空港線は、本線の京急蒲田駅から分かれますが、最近までこの京急蒲田駅が手狭で、ダイヤ上のネックとなっていました。当初の京急蒲田駅での空港線への線路は1線のみで、これで上下線共用となっていました。本線と線路は繋がっていましたが平面分岐で、例えば、空港線から本線の品川方面に進むには、横浜方面の線路を跨いでから進まなければならない状態でした。そして1線のみの京急蒲田駅から空港線に入っても単線区間は続き、急カーブと国道15号線の踏切を超えて、やっと複線区間に入るのです。
それなのに、日中は1時間に上下合わせて18本の列車を運転させ、それら空港線系統の列車は全て、品川方面にも横浜方面にも直通列車を設定していたのですから、正に神業的?なダイヤだったと思われますが(笑)、流石に本線も含めて2000年から全面的に高架化が進められ、最近の出来事とも言える2012年10月21日にそれが完成…。京急蒲田駅は3階建て構造になり、1階に改札、2階に本線上り線、3階に本線下り線と、完全に本線側では上下線が分離されたのでした。勿論、国道15号線との交差も、完全に立体交差となり、開かずの踏切と言われていたこの区間の渋滞も解消されたのです。
とにかく、ダイヤ上のネックは瞬く間に改善され、この高架化の完成で京浜急行はダイヤ改正を実施、日中は品川方面も横浜方面も10分間隔で直通列車が運転される(要は1時間に、上下合わせて24本の運転)、より便利なダイヤになりました。品川方面に向かう列車は快特ばかりとなり、所要時間も、急行列車時代より大幅に短縮される事になったのです(品川駅~羽田空港国内線ターミナル駅…22分→15分)。
個人的に、現在の自宅に引っ越してからは、羽田空港へは東京モノレールを利用した方が早いので、暫くはこちらばかり使用していましたが、より便利になった空港線を、今一度見ておきたい気持ちはありました。昔から軽快なダイヤを組む京浜急行としては、更に更にダイヤ改正が行われていくのでしょうが、常に運転系統が複雑に絡む現在の空港線を今回は“さんぽ”してみたいと思います!…短い路線ですが(笑)、どうぞ!
●日時…2012年12月24日 ●距離…6,5km ●駅数…7駅
まずは、現在の京急蒲田駅の様子を見てみましょう。普段は通過する事が多く、あまりの変貌振りに驚いてしまいましたが、とにかく、品川方面からやってくると、列車は3階部分に到着をします。羽田空港行きでしたら1番線、横浜方面でしたら3番線に着く事でしょう。では2番線はどこに…と思いますが、これは3番線の横浜寄りに用意されていまして、構造的に切り欠き式ホームとなっていて、本線の普通はここで優等列車を待避出来るようになっているのです。
これが本線下り線のホームで、本線上り線のホームはこの下、2階部分に位置し、横浜方面からの列車が6番線、羽田空港から品川方面に向かう列車が4番線に到着し、やはり間の5番線は優等列車待避用のホームとなっています(右上写真参照)。つまり、かなり長い構内を有しているわけで、ホームそのものは、3、6番線が12両対応、2、5番線が6両対応で、それらは繋がっていますから、実に18両分ぐらいの長さはある事になるのです。
本線系統でのホーム使用状況は割りとシンプルなのですが、今度は少し複雑な、空港線系統のホーム使用状況を見てみましょう。空港方面へのホーム割り当てを見てみると、3階部分の1番線と、2階部分の4番線から…というように案内されています。これはどういう事かというと、品川方面からも、横浜方面からも直通列車が設定されているからです。つまり品川方面からの列車は、本線下りホーム用の3階部分に到着するわけですが、横浜方面から空港に向かう列車は、本線上りホーム用の2階部分に到着するので、ここでスイッチバックして、空港に向かう構造になっているのです。ちなみに、この時に使う線路は、空港から品川方面に向かう線路と共用しているので、ある意味で単線構造とでも言いましょうか…。
空港線からの列車も似たような感じです。品川方面に向かう列車は、2階部分の4番線に到着をする(この時、先程の横浜方面から空港線に乗り入れる列車と、同じ線路、ホームを使用する事に注目!)のですが、横浜方面に向かう列車は、3階部分の1番線に到着をするのです。この時やはり、品川方面から空港線にの入りれる列車と、線路、ホームは共有せざるを得ません。
段々ややこしくなってきましたが(笑)、京急蒲田駅自体がY字のような構造となっていて、空港線と横浜方面を結ぶ列車はスイッチバックを行う…というのがポイントだと思います。都内ではなかなかスイッチバック自体を見なくなってしまいましたが、ここでは1時間に上下合わせて12本が設定されており、そして京浜急行のそれは相当迅速に行われます。停車時間も1分あるかないか…ぐらいでしょうか。単線平面時代と比べて、だいぶダイヤの制約は無くなったように思うのですが、それでも線路の許容量を限界まで使うのが京浜急行流(笑)。最新式になった現代でも、その精神は受け継がれているように思える駅でした。
…では、今度は外から当駅を眺めてみましょう…。高架化が完成したと言っても、まだ2ヶ月程しか経っていなく、駅の方はまだまだこれから整備を進めていく感じでした。まだ地平時代のホームが残っていましたし、完成していないエスカレーターとかも幾つかあった気がしました。全面完成すると、また違った雰囲気になるのでしょうか。楽しみです。
地域的には、やはり国道15号線との立体交差が大きいでしょう。ここでの渋滞は本当に慢性化していましたし、元旦に行われる箱根駅伝の通り道ともなっていた為、ダイヤ的にも制約の大きい状況ではあったのです。写真を見ると、上下2層構造となっているのがよく分かりますが、空港線のこの区間では、どちらが上り線、下り線…という感じではなく、それぞれが共用する単線並列式となっているのは、先程説明した通りです。
ではこのまま、隣りの糀谷駅まで歩いてみましょう…。高架化された下には、最近まで使われていた線路がまだ残っており、ここには確かに鉄道が通っていたのだと窺わせてくれます。昔は京急蒲田駅を出ると、単線で急カーブで国道15号線の踏切を渡り、直線区間になって、やっと複線区間に入ったもので、そして空港方面行きの列車に乗ると、よくこの辺りで、空港からの上り方面の列車が信号待ちをしていたものでした。当時は(今でもですが)相当ゆっくり走行していた区間でもあり、何だか印象に残っていた場所でもあったのです。昔では考えられない構造になってしまいましたしね…。
この京急蒲田駅~糀谷駅には、大事な見所があります。それが、両駅の真ん中辺りに設置されたシーサスクロシングで、ここで初めて空港線は、単線並列区間から複線区間へと移り変わるのです。糀谷駅から京急蒲田駅側を臨むとよく分かりますが、上下2層構造から、同じ高さに線路が揃ってきた時に、そのポイントが設置されているのが見えると思います。
京急蒲田駅寄りでは、どちらの線路も上下線が行き交いますが、このシーサスクロッシングを超えて糀谷駅側は、ちゃんと上下線が分離された、通常の運転形態となるわけです。つまりは、現在のダイヤ上の唯一のネックでもあるでしょうね。京急蒲田駅側で線上下線の線路を共用している為に、どれかの列車が遅れると、その線路を塞ぐ状態にあるので、逆方面の列車にまでそれは波及してしまうのです。
“さんぽ”中にもそれは起こりました。本線系統の列車が遅れた為に、品川方面からやってきた、京急蒲田駅1番線を発車した列車が5分遅れ、そのすぐ後に同じ場所を走行する、空港方面から横浜方面に向かう列車(やはり京急蒲田駅では1番線を使用)が、糀谷駅の先で時間調整を行わなければいけない状況になっていたのです。そうなると、空港線からの後続の品川方面に行く列車も遅れ、この列車は京急蒲田駅では、2階部分の4番線を使用しますから、今度は横浜方面から空港線に向かう列車(同じく4番線を使用)に影響し、、、。…と、なかなか遅れを取り戻すのが大変です(笑)。それでも、迅速対応の京浜急行ですから、いつの間にかダイヤは正常に戻っているのですが、とにかく、ドラマチックな運行が今日も続けれている…と思って頂けると幸いです(笑)。
…さて、陽も暮れてきましたし、先に進みましょう。もう、空港線の話題の7割方は過ぎてしまいましたし(笑)、後は空港に向かうのみです。次の大鳥居駅は1997年に地下化され、糀谷駅から乗ると、高架から一気に地下へ、そして更に次の穴守稲荷駅で地上に出るので、なかなか変化があって面白いです。
結果的に現在、空港線で地平駅なのは、この穴守稲荷駅となりましたが、他の駅と見比べてみても、この駅だけは素朴感が保たれて良いですね。そもそも空港線は歴史ある路線で、その開業は1902年の事です。まさかこのような変貌を遂げるとは、当時としては想像もつかなかった事かもしれませんね。ちなみに開業時は、空港島での潮干狩りや海水浴、当時島内にあった穴守稲荷神社の参詣、観光的な要素が強い路線でもあったそうです。
穴守稲荷駅を発車すると、すぐに地下区間へと入り、東京モノレールとの接続駅、天空橋駅へと到着します。もうここは空港敷地内であり、京急蒲田駅周辺の高架化が完成するまでは、ここでやっと、空港線という名前の路線らしくなってきた!…という感じがありましたが(それまでの道のりが、下町っぽい雰囲気の所を走るので)、今では京急蒲田駅自体がだいぶ近代化されてしまったので、当時程の感想は抱かないかもしれません(笑)。ここからはずっと地下区間になります。
そして、2010年10月21日に開業した、羽田空港国際線ターミナル駅へ…。駅メロディとして、SMAPの“世界に1つだけの花”が採用されていたり(そういえば京急蒲田駅では、ラッツ&スターの“夢で逢えたら”が使われていました…大田区出身メンバーが多い為だとか…)、ホームドアが設置されていたりと、正に現代の駅!…という感じがあります。東京モノレールにも駅はあって、あちらは地上に設置され、改札を出るとすぐにチェックイン・カウンターがあるので、利便性では向こうが1枚上手かもしれません。ちなみに、ここから次の羽田空港国内線ターミナル駅までは通常130円掛かりますが、羽田空港に於いて国内線⇔国際線を乗り継ぐという理由でこの区間を利用する場合、無料で乗車出来ます(パスポートと航空券の提示が必要で、乗継乗車票を発行して貰い…と、結構面倒…笑)。
…そんなこんなで、終点の羽田空港国内線ターミナル駅に到着です。ちょうど、羽田空港の第1ターミナルと第2ターミナルを結ぶような形でホームは置かれており、故に利用航空会社によって、それぞれの出口が異なるので、これは要確認という感じですね。一応、色別になっているので、JALかANAか…というのは分かりやすいですが…(上写真参照)。
ここから出る列車の行先は本当にバラエティに富んでいて、昨今は横浜方面行きの列車が大増発されましたが、品川方面に向かう列車も多種多様です。品川駅行きは勿論、都営浅草線を介して押上駅(近年、東京スカイツリーが出来たので、俄かに宣伝に力を入れてます)行き、京成線に入って青砥駅、京成高砂駅行き、そのまま北総開発鉄道に入って、千葉入ータウン中央駅行きや、印旛日本医大駅行き…。そして、更に奥まで行って、成田空港駅行きまであるのです…。現在、羽田空港国内線ターミナル駅~成田空港駅の所要時間は、最速で93分となっており、日中は40分毎の運転と、意外に使えるようになってきた感じもしています。成田空港方面の路線については、またこのブログで取り上げてみたいものですね。
使用される列車も多種多様…。京浜急行電鉄自社の車両だけでも結構な種類があるのですが、それに都営浅草線、京成線、北総開発鉄道、千葉ニュータウン鉄道の車両が加わり、特に品川方面行きの列車では、自社の車両になる事の方が稀な状況です(笑)。それも、乗り入れがバラエティに富んでいる京浜急行ならではの特徴なのかもしれません。
せっかく羽田空港まで来たので、展望デッキにでも上がってみる事にしましょう。今回で、2012年最後の“鉄道さんぽ”となりましたが、今年はツアー三昧の年でもありました。その時に使っていた空港というのは、紛れも無く羽田空港が多かったわけで、その締め?として、またこの空港に来れたというのは、何だか気持ち的にも良かった気がします。
…という事で、ますます気軽になる飛行機移動と、それをアクセスする鉄道の発展をお祈りする形で、“鉄道さんぽ”を締め括りたいと思います。どうもありがとうございました!
☆京浜急行電鉄のHP…http://www.keikyu.co.jp/index.html
…遠いですけど(笑)。
えー?乗る生活してた時は寝てたからなぁ。
次は新逗子線やってください!
おー、よく見てますね。だいぶ景色は良くなりましたよね。
そして、相変わらずスピードをぶっ飛ばしでいるので好きです。
羽田空港から見える富士山も、また良かったりしますよ♪
>ぽぽさん
寝てる!?…勿体無い(笑)。
京急線は今回取り上げちゃったので、京急の
他の路線でも暫くは無いかもしれませんなあ…。
ちなみに、逗子線です。“新”は駅にしか付きません!
逗子線でしたか。そうですか。