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 偶数月恒例の“鉄道さんぽ”ですが、今回はJR線の回でもあります。それこそ日本全国に路線網を広げるJR線ですが、ならば…と、先日の九州ツアーの帰りに回った路線から、1つ取り上げてみたいと思います。以前の記事で言ったように、今回はただひたすら(笑)九州内を回っていたわけですが〔更なる広がりを見せた九州ツアー 参照〕、その中で目を付けたのは、JR筑肥線という路線でした。
 この路線は、JR九州管内の路線としても特徴的な一面を持っています。それは、唯一地下鉄と相互乗り入れを行っており、車両も通勤型を中心に使われているという事です。JR九州の他の車両と比べるとそれは明らかで、この路線だけ、1両に片側4扉がある車両…、つまりは東京のJR線らしい雰囲気で走っているのです(他の路線は近郊型車両が主に使われていて、それは片側3扉車となります)。
 九州一の繁華街である天神、博多を通るので当然とも言えますが、この区間は乗り入れ先の地下鉄区間ともなっており、実際の筑肥線は、姪浜駅より西側の区間を指します。元々、博多駅まで単独で乗り入れていた路線ですが、1983年に福岡市の地下鉄が開業した際に、そちらと相互直通運転を行う事で、従来のルートは廃止してしまったのです。
 それこそ、それまでは単線、非電化の路線でしたが、この開業を機に、筑肥線は一気に近代化路線の仲間入りを果たしました。また、唐津市周辺も、唐津市街に立ち寄るルートに変更され、更に奥に存在する山本駅~伊万里駅間の路線とは分断される事になります。その間はJR唐津線という路線で介されている状況になっているのですが、この西側の路線は単線、非電化で、正にローカル線といった風情です。つまり現在の筑肥線は2区間で、姪浜駅~唐津駅の電化区間と、山本駅~伊万里駅間の非電化区間に分かれるわけです。この2路線の雰囲気の違いは興味深く、特に非電化区間の方は、昔ながらの筑肥線を彷彿とさせてくれます。
 今回は勿論どちらの区間にも乗り、その歴然とした“差”を体感してきました。また、この日はとても良い天候に恵まれ、春の訪れを感じさせた“さんぽ”になった事も(顔が若干日焼けしてしまいましたが…笑)付け加えておきましょう。それではどうぞご覧下さい!


 ●日時…2011年4月5日 
 ●路線距離…68,3km
 (姪浜駅~唐津駅…42.6km、山本駅~伊万里駅…25.7km)
 ●駅数…30駅(姪浜駅~唐津駅…19駅、山本駅~伊万里駅…11駅)

 福岡市営地下鉄空港線の西端が姪浜駅で、JR筑肥線はここから西側の区間となります。殆どが地下鉄からの直通列車で、本数は半減しますが、それでも日中は1時間に片道4本程度は運転されています。地下鉄の車両も筑肥線に乗り入れており、JRの車両が赤色を基本とした塗装に対し、こちらは青色なので、明確に差が出ていて面白いです。

  右側がJR車両で、他が地下鉄車両です  姪浜駅から西側を望む…真ん中の路線は車両基地へ…

  左側に地下鉄の車両基地が見えます  下山門駅にて…写真奥が姪浜駅方向です

 姪浜駅を出ると、左側に福岡市営地下鉄の車両基地を望みつつ、高架区間から降りてすぐに下山門駅に到着します。ここまではマンションや住宅街が続く区間ですが、ここを過ぎると早速、生の松原と呼ばれる松林の中を走り、右側に博多湾を望みつつトンネルへ…。ここから地図上では、博多湾の海岸と並行して走っていくのですが、意外にも海が望める区間は少なかったりします。ここはそんな数少ないビュー・ポイントで、福岡市街から断続的に続いた住宅街もここで一旦途切れるので、何となく旅情を掻き立てられる区間でもあります。

  上り線は、博多湾を横に望みながら走ります(下り線はトンネルに入ってしまいます…)  郊外の駅っぽい雰囲気の今宿駅

 残念ながら、下り線は、海が見れたと思うとすぐにトンネルに入ってしまうので、ゆっくりと博多湾を望む事が出来ないのですが、それでも注意して車窓右側の方をみると、直前に通過してきた生の松原や、その海の対岸には、昨年のさばいばるいとうさんのツアーでも訪れた能古島〔さばいばるいとう UNIT、西日本・九州ツアー(2010.8.5~8.13)参照〕を見る事が出来ます(←まだこの記事は未完成なので、能古島まで説明出来ていませんが…笑)。
 今回の“さんぽ”は、この風景が望める下山門駅~今宿駅間を、今宿駅から歩いてみました。電車で通ると一瞬ですが、その区間を歩いてみると、本当に海に近い所を走っているんだなと感じます。その距離はたった道路1本分で、改めて福岡という場所が、如何に海と身近にある土地か…、考えさせてくれる区間でもありました。

  赤い前面塗装が印象的な、103系1500番台  座席は青が基調になってますね

 ここで、筑肥線(姪浜駅~唐津駅間)を走る車両について触れておきましょう。まず、一番よく見かけるのが、左上写真の103系1500番台という車両で、1983年の地下鉄乗り入れ開業時(同時に電化も達成)にデビューしました。この時、既に東京では203系という、地下鉄乗り入れ用の車両(JR常磐緩行線に使用)が造られていたのですが、ここでは経済性を重視し、今までの103系を一部設計を変更して投入されました。なので、系列は103系となっていますが、他の103系車両とは似ても似つかない車両で、どちらかと言うと201系や、先程の203系に近い雰囲気の車両となっています。基本的に6両編成ですが、後に中間の2両を先頭車化改造させて、3両×2編成…として走る列車も多数あります。そして、筑前前原駅以西では3両だけで走る列車もあり、需要に応じた編成が組める車両として、今でも筑肥線の電化区間の主力となっている車両となっています。

  JR九州らしい外観の303系  なかなかモダンな雰囲気です

 そして、1999年に登場した新しい車両が303系です。筑肥線は、福岡市営地下鉄と乗り入れを行っている関係から、JR九州の路線としては唯一直流電化の路線となっており、その為、国鉄がJRになってから造られたこの303系は、JR九州の唯一の直流専用車両ともなっています。また、乗り入れ先の地下鉄車両が、地下鉄区間はワンマン運転になっているのに対し、先程の103系はそれに対応しておらず、車掌業務となっていたのですが、この303系は地下鉄線内のワンマン運転にも対応しています。JR九州らしいモダンな装いが特徴で、まだ以前の103系が全車現役の為に、車両数は3編成に留まっていますが、今後の装備を期待したいものです(ただ、全て6両固定編成なので、3両運転が多くなる筑前前原駅以西では使い難い…といった見方もありますが…)。

  路線の中枢ともなる、筑前前原駅  本数は少ないですが、快速も運転されています

 さて、その筑前前原駅から、徐々に車窓風景も変わってきます。ここまでは路線も複線区間が続いており、地下鉄線の延長のような感じで、通勤路線性格が強い区間となっているのですが、ここからは単線区間となり、田園風景も目立ってくるので、郊外路線のような感じとでも言いましょうか。運転本数も、日中はここからは1時間に片道2本程度となってしまいます。

  これは、駅と車両のデザインの合わせ技ですね!  福岡市営地下鉄の車両も、たまに走ります

 筑前前原駅を出ると、次に美咲が丘という駅がありますが、この駅のデザインはなかなか特徴的です。1995年開業と、結構新しい駅ですが、JR九州のコーポレート・カラーである赤色を纏った駅舎を採用しており、黄色の筒状の通路と相まって、非常にカラフルな雰囲気の駅となっています。左上写真のように、筑肥線の103系1500番台の車両と組み合わせると、正に合わせ技的な雰囲気を思ってしまいますよね(笑)。JR九州には、こうした試みを持った媒体が数多くあるような気がします。
 そして、広大な田園風景の中を走り、筑前深江駅へ…。地下鉄の車両の乗り入れは当駅までとなり、ここより西の区間は、基本的にはJRの車両しか走りません。日中も半分以上は、103系の3両編成での運転となっています。

  無人駅も多くなってきます…大入駅にて  大入駅~福吉駅間にて

 さて、お次の“さんぽ”は、この区間にある大入駅~福吉駅間です(福吉駅から、1駅戻る形で歩いてみました)。特にこの区間に何かあるわけではないのですが、何となく駅名の縁起が良さそうだったので、降りてみたくなったのです(笑)。勿論、期待していたような事柄は起きはしませんでしたが(笑)、ここも広大な田畑が望める区間を走っており、写真的には良いものが撮れたようにも思いました。ちなみに、これらの駅の読み方は、大入(だいにゅう)駅、福吉(ふくよし)駅です…。

  緑の畑に、赤色の車両が映えます  福吉駅にて

 さて、この先にある鹿家(しかか)駅から次の浜崎駅までは、筑肥線の中でも最も駅間の長い区間(5,2km)になるのですが、一番海が長い事望める区間でもあります。流石に距離が長いので今回は歩きませんでしたが(笑)、トンネルも断続して続くものの、海への展望は概ね良好であり、“さんぽ”をするには結構面白そうな区間だとも思いました。

  鹿家駅ホームから、浜崎駅方向を望む…海が見えます  鹿家駅~浜崎駅間を走る車内にて

 今回は浜崎駅で降りて、少し鹿家駅寄りに歩いていくだけに留めましたが、その時に撮った写真はむしろ海というより、山や木々とを取り合わせた写真になりました(下写真参照)。海だけではない筑肥線…という側面を感じさせてくれると思います。

  バックには山が聳えます  筑肥線の車両は、春の季節に合いますね♪

 この先は虹ノ松原で有名な、その名も虹ノ松原駅を通り、線路の右手には暫く松原が続く区間が望めます。すると、意外にも線路は高架区間に入っていくのですが、これが地下鉄開業後に新たに造られたルートでもあります。以前は、この先にある松浦川を渡らず、今より少々河口付近に位置した東唐津駅を通って、スイッチバックしてこの後に説明する山本駅に至っていたのですが、現在はそのまま西に向かい、高架化された東唐津駅、そして松浦川を渡って唐津駅へと達しています。山本駅からは、北に延びるようにJR唐津線が走っているので、山本駅に行けなくはないのですが、一旦唐津駅を通らざるを得ない路線配置となりました。

  松浦川を渡っている車内より…  唐津線や、伊万里駅からの筑肥線も乗り入れる唐津駅

 …と言うように、前述通り、この唐津線を介して、筑肥線は唐津駅より東側と、山本駅より西側の路線の分断されてしまうのですが、現在の山本駅より西側の筑肥線は、博多駅からの延長というより、唐津線の支線のような扱いに等しく、列車も日中は1両編成のディーゼルカーが1~2時間に1本が走る程度で、地元の人もあまり“筑肥線”とは呼んでいません(伊万里線…とか呼ばれています)。それでは今度は、山本駅より西側の筑肥線を見ていく事にしましょう。ちなみに、唐津駅より東側の筑肥線は、この先、唐津線の西唐津駅まで乗り入れていますが、これは線区が別になるので、唐津線を“さんぽ”した時にでも(いつ実現するかは不透明ですが…笑)取り上げていければと思います。

  電車とディーゼルカーが行き来する唐津駅  以前は唐津線と筑肥線のクロス駅だった山本駅

 いきなり山本駅には行けないので、先程の唐津駅からJR唐津線で向かう事になりますが、筑肥線への列車も、唐津や西唐津駅から直接出ているので、利便性は悪くはありません。山本駅は唐津駅から2つ目で、以前の状態ならば、ここで改めて左側から博多からの筑肥線が合流してから当駅に至ったわけですが、今は、Y字に分かれるだけの駅となってしまいました。それでも、言わばジャンクションと呼ばれる駅ではあるのですが、唐津線も1時間に1本程度の路線なので、駅の規模は小さく、無人駅でもあります。それでも、これから訪れる筑肥線の駅よりは、遥かに立派な駅構内だったのですが…(笑)。

  左が筑肥線、右が唐津線の線路で、本牟田部駅は唐津線(写真右奥の駅)にだけ存在します  唐津線を乗り越え、右に分かれていきます

 さて、筑肥線の伊万里駅行きディーゼルカーは1両編成で、乗客も10人程という状態でした。これがいわゆる“日常”なのだと思いますが、路線風景の雰囲気からしても、明らかにローカル情緒が漂っています。先程の姪浜駅付近の筑肥線とは別路線のようだと、早速嫌でも思ってしまいます…。
 山本駅を出ると、暫く唐津線と並行し、お互い単線の路線なのですが、一種複線の路線のようにも思える風景が続きます。途中の本牟田部駅は唐津線だけに存在し、何事も無かったかのように筑肥線は通過、そして唐津線をオーバー・クロスし、やがて唐津線を左に見ながら二手に分かれていきます。このオーバークロスに、かつて山本駅手前で旧路線と合流していた名残が見れるかなと思います。今のような状態ですと、山本駅を出てすぐに筑肥線は右側に出た方が効率が良いように思えるからです。わざわざ左側からオーバークロスして右側に出るのは、以前の筑肥線と唐津線の両線が干渉しないように造られたからではないでしょうか…。現在はY字に分かれるので、あまり機能しているとは言えませんが、X字にクロスしている時は、意味のある分岐の仕方のようにも思えるわけです。
 そんな事を思いながらも、1つ1つの駅に停まっていきますが、殆どの駅で乗客の出入りはありません。線内唯一の列車行き違い可能駅である大川野駅で、少しの入れ替えがあったくらいで、後は皆、終点の伊万里駅まで乗るか、途中から2,3人、やはり伊万里駅まで向かう人が乗ってくるか…ぐらいでした。そもそも絶対数が少ないので、これで乗客の流れを把握するのには早過ぎる判断だとは思いますが…。

  筑肥線、非電化区間の主力車両、キハ125形…肥前長野駅にて  キハ125形の車内

 筑肥線の非電化区間の主力となっている車両は、上写真のキハ125形で、日中は1両編成での運転が基本となっています。この車両で1~2時間に1本の運転ですから、輸送力は少な目…という事になってしまいますが、そもそもお客さんが今回乗った時も10人くらいだったので、これでもむしろ足り過ぎてしまうわけですね…。ローカル線の事情というも、なかなか厳しいものがあるようです。
 その分、車内は喉かそのもので、唐津駅~伊万里駅間をを乗り通すと約1時間という感じなのですが、お昼過ぎに乗っていた状況もあるのか、かなりのんびりとした時間を過ごす事が出来てしまいました。沿線中にも、これといった観光地があるわけでもないので、先程も言ったように、この線を支配しているのは“日常”そのものなのです。しかし、それが何とも言えない旅情を生み出しているようにも思え、そのまま路線の魅力にも繋がっている事にも気付かされますね。

  一体、いつからの建物なのでしょう…肥前長野駅にて  肥前長野駅~桃川駅にて

 この事は、この後“さんぽ”した、肥前長野駅~桃川駅間の風景を見ながら、改めて感じた事でもありました。今にも朽ち果ててしまいそうな駅舎や、日本の原風景のような状況の中を走る、1両の鮮やかなディーセルカー…。それは、昔ながらの光景に溶け込んだ、正に現代の車両であり、その共存が上手く成り立っているようにも思ったのです。他に見るべきものはなくても、こういった事が感じられるだけで十分ではないでしょうか。いつまでも続いてほしい風景のようにも思ってしまいます。

  こうしてみると鉄道車両は小さく見えますが、それでも毎日、地道に走っていきます  桃川駅に進入する、伊万里駅行きディーゼルカー

 最初の筑肥線の写真と見比べると、こうも雰囲気が違うのか…という感じですが、紛れも無く同じ路線です(笑)。もしかしたら、筑肥線の本来の姿というのは、むしろ西側のこちらの路線の方なのかもしれませんね。…言ってしまえば、博多側の沿線は、近年発展し過ぎてしまったのでしょう。それだけ都会化というのは、街も雰囲気も変えてしまうものなのでしょうか…。

  棒線だけの終点、伊万里駅  道路を挟んで、右側がJR九州の伊万里駅、左側が第3セクター松浦鉄道の伊万里駅

 そんな事を考えているうちに、列車は終点の伊万里駅へと到着しました。1面1線のシンプルな構内で、列車もただ折り返すだけしか出来ません…。この先、第3セクターの松浦鉄道へと乗り換えが出来ますが、両者の駅舎は、1本の道を挟んで完全に分かれており、一種独特な風景となっています。かつては線路は繋がって(松浦鉄道は旧国鉄の路線で、JR移管後、1988年に第3セクター化されました)いたのですが、2002年に分断されました。

 何となく予想はしていましたが、呆気無い終着駅到着でした(笑)。…ですが、この飾らない感じも筑肥線の魅力だと思ってしまえるのは、全線乗り通して来たこそかもしれません。今回、JR筑肥線は全てが初めて乗った路線となりましたが、1日で見終えてしまえたからこそ、沿線の変化を如実に体験出来たような気もします。関東からは流石に気軽に行ける場所でもない今回の路線ですが、色々な側面を感じられた“さんぽ”にもなりました。そして少しでも筑肥線を身近に感じられるようになったのが、今回の最大の収穫にもなったような気がします。

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HN:
竹内大輔(Pf,Key)
性別:
男性
自己紹介:
1980年1月29日生まれ
の生粋のO型(…が、初対面
ではよくA型と見られる)。
3歳(自分では記憶に無い)
からクラシックピアノを始め、
高校ではジャズに目覚め、大学
ではバンドも経験する。現在の
活動は日本全国から海外に及び、
各地のライブハウスやラウンジ、
レストラン、そしてバー等での
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