その中で自分は、熊本を走るJR三角(みすみ)線という路線を見付けました。熊本駅の少し南にある宇土駅から出ていて、路線総延長は約25kmと、そんなに長くなく、熊本でしたら、博多から九州新幹線で40~50分で着けてしまいます。勿論、まだ乗った事の無い路線でもありました。気になるのは、沿線にそんなに見所が無い…という事ですが(笑)、そこに見所さ?を見付けるのが、このシリーズの特徴でもあります。当日は朝6:00には博多を出発し、気合を入れて“さんぽ”に臨んできたものです(笑)。
●日時…2012年6月23日 ●路線距離…25,6km ●駅数…9駅
三角線の“さんぽ”は、JR鹿児島本線の宇土駅から始まります…。ここは熊本駅から南に3駅目に位置し、三角線の列車は、その全てが熊本駅まで乗り入れをしています。宇土駅の東側には九州新幹線の高架が連なっていて、近代的な場所だという事を感じさせますが、三角線は1時間に1本ぐらいの本数のローカル線です。鹿児島本線から枝分かれてしていく様も、何となく郷愁を感じさせてくれますよね。
宇土駅を出ると、南向きだった路線を西向きへと変え、宇土半島へと向かっていきます。三角線を走る車両はキハ31形(右下写真参照…車内は右上写真参照)を中心としていて、2両編成で走る時には、キハ40形を連結していたりします。国鉄末期に登場した、少々コストダウンを図った車両でもありますが、座席は新幹線0系の廃車発生品の転換クロスシートを装備してたりするので、観光的には悪くない車両でもあります。
さて、宇土駅から2駅目の住吉駅という駅で降り、その次の肥後長浜駅まで、早速歩いてみましょう。この辺りから列車は有明海の海沿いを走るようで、車窓も楽しい雰囲気の筈です。ここを歩いて攻めてみましょう(笑)。
…とは言え、写真で見ても分かるように、この時はが梅雨前線九州一体に停滞していて、天気が終日良くなかったのです。海も、真っ青な色!…とはいかずに、どちらかと言うと、空と共に真っ白…という状態でして(笑)、しかも途中からは雨が降ってきて、なかなか大変な状況ではありました。
本来ですと、海の向こうに熊本市の金峰山が見える筈なのですが、それも左下写真の通りの写り方となってしまっています(僅かに見えなくもないですが…)。それよりも、列車が海沿いを走っている…とは言え、その全てが国道を挟む環境になっていまして、車通りも結構多いので、これが写真に撮る時に障害に思えてしまう感じでした。この国道は、宇土半島を越え、天草半島にアクセス出来る道ともなっているので、どうしてもトラック等の交通量も多くなってしまうようですが、なかなか写真を撮る側としては苦労させられますね。どうも良い所の見えてこない三角線ですが(笑)、今度は天気の良い時に来たいものです…。
1時間程歩いて、肥後長浜駅に着きました。国道から少し奥に入った所にある駅ですが、この入口がなかなか分かりにくくて苦労させられたものです。どうやら三角線は、かなり地味な路線に入りそうな雰囲気ですね…(笑)。列車は更に進みますが、少し海と離れて(国道とはやはり並行)綱田駅、そしてまた海と国道と並行していく場面が続きます。
この辺りになると、車窓にもヤシの木が飛び込んできて、何となく南国気分も味わえたりしたのですが、そう思っている内に列車は国道と離れ、徐々に高度を上げてきました。暫くすると、海や国道を列車から見下ろす形になってきくるのですが、それも束の間、一気に山の方に線路を向け、そのまま赤瀬駅に到着となります。秘境のような雰囲気の駅で、周辺の集落に行くには、長くて急な坂を下りてかなければなりません。自分も下車して歩いてみましたが、雨でぬかるんでいて、いつ滑ってもおかしくないような状況で、それは冷や冷やしたものでした。…この駅を利用している人は、さぞかし大変な毎日を送っているように思えてしまいます。
これは、この先の峠をトンネルで抜ける為で、列車はここから、宇土半島の北側から南側に出るような進路をとっていくのです。そう思うと、このような場所に駅を造ったのは不思議な感じもしますが、かつて近隣の赤瀬海水浴場が賑わっていた頃には、夏季の乗降客数が多かったのだとか…。今では、年間を通じて利用者は少ないようです。
今度来た車両は、赤い塗装が目立つキハ200形。宇土線でも少々ですが運用されています。既に三角線の“さんぽ”は佳境に近付いてきました…。
さて、赤瀬駅を出てトンネルを抜けると、すぐに石内ダム駅になります。赤瀬駅からは直線で約1km程の距離ですが、歩くとなると山道を迂回していかなければならず、相当な遠回りになります。1989年に完成したので、比較的新しい部類に入りますが、三角町の住人や、三角に縁のある人から資金を調達して開業させたのだとか…。ここは既に、宇土半島の南側の生活圏に入ったようです。
このまま徐々に坂を下っていき、市街地に入ってきたような雰囲気になります。そして波多浦駅を過ぎると終点三角駅です。宇土駅からは、約40分弱の短い旅でした。熊本駅からも、1時間も掛からないぐらいです。やはり、今回の“さんぽ”にはピッタリの規模の路線でしたね。駅はリニューアルが施されてあり、道を挟んで反対側には、ピラミッド型の建物が特徴的な三角港もあります。ここからは天草へのフェリーが出ていますが、今回は見送る事にしましょう…。
さて、三角線は盲腸線なので、帰りには今来た道を引き返すしかありませんが、ここで、この日のメインの列車の登場です。基本的には週末の運転で、最近、運転が始まったものです。もう左上写真にも出てしまっていますが(笑)、それが、特急“A 列車で行こう”号…です。冗談みたいな名前ですが(笑)、本当です。あのジャズの名曲が、そのまま特急列車の列車名になってしまいました。
JR九州では、それぞれの路線(ローカル線が多い)に向けた観光特急の新設に、近年特に力を入れており、この“A 列車で行こう”号も、昨年の10月から運行を始めました。2両編成と、とても短く、車両もキハ185系という、そんなに新しくはない車両ではありますが、車内は豪華に改造されており、当然の事ながら、BGMには“Take The A Train”等のジャズが流れております(なんと、向谷実氏のアレンジだそうです)。
ちなみに、この列車名の“A” は、天草の“A”であったり、“Adult”の“A”という意味を持たせてあるそうで、南蛮文化の象徴である天草を、よりピックアップした列車であるとも言う事が出来そうですね。車内も楽しく、ステンドグラスで飾られたカウンター・バーまでが併設されており、この列車お勧めの“A ハイボール”というお酒も嗜む事が出来ます(天草の名産であるポンカンが含まれているそうです…飲みやすいです。自分も嗜みました…笑)。
列車は、基本的には熊本駅~三角駅間を2往復しており、片道の所要時間は40分と、これは本当にあっという間…という印象でした。実際、列車に乗り込んで、車内探検をし(2両編成なのですぐに見終われますが…笑)、カウンター・バーで土産物を物色し、ハイボールやつまみを購入し、席でそれらを堪能していたら、もう宇土駅くらいにはなってましたからね…。三角線、終了です(笑)。
この列車、たまに博多駅まで延長運転する時もあり、じっくりと楽しむには、この時を逃さぬべきという感じでしょうか。自分は、この手の観光列車は、何となく今まで敬遠していた感じがあったのですが、乗ってみると意外にも楽しんでしまった自分がいたものでした。天気が良くなくて、印象の薄い路線となりそうだった三角線の自分のイメージを、根本から拭ってくれたとも言え(笑)、本当にこの日は“A 列車で行こう”号さまさまでした。楽しい気分でライブの臨めたのは言うまでもありません♪
ただ、冬になると、津軽線の風景は
雪景色へと変わってしまうので、
この辺りは違う所かもしれませんね。
いつか大輔さんと向谷実さんの「ジャズ&鉄道」の対談なんかがあると夢のようですね! 聴いてみたいなぁ。
よく音楽は流れているので、自然と耳には入ってきています。
そして向谷氏は、鉄道音楽業界?の中でも相当活躍されているので、
鉄道雑誌でもよく見かける程です(笑)。色々な話しをしてみたいです♪