当然の事ながら、このツアーはCD『あかばなーのうた』のリリース・ツアー…という意味合いが込められており、通常のツアー演奏とはまた異なった気合いが感じられたものでした。そして会場が異なれば、演奏するメンバーも、バラエティに富んだ事になっていて、CD販売の為のツアーという括りでは片付けられないような、そんな充実した2週間になったとも思いました。どうぞ1つ1つの詳細を御覧下さいませ!
9月3日(1日目)
リリース・ツアー1日目となったこの日は、練馬区の大泉学園にある“ゆめりあホール”という建物内にて、“JAZZ Meets 沖縄”というイベントに出演するところから始まりました。この会場では割りとコンスタントに“ゆめりあ JAZZ”というイベントが行われているらしく、今回のテーマが“沖縄”という事になったらしいのですが、出演には西仲さんと自分の他に、ドラムにお馴染みの和丸君、そしてボーカルに大城蘭さんを迎えての布陣で演奏する事になっていました。
説明するまでもありませんが、自分以外のメンバーは全て沖縄出身のジャズ・ミュージシャンであります。なんか自分だけ沖縄出身でなくて恐縮な部分もありましたが(笑)、とにかく楽しくやっていきたいライブではありました。そして、和丸君は当初、パーカッションで出演するというように聞いていたのですが、この日が実は東京での最後のライブになるという事もあってか(来年からアメリカに出向き、このライブ後、ひとまず故郷の沖縄に帰る事にしていた為…)、フルセットのドラムを持ち込んで臨んでいました。…ここにもまた、気合いを持ったメンバーが1人いたわけで…(笑)。本当に頼もしい限りです♪
…という事で、新作CD『あかばなーのうた』の準備も万端にし、いよいよライブの始まりとなりました。最初は、このライブを企画して下さり、『あかばなーのうた』のライナー・ノートも書いて下さった岩浪洋三さんが挨拶をする予定だったのですが、御病気の為に欠席せざるを得なかったので、西仲さんが代役を務めての挨拶となりました(※)。
まずは西仲さんと自分と和丸君の3人で、インストで何曲かお送りしていきます。最初は自分達の紹介…という意味合いも込めて、ジャズ・スタンダードから数曲行いまして、そして徐々に沖縄民謡のジャズ・バージョンを聴かせていったのは、良い流れだとも思いました。当然、今回のアルバム『あかばなーのうた』のコンセプトの1つには、聴き馴染みのある沖縄民謡音楽を、自分達なりのジャズ風にアレンジして演奏する…という部分があったので、既にCDの内容のものを、自然に聴かせている事にもなっていたのです。お客さんもじっくりと聴いて頂けていて、演奏し甲斐のある時間でもありましたね。
そして1ステージ目の後半で大城さんが登場します、今回は全2ステージとなっていますが、入れ替え制ではないので、ゆっくりとステージを楽しめる構成にもなっています。その中でも、時折見せる和丸君のドラムソロの威力はやはり圧巻でしたね。特にこの日は、東京最後の…という意気込みが相当のものだったのか、本当にいつも以上にパワフルなドラミングを聴かせてくれまして、同じ出演者ながら、ステージ上で聴き入ってしまいました(笑)。時間的にも結構掛けていましたしね。本人も楽しんでいる感じが滲み出ていて良かったです。
また、大城さんとは今回が初共演でしたが、実は今年の1月に沖縄で一緒のステージに立った事はあったのです。…とは言え、その時は大城さんが、自分達のステージに急遽飛び入りしたという状況〔西仲美咲、沖縄ツアー(2012.1.26~1.30)参照〕での演奏でしたが、やはりその歌声は独特の魅力があり、沖縄でも一緒に演奏した特別な時間が、見事に再現されたものでした。また共演出来た事の喜びを、シンプルに感じられましたね。
大城さんが歌うと、ジャズ・スタンダードも独特のものになり、沖縄民謡も独特な表現のものになり、これこそ正に、オリジナリティというものではないでしょうか。それは、ジャズと沖縄の融合…という言葉だけでは表現出来ないものでしょう。まだ自分も共演回数が1,2回程度なので、何とも言いようがありませんが、また機会があったら御一緒したいですね。良いステージになったと思いました。
今回、この会場には200名近いお客さんが集まってくれて、見た目以上に大盛況…と言って良い状況でした。CDの売れ行きも好調だったようで何よりです。リリース・ツアーの1日目として、今後に繋げられるスタートを切れたと思いつつ、この後に控える5本のライブをどのように演奏していくか、楽しみながら過ごせそうな気がした次第です。そして、和丸君も本当にお疲れ様でした!…今度は、どこで会える日が来るのやら…(笑)。色々な思いが交錯した1日目になりましたね。
※岩浪洋三さんは、10月5日、心不全の為にお亡くなりになりました。
79歳でした。謹んでお悔やみ申し上げます
9月6日(2日目)
ライブ2日目は、西仲さんと自分にとってはお馴染みの、吉祥寺 Meg で行われました。ツアー初日との状況とは一変して、こちらは小さなジャズ・バーでのライブで、編成も自分達のみの、いわゆるデュオ・ライブという形でお送りしていきました。非常にアットホームな空気で、初日とは違った意味で、やりやすい環境だとも思います。
Meg は、自分達がライブ演奏する上で、本当に昔から使わせて貰っているお店で、ある意味で一番馴染みのある場所でもありましょう。今でこそ西仲さんは沖縄に居を移してしまったので、昔より“気軽に”…は演奏出来ない状況となってしまいましたが、きっと、西仲さんが今後の東京ツアーを計画する時にも、やはりここは、ライブ演奏に組み入れられるお店なのだと思います。お店と自分達との関係もそうですが、ここ吉祥寺は、お客さんとの関係も色々と築き上げてこれた場所でもあるので、良い感じにコミュニティを積み重ねてこれた結果があるお店…という自負があったりするのです。
…なので、やはり今回も外せない場所になりました。この時も初日と同じように、ライブの前半は割りとスタンダード曲を多めにし、途中から沖縄民謡曲を入れたり、オリジナル曲を入れていったりして、全2ステージを行わせて頂きました。ハイライトは、やはり“谷茶前”を演奏していた時に、お客さん同士でエイサーを踊り出した事でしょう。前にもこんな風景は見させて頂きましたが(笑)、ここ Meg で見るというのも、なかなか新鮮なものです。なんだか、沖縄民謡という曲には、独特の魔法でもかかっているのでしょうか(笑)。自然に踊り出してくれたという感覚もあり、音楽の持つリズムの強さを感じた次第でした。
とにかく、色々と演奏面でも自由度が増していたのは確かで、踊り出させるも良し、振り付けをさせるも良しで(笑)、伸び伸びとプレイ出来た1日になりました。ここでまた、デュオ編成というフォームの魅力を改めて知る事にもなりましたね…。それがスタンダード曲だけでなく、オリジナル曲でやれたというのが、何よりも良かったのではないでしょうか。確実に自分達は、CDのレコーディング後から、演奏がプラスの方向に進化しているように思います。…これは、ツアー…という、ある種の一環した流れの影響を受けているのかもしれませんが、素直に、次のライブが待ち遠しいところでした。…という事で、3日目に続きます!
9月7日(3日目)
この日は、自分達にとっても相当久し振りな場所、高田馬場 Gate One での、デュオ・ライブという日になっていました。
まだまだ続きます!