今回取り上げた理由として、やはり夏らしい路線…というのもあるのですが、この路線を含む房総各線(外房線、内房線、総武本線、成田線、東金線等)で、昔から活躍している113系という車両が今月で引退をするという事で、それを見に行かねばいけないという思いに駆られたという部分もあります(笑)。自分が小さい頃は、それこそ房総各線の普通列車は殆どが113系で運転されていたものですが(かつての国鉄の、代表的な近郊型車両の形式でした)、それが全て無くなる…というのは、やはり時代の流れなのだと思わざるを得ません。それまで東京では、JR東海道本線やJR横須賀線等で数多く見られた形式で、これらの路線では既に全車が引退しており、最後の砦が房総各線だったのですが…、ついにこの時が来たか…という感じです。
この引退により、JR東日本管内の113系は全てが引退する事になり、残りはJR西日本やJR四国に目を向けなければならなくなりますが、特に房総各線の113系は、青色とクリーム色の、いわゆる“スカ色(しょく)”と親しまれていた(横須賀線色…という事です…)塗装の車両で、中央本線に残る115系という車両を残しては(塗り分けが若干異なりますが)最後の車両ともなるのです。
…ところで、この車両は現在どれだけ残っていて、どのような運用をされているのでしょう。正に今が流動的な時期でもあるので予想は難しかったのですが、何と残り1本しかない事が判明してしまいました。4両編成の2本を繋げて8両編成で終日走っていて、基本的には房総各線のどの路線にも運用される可能性があるとの事です。…となると、今回外房線に乗ったところで、他の路線に運用されていたら巡り合えない事態になってしまうわけですが…今を逃すともう出くわせません…。今回、夏をイメージした“鉄道さんぽ”のなのに、雨という天気でも実行したのですが、こういった背景があったからに他ならなかったのです。
●日時…2011年8月22日 ●路線距離…93,3km ●駅数…27
…朝、外房線の千葉駅に着いたのは7:30頃でした。結構な早起きをさせられましたが(笑)、目的の列車がどの路線にいるか分からないので、早めに動くに越した事は無いという判断です。既に天気は雨で気が滅入りましたが、早速始める事にしましょう。
とりあえず最初に乗る車両を確認すると、113系…ではなく、これぞ113系を追いやったと言っても過言ではない車両、209系(右上写真参照)が鎮座していました。お気付きの方もいるかもしれませんが、元々はJR京浜東北線で走っていた車両です。長距離用にトイレを設けたり、先頭車をセミクロス・シートに改造したり、ラインカラーを変更したりと、一応は随所に変化は見られますが、雰囲気は以前のままです。それにしても、113系に比べて旅情感が感じられられなくなったのは否めなく、例えばこの車両で終点の安房鴨川駅まで乗ると、軽く2時間以上は掛かってしまうのですが、通勤型車両に揺られ続けるのは辛そうです…。ラッシュ時には重宝しているのでしょうが、何だか面白くない話しですよね。
…と、千葉駅の片隅にあった駅弁屋には、その名も“ありがとう113系記念弁当”というものが売られていました。朝10:00から発売開始で、無くなり次第その日は終了…というものだったので今回は食べられませんでしたが、113系に対する皆の興味の高さを感じさせられる状況なのかもしれません。さて、本物の113系はいないようなので、とりあえずは外房線の旅を続けるとしましょう。
千葉駅から2つ目の蘇我駅までは、内房線も同じ区間を走りますが、登録的には外房線の区間でもあります。しかし、内房線からの列車は、京葉線方面を除く全ての列車が千葉駅まで達するので、一般的にはどちらの路線でも構わないでしょうね…。そんな蘇我駅は、東京駅からの京葉線が合流し、そして内房線が分かれていくジャンクション駅でもあります。
外房線を走る特急“わかしお”号は、東京駅を出発し、殆どが京葉線経由でここまで来て、そして外房線へと入っていきます(また、内房線に入る“さざなみ”号という特急列車も設定されています)。運が良い?と、左上写真のように、千葉駅からの列車と同時並走が見られるかもしれません。それにしても、京葉線の車両は殆どが233系に変わってしまい、約1年前に“さんぽ”をした時〔鉄道さんぽ 3.(JR東日本、京葉線編) 参照〕と、車両の様子が大分変ってしまいました。あんなにバリエーションのあった車両陣はどこへやら…という感じです。こちらにも既に時代の波は訪れているようですね。
内房線を右に見て分かれ、外房線は南東の方角に、房総半島を横切る感じで抜けていきます。それ故に房総台地を通るので、蘇我駅から1つ目の鎌取駅付近で既に、アップダウンの多い区間を通っていくという感じになります。それでも付近は宅地が進み、ここから誉田駅、土気駅と、土地的には山間の駅が続くのですが、全て快速列車は停車し(一部は特急列車も停車)、乗降客数は予想以上に多い地域でもあります。
そんな山間の区間が一段落すると、東金線との接続駅、大網駅に到着します。ここで特筆すべきは、東金線の線路が分かれてから、ホームに到着するという事です。それぞれの路線でホームの雰囲気には差があり、通路で結ばれているものの、なかなか特徴的な形をとっている駅とも言えるでしょう。蘇我駅からここまでの区間は、東金線への列車を含めて、日中の普通列車は1時間に4本の運転となっているのですが、東金線への列車が分かれるので、この先は日中は1時間に3本運転となります。
それ以外として、特急列車は概ね1時間に1本という感じで、朝夕にはこれに、横須賀・総武快速線からのE217系(右上写真参照)も顔を出してきます。外房線の列車の両数は、4両編成から10両編成が一般的なのですが、こちらの快速は15両編成で走っている事も多く、列車によっての両数の差は大したものです(笑)。
そして最近、日中にJR京葉線からの直通列車が設定されるようになりました。これは、京葉線内は快速、外房線内は普通として走るもので、ラインカラーが明らかに違うので、一目で分かる列車となっていますが(右下写真参照)、逆を言えば、外房線のみを走る列車が減ったとも言えそうです。外房線への直通車両は、もう223系に統一されたような感じがありますが、確かに最新型だけあって都会的なデザインですし、路線のイメージアップに繋がりそうです。
大網駅を出ると、今度は平坦な路線となり、列車は快適にスピードを上げ、小さな駅を2つ過ぎると、高架の茂原駅に着きます。沿線の宅地化はこの辺りまでで、東京への通勤圏内も、この2つ先の上総一ノ宮駅くらいまででしょうか。例の京葉線直通列車も、東京駅から上総一ノ宮駅まで1本で行けるような設定になっているので、この辺りが乗客の流れの1つの境界線だと見ても良そうな気がします。
確かに、上総一ノ宮駅自体は大きくなく、周りに大きな市街地もなさそうな感じですが、直通列車は昔から多かったので、運行上の境界線ともとれるかもしれませんね。ちなみに運転本数ですが、茂原駅~上総一ノ宮駅間は日中1時間に2本になり、上総一ノ宮駅より先は、ついに1時間に1本程度の運転となってしまいます(特急は除きます)。
この駅より先は、路線も単線区間となり、いよいよローカル色が濃くなってきます。房総半島らしい雰囲気が漂ってくるのも、この駅からと言って良いかもしれません。…とは言え、やってくる列車というと209系ばかり…。この時点で、113系のこの日の運用が成田線に入っている事が分かってしまい、113系への諦めが出てくるのですが、ここまで来たらまずは外房線を終点まで乗り通すしかないでしょう…。折りしも上総一ノ宮駅は、外房線の中間地点付近に存在する駅でした。
ここからは単線区間になる…と言いましたが、まだ各所で複線区間になる所もあり、運転本数は少ないものの、途中で特急列車の通過待ちを行う普通列車も見られます。この辺りですと車内の乗客はチラホラ…という感じで、夏休みの時期にしては寂しい感じではありますが、この日の天気を考えると仕方ないのかもしれません。つまりはそろそろ海も近付いてくる頃なのですが、外房線は暫くは海とは1kmぐらいの距離をとって走るので、車窓から海を確認するのは結構困難だったりします。
いすみ鉄道に乗り換えられる大原駅を過ぎて、少し浪花という駅で降りてみましょう。この時には雨も止んでおり、たまには“さんぽ”しないとバチが当たりそうです…(笑)。浪花駅は普通列車しか止まらない無人駅ですが、Suica 対応の駅でもあります(外房線の駅は、全てが Suica 対応です)。雰囲気は、もう紛れも無く房総のローカル駅…といった感じで、今でこそ近代的になってしまった駅も多いですが、昔はこんな駅ばかりだったように自分は記憶しています。その意味では、Suica 意外、当時のままを留めている駅とも言えるでしょう。周囲の風景も喉かなもので、セミの鳴き声が凄まじい地域でもありました。夏真っ盛り…というよりは、残暑を感じた光景でもありました。
また浪花駅に戻り、一路南へと進みます。海水浴で有名な御宿駅を過ぎ、列車は勝浦駅に到着しました。1日1往復ですが、この駅まで京葉線の直通列車は設定されており、東京駅までの所要時間も2時間10分くらい(しかし、上総一ノ宮駅で20分くらい停車し、この駅で1つ前の列車に乗った方が早く着きます)なので、勝浦も意外に便利な場所なのかもしれませんね(ちなみに、都心から普通列車で約2時間の距離と言うと、群馬県の前橋辺りになります)。
乗った列車はこの勝浦駅止まりで、すぐさま終点の安房鴨川駅行きの普通列車に接続していたのですが、これが特急列車を使った普通列車でもありました。この先の区間はトンネルやカーブ続きで、特急列車もスピードをあまり出せず、駅を通過するとしても2,3駅の差だけなので、特急列車の一部は、勝浦駅~安房鴨川駅間を“普通列車”として走るものが存在しているのです。利用者からするとお得で、鉄道会社的にも、特急と普通列車をどちらも走らせるのは輸送過剰…という思いがあるのかもしれません。ここからは海も本当に近くなりますが、トンネルも多くなるので、やはりチラチラと望めるだけではあります。
安房小湊駅や、安房天津駅と、“安房”の付く駅が多いですが、そんな外房線の終点も例に漏れずに安房鴨川駅となります。線路は終わらず、この先は内房線になり、要は房総半島をぐるっと1周するような路線形態になっているという事です(ただし、列車は全て安房鴨川駅で分離されています)。この安房鴨川駅、外房線の内房線の終点駅といういには規模が小さいですが、鴨川シーワルドや仁右衛門島、そしてビーチ等、観光要素となるものは沢山あり、その拠点駅としての役割も強いように思います。自分も路線バスを使い(反則?…笑)、外房線と海が同時に望めるという数少ないポイントまで行ってきました。今回は天候が良くなかったので、“さんぽ”的には控え目になりましたが、何とか終点まで辿り着けて、そして海との撮影ポイントは押さえて、夏らしい雰囲気を保てたので良かったと思います。逆戻りは特急を使って、豪華に帰ってしまいましょうか(笑)。
…と、ここで少々腑に落ちなかった気持ちがあったのですが、そうでした…、まだ113系に出会えていないではありませんか…。外房線的には終了ですが、こちらの目的が果たせれていません。まだ14:30という時間で、房総各線の拠点の千葉駅に戻っても16:00くらいなので、もう少し粘ってみるか…と、足を千葉駅に向けさせたのです。
その後、Twitter (本当に役立ちました)で、成田線の運用からいったん車庫に入り、その後出庫しで夕方前に内房線の運用に入ったという情報が入り、これは千葉駅で待っていれば来るのではないかという思いが立ち込めます。113系は現在8両編成、そして、209系との大きな違いは、3扉か4扉かという事…。これは駅の発車案内にも表示されている事柄なので、それを見て簡単に予想がつくのです。そして…、、、
ついに出会えました!♪
…いや~、粘った甲斐があったものです(笑)。何だか懐かしさを覚えますね。内房線の列車として千葉駅に到着した後、折り返しの行先は何と、外房線の勝浦駅行き!…という事は、正真正銘、外房線の運用に入ったわけで、今回の“鉄道さんぽ”に堂々と組み入れて良い列車になったわけです。ただ、流石に今からまた勝浦駅まで行くわけにはいかないので(笑)、2つ目の蘇我駅まで、しっかりと乗らせて頂きました。209系から見ると、明らかに洗練されたとは言えない容姿、そしてクラシカルな車内でしたが、この安心感というのは、やはり昔から使われていた車両だったからなのでしょう。
恐らく、東京近郊で乗る事、そして出会う事はもうないと思われる113系…。最後と言うのにはまだ早過ぎますが、そんな瞬間に立ち会えて良かったです。この日の出発時の事を思えば、雨にも関わらず実行を決めたのが吉と出ましたね。これも良い夏の思い出の1つとして、自分の心に刻まれた事でしょう!
何気に観光要素の多い外房線ですが、東京から
遠くはないというのも魅力の1つだと思います。
それでも旅気分には浸れますからね。是非♪
でも誰がつぶやいてるのでしょうか?
幕張車両センターの人が仕事でつぶやいているのでしょうか?
誰なんでしょうね…、やたら鉄道に精通しているところも
ありますし。普通に鉄道ファンの方なのではないかとお見受けしますが…。
区間があったような気がします。ただ、見られるのがほんの
一時期らしいので、なかなか難しいらしいのですが…(笑)。
つまりは植物の写真は、鉄道と絡められるなら撮ります(笑)。
見るに、正に8月31日の出来事だったという事でしょうか。
確かにこの日は、房総の113系の運転の最終日だったと思います。
(追記…今日のニュースを見るに、9月1日が最後の定期運転だったようです)
定期での運転は終了しましたが、9月の連休中に、イベント的な
運転は予定されているようで(恐らくチケットは売り切れ…)、
これが正真正銘の最後の運転かと思われます。休日でもあるので
チェックしてみては(笑)?…113系の人気振りが、改めて
感じられるかもしれませんよ!…無理の無い程度に…(笑)。
あの日(8/31)の113系は今時刻表を見返すと、銚子(19時40分発)から千葉行き(21時28分着)でそのまま折り返し銚子行きになったのではと想像します。(すると佐倉駅で見かけたカメラの青年がいた理由も合点が行きます。)なので、駅員さんが正確に教えていただいても、私には113系に会うのは時間的に難しかったように思いました。
9/1も運転というのは銚子から車庫にもどるついでに、お客さんも乗せたということでしょうかね?まさにこの電車(9/1のラスト)にはコアな情報がないと乗れませんね。
でも久しぶり(大学以来?)時刻表を見ながらの電車の乗り継ぎは
楽しかったです。「8両3ドア」の隠れた意味が分かったときは凄く嬉しかったですよ。またトライします!
運用されていたらしいので、サプライズかもしれませんね。
そうです、“8両3ドア”にドキドキしますよね(笑)。
確実性がある事こその、期待感…。良いものを教えて貰いました。