ワンマンライブとは、読んで字の如く、自分達“のみ”で作り上げる事が出来るライブです…。勿論、その為にはお店の協力があったり、ライブを作っていく過程にも相当な時間を要してしまうのですが、だからこそ本当のオリジナルのライブを披露する事が出来ます。言ってしまえば、自分達が好きな事を、そのまま表現する事が許される場でしょう。それは音楽を表現するものにとって、この上ない状況でのライブとなるのですが、その代わり、それに対する準備の量というのも、普段のライブとは比較にならないくらい大変なものになってしまいます。
彬子さんの場合、実は今回が人生初のワンマンライブ…というものでした。ライブの出演本数こそ決して少なくない彬子さんですが、今回のワンマンでは、本当に全てが新鮮に感じられた事でしょう。それはむしろ、ライブが始まるまでの下準備や、ステージの構成を決めていく事等に顕著に表れてくると思いますが、ある意味で自由過ぎる程、色々な事が出来てしまう場だからだと思います…。何事もやはり、ゼロから作るというのは難しかったりするものなのです。いや、作る事自体は簡単なのかもしれませんが、それに対するプレッシャーというのが半端なものでは無い筈です。今回も選曲に始まり、ライブ中での仕掛けや照明のパターン等、幾つも考えなければいけない要素は山積みで、それは本番直前まで悩まされたものでしたが、ついにその日を迎える事になりました。バンド・メンバーの、自分とドラムの Soki 君は、それこそ初めから手伝ってきたメンバーでもありましたが、実際、「やっとこの日が来た」…という言葉を、ついつい漏らしてしまう程、感慨深い瞬間でもあったのです。“Feel our soul !!”と銘打たれた今回のライブ、ついに開催する事が出来ました!
ここで、今回のオープニング・アクトを務めてくれた 373(ミナミ)さんについて紹介させて下さい。彬子さんからの紹介で今回の出演が実現し、自分達のライブ前に、こちらも楽しい時間を提供させて下さいました!…ギターの方と一緒に出演し、時にはオケも使ったダイナミックなステージングは、会場が盛り上がるのに十分過ぎる程でした。改めて、自分達に協力してくれる方の多さに感謝しなければいけませんが、間髪入れずに自分達の出番が待ち構えています。それでもやはり、楽しんでやろうという思いが強くなっていた時間でもありました。
最初、ステージに上がってきたのは、彬子さんを除いた、楽器メンバー4人でした。今回は、勿論ギターの寺岡佑を加え、バンドのフル編成で臨んでいます。そしてステージ上の照明が落ちると、どこからか彬子さんの歌声が聴こえてきます。「Dreams Come True~」…これは、今年に新曲として上がった“Day Dream”という曲のイントロの一節で、本来はこの時点で既に楽器も入った演奏となっているのですが、今回は暗闇の中で、ただ彬子さんの声だけが会場に響き渡っていくという状況になっていました。
その歌の一節は、そのまま繰り返しをしています。…と、その歌声を包み込むように、それぞれの楽器の音色がフワフワっと絡んできました。彬子さんの声を、澄み切った街に響き渡る鐘とすると、自分達はそれに注ぎ込む太陽の光のようなものでしょうか。そして、小さく、遠慮がちに注ぎ込んでいたその光の筋も、やがて眩しいくらいに存在感を示していき、それはやがて1つのサウンドへと変化していきました…。ここで彬子さんの登場です。会場からは、割れんばかりの拍手と掛け声が湧き上がっています。しかし、まだまだ歌声の繰り返しは留まる事を知らず、その声の間隔を次第に狭めて、軽快なテンポへと移り変わってきました。そして、完全にリズムが見えた瞬間、バンド・メンバー全員で、本来の“Day Dream”のオープニングへと繋らがせたのです。急に現実に戻った感じでしたが、ここで会場からも更なる拍手を頂き、ついに本編に突入した切っ掛けになったと思いました。
そのまま曲は“私があなたにできる事”に繋げていきます。客席からも手拍子でそれを応戦し、既に会場は一体感で溢れているように思ったものです。そして、ガラッとダークな雰囲気に変えつつ、“ライン”のリ・アレンジ・バージョンへ…。これは、楽器的にもテクニカルな技術が要求される曲で、ここでメンバーの腕を披露するには十分な時間でした。その熱さはこのまま続くのかと思いきや、バラード曲である“Listen”に、イントロ無しですぐに繋げました。
ここまでの4曲は、個人的に相当拘った選曲、演出で、少しの隙も見せたくないステージングでした。緊張感と緩和をバランス良く置き、それでいてバンド・メンバーの個性も存分に発揮出来る、自分としても、とても遣り甲斐のあるもので、それは本番でも確かな手応えを感じられるものでした。故に、この時点で既に1つのライブをやり終えたような感覚でしたが(笑)、今回のワンマンライブは、むしろこれから始まると言っても良いものでした。
この後は、少し懐かしい曲とも言える、“Game”と“緑”をお送りしました。どちらも、この1年より昔に出来た曲で、最近はあまり演奏する機会も無かった曲達でしたが、そもそも曲数を多くして良いこの日には、やっぱり披露する機会を与えなければいけません。そして、やはり昔何度も取り上げていた曲なだけに、お客さんからの楽しさも直に感じられた時間だったと思います。特に“緑”は、彬子さんの代名詞的な曲と言われていた時代もあったので(笑)、その盛り上がり方も最高でしたね♪
そして、この後にはまさかの?新曲コーナーです。今年は月に1度のライブ、そして月に1曲は必ず新曲を発表するという試練を見事にやり切った彬子さんでしたが、この日にもそのルールは適用させ、普段の自分を描いたという“想いをのせて”という曲を披露していきました。静か目な曲ですが、強い想いを覗かせる曲でもあり、また彬子さんお魅力を伝えていく曲として、お客さんにも伝わっていったのではないかと思います。
この曲の後には、また照明が暗くなり、どこからか電車のレールの音が響き渡りました。その中で彬子さんは文章を読み上げていきます。やがて、それはそのまま、今回のライブの中心ともなる曲“天使の梯子”へと繋がっていきました…。この曲も何度も演奏されたバラード曲ですが、個人的に、相当拘りを見せてアレンジをした曲でもあるので、演奏している雰囲気も大事にしたいところでした。バラードはバラードなのですが、本当に強いメッセージ性を込めてアレンジしたのです。そして、その中でもバンド・メンバーの個性を大事にし、アドリブ部分として曲の構成に組み込み、短いながらも『彬子バンド』の代表的な曲として完成させる事に成功しました。まだライブは前半戦なので、もう少し出し惜しみしても良い感じもしましたが(笑)、曲の流れのタイミング的には、ここ以外には考えられない場所でもありました。
“天使の梯子”は、エンディング後にもレールの音を流し、そのままアコースティック・ギターへと持ち替えた寺岡の印象的なギター・イントロから“Same”へと繋げていきます。この曲は、元々はエレキ・ギターで演奏していたのですが、個人的に、今回はアコースティック・ギターの音で、どうしても聴いてみたいところがあって(笑)、そのバージョンとして演奏させて頂きました。実はアレンジの段階で、何となくアコースティックっぽいようなイメージもあったので、今回の実現は嬉しい限りでした。自分的な好きな曲でもありましたので…(笑)。
この曲の後は、小休止…と言いますか(笑)、バンド・メンバーの紹介がてら、今回のライブで唯一の長いMCとなりました。珍しく、メンバーそれぞれにマイクを立てて、直接お客さんに言葉で伝えられたのは良い機会だったと思います。…ベースの相澤さんに至っては、途中から笑い話になっていく節もありましたが(それが、彬子さんとの初対面の話しだったという…笑)、リラックスした雰囲気の中で、良い時間だったと思います。そして寺岡の紹介をすると同時に、そのままギターのフリーソロへ…、ここで相当懐かしい、“Trap”のオリジナル・バージョンへと突入していきました。この曲は、曲中にそれぞれのソロ・スペースが設けてあるので、メンバー紹介の曲としての側面という意味でも、ピッタリの曲だったのです。
ここでも割れんばかりの拍手を頂き、楽器メンバーはそのまま退出。ここでなんと、彬子さんの弾き語りで“未来に”を披露する事になりました。グランドピアノで弾き語りをするという状況はバンド的にも珍しい形態でもあり、ステージング自体に変化を付ける事になったと思います。そして、次は寺岡だけがステージに上がり、ギターとのデュオで“Your LOVE So Special”です。元々、彬子さんがギターで作ったというこの曲ですが、今回で、その曲の魅力を在りのままに伝えられたかもしれませんね。寺岡はコーラスとしても少しだけ参加し、新鮮味のある時間だったと思います。
ここでちょっと変化球と言うか、場を更に盛り上げるべく、お笑いの世界から、『豚と真珠』というコンビの方に繋いで貰う形をとりました。急な事なので驚いた方も多かったと思われますが、同時に、彬子さんの衣装替えの時間でもあったのです。自分達は面識は勿論初めてで、どうなるのか、正直蓋を開けてみないと分からない部分ではありましたが、これが流石としか言いようのないくらいの盛り上がりで(笑)、かなり会場は温まっていました。それまでの緊張感が、ここで和ませる事が出来たという部分もありますし、何より、お客さんの注目を確かなものにさせたという事実があります。朗らかな時間と、次への期待感が相まって、とてもスムーズに次のステップへ繋げる事が出来たと思います。
ただ驚いたのが、この時点で時間が22:00を回ろうとしていた事です。この日、自分達の出番は20:00からを予定していて、若干その時間は押したものの、本来は22:00には全てが終わっているという状況でした。…しかし、自分達のステージは、正にこれから何曲も畳み掛けるという瞬間で(笑)、まさかこんなに時間が経っているとはと思わざるを得ない状況だったのですが、ここまで来たら引き返すわけにもいきません。勿論、少しは残り時間を気にはしますが、むしろ今この状態で遠慮したら、それこそお客さんに失礼です。まだまだ終わらせない、終わらせたくない…。こういった思いも大事にしたい瞬間でもありました。
この後は、正に畳み掛け…という時間でした…。お客さん達の手拍子を煽りながら曲に突入させた“スパンコール”、そのまま“蜘蛛の糸”へと繋げ、最近の新曲である“Dance With Me”へと続けさせます。これらは、それぞれ1曲だけでもインパクトのある曲でもありますが、これを連続して演奏する事によって、更なる躍動感を表現させる事に成功しました。勿論、演奏している自分達の労力も相当なものでしたが(笑)、ここで全ての力を出し尽くす思いで弾き倒し、そのまま最後の時を迎える事になります。
最後は意外に思われた方も多かったかもしれませんが、“パンジー”という曲を演奏しました。これこそ、2年前の4月に行われたレコ発ライブ〔竹内大輔の写真日記(~2009)、川上彬子ラストライブ『Akiversary』参照〕でもラストに持ってきた曲…。相当久し振りに演奏しましたが、お客さん的にも、相当懐かしかったと思われます。ただ、やはり知名度的には高い曲で、手拍子もあり、振り付けもあり、楽しく終われた感じがしました。…そして、その余韻を残したまま、ステージを後に出来たのも良かったと思います♪
そしたらやはり、アンコールに繋がりますよね(笑)!…拍手に煽られ、メンバー一同、再度このステージに戻ってきて、色々と喋りたい事もありましたが、その気持ちはグッと押さえて、そのまま“優しい人”に入りました。この曲は、歌の1番の部分を、ほぼボーカルとピアノだけで演奏していく曲です。イントロに関しても、派手過ぎず、それでいて存在感は確かに示しつつ、表情豊かに弾いていきました。
…一体、合計何曲演奏したのでしょう…。ここまで、相当盛り沢山でやってきましたが、この次にやる曲で、正真正銘最後の曲になります…。彬子さんの、今回最後となるMCの途中から、今回の為に新しく作り直したイントロを弾き始めましたが、ここで、何の曲か気付いた方が殆どだったでしょうね…。こちらも久し振りに演奏した“Keep On”でした。これまで、ほぼライブのラストに持ってきた曲でしたが、今回のライブも、正に締め括りという事で持ってた次第です。
ここまで、長々と演奏してきた自分達でしたが、この時は本当に、やり切った!…という心境と共に、もう最後になってしまうのか…と、少し寂しく思う気持ち?とが入り混じったような、何とも不思議な感覚が支配していました。当然、ライブには終わりが付き物なのですが(笑)、メンバーは勿論の事、お客さんも同じ事を思ってくれていたような気がします。こういった一体感も珍しいような感じがしますが、とにかく、色々な人の協力があって、無事に幕を閉じる事が出来たのだと思いつつ、感謝と安堵の気持ちもあったのでしょうね…。本当に長い間、どうもありがとうございました!…時刻も、そろそろ23:00を迎えようという、大変な状況ではありましたが(予定では、22:00過ぎに終わる筈でした…笑)、大満足の1日でした。そして、メンバー一同、お店のスタッフの皆さんにも、改めて感謝したいと思います!
こうなると、打ち上げも相当大事になってくるわけですが(笑)、時間的なものもあり、もうこの日はオールで飲むという事が事前に決定されていました。自分達のメンバーは、車で来る人も多いので、なかなかその場にいても、全員がお酒を飲んでいるという状況は難しかったりしているのですが、今回は皆、その部分も考慮しており、珍しく全員でお酒を嗜ませて頂きました。改めて、お疲れ様♪…と、ここでようやくハッキリと言う事が出来たと思います。
ただ、やはり彬子さんが参加している飲み会というのは、最終的にハチャメチャになってしまいます…(笑)。左上写真のように、お客さんからケーキを頂いていましたが、この後、テレビ番組でよく見る顔面パイのように、ケーキに顔を突っ込ませるという状況に発展してしまいましたし(笑)、酒が進むと、訳の分からない事を言うようになりますし…。まあ、楽しかったから良かったとしましょう♪…この後、お店は朝6:00に退散し、一部のメンバー(自分も)は更に別の場所で飲み直すという、怒涛の打ち上げでした。
ちなみに、自分はこの次の日は、朝10:00からリハーサルがありまして、殆ど寝てない状態で現場に向かうのですが、後は気合で乗り切った1日でもありました(笑)。だからこそ、まだまだライブの余韻が消えていないのかもしれませんが、楽しくやれた証拠でしょう。これで、彬子さんのバンドのライブは今年最後となりましたが、また来年から、色々と面白い事をやっていく事でしょう。何より、彬子さんにワンマンライブの楽しさを伝えられたのが大収穫でした。今後の新展開が見逃せませんね!…自分も楽しみに、また次の1年を迎える事にしましょう♪
どうもお疲れ様でした!!
☆彬子さんのブログ…http://ameblo.jp/akiranochikara/
☆吉祥寺 Star Pine's Cafe のHP…http://www.mandala.gr.jp/spc.html
竹内さんがライブの構成にかなり気合を入れてかかわられたこと
がよくわかり、迫力が伝わりますね。(“電車のレールの音が響
き渡り”とあるのはまさか・・・?考えすぎ?)
最近ライブに行けていないので、せめてここを読んで楽しみたい
です。
腹ごしらえのお店はもしかしたら「吉祥寺麺通団」?合っていたら
ば行ったことがあるのでなんだか親しみ深い気持ちです。
初めて行ったお店でしたが、お腹的にも大満足。これが、
良いライブへと繋がった理由かもしれませんね(笑)。
このまま気合で、ブログは完成させました!
レールの件は彬子さんの案でしたが、どうやら電車に
乗っている時に“天使の梯子”という曲を考え付いた
らしく…。とにかく印象的だったのでしょうね…。
楽しいライブになって良かったです。自分もホッと一安心でした♪