今回の訪問先は、神戸、鳥取、出雲の計3ヶ所…。一緒にツアーを回るという事は、お互いのライブも当然見る事になり、自分達は JABBERLOOP のライブを何度も拝見してきたわけですが、これが特に良い時間でした。1回のライブだけではなく、その次の日にも演奏があり、同じ曲も沢山やるわけでですが、やはり日によって雰囲気が異なるのです。勿論、会場の変化というのも大きいと思うのですが、それに見合ったライブを行えているからなのでしょう…。自分達に無いものを沢山持っており、非常に身になる、勉強になったツアーでした。3日間ながら、盛り沢山だった印象ですが、どうぞ御覧下さいませ!
8月23日(1日目)
まずは神戸での演奏が予定されていた1日目。いつものように5人全員で、車1台での移動となりましたが、今回は入り時間が15:00ぐらいに設定されていたので、余裕を持っても朝8:00ぐらいの出発となり、今までの深夜出発(笑)とは違った健全な時間で移動が出来ました。それでもやはり、移動時間は6時間以上は見ておきたいもので、この時期は夏休みの終わりという時期でもあります。1時間という余裕時間は、正解の考えだったように思いました。
そんな中、自分達の強みは5人中、4人が運転出来るという事でしょう(織田氏は車の免許は持っているのですが、ペーパー・ドライバーなので運転を自粛しているのです…笑)。運転休憩を入れる必要が無いので、時間的にもスムーズに移動出来るのです。各々持ち寄りの音楽を聴きながら、もう自分達にはお馴染みになった新東名を通り、順調に関西入りを果たせました。
時間的にも余裕で着きそうだったのですが、お店の直前の道で、かなりのドタバタ劇がありました。車にはナビが積んであるのですが、何だか変な行き方をさせられるのです。具体的には、距離的にすぐ左にお店がある筈なのに(恐らく、車からも見えていた)、だいぶ先に進んでからUターンをし、そして右折(つまり、こちら側から見たら左折)をして、その付近に入るというもの。気分的には、すぐに左に曲がった方が良いのではないかと思ったのですが、ここでナビを信じたのが間違いでした。…か、その途中で道を間違えたのか、車は検討違いの方向へと進み、何故だか海を越えてポートアイランドの方に行ってしまいました(笑)。お店は勿論陸地側にあるので、海を越える筈が無いのですが、この一連の流れにより、結局時間通りにお店に着くという事になってしまいます…。本来なら1時間ぐらい余裕があり、どこかで御飯でも食べて、…と思っていたのですが、願いは叶いませんでした。早速、地方の洗礼を受けましたね(笑)。
結果的に、苦労してお店に着いた感じになった(笑)自分達でしたが、ここで JABBERLOOP の一同と合流。久し振り…と思いきや、このツアーの1週間前に行われた“渋谷Jazz Jungle”というイベント〔すみだジャズ→ Jazz Jungle 参照〕でも御一緒していたので、むしろ「また」という感じでもありました。しかし、地域が変わってお会いするというのは、やはり雰囲気を変えてくれるものなのです。今回のオープニング・アクトとなっていた“シカキム”というユニットも、やはり“Jazz Jungle”で御一緒したカルメラのメンバー2人によるものだったので、同じ事を思いましたね。徐々に、神戸に来たという感覚が強まってきたのかもしれません。
リハーサルも順調に終え、空腹が限界になっていた自分達は、すぐさま神戸(三宮)の街へと繰り出しました。三宮で腹ごしらえと言えば、やはり中華街だ!…と単純に思い、観光がてら?そこへ向かいましたが、先にリハーサルを終え、街に向かっていた JABBERLOOP のメンバーとバッタリ会ったのは面白かったです(笑)。…豚まんを食べたり、屋台を冷やかしたりしつつ、ちゃんとした食事もとりました。これで健全な?演奏が出来そうではないですか。
そして、ライブは始まりました。お店は既にお客さんはで一杯になっていて、JABBERLOOP、そしてシカキムの人気の高さを窺えるというものです。シカキムは、カルメラのメンバーであるサックスの辻本美博君と、キーボードの PAKshin 君の2人組で、この時は辻本君はクラリネットで演奏をしていました。やる曲は、オリジナルは勿論ですが、スタンダード曲も何曲か演奏していまして、カルメラとは違った世界観を披露してくれていました。むしろ、自分達はカルメラのような音楽感をイメージしていただけに、正直、やられた!…と思いましたね(笑)。いつもは激しい音楽ですが、この時は甘い雰囲気と言いますか、完璧に異なったカラーで勝負していましたし、その中にも、内に秘めたる熱さみたいのも感じて、やはりカルメラらしい一面もあるのかと思ったりしつつ、楽しい時間だったと思います。
ちなみに、このお店のステージは吹き抜け風になっているのですが、1階が客席のスペース、では2階は…と言うと、出演者の楽屋になっているのです(まあ、本来の使い方かどうかは分かりませんが、2階の空いているスペースをそのように使った…という感じです)。そして、2階からは皆で左下写真のように見ていました(笑)。なかなかプレッシャーを与えてくれている図でもあります。ちなみに、カルメラのリーダーであるゴウシ君も、この日駆け付けてきてくれていて、何故か照明を手伝ったりする場面もありました(笑)。なんと和気藹々とした空間なのでしょうか…。
…という事で、自分達の出番がやってきました。2人組のシカキムの演奏の後…という事で、どのようなステージングにすれば良いのか、若干悩ませましたが(笑)、ここは張り切って自分達らしさを出したいところです。CD『TRI4TH AHEAD』からの曲を中心に、バンバンやらせて頂きましょう!
“Sunlight Yellow Over Drive”や“TRY AHEAD”、“Dance Em All” 等はもう、盛り上げるには必須の曲とも言えるでしょう。これに、最近やり始めた“Rumble Fish”や、意外に貴重な存在である4ビートの曲の“Night Hawks”を合わせて、“TRI4TH 流”を作っていきます。そして、最近作成した TRI4TH 団扇の存在も忘れてはいけません。どのようなタイミングで使うのか、若干難しい部分ではあったのですが、曲によって分けて使う事で、団扇の意味を見出す事が出来たのではないでしょうか。勿論、これに関してはまだまだ課題の余地はあるとも思いますが…。
1時間弱というライブ時間だったと思いますが、本当にあっという間という感じがしました。ツアーの初日の1回目の演奏という事で緊張もあったのでしょうが、一瞬で楽しさへと変わった感覚はありましたし、それが演奏に出ていたのも良かったかもしれません。最後には皆で立ち上がって掛け声なんかを掛け合ったりして、一体感にも触れられた気がしました。さあ、いよいよ今回最後のステージの JABBERLOOP の出番です!
JABBERLOOP へのお客さんからの期待の高さは、自分から見ても分かる程でした。このお店は見ての通り、ステージに上がる動線が、そもそも客席上にあるので、入場時、演奏するだいぶ前からメンバーの姿は見えているわけですが、その時の空気感で、既に違うものを感じました。そして音を出した瞬間に、その“期待”が“興奮”に変わっていくのです。後は“楽しさ”一筋!…という感じでしょうか。メンバーにしてもお客さんにしても、楽しむポイントを心得ていると言いますか、その辺りの一体感は言葉では表せない程の完成度でした。
オリジナル曲にしても、曲調は色々とあるものの、全てに見所があって、楽しめる部分が適度に散りばめられているのです。その間のお客さんのコミュニケーションも忘れず、飽きさせるという時間は全くありません。自分は、JABBERLOOP のライブを見るのはこれで3度目になったわけですが、見る度に色々な発見があって、特にこの時は衝撃を持って拝見していたように思います。JABBERLOOP も、自分達と同じように新作CD『5』を発売(今年は、デビュー5周年でもあるようですね!)していて、かなり気合いを入れてのパフォーマンスだったに違いありません。本当にメンバーの個性、曲の個性を最大限に生かしたステージでした。
そして JABBERLOOP ライブの恒例?の時間、ソレソレ祭りがやってきました(笑)。ここで全て、場はキーボードのメルテン氏に託されます。今まで自分達も 横取り 参考にさせて頂いた〔JABBERLOOP×TRI4TH 参照〕このパフォーマンス…。ここはしっかりと、本家の祭りを見させて頂く事にしましょう(笑)。いやー、やはり凄いですわ…。
そしてその後もテンションは上がったままでラスト曲に突入。当然の如くアンコールがあり、そのまま盛り上がって終了しました。とにかく、流石…という言葉しか出てきませんでしたが、同時に、TRI4TH にも参考に出来そうな事が幾つかあり、早速次の日からにも応用したくなるような見せ方もありました。これが、カップリング・ツアーの利点なのかもしれませんが、真の意味での“対バン”が出来る…という事なのかもしれませんね。やはり、1日だけでの対バンというのは、実はしっかりと見る事が出来ていないのだと思います…。そんなつもりは今まで無かったのですが、今回、日を追う毎に JABBERLOOP のライブを見てきて、そうなのかも…と思い始めてきてしまいました。とにかく1日目にして、TRI4TH にとっては刺激的な時間を過ごせたのではないかと思いました。
ツアー1日目にして、こんな感じでした…。これで2日目、3日目になると、どうなってしまうのかという気持ちが溢れてきそうでしたが(笑)、自分達は頑張るしかないのです…。そして次の日は、サックスの藤田君の故郷と言える鳥取で、言わばホームと呼べる場所でのライブ…。この日は幾分環境が違ってきて、そんな場での JABBERLOOP のライブも非常に気になるところですね。色々な思いを抱えながら、この日は神戸市内のホテルで1泊しました。そして夜な夜な(恐らく24:00ぐらいから)、JABERLOOP のメンバーと自分達で飲みに行ったという事も付け加えておきましょう(笑)。…さあ、2日目以降も楽しみになってきました!
8月24日(2日目)
夜遅くまで飲んでいた自分達一行でしたが、ちゃんとホテルのチェックアウト時刻の10:00には皆で出発する事が出来ました。この日は藤田君の故郷、鳥取の倉吉に移動して、そしてライブが行われるわけですが、こちらもまだまだ遠い道のりです。途中休憩を挟みつつ、無理の無い範囲でゆっくりと移動していきました。
倉吉は鳥取県の真ん中辺りに位置し、ここに至るには途中で高速道路を降りて、そして山道を暫く走らなければなりません。もう通い慣れた道ではありますが、やはり運転には気を付けたい区間でもあります。…そんな感じで、神戸を出てから約4時間、倉吉は白壁土蔵群に位置する高田酒造という場所に到着しました。
そして中に入って驚きでした。高田酒造でライブ…と確かに自分達は聞いていたわけですが、本当に読んで字の如くの状態が建物内に造られていました。蔵造りの倉庫という場所に位置するのかは分かりませんが、そこに手造りっぽい客席とステージが設置され、何とも渋い空間が出来上がっていたのです。端には大きな樽も置いてあって、確かに酒造である事を窺わさせるというものですが、ここでライブをやるというのは新鮮です。敢えて言うなら、中にはエアコンの類が無く、何台かの扇風機で涼をとるしかない状態だったのですが…、成程、確かに面白い企画だと思いました。
このエリアは倉吉の中でもレトロな雰囲気が残っている場所のようで、その中でも高田酒造の主屋は、特に歴史ある建物です。なんと天保14年に建てられ、今も江戸時代の面影を残しているという事で、国登録有形文化財に指定されているのだとか…。そして、昔ながらのやり方でお酒を製造しており、確かに大変貴重な場所である事は最もです。恐らく今回のライブも、色々な方の協力があって実現したのではないでしょうか…。改めて、呼んで貰える事の有難さを感じたものでした。
今回は TRI4TH と JABBERLOOP 以外には出演者はいなく、言わば完全な2マン・ライブとなるので、リハーサルの時間もたっぷりと用意されています。JABBERLOOP にとってはここは初めて訪れた場所でもあるので、昨日より入念にリハーサルを行っているような気がしましたが、入念という意味では、自分達も同じです。もうお馴染みの方も、沢山来て頂けている会場ではありましたが、だからこそプレッシャーも感じるというものでした。しかし、これは良い緊張感ですよね…。会場は扇風機があると言えど、既に暑さが大変な事になっていて、これは逆に団扇が大活躍するなと思いながら(笑)本番を待ちました。
そして時刻は夕方になり、この日は JABBERLOOP からライブは始まりました!…既に多くのお客さんで会場は埋め尽くされており、中は熱気でムンムンです(笑)。しかし、ライブを楽しみにしているという空気を本当に感じた時間だったとも思います。自分達も楽屋を抜け出して、しっかりとライブを見させて頂きました。
JABBERLOOP はクラブ・ジャズ・バンドですが、そのオリジナル曲はポップスをも意識させるもので、特にメロディは一度聴いたら忘れなくなるぐらい、キャッチーでインパクトを残すものだと思います。それは初めての地で強力な武器となり、既に1曲目からお客さんを虜にしている感じがありました。そして、ただ聴かせるだけではなくて、適度に手拍子や掛け声等も促したりして、曲に参加させている状況にしてしまうのです。それは客観的に見たら、お客さん皆が既に JABBERLOOP の曲を知っているのではないかと思うくらいで(笑)、改めて凄いバンドだと思いました。自分達とは少し方向性は異なるのかもしれませんが、当然、大いに参考にしたい事なのです。
そして、この地でも“祭り”の時間がやってきました(笑)。ライブ会場の雰囲気からしても、その状況はハマり過ぎていて楽しくなりましたが(笑)、より生き生きとした空間が作り出せていたような気がします。自分達も客席の後ろの方で応戦していましたし、正に蔵の中が一体感で包まれた瞬間でした。自分達も…負けてはいられません!
そしてこの盛り上がりの時、気付くとお客さんは皆、TRI4TH 団扇を持ちながら、身体を大きく揺らしていたのです。TRI4TH 団扇を使ってくれている有難さと、それを取り込んで、尚会場を盛り上がらせた JABBERLOOP の凄さに圧倒されつつ、次の自分達の出番では「よし、やってやろう…」という気持ちが自然に漲ってきたものでした。それは、自分達の演奏もそうですが、この会場にいるお客さんを楽しませたい…という本当に素直な想いから生まれてきたものだったのかもしれません。
お客さんに方には、本当に温かい拍手で迎えられました。そしてそのまま自分達の時間へとなだれ込ませます。2マン・ライブのトリという順番で、多くのお客さんからの期待の眼差し…。普通に考えたら緊張する場なのかもしれませんが、不思議とこの日はリラックスしていました。それは演奏にも表れていて、伸び伸びした…というと月並みな表現になってしまいますが、それぞれのメンバーに“攻め”の姿勢が如実に感じました。そして、進んでお客さんとの会話を楽しもうとしていた空気感があったのです。
お客さんとの会話…というのは、言葉に出すものではなく、こちら側が音を出した時に応えてくれる、客席側からの空気感…とでも言いましょうか。抽象的で、なかなか説明し辛い部分ではあるのですが(笑)、確かにこの時に感じたものはそうでした。それはそのまま、自分達の演奏の幅へと繋がっていきます。こちら側も勿論言葉には出していませんが、音で会話をしているというのは、正にそういう事なのだと思いました。楽しい時間ではありませんか。
…そして、ここ鳥取ならではの選曲として、鳥取県の代表的な民謡“貝殻節”を、TRI4TH 流にアレンジして、演奏させて頂きました。実は以前にも演奏した曲ではあったのですが、今回は更にアレンジを加え、より洗練された形(民謡で洗練…というのも変な話しですが…笑)でのお披露目でした。初めはサックスとトランペットの2管のハーモニーで始まり、自分達のタイミングでリズムが加わっていく…。民謡の持つシンプルなメロディーの美しさと、ジャズの要素である即興の部分を兼ね備えた、なかなか面白い仕上がりになっていたと思います。この日のお客さんにも喜んで頂けたようで、幸いでした。
さて、グッと雰囲気を大人にして“Circle”をお送りし、後は最後まで一気に突っ走ります。建物の中は、いよいよ熱気が充満と言うか、もう蒸し風呂状態と化しそうでしたが(笑)、まだまだ自分達は元気に動けます。このままサウナ状態にでもしたいものです。
そして“Hammer Head”では、その熱気が最高潮に達していました。それぞれのソロの勢いは凄いもので、お客さん方にも掛け声、そして団扇振りも手伝って貰い、更なる熱気を生み出そうとしています…。ワイヤレス・ベースは使用している関谷君は、まだどこかに行ってしまいましたし(笑)、ドラムソロもいつも以上に長く、そしてリズムでも遊びつつ、ここでもお客さんとの“会話”を楽しめた感じでした。
もうこれ以上は動けない…という所までは来れたのかもしれません…。最後には織田君が高い所からジャンプをして(笑)、締めの合図となりました。たっぷりと演奏してきた筈でしたが、感覚的にはあっという間で、充実した時間を過ごせていたのだと思います。そしてそれは、まだ熱気が垣間見える会場を感じる事で、確かなものだという認識に繋がったのでした。お越し頂いた皆さん、本当にどうもありがとうございました!
楽しいライブを過ごすと、その後の打ち上げも本当に楽しい時間になります。この日は食事に皆で招待され、それは美味しい食べ物やお酒を頂いてしまいました。なんて自分達は幸せなのでしょうか…。勿論、多くの方の協力があって今日があるという事は忘れてはいけません。更なる高みを目指し、またこの土地にやって来ようと、強く思った次第でもありました。
ツアーとしてはあと1日、出雲でのライブが残っています…。島根県なので隣りの県ですが、鳥取県と共に横に長い県なので、移動は結構なものとなるでしょう。一応体力温存という事で、次の日に備える事にはしました。そして、自分はこの移動を利用して、自分の時間を作ろうと、この時密かに考案していたのでした(笑)。それは次の日のお楽しみです。…ひとまず2日目、お疲れ様でした!(3日目以降は、下のリンク先を参照)