渋谷 Duo の前に立つと、やはり大きい会場だなと…早速圧倒されてしまいます。中に入ってもそれは感じ、このフロアをお客さんで埋められるのかと不安になりますが、もうここまで来たら自分達の持てる全ての力を出し切るステージをやり切る!…という考えにシフトしていく方が賢明でしょう。その為には普段通りの自分達の雰囲気作りも大切で、楽屋は意外な程にリラックスした空気に溢れていたかもしれません。
さて、開場と同時にフロアでは DJ Time が始まり、徐々にライブの雰囲気を盛り上げていってくれています。そう、ここは渋谷 Duo…。基本的にはオール・スタンディングで設定され、いわゆるクラブ・スタイルでのステージングが求められるのです。
そうこうしている内に、開演の時間となりました。それまで続いていた DJ 音楽から、こちらで用意した SE に変わっていき、それはよく聴いてみると、自分達の今まで出したCDの楽曲を短く繋げて加工された特別なもので、これは期待感が高まってしまいます。そこに、自分達を戦艦に見立てたようなインフォメーションが入り(船長が織田…みたいな…笑)、いよいよ自分達の入場…、そして演奏に突入しました。出発進行!…みたいな感じでしょうかね(笑)。
最初に演奏したのは、お馴染みの“Sunlight Yellow Over Drive”…かと思いきや、イントロを掻き回したその瞬間、織田、藤田の2フロントによる、お客さんへの(自分達への…でもあったのかも…)掛け声を挟み、すぐに次の曲、“Night Hawks”に突入するではないですか。こちらは心地良いテンポのジャズ風ナンバー。クラブというこの場所で演奏するのは、普通に考えたら珍しいのかもしれませんが、それがクラブ・ジャズ・バンドの中の TRI4TH の特徴でもあり、魅力だとも思うのです。ある意味で“ジャズ”というものに真っ向から勝負しているとも言え、これは今後もブレずにやっていきたい特徴にしていきたいものでした。
続けて、息の長いナンバー“Yellow Butterfly”、そのまま“燃えよ十五夜”へ…。この辺りはとにかく勢いを大事にし、手拍子を煽り、そして踊らせたいとい気持ちを多めに(笑)やらせて頂きました。改めて会場を見渡すと、広めのフロアには本当に沢山のお客さんで溢れていて、今までの不安が、一気に安心へと変わり、むしろ「心強い」とまで思ってしまった程です。お客さんは勿論なのですが、今までのライブで関わってくれた方や友人等の表情もチラホラ見え、何だか凄く楽しくなってきてしまうのでした。何とも贅沢な時間ではないですか。
この次には、“ドンパン節”をお送りしました。これは秋田県の民謡なのですが、自分達が全国各地で演奏する時に課題にしているもので、各地の民謡をジャズ・アレンジしてお送りする…というものがあります。例えば札幌に行った際には“ソーラン節”をやりましたし、鳥取に行った際には“貝殻節”という曲をお送りしたりしました。“ドンパン節”は自分がアレンジを担当したのですが、有難い事に好評をもって迎えられまして、今回のセットリストに加わったのでした。原曲のイメージを大切にしつつ、それでいて大胆にジャズ風にアレンジしまして、今回の会場でも好評だったようで良かったです。これら民謡を集めたCDを作るというのも面白そうだなと感じたりしました。
まだここまで、都合4曲(最初の、“Sunlight Yellow Over Drive”のイントロは除く)しか演奏していませんが、既に会場は熱くなっている感じがありました。こちらとしても、相当な気迫で臨んでいたと思いますので、紆余曲折の中の感情で進んだ4曲だったように思います。…ここで少し気持ちを入れ替えて、もっとお客さんと楽しもう!…と思えたのは、良かったのかもしれません。自分達はステージ上だけで演奏しているのではなく、この会場で、お客さんと共に時間を過ごしているのですから…。さあ、まだまだライブはこれからです!
早速ですが、ここでゲストの登場です。JiLL-Decoy association というバンドから、ギターの Kubota さんをお呼びしました。自分達のレコーディングにも参加してくれていますし、個人的にも古い付き合いのあるギターリストの方でもあります。そう考えると、今回こうして自分達のライブへの参加が実現したというのは感慨深く、大切に過ごしたい時間でもありました。まずはMCで、自分と Kubota さんの共通の趣味である鉄道について、軽く話しに華を咲かせ(笑)、いよいよ演奏へと向かいました。
まずは“Himawari”、そして“Seven”…。この2曲が、CDに参加して頂いた曲でありますが、せっかくなので、今回は更に、自分達が昔から演奏している“Wisdominant”にも参加して頂きましょう。振り返ってみると、どれもが難易度が高めの曲だったようにも思うのですが(笑)、ギターが入った事でサウンドに深みが増し、そして演奏者の人数が増えた事により、それぞれの曲のインタープレイ濃度が高くなり、正にこの時だけのスペシャルなステージが出来上がっていました。“Wisdominant”では、今までのバージョンではまず有り得ない、トランペットとギターのバトルという状況も生み出しましたし、見所の多い時間だったと思います。これで Kubota さんとの演奏が終了してしまうのは勿体無いですが、我々は先に進まなくてはなりません。次の展開へと繋いでいきましょう。
今までが前半戦とすると、ここからはバラエティに富んだ後半戦…とでも言いましょうか…。まずはカバー曲の“Lisa”から始まり、初PVで話題にさせて貰った“TRY AHEAD”を続けて演奏していきます。ひとまず、ここでまたPVの動画でも貼っておきましょうか…(笑)。
この後、グッと雰囲気を変え、サックス(ソプラノ)とピアノのデュオで“Circle”をお届けしました。デュオで演奏する事で、この曲は更に感情が入れやすくなると言いますか、個人的には凄く演奏の自由度が高くなるのです。テンポの揺らしや、ダイナミクスのフレキシブルな変化等、演奏していく毎に曲の新たな魅力を発見したりするので、まだまだ終わりの見えない曲でもあるのかもしれませんね。
お次は、ピアノトリオ編成で“Black Panther”です。最近ですと、曲の後半は全員で演奏する事が多かったのですが、今回は最後までトリオのままで演奏していきました。ここではもう、あまり細かい事は考えず、とにかくお互いの音に反応して、良い受け応えをする…。そしてそれを元に更なる展開を見せて…、という事の繰り返しでしょう。そして、こういう状況の方が、予想以上に良いものが出来上がったりするもので、自分事ながら、「トリオ、いいですね~」と言ってしまいました(笑)。この部分も、もっと煮詰めても良いのかもしれませんね。
そして、時事的な問題作とも言える“キエフの空”を演奏します。こちらも違った意味で、あまり細かい事は考えたくないのですが、ただ我武者羅に演奏していくのが正解と言うか、自分の演奏の限界を知る…ぐらいの勢いで、やっていった感じはありました。…そんなこんなで、ライブも佳境が近付いてきましたよ!
ここでゲスト2人目です。quasimode というバンドから、パーカッションの松岡"matzz"高廣さんです。勿論、CDに参加して頂いていますが、やはり自分達のライブへの参加というと今回が初めてで、本当にファイナルは特別な事尽くしですね。この時点で、ライブも残り3曲という感じで、matzz さんも最後まで加わって演奏するので、後は皆でとにかく盛り上がって、今まで以上に楽しんでいこうではありませんか!…まずは、ライブ・スタート時にイントロだけを演奏した“Sunlight Yellow Over Drive”で、気合い入れて音を出していきます!
途中にドラムとパーカッションの掛け合いも入れつつ、すぐに“Rumble Fish”へ。この曲は、他の曲と比べると、そうテンポが速いわけでもなく、ガンガンに音を出していくという感じでもないのですが、実はこの曲のように心地良いテンポでずっと進めていくというのが、身体的にも馴染みやすく、そしていつの間にかテンションが上がってしまうものなのです。手拍子で煽り、パーカッションのバックでベースソロも熱いものを聴かせ…。これはボクシングで言うならば、ボディー・ブロウを常に与えていくような状況とでも言いましょうか…(笑)。確実にお客さんはノッっている(効いている)筈です♪
そして、ついに最後の曲になりました。自分的には「もう?」という感じでしたが、時間だけが確かにその事実を伝えてくれます。最後の曲はアゲアゲ・ナンバー(笑)“Dance 'em All”で、matzz さんが加わってのバージョンは勿論初めての披露です。ビートがしっかり刻まれている曲なので、打楽器系統の盛り上げ度は半端なものではありません。ちなみに、ピアノという楽器を自分は、半分は打楽器扱い?としてもいるので(笑)、その輪にも密かに入らせて頂いたりしていました。このツアーで作った団扇も取り出し、お客さんと一緒に楽しみます!
…しかし、何て素晴らしい時間なのでしょうか。こちらの1つ1つのパフォーマンスに、お客さんは素直に、そして温かく反応してくれますし、それを元にこちらも、更なる演奏で返していきたいという気持ちに自然になっていきます。個人でそうなのですから、バンド単位ではそれは大きいもので、それこそ会場が1つになっている瞬間でした。本当に楽しい時間を過ごさせて頂きました。ありがとうございました!
……、アンコールの拍手が鳴りやみません。もう、嬉しいの一言ですよね…。ここで、自分達からのプレゼント…というわけではないのですが、この日の為にアレンジした“きよしこの夜”を5人でお届けして、お馴染みのナンバー“Hammer Head”をお送りしました。展開が急過ぎた気もしましたが、とにかく、お祝いの時間というのを表現してみたかったのです。
そして、Kubota さんと matzz さんを改めて呼び出し、総勢6人で“New Life Standard”をお送りしました。これはシンプルな曲でもあるので、むしろ即興な部分を全面に出し、今回の出演メンバーの個性の共存と言いますか、それぞれのプレイと、プレイに対する呼応を楽しんで頂きたかった言いますか…。アンコール後だからこそ出来る、リラックスした持ち前のプレイを楽しみつつ、音楽でステージに立てている喜びの時間を味わえたように思いました。
…ここで終わりかと思いきや、再度5人になって、まさかのバラード曲“Rainy Holiday”で締め括りの曲とさせて頂きました。なかなか他には無い雰囲気で終わらせてしまいましたが(笑)、それがまた特徴的で良かったのかもしれません。最後の最後は激渋な時間でした。
こうして最初から最後まで、駆け抜けました。終わった頃は、まさかの3時間が経っているという、自分達も度肝を抜いたステージ時間でしたが、聴いている方々も大変だったと思います。改めて、長い時間本当にありがとうございました。良い経験をさせて貰えましたし、何よりも遣り甲斐がありました…。そして、確実に次へのステップアップが見い出せるものでしたし、このステージがあったからこその展開も期待出来そうです。多くのお客さんに囲まれ、自分達は本当に恵まれているなあと思った次第でした。ライブ後の皆さんとの会話も楽しく、そんな時間があるからこそのライブだったも思いますね。
さて、これでひとまず、『TRI4TH AHEAD』なるツアーは終わった事になります。このまま少し休んで…と言いたいところですが、何故だかあまりそういった気分にはなりません。むしろ、今回のこのステージ、そしてステージからの景色を見て、更なる展開へ今すぐにでも持っていきたいという気持ちです。流石にそれらの具体化は出来ていませんが、確実にメンバーそれぞれのモチベーションは上がる事になりました!…これからの TRI4TH にも大いに期待して良いと思います。この日、打ち上げを行い(車の関係上、飲めないメンバーもいましたが)、珍しくライブの反省会、感想を言いあう等の時間まで設け(笑)、何だか良い方向に傾いている感じがしたものでした。お疲れ様でした…。
それではまたライブ会場でお会いしましょう。皆様、どうもありがとうございました!
☆TRI4TH のHP…http://www.tri4th.com/
☆渋谷 Duo Music Exchange のHP…http://www.duomusicexchange.com/
TRI4THの皆さん全員の並々ならぬ気合を最初からビシビシ
感じましたよ。そしてそれは途切れることなく、心に迫る素晴ら
しいライブでした。
今回のブログの中に書かれてますが、確かに竹内さんの演奏に今
までで最も「打楽器」を感じる瞬間がありました。つき指しそう
?に激しかったですね。
アンコールで「New Life Standard」を聴いた時、3月に
メンバー加入発表があったライブで初めてこの曲をTRI4TH
でお聴きした時のことが頭をよぎり…その曲をこんな大きな会場
でたくさんの方といっしょに聴いてるんだな…と感慨深く思いま
した。いろいろ振り返って感動もひとしおです。
ライブ前後もいろんな出会いが楽しく、某学校の某部活メンバー
に(これでわかるのでしょうか?でも差し支えがあったりすると
申し訳ないので秘す)話しかけちゃったり…こわがらせちゃった
かもしれません、でも素敵に受け答えしてくれてありがとう!
…などなどでした。
ステージからのセールストークに負け(?)Tシャツも買っちゃ
いました。どこでどのように着ようかな、やっぱり夏のライブで
がいいかもしれません…それも含めて今後も楽しみにしています
!
感想がいくらでも書けちゃうくらいなんですがこの辺で~。
あれ、そんな現場を目撃されてましたか(笑)。
いやー、何にせよ、来て頂いて良かったです。
確かに長丁場なライブでしたが、楽しかったですよね。
また今後ともどうぞよろしくお願いします!
>おちゃさん
自分も、この日は特別な感じでした。このライブの後の
打ち上げで話した事なのですが、今年の3月に自分が
TRI4TH に加入し、その時点で既に新作アルバムの流れは
組まれており、明らかに自分は後発の参加だったのです。
そして数々のツアーを経て、今回のツアー・ファイナル…。
終えた時には、それはホッとしたものでした。それまで
作ってきた流れを邪魔してはいけませんし、何より自分の
バンドの立ち位置というのを、常に確認していた時期でした。
しかし、このツアーの流れが終わり、今後は新しい流れを
作っていく状況となります。これからは名実共に、皆と
ゼロからのスタートとなります。…なので、今まで以上に
これからが楽しみなのです。どうぞ御期待下さいませ!
いつもながら、どうもありがとうございました。