昨日は水道橋にある東京倶楽部というお店にて、自分名義のピアノトリオをライブをやってきました。今まで何度も言っているように、この日は新作CDアルバム“Fingers Dance”のレコ発ライブで、日曜の昼間という時間帯でしたが、お店を貸し切って、それこそ大々的にやらせて頂きました。多くのお客さんにお越し頂き、そしてCDも沢山購入して頂き(この日持っていった分は全て売れてしまいました!)、本当に感謝の気持ちで一杯です。…ただ、お店を貸し切った以上、時間制限というものがどうしてもありまして、予想以上にバタバタだったのは否めませんでしたが(笑)、楽しい時間を皆さんと過ごせました。少し振り返ってみたいと思います。
この日のお店の入り時間は12:00。東京倶楽部は、ジャズのお店の中でも歴史が古い方だとは思いますが、恥ずかしながら自分は今まで行った事がなく、この時初めてお店に入ったという状況でもありました…。入って左奥にバーカウンターが、そのまま左に回り込むように設置されており、カウンター席もそのカウンターに並行して置かれています。ステージは一番奥に位置し、入口からは一段低い場所に設定されているので、一番後ろの人からもステージは見えそうです。右奥はソファ席となっており、それ以外の席は、丸テーブルに長椅子…という感じで置かれていたので、どの席からもステージが見えるように工夫されているお店でした。今回は結構な人数のお客さんにいらして頂けたので、こういった客席の配置は本当に有難いと感じたものです。
そしてリハーサルを行います。楽器のセッティング準備もあり、お客さんへの開場は13:00にしていましたから、この時点で相当タイトなスケジュール設定でもあるのですが、そもそも時間がカツカツなので致し方ありません…。初めての場所という事もあり、音響の面で慣れさせるのも大事なのです。しかも、今回は映像の方にも入って頂いていたので、楽器面や客席面の配置の把握も無視出来ないところなのです。短時間でやれる限りの事は行い、そしてお店のオープンへと時間通りに繋げました。
既にお店には何人かの人が並んでいて(まあ、その内の半分くらいは、自分の家族・親戚一同でしたが…笑)、この日の大入りを予感させます。そしてその状況は、予想を大きく上回るものとなってしまいます。元々は余裕をもって設定していたのですが、意外なお客さんもお越し頂けたりと、ライブ・スタートの13:30頃には、ほぼ満席という状態になってしまいました。それでも更にお客さんは増えてしまい、ついにお店の補助椅子を出すまでになってしまいます…。嬉しい状況ではありますが、自分が対応しきれない部分もあったりと、バタバタ感に拍車を掛けてしまいました…。そんなこんなで、1ステージ目の始まりです。
最初はやはり“Scramble”をやらせて頂きました。CDの1曲目にもなっていて、今までの自分のライブでも、割りと1曲目“率”が高い曲でもありますが(笑)、やはりこの曲は自分の中で、どこか始まりを予感させてくれる曲なのです。そしてその始まりは“新しいもの”としての感覚が強く、自分達のこれからのライブのインスピレーションを引き出してくれるという意味でも、非常に大きな存在であるのです。そしてそれは今回も大成功でした。
2曲目は打って変わって、スタンダードの名曲“Summertime”です。今回のライブの選曲として心掛けた部分の1つに、CD“Fingers Dance”に入っている曲と、カバー曲…というのを意識してみました。つまりは、その他のオリジナル曲は基本的には取り上げなかった…という事なのです。カバー曲も勿論、このトリオでも何度も取り上げてきたテーマの1つで、今回はこの時期でもありますし(笑)、割りと自然に“Summertime”をやろうと浮かんできたものでした。結果的に、この日のライブでジャズ・スタンダード曲と言えるのはこの曲だけになりましたが、それだけに良い特徴性が生まれたと思います。
3曲目は、CDのタイトルにもなっている、“Fingers Dance”です。やはりCD発売記念ですから、この曲は先に説明しなくてはなりません。もうこの時点でCDを購入して頂いた方は沢山いらっしゃったので、CDジャケット等を見ながらの視聴というのも面白いかなと思いました。CDの解説にも書いていますが、この曲は演者の主役である“指”に対し、色々な場面の舞台を与えた曲です。この日の演奏も、いつもとは違うように展開が変わっていき、ライブらしい大団円が披露出来たと思います。
4曲目は、ビートルズのナンバーから、“Here,There And Everywhere”。トリオで演奏したのは久し振りでもありました。今でこそ、カバー曲をトリオ用にアレンジするという作業は当たり前のようにやっていますが、この曲は、トリオ結成時の割りと初期の段階でアレンジを施した曲でもあり、当時を振り返る意味でもやらせて頂きました。この曲を御存知の方も多かったと思うので、聴きやすい時間にもなったのではないでしょうか。
そして1ステージ目最後の5曲目は、最近再アレンジを施した“Spain”です。今までアレンジをしてきた曲の集大成となるような感じで、原曲からは、かなり逸脱したアプローチで演奏している曲でもあります。確かに、原曲から抜き出しているのはメロディくらいで、コード進行や曲の構成等、もう殆ど原型を留めていません(笑)。しかし、曲の“雰囲気”という、ある意味で核の部分は残せたと思っているのです。それこそが自分なりのアレンジの境地でもあり、その意味でもこの曲は、今回やっておきたかった曲でもあったのです。1ステージ目の最後として、盛り上がって終われた曲でもありました。
…さて、1ステージ目が終わって時刻は14:50。予定では14:30には終わらせる筈でしたが、始まりがそもそも10分以上は押していたので致し方無いとは言え、このお店からの完全撤収は17:00厳守なので、タイトさが更に増してしまう事は明白でした。しかし、ここから2ステージ目までの間の時間も重要です。沢山のお客さんに来て頂けている事ですし、色々と話しは聞きたいものです。勿論、飲み物もオーダーし(この日はメンバーもお客さんも含め、全員、飲み放題でもあったのです♪)、充電は完了!…気持ちを新たに、2ステージ目を迎えられました。
2ステージ目の1曲目は、オリジナル曲の“La Cantaora”でした。ちなみに2ステージ目は、全編オリジナル曲でお送りしています。この“La Cantaora”は、実はCD録音する時のギリギリまで、“Scramble”とどちらを1曲目にするか、悩んだ曲でもありました。この曲もまた、今回のCDのテーマに相応しい曲であり、それは曲を聴いた瞬間から発せられる世界観のインパクトが大きい曲でもあったからです。イントロから既に特徴的で、それはそのまま曲のテーマに入っても継続されるフレーズではあるのですが、そのまま発展していって次の展開に繋がっていく辺り等は、個人的にも好きなポイントだったりします。今回はライブという事で、CDより自由に、そして長めのイントロを弾いてみました。新たな展開のステージの1曲目という事で、重要な役割を果たしてくれていたと思います。
2曲目は、前の曲から繋げるという意味で“Water Lily”を演奏しました。今回のCDの中では異色の静かな曲ですが、曲の後半で“動”の部分を見せてくれる等、2面性を持つ曲だとも思っています…。ライブでは、その差が更に如実に表現されるような気もしますが、やはりお客さんの持っている空気感を受けて演奏に反映させているからでしょう。構成は基本的にはCDもライブも変わりませんが、それこそ、ある一定の決まりがある中での“自由”…という状況下でもあり、それは自分の最も好きな演奏スタイルの1つでもあるのです。
3曲目は、もうトリオの結成当初から、本当に長い事演奏をしている“Guernica”です。勿論、最近よく演奏しているリアレンジ・バージョンの方で、アレンジはついにオリジナル曲にも到達したという事もあり、トリオの成長と共にあった曲だなとも思っています。この曲を弾く度に、今回はどのような方向になるのか、どんな展開になってしまうのか…と、楽しみながら弾いています。…と言うか、本当に弾く前の心境では、演奏展開の予想なんて全く考えられないのです。当然ですが、演奏しているのは自分だけではなく、トリオのメンバー全員です。このメンバーも長い事“Guernica”を演奏してくれているわけで、こちらもどのような音を出してくるのか、楽しみで仕方無いんですよね(笑)。
そして4曲目は、今回のCDで唯一のカバー曲となった“Valse Op.34 No.2”です。カバー曲とは言ってもクラシックの曲ですから、普通のカバー曲とはイメージが異なるかもしれませんが、ピアノの詩人とも言われる、ショパンの曲でもあります。 クラシックの曲をやるというのは自分にとっても重要な意味を持っていて、ジャズという音楽をやっている身分ですが忘れたくない部分でもあり、これは今後も続けていきたい気持ちでもあります。この曲の特徴はやはり、ピアノがアドリブをとらない事でしょう。その代わり、ドラムとベースはある程度自由になれる部分もあり、そこがこの曲の面白い所でもあると思います。
そして、今回ラストに持ってきたのは“Hagtana”です。ラテン系の曲調であり、ドラム・ソロもたっぷりあって、最後まで盛り上がって演奏出来たと思います。この曲もまた、今回のCDのテーマに相応しい曲でもあり、レコ発ライブの最後をビシッと締められました。…この盛り上がりは収まる事無く、このままアンコールへと繋がっていきます。
アンコール曲…全然考えていませんでしたが、直前の曲で盛り上がった感じでもあったので、逆にアンコールでは静か目に…、1作目アルバム“Pictures”から、“Monte Fiesole”をお送りして終了しました。まさか1作目の曲を演奏するとは本当に思っていなかったのですが(笑)、流れとして考えれば自然な選択だったとも思います。
さて、このアンコールが終わった時点で時刻は16:35。もう完全に時間がありません(笑)。急いで片付けをして撤収です。CDも最後の1枚を売り切り、この日持ってきた分は完売致しました!…お店の外に出てみると、当然の事ながらまだ明るく(笑)、この日のライブが一瞬の出来事のように感じてしまいました。
実際のところ、1時間強のステージを2回…、恐らく2時間半は演奏していたと思いますが、自分でも驚く程、時間が経つのは早かったです。やはり、充実した時間だったのでしょう。演奏していた時はもう必死な感じでしたが、今現在、そのライブを振り返ると、大変貴重な時間を過ごせていたという記憶が蘇るくらいです。
このように、レコ発ライブは大盛況の内に終了しました。ライブの雰囲気も、正に“レコ発”という雰囲気で、お祝いモードさながらの感じもあり(笑)、大変幸せな時間でした。…ですが、ライブはこれで終わりではありません。今月は13日(水)、23日(土)と、こちらもレコ発に並ぶほど大事なライブが間近に控えています…。今回のライブでやった事を生かし、また次のライブへ繋げていきたいものです。どうぞよろしくお願いします♪…ライブ、CDと共に、どうもありがとうございました!
●今回のセットリストです!
・1ステージ 1、Scramble(オリジナル)
2、Summertime
3、Fingers Dance(オリジナル)
4、Here,There And Everywhere
5、Spain
・2ステージ 1、La Cantaora(オリジナル)
2、Water Lily(オリジナル)
3、Guernica(オリジナル、リアレンジ・バージョン)
4、Valse Op.34 No.2
5、Hagatna(オリジナル)
・アンコール ・Monte Fiesole(オリジナル)
★7月13日(水)中目黒楽屋
Open…18:00~、Start…19:30~、2マンライブ、自分達の出番は2バンド目、21:00~
Charge…前売り2500円、当日3000円(共にドリンク別)
Member…≪Deep River≫(Sax)郷原繁利、(Pf,Key)フジワラミエ、
(B)田中啓介、(Ds)佐々木俊之
≪竹内大輔ピアノトリオ≫(Pf)竹内大輔、(B)池田暢夫、(Ds)佐々木俊之
★7月23日(土)伊達紋別だて歴史の杜カルチャーセンター(伊達市のHP)
Oepn…14:30~、Star…15:00~、
Charge…前売り500円、当日600円、高校生以下無料(要整理券)
Member…(Pf)竹内大輔、(B)池田暢夫、(Ds)佐々木俊之
☆水道橋東京倶楽部のHP…www.tokyo-club.com/
☆池田暢夫のHP…sites.google.com/site/nobuoikedawebsite/
☆佐々木俊之のHP…http://www.toshiyuki-sasaki.com/
客席での時間もあっという間に過ぎてしまいました。
アンコールの曲名を聞いた瞬間もうれしかったですね・・・。
おにぎりをがっついてる(?)写真がありますが、ハードスケジュール大丈夫でしたか?
これからもどんどんとご活躍くださいませ~。
期待に違わぬ素晴らしい演奏でした。
それと、東京倶楽部にあんなに客が入ったのは初めて見ました。
次回も楽しみです!
今週は竹内君と3回会いそうです。(笑)
是非、聴きこんで下さい。何回も聴く事によって気付かれる
部分もあるかもしれません。勿論、既に自分は何回も聴いて
しまっているのですが、それを抜く勢いで(笑)、よろしくです!
>おちゃさん
楽しんで頂けて良かったです。アンコールの“Monte Fiesole”が
ちょっとしたサプライズになったようで、嬉しく思います♪
おにぎり…食べてますね(笑)。大変美味しいお味で、
ライブ梯子の間の、良い休息になった事を思い出します。
>ヤマトさん
今回、ちゃんとしたトリオとしてのライブも久し振りでしたが
如何でしたでしょうか。何気に4ヶ月振りだったわけですが、
自分でも楽しく感じられたのは幸いです。またよろしくお願い
します!…今週は3回…そうですね、明日と金曜…ですか(笑)。