な場所に行かなければ大丈夫かなという印象でした。
ただ、皆さん御存知の飾り窓地区と、大麻が合法という事に関しては、恐らく昼間は大丈夫でしょうが、夜だと安全の確証は出来ないかもしれないですね…。合法ドラッグが売っているお店は、こちらではコーヒーショップ、ドラッグショップと呼ばれ(普通の喫茶店はカフェ、薬局はドラッグストアです)、街中の至る所に店を構えています(どちらかというと、あまり大通りにはありませんでしたが…)。結構昼間からキマっている人もいたりして(匂いがきついので…笑)危険な感じですが、それもまたアムステルダムの風情だと思えば良いのかもしれません。…とは言え、オランダは非常に合理的主義の国…。大麻や売春を合法とする事で、国が成り立っている…というように考えると、必ずしも治安の悪さに直接結び付けては良くないようにも感じました。
結果的に、何だか楽しそうな街…という印象になったアムステルダム(笑)。そんなに広い街でもないので、また飛行機の乗り継ぎ時間をわざと長くしたりして(笑)来ても良いかな…という感じでした。ちゃんとした観光スポットには今回行かなかったので、また訪問する必要はありそうです。その為には、アムステルダム乗り継ぎをあと5回くらい行えば良い感じでしょうか(笑)。夢は広がります♪
さて、長くなってしまいましたが、改めてスキポール空港に戻り、フィレンツェ行きの飛行機の搭乗口まで向かいます(こちらもスムーズに進めました)。今度乗るのはイタリアのアリタリア航空で、エールフランス・KLMとコードシェアを行っている便でもあります。機材はA319という機体で、日本の航空会社でもポピュラーなA320の短胴型の飛行機です(日本の航空会社はA319は所持していません)。アリタリア航空は、自分が初めてイタリアに行った2002年に使った航空会社で、それ以来の搭乗ともなるので(経営母体が変わってしまいましたが…)、今回フィレンツェへの便で乗れるというのは嬉しい限りでもありました。座席も緑色を基調としており、当然の如くCAが話すのもイタリア語(…と英語)。いよいよイタリアが近付いてきたのを感じます。
アムステルダム出発が20:40という時刻で、更に少々遅れての出発だったものの、太陽はまだ沈む事はなく、ヨーロッパ特有の西日らしい空模様の中で飛行機は離陸していきました。改めて広大なスキポール空港が目に飛び込んできましたが、これもまた良い時間です。やはり飛行機は窓側に限ります(笑)。しかし、身体も疲れていたのでしょう。暫くは窓の外に釘付けという感じでしたが、いつの間にかウトウトと眠ってしまいました…。
気付くと飛行機は降下を始めていました。外も暗くなっており、所々に街明かりが見えてきています。フィレンツェ到着が22:30の予定だったので、流石に真っ暗だとは思いましたが、その街明かりは徐々に明るく見えてきて、街が近付いてきているのを感じます。そして、15分遅れで飛行機はフィレンツエのペレトラ空港(アメリゴ・ヴェスプッチ空港とも呼ばれます)に着陸しました。小さい空港のようで、飛行機も自分が乗ってきたのが最大機種ぐらいでしょうか…。空港の規模からすると、やたら大きく見えたものです。
オランダからの到着なので、空港から出る手続きと言えばもう荷物を受け取るだけです。そういえば5年前にイタリアに到着した際には、ローマの空港でそれを行いましたが、荷物が出てくるまでに30分以上も要するという、少し苦い思い出がありました。大きな空港だからなのか、イタリアというお国柄なのかは分かりませんが、ここはスムーズに通過したいものです。…と、そんな心配もよそに、荷物は一瞬で出てきました。やはり小さな空港の方が、こういった事は難なく進む気がします。
フィレンツェ中心部へはバスも出ていますが(30分毎)、スーツケースもありますし、もうタクシーでホテルまで直接向かってしまう事にしました。流石に疲労が溜まってしまっていて、タクシーを使っても15分程度(深夜帯で、荷物料金も合わせて約25€…約3000円)なので楽と言えば楽なのです。
そうして、無事にホテルへのチェックインは完了。時刻は23:20頃でした。このまま眠ってしまいたいところでしたが、最後の力を振り絞って、どこか開いているレストランへ…。ビールとピザを注文し、やっと到着出来た事に対する自分への労いとさせて頂きました(笑)。明日からはいよいよ、本格的なイタリア旅の始まりです。十分に休んでおきましょう!
まだまだ続きます!