日付け的には、4月5日~11日となっていますが、演奏は5日~8日の4日間だけ行われ、その後はこちらも恒例の、鉄道の旅に出ております(笑)。九州ツアーも5度目となると、個人的に現地の知り合いが沢山増えてきて、“初対面”から“顔馴染み”になってきた感じがしますが、今回も、顔馴染みの方から、新しい出会いまで、数々の貴重な時間を過ごしてきました。勿論、九州往復に関しても、かなり趣向を凝らしたものとなり(笑)、演奏から趣味に至るまで、思う存分、自分らしいツアーが出来上がったのではないかと思います。…ブログ的にも、盛り沢山な内容になりそうな今回のツアー、どうぞじっくりと御覧下さいませ!
4月5日(1日目)
この日は、北九州の門司駅前に15:30に集合というものでした。門司への行き方は色々ありまして、新幹線がメジャーな行き方ではありますが、今や値段では飛行機の方が有利な時代です。最初から飛行機で行く事に決定はしていた自分でしたが、北九州空港から行く場合や、福岡空港から行く場合…、そして、2010年の時には山口県の山口宇部空港を使用した年もありましたので〔竹内大輔、北九州ツアー(2010.4.1~4.5)参照〕、行き方の殆どは出尽くしてしまった感じではありました。
…しかし、ここで思い出したのが、今年の3月1日に新規就航を果たした、Peach という航空会社の存在です。Peach は日本で初めて、世界基準の LCC(Low Cost Crrier)と言われ、暫くはニュース等にもよく話題に挙がっていたので、御存知の方も多いかもしれません。個人的に、九州に向かう殆どの航空会社に乗ってしまった今、この Peach を利用してみる以外に、他の行き方は考えられませんでした(笑)。ただ、羽田空港には就航しておらず、関西空港からの便しか無いのが難ではありましたが、それならまず関西空港に飛べば良いのです(笑)。…故に、普段より相当朝が早くなってしまいましたが、まずは関西空港に行くべく、朝6:00頃には自宅を出発させたのです。
関西空港までの便に選んだのは、お馴染みの全日空です。そもそも Peach は、全日空が以前から日本の LCC 市場をにらんで、事業構想を練ってきた航空会社(つまりは関連会社に属するわけですが、出資は3分の1程度に留めて、独自性を強調しています)。本家との乗り比べをしてみるのも面白いかもしれません。ちなみに、気になる値段ですが、羽田空港~関西空港間が全日空利用で約10000円、関西空港~福岡空港間は Peach 利用で約5000円のチケットを手配しております。果たして、値段がどのように反映されている事やら…。
関西空港までのフライトは天候良好、富士山も綺麗に望む事が出来ました(右上写真参照)。搭乗した飛行機は、ボーイング767-300ERという機体でしたが、各席に個人モニターが設置されている国際線用の飛行機で、国際線も数多く設定されている関西空港までの便ですと、このように機材繰りの関係で、国内線でも国際線機材に乗れる事が多くあるのです。…とは言え国内線ではこのモニターは使用不可になっていましたが、国際線用に造られているだけに、機内は若干ゆったりとしていて、これは Peach には少々相手が悪かったようにも思えました(笑)。
…そんなこんなで、約1時間程で関西空港に到着しました。次の Peach の出発時刻にはまだ時間があったので、ここで前から行ってみたかった、関空展望ホール、スカイビューに足を運んでみる事にしました。
スカイビューは、関西空港の旅客ターミナルとは離れた場所にある建物で、無料のシャトル・バスでアクセスする事が出来るのですが、5階建ての建物から、ターミナルや滑走路、そしてすぐ横を着陸・離陸する飛行機が眺められる(風向きによりますが…)場所でもあるのです。内部にはレストランやショップ等も併設されており、飛行機を見る為に、ここまでの建物が造られたというのは、よく考えたら凄い話しでもありますが、確かに、そこからの眺めは良かったです。関西空港は、羽田や成田にも乗り入れてない航空会社もあったり、飛行機の種類もそれら以上に千差万別だったりしますから、面白さではある意味、東京の空港を超えているかもしれません。当初は30分くらい居れれば良いかな…とも思っていのですが、予想以上に色々な飛行機が飛び交い、写真をあれよこれよと撮っている内に、気付けば1時間半くらいはそこに居座っていてしまいました(笑)。…と、これ以上ここに居てしまうと、流石に Peach の搭乗時間に間に合わなくなってしまいます…。後ろ髪を引かれつつ、スカイビューを後にしました。
Peach のチェックイン・カウンターは現在、空港ターミナル内には存在しません。これはどういう事かというと、ターミナルから見て関西空港駅を挟んだ反対側の建物である、エアロプラザの2階(駅の出口のフロアからそのまま行けます…)に設置されているのです。ここはそもそも商業施設としてオープンされているエリアですが、そこにチェックイン・スペースを置くとは、なかなかやってくれるではないですか。つまりは、便利ではあるものの、高コストである通常のターミナルでのチェックイン、そして搭乗橋によるボーディングの動線を選ばなかった…という事でしょう。エアロプラザ内の空いているスペースを使って、セルフ・チェックイン(これも、ネットで予約して、メールで送られてきた予約確認書に記載されたバーコードを、機械に読み取らせれば終了です)、手荷物預け、保安検査、そして専用のバスで搭乗機脇まで移動…という新たな動線を生み出し、ここでも徹底的にコストを省いている事が窺えるというものです。
コスト・カットは値段にも表れていて、例えば、チケットによっては(安い設定のもの)手荷物預けは1個から有料だったり、座席指定も有料だったりします。機内での飲み物も当然有料ですし、驚いたのは、機内の座席の1番前と、非常口横の座席については、少し高い値段設定の席にもなっていたという事です(つまり、少し席の間隔が広い部分なのです)。コストを省けるところは極力省く…といった試みがここまで如実に表れていた航空会社は、恐らく日本では初めてでしょう。しかしその代わり、関西空港~福岡空港間は、一番安くて3780円の値段設定が組まれており(2012年4月現在)、これは既存の航空会社と比べても、劇的に安い値段である事は皆さんもお分かりでしょう。LCC は、日本語では“格安航空会社”と訳されますが、少し意味合いは違っていて、Low Cost=低コストでの運航…という事です。それ故に運賃が安くなっているのであり、ただ単に安っぽいというイメージとは掛け離れたものです。とにかく運賃を安くする為に努力をしている…。この事を、自分達はもっと理解した方が良いように思いました。そうなれば、日本における LCC の未来も明るいものになりそうな気がします。
荷物検査が過ぎると、これまた簡易的な待合室に案内され、搭乗機まで移動するバスの準備が出来始めると、階段を下って(これも、オフィス・ビル内の、ただの階段みたいな雰囲気の中での移動となります)、バス乗り場へ…。ここで、搭乗客は二手に分かれさせ、それぞれのバスに案内させられます。そのままバスは出発となりますが、ここの動線がユニークで、いったん隔離されたエリアをバスは出て、一般道経由で飛行機のランプエリア(飛行機が駐機している所)に入るのです。このような措置は前例が無いと思われますが、保安エリアに関する規制と、前述のようにコストを少しでも抑えたいという Peach の拘りが随所に見える部分だったと思いました。ちなみに、関西空港は現在、LCC 専用のターミナルを建設中で、言わばこれは暫定的な処置なのですが、Peach のフットワークの軽さも見せつけてくれる結果にもなっていると思います。
そしてバスは搭乗機の前に到着します。ふと飛行機の後ろの方を見ると、こちらにもタラップが取り付けられ、後ろ側からも搭乗客を乗せているのが見えてきます。定時運航確保の為、関西空港では前後両方のドアから客扱いを行っているようで、これも日本国内では珍しい光景のようにも思えました。
…このように、チェックインからボーディングをするまでも、今までの航空会社には無かった事の連続で、本当にアイデア勝負と言うか、コスト減の為に、やれる事は全てやっているという印象を受けた Peach…。さて、フライトはどんなものなのでしょうか。
さて、座席に腰を下ろしてみると、やはり“狭い”という印象が付きまといます。確かに、この機体と同じ型式の飛行機を使っている全日空の座席数は160席程に対し、こちらは180席に設定されていますから、狭くなるのも当然と言えます。まあ、福岡までは1時間程度のフライトなので、安い為なら狭さも我慢出来るというものです。今後、韓国のソウル線の運航も予定されているようですが、こちらもそんなに時間の掛かるフライトでも無さそうですしね。
巡航高度に達し、機内サービスが始まりました。…とは言え、飲み物等は全て有料で、本来なら機内誌の入っている場所に、簡単な機内メニューが置いてありました。関西~福岡線は時間的に短い路線に入るので、食べ物の種類は限られているようでしたが、ここは何か頼んでみたいものです。ひとまず自分は、グルメ・サンドイッチとホットコーヒーのコンボを購入。単品で買うようより50円引きの、650円という値段でした。まあ、一般的な喫茶店の値段…という感じでしょうか。ちなみに、一応人気メニューは、Peach の桃にちなんだ、特製ピーチ・デニッシュ(300円)でしたが、自分、加工した果物はあまり好きではないので、ここではパスさせて頂きました(笑)。
印象的だったのは、CAが皆、楽しそうに活き活きと働いている…という事です。これは雰囲気で感じただけでしたが、新規航空会社だけに、既存の枠組みに囚われず、新しいものを作っていこうという意欲の表れだったようにも思います。面白かったのは、福岡空港に到着した時に、本来ならば「御搭乗ありがとうございました」のアナウンスがあるところを、「おおきに!」と関西弁で話していた事があります。関西空港を拠点にする航空会社だけに、関西色も強めていこうという戦略なのでしょう。よく見たらセルフ・チェックイン時に発行された航空券(レシートみたいな紙ですが)にも、Ookini!!…と書かれていましたし、何だか自由な発想の社風を感じ取れました。全日空が出資している航空会社ですが、本元とは全く異なる航空会社ですね。今後も新たな発想で、航空業界を驚かせていってほしいように思いました。
こうして着いた福岡空港では、以外にも、普段の航空会社と何ら変わらない形で降りる事になりましたが(以外に…と思えてしまった事も面白いですが…笑)、いつか関西空港以外の空港でも Peach 独自のやり方でサービスを提供していくのではないかと考えてしまいました。今後にも期待していきたいと思います。
…さて、この後は門司駅へと向かいますが、電車で行っても良かったところ、敢えての?高速バスで小倉駅まで移動、そこで電車に乗り換えて門司駅に向かいました。理由は、時間と値段的に一番良かったという部分が大きかったですが、ゆったりとした高速バスの車内で、いち早く腰を落ち着けたかったというのがあったのかもしれません…。こうして無事に門司駅に到着。予定通りに Daddy さんとルージュさんに落ち合え、夜御飯を御馳走になって(笑)その後、この日の演奏場所である、門司駅前に位置する Brick Hall へと足を運ばせました。
門司 Brick Hall は右上写真のように、そして文字通り(笑)レンガ造りの建物で、元はと言うとサッポロ・ビールの工場だったらしいですが、見事に現代風に生まれ変わり、とてもお洒落な場所へと変貌を遂げたように思われます。中は吹き抜けの2階建てになっており、確かにホール状でもあり、それでいてゆったりとしたソファが備えており、落ち着ける空間としても機能しているように思いました。
ステージの広さ的にも結構ある感じでしたが、ここでソロ・ピアノ演奏というのは、何とも贅沢な気がしたものでした。しかし今回は、このツアーでの共演ではお馴染みとなっている、盲目のトランぺッターである小倉久司さんとの出演が控えています。今までは、小倉さんはゲスト的な扱いな感じで共演してきましたが、今回は殆どの時間に亘っての共演が用意されており、その広いステージを、よりダイナミックに使える準備は揃っていました。こちらも、気合いを入れて臨んでいきたいですね。
そして更に、こちらもある意味で恒例の共演ですが、以前自分も演奏をさせて頂いた、小倉にある Dream というお店のマスター、鬼頭さんを加えてのステージも用意させて頂きました…。曲目は例年通り(笑)、“Georgia On My Mind”と“I Left My Heart In San Francisco ”の2曲ですが、何だか懐かしくも思える時間でした。また、自分ソロだけの演奏も何曲か存在し、基本的にはジャズ・スタンダードの曲をやりましたが、自分のオリジナルCD“Fingers Dance”の販売促進の為、タイトル曲でもある“Fingers Dance”を演奏させて頂きました。恐らく、ソロで弾くのは初めてだったと思われますが、何度も弾いた事のある曲であるものの、新鮮感もあり、ソロだけでしか得られない感覚も掴めたような気がしました。実は、突然思い付いた選曲でもありましたが(笑)、このツアーで磨いていきたい曲にはなりましたね。
小倉さんとのデュオ演奏は、最初は探り探りな感じでした。何と言っても自分達の共演は1年振りであり、しかも今回は自分達2人で作り出すステージとして用意された場所でもあるので、リハ等が殆ど出来ないという状況を考慮するに、どういう風に進めていくかも、その場の状況を見ながら…とせざるを得なかったのです。しかし、ジャズ・ブルースや、“Take The A Train”等の有名系の?ジャズ・スタンダード曲を演奏するにつれ、1年前の感覚を徐々に取り戻してきた感じがありました。
こうなったら、後は攻めていくのみです。基本的に、演奏する曲目は殆ど決めず、ステージの上のその場で決めていたので、小倉さんも若干大変だったと思いますが(笑)、やはり1曲を演奏し終えると、…では、こんな曲はどのような演奏に仕上がるのだろう…とか、どんな風に小倉さんは弾いてくれるのか…という考えが沢山生まれてきて、次々に曲は浮かんでくるものだったのです。特にこの日は、“Caravan”や“What A Wonderful World”が良い演奏に仕上がった気がしました。お客さんも温かく、大きな拍手で迎えて下さり、嬉しかったです。自分は、九州に演奏しに“行っている”のですが、少しだけ“帰ってきた”気持ちにもなりました。何とも有難い話しで、それが何度も九州で演奏出来る活力にもなっているような気がします。
最後にはアンコールも頂いて、楽しく演奏出来た初日になりました。何だかいつの間に時間が経っていた…という感じでしたが、この日は朝早くから動いていて、殆ど眠れていないのにも関わらず、心地良い夜が送れていたというのは、やはり満足感から来るものなのかもしれません。ただし、羽目は外さないように…と(笑)、この日は割りと早い時間(…とは言え、24:00は過ぎていましたが…笑)に Daddy さんの自宅へと向かい、ビールを1杯程飲んでから眠りにつきました。…こうして、ツアーの初日で、とても長い1日は幕を閉じたのでした。また明日から頑張っていきましょう!
4月6日(2日目)
この日の朝の行動は非常に遅く、起きたのがそもそも昼過ぎで、昼ご飯(お馴染み、門司港駅近くにある“千兵衛”にてです♪)を食べに行ってから、また Daddy さんの自宅に戻って、しばしまったりとしていたので(笑)、本格的に動き出したのは、いわゆる演奏場所に出向く時でもありました。この日の演奏場所は、八幡にあるペントハウスで、2010年のツアー時に演奏をさせて貰った場所でもあります。つまりは2年振りの出演となったわけですが、あの時はトリオ編成で出演という状況で、今回はソロでの出演(そして、ゲストに小倉さん!)だったので、また気持ち的にも大きく違う環境ではありました。
演奏時間は20:00~と、少々遅くからのスタート設定で、まだあまりお客さんも来ていない状況ではありましたが、徐々に…という感じで始めていきました。この日も2ステージあるので、急いでやっても仕方ありません。自分のペースで…が重要です。
今回は、最初は自分のソロ演奏、そして後半から小倉さんが入ってきてデュオ演奏、…という形態を取らせて頂きました。…と言うか、もう既にそのスタイルが自分的に定着してきていると言いますか、半ば自然にその流れになっていました(笑)。曲も、ほぼその場で決めるスタイルというのも初回から貫き通しており、スリル感もありつつ、お互いの出す音に、一番純粋に反応していけます。そして何より、常に新鮮感を持ってプレイ出来るというのが大きいのかもしれません。即興性も強く、正にジャズの根本たる部分と向き合えるライブになったと思いました。
…惜しむべくは、少しお客さんが少なかった事でしょうか…。せっかくなのに勿体無かったような気もしましたが、昨日の Brick Hall 同様、温かい雰囲気に包まれ、良い演奏が出来たと思います。このツアーでは小倉さんとは最後の演奏になりましたが、またきっと来年?もお目に掛かれる事でしょう。自分も楽しみにしたいと思います!
そしてライブ後には、門司港名物である焼きカレーをお店から頂きました!…何度も北九州地区には来ているものの、この名物は未だに食しておらず、何とも良いタイミングだと思ってしまいます(笑)。要は、カレーのドリア・グラタン風…なわけですが、非常に香ばしく、どんどん食欲が進んでいきます。そして、妙にビールに合う気が自分はしてしまいました。演奏後の飲食は本当に楽しいもので、この日は更に名物も堪能しているのですから尚更です。次の日は北九州を離れ、大分県へと向かうので、しっかりとスタミナを付けておきたい時でもありました。
4月7日(3日目)
ツアーも3日目となりましたが、この日から、ギター・コーラスのちきぴーさんも一緒に行動します。この日と次の日の2日間は、Daddy さんのステージも行うからです。まず向かうのは、昨年〔竹内大輔、九州ツアー(2011.3.31~4.6)参照〕も演奏をさせて貰った、大分県は九重町の飯田高原にある宮柱邸です。急に長旅となるのですが、雄大な景色が楽しめる場所でもあり、今年も楽しみにしていた所でもあるのです。前日とは一変、朝8:00には出発し、午前中内での移動を目指しました。
こんなに早く移動したのも、この日の演奏は昼過ぎぐらいから行われる予定だったが故です。そして、その前の時間には Daddy さんに学校での演奏を(少しの時間ですが)依頼されているとの事で、更に前には昼御飯も食べておきたい…等々、やはり早目に移動しておく方が、何かと都合が良かったのです。北九州市から九重町に向かうのは、高速道路を最初は使わず、行橋市、中津市経由で向かうのが一般的になってきました。2時間以上は一般道を走るので、なかなか大変な道のりでもあるのですが、大分県に入って高速道路に乗ると、すぐに内陸の山間部に入っていき、景色も雄大なものに変わってきます。そして、由布ICで降りてから、更に1時間ぐらい走って飯田高原に辿り着くわけですが、やはりここまで走ってきた…という景色は健在で、やはり来た甲斐があったと思わせてくれるに十分な場所です。基本的には道路は順調で、お昼過ぎ頃には着く事が出来ました。早速、昨年も訪れた、Daddy さんの知り合いが営んでいる蕎麦屋で腹ごしらえ…。やはり山の水で作られるお蕎麦は美味しいです♪
さて、宮柱邸に行く前に、Daddy さんに依頼があったという、例の学校まで行ってみる事にしましょう。ここの蕎麦屋の主人の子供も通っている学校らしいのですが、演奏内容についてがどうもあやふやで、とりあえず行ってみようという事になりました。ここからは車で5分程降りたような場所にあり、確かにそこには立派な小学校がありました。
…とは言え、よく考えてみると今は春休みという時期です。生徒がいるのかどうか、微妙な感じはしたのですが、学校構内に入ってみると、1つの教室だけ、先生と生徒で何かが行われています。授業…というよりは、地べたに座って、何か楽しんでいるような様子ですが…。
…と、そこに臆する事無く、Daddy さんはズカズカと教室内に入っていきました。ここに居たのが担当の先生ではなかったのか、生徒も含めて皆で面喰っていた感じがありましたが(笑)、色々と訳を説明すると、快く皆さんは受け入れてくれました。そして、1曲 Daddy さんの歌を披露する事に…。何だか面白い光景でしたが、ここは見守る事にしましょう。曲は、手話をしながら歌っていく、“Happy Come Come”でした。
さて、学校での演奏?を無事終え(ちゃんと、当初の先生には会う事が出来ました)、いよいよ宮柱邸に向かいます。この日は、宮柱邸を貸し切って、どなたかの退職祝いをする会が行われているようで、その中での演奏…という事になっていました。まずは Daddy さん達がステージを行い、その後に自分がソロでステージを行います。まあ、かなり異色の2組である事は明白ですが(笑)、退職祝いの席だけに、お客さんは皆、御高齢の方ばかり…。選曲にも気を遣いながら進めていったものでした。
Daddy さんは、自分達のユニットを「前座で」…と言っているのですが、いえいえ、自分からしたら勿体無いお言葉です。ちきぴーさんが加わった Daddy さんのステージは、それぞれの曲が聴きやすいように、少々アレンジが施してあり、言わばアメリカン・カントリー・テイストが加わったといいますか、また面白い物が出来上がっているように思うのです。聴き慣れた曲が殆どですが、どこかでニヤリとさせられる箇所が存在したりと、そのアレンジのバランスも程良いのです…。この次の日は、自分も何曲か参加させて貰う予定なので、しっかり聴きつつ、明日の予習にもしておきましょう!
さて、自分の番です。一応、“ジャズ・ピアノ”という括りになっているので、手始めに…というわけではありませんが、お馴染みのジャズ・スタンダード曲を弾きつつ、ステージを始めていきましょう。ジャズを、普段からはあまり聴かれない方々…という事で、最初は聴き慣れた曲を入れつつ、徐々に徐々にジャズ寄りにしていく事で、ジャズというもの事態に入りやすい状況を作っておきました。
ただ、最後に持っていきたいのは、やはり自分のオリジナル曲なのです。CDを持っていっている…という理由もあるのですが、やはり、自分という人間がこの場に足跡を残したいならば、自分らしさが存分に出ている曲を残していきたいものです…。今回は“Monte Fiesole”と、ツアー1日目にも挑戦した“Fingers Dance”を演奏。確かな手応えは感じられました。…とは言え最後には“Spain”を演奏したのですが…(笑)。やはりこの曲は、盛り上がりますね(笑)。
…今回、お客さんの人数的には、それこそ15人ぐらい(6~7家族?)ではありましたが、それこそ全家族の方がCDを購入して頂けました。中には、今までクラシックばかりを聴いてきたものの、ちょっとジャズも聴いてみたくなったと言って頂けた方もいたりと、とても遣り甲斐のある場になりました。ここ飯田高原という場所は、仕事をリタイアしてからの住む場所としても人気が高く、皆さん、本当に趣味を大切にされている方々なのです…。その中の1つに音楽、そしてジャズという選択をして頂ける余地が少しでも生まれてきたのだとしたら、本当に嬉しい事ですよね。宮柱さんにもお世話になりました。どうもありがとうございました!
演奏も終わり、ひとっ風呂でも浴びたくなりますが、ここは九州有数の温泉地でもあります。露天もある温泉(今までに何度か寄ってる場所です)に寄りつつ、今夜の泊まる場所へと移動していきました。結果的に言うと今回泊まる場所は、やはり Daddy さんの知り合いが持つ、別荘のような所だったのですが、よくよく考えると、ここは以前に、ギター・ボーカルのさばいばる伊藤さんのツアー〔竹内大輔の写真日記(~2009)、さばいばる伊藤、日本海・九州ツアー(2007.8.6~2007.8.17)参照〕で泊まらせて(演奏もしましたね)貰った場所で、今回は実に5年振りという場所でもありました。
見た目通り、本当にロッジ風な感じではありますが、この木製の持つ、独特な温かみが良いのです。ここで打ち上げを兼ねて、鍋をやったり、お酒を交わしたり…。大自然の中で過ごした、とても心地良い時間でした。…とは言え、自分は早い段階でお酒が回ってしまい、早々に就寝に入ってしまうのですが…(笑)。それもある意味、幸せな過ごし方と言えるでしょうね。さて、次の日はいよいよ演奏最終日、ついに博多は天神へと向かいます。それまで目一杯、自然に触れておきたいものでした。
4月8日(4日目)
この日も思う存分眠りまして(笑)、爽やかな天気の中、博多に向けて出発しました(また、例のお蕎麦を頂いてからの出発でした♪)。時間的には余裕があったので、一般道のみでの移動です。まずは飯田高原から麓に降りるまでで30分強は掛かるのですが、更に国道210号線をひた走り、本当に地味に福岡県に抜けていきます(笑)。途中の日田市では、お昼ご飯と称し、九州ツアーの必須?のジョイフルに寄らさせて頂きました(笑)。その後、386号線、3号線を通って、いよいよ博多の街並みが近付いてきました。博多区内は都市高速を使い、順調に中心部に到着です!
ここで、自分は今夜のホテルに一度出向き、Daddy さん達は一度、ちきぴーさんの家に荷物を置きに行くとの事で、いったん別行動として、この後は現地集合としました。自分は博多駅前のホテルに泊まるのですが、今夜の演奏場所は、福岡屈指の繁華街、天神に位置するとの事。博多駅からは地下鉄で3つ目と、非常にアクセスはしやすいです。気持ち的にも余裕があり、ライブにも良い感じで影響するような気がしました。いよいよこの日で、ツアー時の演奏は最後となるのです!
…という事で、今回の演奏場所、天神の B.B.Kenchan というお店にやってきました。お店に入るやいなや、Daddy さんに「こちらがマスターのケンちゃん」と促され、店名も納得という感じでしたが(笑)、アメリカン・テイスト溢れるバーという感じで、雰囲気もなかなかのものでした。
ここでは珍しく?入念なリハーサルが行われます。…というのも、この日も Daddy さん達のステージが行われるのですが、自分も何曲か参加させて頂くからでした。曲数的には2,3曲程度でしたが、自分が初めて演奏する曲もあり、一応は事前に聴いておいたので(昨日のライブの以前にも)、何の問題も無くリハーサルは終了。後は本番を待つのみとなりました。
本番も、良い雰囲気で進められていきました。まずは Daddy さん達のステージから始まり、勿論自分も後半の方で参加させて頂いたのですが、残念ながら写真が撮れなかったので証拠が無いですね(笑)。まだ2,3曲ぐらいだったので問題は無かったですが、今後、全曲を演奏する事になるのは確実なので(6月に、Daddy さん名義のワンマンライブが開かれ、そこに自分も加わるからです!)、この日の演奏を糧に、次に生かせればと思いました。そして自分の出番となります。
ステージ配置的に、アップライト・ピアノが奥の方に設置されてあって、若干、客席から遠くなってしまっていた事が難点でしたが、MCを多めに挟み、なるべく客席との距離感を少なめに意識してみました。昨日と同じく、スタンダード・ジャズ曲、ポピュラー曲を中心に行い、後半の方で自分のオリジナル曲も盛り込んでいきます。良い感じです♪
そして最後には“Spain”で、久し振りの“プレイ&レスポンス”をやってみました。自分の即興で弾くフレーズに対し、お客さんにも声を出して貰って、すぐその場で返して貰う。最初はぎこちなさがあるのですが(当然です)、徐々に慣れ始めて、難しいフレーズにも果敢に挑戦し始めたりする…というゾクゾク感は、他にも代えられない楽しさで溢れています。大いに盛り上がって終了し、アンコールではマスターもギターを持って交えて、セッション感覚でジャズ・ブルースを演奏しました。本当に楽しかったです。良い、ツアーの締め括りになったと思いました!
…これにて、今回の九州ツアーの“演奏”の全行程が終了しました。今回も各場所によって色々と見所のあるツアーになりましたが、5度目になっても、やはり自分が受ける刺激は大きいものです。そして、この日の演奏後はお店にて、地元のお客さんも交えて、楽しくお喋りしながらお酒を嗜んでいましたが(笑)、これもまた大切な時間なのだと改めて思いました。人と人との関わりが、また今後への新たな刺激を生んでいきます。そして、また新たな演奏場所も生んでいきます。また九州に来る予定もあるので、自分も楽しみに待つ事に致しましょう。
そして、演奏の行程が全て終わった後は、、、恒例の鉄道の時間ですね(笑)。こちらも思う存分刺激を受け、楽しんでしまいましょう♪…どうもお疲れ様でした!
まだまだ続きます!