そもそも、この日も自分は最初から参加出来るものではなく、やはり中国ツアーの中止の影響を受けて、実現する事が出来たものでした。…とは言え、その旨を伝えたのはコンサートの4日前という日で、既にその時期というのは殆どのプログラムは出来あがっていて、恐らくメンバーによるリハーサルも終了している頃です。…なので、最初は「手伝わせて下さい」と連絡するのも若干躊躇っていたくらいでした。それでも、何かで参加したいという思いは強く、特に具体的な案がないまま、先の連絡を入れていたのです。
そうして返ってきた返事は、「読み聞かせをやってみませんか?」というものでした。これは昨年の10月頃に、夢輝さんとタッグを組んでチャレンジした、演奏をバックに絵本を読んでいくというもので、途中に歌も入ったりします〔“読み聞かせ歌”という世界 参照〕。朗読と歌の間には演奏が途切れる事が無いので、それぞれの入りのタイミングは正に呼吸次第と、実は演奏的には大変スリリングな世界でもあるのですが(笑)、こういった夢輝さん自身のコンサートで披露するというのは初めての事でした。そうしてそれは、披露する時期的にも抜群だと、自分でも思ったのです。
今回のコンサートは急遽、チャリティとして開催する事になっていました。こういった状況なので、そもそも開催すら危ぶまれていたのは当然の事だと思いますが、やはり夢輝さん自身が今したい事、出来る事を考えた時に、素直に“実行しよう”と思ったのだそうです。これは本当に共感出来る事ですが、思う事を具体的に実行する大変さと言うのは、自分でもよく分かっているつもりです。まずはコンサートが開催出来た事に、感謝しなければならないのかもしれません。
今回、プログラムは1部、2部と分かれていて、1部にはコンサート、2部にはトークと読み聞かせ歌を持ってくるという構成になっていました(これも、急遽変更をして今回用になったのではないでしょうか…)。そして、今回のコンサートの副題にもなっていた“Birth Of Aries”というもの…。Aries は牡羊座の事で、当の夢輝さんがこの星座で、誕生日が、コンサートの翌々日の3月23日というものでもあったのです。
そして、牡羊座は雄の羊…という事で、選曲的にも、夢輝さんの宝塚男役時代の曲が多く取り入れられていたというか、今までに無い雰囲気のステージが繰り広げられていました。自分も、夢輝さんと何度も共演していますが、ここまで男役に徹したステージというのは初めて目の当たりにしたかもしれません。お客さん的にも、貴重な時間を過ごせたのではないかと思います。
…と、若干客観的な表現になっているのは、これら1部のプログラムでは、自分は会場の一番後ろで見学させて頂いていたからなのです(上下の写真は自分が撮影したものです…笑)。前述した通り、今回自分が2部だけの出演だったので、1部には別のピアニストである鳴海周平君という方が演奏していました。基本的にはオケを流して、更にそのバックで演奏するという形にしてたので、むしろ環境に溶け込ませるように弾く…という状況が求められそうですが、見事に演奏し切っていました。また、ピアノ以外にも、キーボード、そして鍵盤ハーモニカまで使っていたのは驚かされたものです。
今回はゲストに、ボーカルの椿火呂花さん(同じく牡羊座)、鳴海じゅんさんを迎えて、それぞれの共演曲や、最後には3人での共演となる等、色々とステージにも変化を混ぜつつ歌われていました。実は鳴海じゅんさんも自分と近い境遇で、今回は出演する筈では無かったのですが、チャリティになって急遽出演。ステージに華を添えて下さいました。自分も、それぞれの方との共演はありますが、3人揃った状態で見たのは初めてだったので、また個性が分かりやすいくらい滲み出ていて(笑)面白かったです。1部の後、2部の最初には、この3人によるトークが行われていました。
そして、いよいよ読み聞かせ歌の時間がやってきました。わざわざステージから名前を呼んで貰いつつ(笑)、今回参加になった経緯等を話します。そして、今だからこそ、読み聞かせ歌の世界を知って貰いたいという願いを込めて、まずは“いのちのまつり”という“話”から弾かせて頂きました。
実は、この読み聞かせ歌をやるのは、昨年の10月以来の事であり、この日も本番直前の1回しか一緒に合わせる事が出来なかったのですが、なかなかどうして、息の合った感じで進めていく事が出来ました。特にこの話は、テンポのある曲中に“歌”の部分と“話”の部分が入れ替わりで進んでいくので、特に歌始まりの部分のタイミングには相当な気を遣うのです。朗読のスピードを固定させるのは難しいですし、仮にそうしたとしても、それは芸術的に面白味を感じません。やはり、出たとこ勝負であり、だからこそ遣り甲斐もあるのです。
そして、もう1つの“つながっている”という話では、以前の10月の時にも手伝って頂いた、ナレーター業をやっているという清水麻那さんに話し手をお願いし、そして夢輝さんは歌に徹して演奏していきました。良い雰囲気になっているのが手に取るように分かり、充実した演奏時間を過ごせたような…そんな感じがありました。やはり歌だけの曲と違い、シンプルにストーリーが響いてくるのが特筆出来る事なのかもしれません。演奏する側としても、確かな手応えを持てたと思います。
その後、“雨ニモマケズ”を朗読(自分は演奏)し、そのまま最後に“イーハトーブ夢”を演奏、今回のコンサートは終了を迎えました。曲の後には今回の出演者が全員ステージに上がり、もう一度挨拶をしましたが、その時に“Happy Birthday”を(サプライズ的に♪)お客さんも交えて歌いまして、何だか和やかに締め括れた感じがしましたね。どうもお疲れ様でした!
今回は、本当に急遽…という形で出演させて貰ったのですが、皆さんと貴重な時間が過ごせて大変嬉しかったです。自分が演奏したのは僅かな時間ではありましたが、非常に中身のあるものができ、次に繋げられる起爆剤にもなりそうです。そして改めて、今回の機会を作って下さったスタッフの皆様に、感謝の意を伝えさせて下さい…、ありがとうございました!…牡羊座からのチャレンジ…、しかと見届けさせて頂きました!
☆夢輝のあ(黒光由佳)さんのHP…www.kuromitsuyuka.com/index2.html
☆GOLDENBIRD Records のHP…www.goldenbird.jp/
☆いのちのまつりプロジェクトのHP…www.inochinomatsuri.jp/
☆丸の内東京會館のHP…www.kaikan.co.jp/