この日、お店での音響チェックの時には、既に雨は降り始めていました。正にこれから台風がやってくる前兆のような状態で、客足が心配になりましたが、それでもライブが出来るというのは嬉しい事です。自分達は自分達で、やれる事をやっていきたいものです。それは、本番前の腹ごしらえ等の上の写真にも、そのリラックスさが窺えるというものです(笑)。
…という事で、“Feel our soul !! Vol.3”の始まりです。そして恒例?の最初のステージには、彬子さんの弾き語りの時間という“オープニングアキコ”の登場です。彬子さんは白ワインを片手にステージに姿を現し、終始緩い…いや、リラックスした雰囲気で(笑)、お喋りも入れつつ、歌を披露したという感じでした。2曲のみの短い時間でしたが、半年前、初めてここでワンマンライブを行った時に、その時は“新曲”として入れた“想いをのせて”を、ここで披露したというのは良かったと思います。彬子さんにとって、吉祥寺という場所が特別であるという事を感じさせてくれる、大事な時間であったような気がしました。
そして本編に入りまして、星野裕矢君の登場です。前述通り、自分もピアノで参加させて頂きましたが、それは全7曲中の、後半3曲のみで、あとは星野君とチェロの方とのデュオで演奏を披露していました。なかなか自分もチェロの方とは共演の機会は無いですが、個人的には結構好きな楽器の1つに入り、特に小編成の時には、チェロの良さがダイレクトに伝わってくる感じがあり、演奏する方としてもワクワクする時間です。勿論、自分が加わってもチェロの方は残って下さって、アコースティックな感じの良いバランスの3人の演奏でお届けしていきました。空気感を大事にした、とても良い時間だったように思います。
今回、自分は星野君と共演するのは2度目なものの、チェロが入っての演奏というのは流石に初めてで、リハーサルもそんなに時間が取れなかったので、ほぼ、ぶっつけ状態と言っても良いような感じではありました。しかし、かえってそれが良かったように思います。星野君の曲に、チェロがどのように絡んでくるのかを耳で聴いて、確かめながら自分もピアノを入れていく…。スリリング且つ、正にライブと言える感覚がそこには存在し、綺麗な曲の中でのメンバー同士の熱さが、分かりやすく表現出来ていたように思うのです。自分は3曲という短い時間でしたが、そのせめぎ合いがとても楽しかったです。慣れてきたら慣れてきたらで、それはそれでもっと良くなるとは思うのですが、この日、この場での演奏というのは、なかなか他で再現する事は出来ないでしょうね。そういった意味では、有意義なライブになっていたと思いました。これで心置きなく、次のバンドに繋げられそうです。
さて、次のバンドには、ボーカルの黒崎ジュンコさんのバンドの出演となりました。メンバー全員が女性という、なかなか思い切った編成にもなっていましたが、それぞれの演奏はとても個性があって格好良く、女性らしさというよりは、男性らしさを感じたステージでもありました。コーラスの入るバランスがとても絶妙であり、曲そのものがまず格好良いのです。自分は、この次にまた出演なので、あまりステージを見る事は出来ませんでしたが、お客さんの歓声、拍手は楽屋にまで届いており、相当な盛り上がりを見せたのだなと思いました。自分達もこの流れを受けつつ、ますます頑張っていかねばなりませんね。
…そんなわけで、自分達の出番となりました。今回は、ギターに寺岡佑を加えた5人編成で、大々的にやっていきます…。与えられた時間は約1時間という事で、たっぷりと見せていきたいライブ時間でもありました。今回はどんなステージが披露されるのでしょうか。
…と書くと、自分は何だか客観的に見ていたような感じを受けるかもしれませんが、それが今回のライブで大きくやり方を変えた所でもあるのです。…と言うのは、今回のライブの構成は、殆ど彬子さんに任せて行っていたのです。いつもの感じですと、曲順やら曲そのものの構成等、結構自分が口出しをしている状況ではありまして、それはそれで大事だったのですが、彬子さんらしさがどこまで出ているか…という事を考えると、本人への一存を任せる時期に差し掛かったのではないかと考えたのです。…勿論、アドバイスと言える事は幾つもしたつもりですが、いわゆる“彬子プロデュース”という言葉を尊重した1日でもあったのでした。
ある意味で、彬子さん企画のイベントという中で、彬子さん自身のステージも本人に全てを任せる…というのは、実はかなり過酷な状況であったかもしれないのですが、そこは押し切ってやらせてあげたい部分でもありました。そして、台風という状況にも関わらず、多くのお客さんにお越し頂き、皆さん楽しんで頂けた様子を感じる事ができ…、とても良いライブになっていたと思います。
そして今回のライブで大きく変えた事の、もう1つの事柄として、かなり時間通りにライブを進めていった…というものがあります。今まで自分達は、それこそライブを何度も何度も行ってきましたが、それらは基本的に、時間を大きくオーバーしてしまう事が殆どでした。別に、長くなる事が悪いとは言いませんが、もう少しスリム化しても良い状態だとは、前々から思っていたのです。この意識は成功で、アンコールも含めて、本当に時間通りにライブを終わらせる事が出来ました。最後の最後でMCが長くなった…という部分もありましたが(笑)、アンコール前の部分なので、これは良しとしましょう。これらの事を含め、今回は本当に特徴的であり、今までの流れを変える1日にもなっていたのではないかと思いました。どうもお疲れ様でした!
ライブが終わる頃には、台風もピークという感じでしたが、意外にも多くの方がお店に残っていたのは面白かったですね(笑)。自分も、この前日に沖縄ツアーから帰ってきていたせいか、帰れなかったら帰れなかったで、仕方無いのではないか…と、普通に思い始めてしまっていましたが(まあ、一応は帰りましたが…)、そのままお店が打ち上げ会場になっていた感じもあり、これも含めて今回のイベントを象徴しているような感じはありましたね。彬子さんのいる所に、酒飲みのコミュニティーが生まれる…。そんなやり方も有りなのでは思ってしまう程、彬子さんらしさが存分に出ているイベントでもありました。
次回のライブ…と言いたいところですが、実はバンドでのライブは暫く予定されていません。しかし、彬子さん1人による弾き語りのライブが7月7日(土)に下北沢 Big Mouth で行われるという事で、これはまた、1歩足を進めたような展開が待っていそうです。そして、それはそのままバンドでのライブの期待感にも繋がっていきそうですよね。どうぞ今後を楽しみにしていて下さい。よろしくお願いします!
☆彬子さんのHP…http://www.akiranochikara.com/
☆星野裕矢君のHP…http://18.xmbs.jp/hoshino/
☆吉祥寺 Star Pine's Cafe のHP…http://www.mandala.gr.jp/spc.html