ちなみに、この会社の株式は、現在はJR東日本が70%を有している為、私鉄…と言うよりかはJR…と言った方が近いのですが、東京モノレールというブランド?を維持している感じもあるので、私鉄の項目とさせて頂きました。
何やら前置きが長くなってしまいましたが(笑)、普段は空港利用の為に乗る事が殆どの東京モノレールを、今回のように沢山乗ったのも初めてですし、また、色々な駅で降りたのも、予想以上に楽しかったです。今年の10月21日に羽田空港に新たに国際線ターミナルができ、それに伴う東京モノレールの駅も誕生したのは記憶に新しいですが、羽田空港自体も含めて、今まさに変化のある時期に来ているとも思います…。今一度、東京モノレールの魅力を探りつつ、沿線を“さんぽ”していきたいと思います。それではどうぞご覧下さい!
●日時…2010年12月27日 ●路線距離…17,8km ●駅数…11駅
東京モノレールの起点は、浜松町駅(東京モノレール側は、モノレール浜松町駅)となっています。しかし、ターミナルとしては中途半端な位置のようにしか思えません…。これは事実で、東京モノレールは、1964年の東京オリンピックに間に合うように建設されたのですが、当時は新橋駅を起点に造られる筈でした。しかし、用地確保の目処が立たずに、やむなく浜松町に造られたのです。ここを通っているのは、JR山手線と京浜東北線だけ(ただ、すぐ目の前に都営浅草線と都営大江戸線の大門駅があります)で、乗り換えられる路線というのは、ターミナル駅にしては少ない方でしょう。
この為か、先程言った通り、起点を新橋まで延ばす計画もあるそうです。JR東日本が株式を70%保有し、事実上経営権を持っているというのも、こうした対策を円滑に進めさせるという背景があるのだと思います。路線の用地は、JR線上空を通す事になっているらしく、確かに新橋駅まで延長させると、現在の成田エクスプレスを新橋駅に停車させる事で、成田空港から羽田空港へのアクセスが、乗り換え1回でも済む事になり、利便性は向上するかもしれません。
新橋駅まで延びていない現在の浜松町駅でも、京浜東北線の快速を浜松町駅に停車させたり、Suica をいち早くモノレールに導入させたり、JRから東京モノレールへ直接乗り換えが出来る入口を完成させたりと、やはりJR東日本の力は大きいようです。そもそも、JR東日本の路線自体が羽田空港に乗り入れていないので、この連携による双方の思惑が一致していたのかもしれませんね。
そんな浜松町駅ですが、そもそも単線ホームという、列車が1本しか乗り入れられない構造になっているのがネックで、これ以上の増発は困難です。列車が浜松町駅に着いたら、全ての乗客を降ろし、その後に新たな乗客を乗せ、羽田空港に向けて出発しないと次の列車は入れない状態なのです…。それでも、1時間の最大本数は18本に設定(約3~4分毎)されているのは驚きですが、これもホーム拡張(2面2線にするらしいです)が計画されていて、最大本数を24本にするのだとか…。羽田発着の飛行機ははどんどん増加しているので、これに対応するには必須とも言えそうです。今後はどんなターミナル駅へと変貌していくのでしょうか…。
さて、浜松町駅を出ると、眼下に東海道新幹線を含めたJR線を乗り越し、暫くは寄り添うようにして進んでいきます。東京モノレールのダイヤはタイトなので、駅を出てすぐに、新たに浜松町駅に到着する列車と擦れ違う事でしょう。もうすぐJRの田町駅という辺りで、JR線とは分かれ、今度は芝浦の辺りを進んでいきますが、この付近には駅は設けられていません。ただ、オフィスビルや運河の上空を、滑るように走行していく様は、乗っていてもスリル感があって面白く、ある意味で東京モノレールらしい光景が望める区間だなとも思っています。
カーブや高低差も乗り越え、大井車両基地に出入りする東海道新幹線と交差(左上写真参照)すると、そろそろ天王洲アイル駅になります。この駅は1992年に開業したので、この路線の中では新しい方の駅ですが、当時は倉庫が乱立するような場所だったそうで、今や臨海高速鉄道りんかい線も乗り入れている等、その変貌には驚かされるばかりです。駅の羽田空港寄りには、前述の新幹線の線路も見え、左下写真のように、一緒に写真に収める事も可能です(笑)。
ここから暫くは、右手に首都高速、左手に京浜運河を見ながら進んでいきます。…と言うか、線路は運河上に建設されてあります。要するに土地買収が不要になる為ですが、前述のように、東京オリンピックに合わせる為の終夜の突貫工事となり、多大な工費が掛かってしまった事実もあるようですね。
さて、右手に見える高速道路は混んでいる事が多いので、ここは東京モノレールの速さを実感する区間かもしれません。今ではモノレールは、重要な交通手段になっているという事の証でもあります。また、左手の運河より向こうの土地は全て埋立地となっていますが、そちらにも多くの団地が建ち並び、近代的な風景を作り出しているかのようでした…。ただ、全体的な風景は、ここ20年でそんなに変わっておらず、そもそもモノレールというものが、近代的な建築物なのだという事なのでしょうね。運河は意外と綺麗で、釣りをしている人もいるくらいでした。
そのまま走ると、大井競馬場前駅です。その名の通り、大井競馬場への来場者の便宜を図って造られました。競馬開催日には多くの観客がこの駅を利用しますが、運河の向こうにある八潮団地の利用者数も多いのが特徴かもしれません。駅のすぐ隣には厩舎がある為か、若干馬臭いのも目立ちますが…(団地は運河の向こうにあるので、影響は無いと思います…笑)。
この浜松町駅から2駅目の大井競馬場前駅まで、距離的には丁度7kmとなっています。何とこの時点で、羽田空港国際線ビル駅までの距離の半分を来てしまった事になりました!…ただ、ここから先の駅間は今までのように長くなく、細かく設置されているのが特徴です。では、後半戦を見ていきましょう。
大井競馬場前駅を出て、流通センター駅を過ぎると、東京モノレールの車庫が設置されている昭和島駅になります。この駅は、空港快速が走っている時の、普通列車の退避駅となっていて、ホームは狭いながらも、ここで通過列車を先に行かせる事が出来る駅となっています。元々はこういう構造になっておらず、単に相対式2面2線だったのですが、2007年3月に空港快速と区間快速が設置された時に、現在の形となりました。
東京モノレールの日中ダイヤを見てみると、列車は浜松町駅を4分間隔で発車していくようになっているのですが、その種別は、空港快速、区間快速、普通…という順番となっています…。つまり、12分サイクルのダイヤです。浜松町駅を、普通列車の4分後に出た空港快速が、ここ昭和島駅で追い付き、抜いていくわけです。区間快速は、昭和島駅こそ通過するものの、それまでの天王洲アイル駅~流通センター駅は停車するので、空港快速に抜かれた普通列車との間隔はまだ狭まっておらず、結局普通列車を追い越す事なく、終点まで到達します。
なかなか良く出来たダイヤで、現状ではこれが最善かもしれません。ただ、やはり快速系統の方へ乗客が集中してしまっていて(特に空港快速は普通を間に挟んで浜松町駅を発車するので、常に混んでいます)、混雑度にバラ付きがあるのが難点と言えば難点でしょうか…。羽田空港には早く着いておきたい心理は分かりますが、ある意味で、普通列車利用をお勧めしたいところですね。空港快速との所要時間の差は8分程なので…。
昭和島駅を出ると、整備場駅、天空橋駅となり、羽田空港の敷地へと入っていきます。もう窓の外には空港が見渡せ、そろそろ…という雰囲気も漂ってきます。モノレールはその間、地下に潜ったり、再度地上に出たりと忙しいですが、高低差に強いモノレール…と、再認識する区間でもありますね(笑)。
天空橋駅は地下駅で、元々はここが“羽田”駅でした。…とは言え、羽田空港ターミナルが現在の沖合位置に移される前の話しで、駅の移設もされています。ここには京浜急行電鉄も乗り入れており、両者の乗り換えも出来るようになっています。
ここで、東京モノレールの車両について説明しておきましょう。…とは言え、現在は2形式しか運用されておらず、左上写真の2000形と、右上写真の1000形です。2000形の方が新しいですが、数の上ではまだまだ1000形が多数を占めています。この東京モノレールは、跨座式モノレールという、車両の下にレールがある形態のモノレールとなっていますが(今更ですが…笑)、東京モノレールの場合、重心を低くする為に、車内にも少し駆動部分が迫り出しているように造られているのが特徴です。この為、車内も特殊なものになっており、1車両の前後の部分の座席は1段高いように設置されています。荷物置場ともなっており、色々とその配置は工夫されているようですが、何だか不思議な感じの車内でもありますね。是非乗った時に確かめてみて下さい。
さて、天空橋駅を出ると、いよいよ出来たての(笑)羽田空港国際線ビル駅です。新しいのは当然として、モノレールの改札を出てすぐに各航空会社のチェックイン・カウンターがあるのは機能的に見ても素晴らしく、より気軽に海外へ行けるという象徴にもなっているかのようです。以前はモノレールの線路は、もう少し多摩川寄りを通っていたのですが、これを空港側に少しずらす事で、現在のような配置が実現したわけですね…。モノレールの駅を降りてから、飛行機のチェックイン、そして荷物検査を受けて税関、搭乗まで、階を変えずに移動出来るというのも、このターミナルの強みだとも思います。すぐにでも利用してみたいものです(笑)。
この日は天気が良く、空気も澄んでいた為、駅から沖合側を望むと、海ほたるや、その遥か先である木更津の陸地まで見渡す事が出来ました。意外と言えば意外でしたが、それ程空港周辺というのは広々としている事の証なのだとも思います。…という事で、ここではせっかくなので、羽田空港の新国際線ターミナルも見てみる事にしましょう。
ターミナルは前述したように、モノレールの改札を出て1分も掛からずに(…と言うか、出た所がターミナル内なので…笑)アクセスする事が可能です。まだ国際線がメインの空港ではないので、そこまで広い空間とは言えませんが、機能的に造られた構造は流石とも言えるでしょう。この出発階は“空”を空間コンセプトとしてあり、天井は“すじ雲”をイメージしてあるのだとか。ここから海外に旅立つ乗客を迎え入れるのに、十分な環境だと思いました。
そして、やはり空港利用者としては、商業施設や展望デッキ等が気になります(笑)。それらも抜かりなく、江戸の街並みを本格的に再現した“江戸小路”と、日本文化の1つであるアニメやキャラクター・ショップ等が並ぶ、“Tokyo Pop Town”は必見です。それぞれに特徴的なお店が入っており、江戸小路には、あの“つるとんたん”も入っています(笑)。こうした、ある意味で非日常な空間を持ってくるというのは、空港に足を運ばせる原動力にも繋がっており、今や東京の人気スポットにも入っていると言っても過言ではないと思います。実際、この空港ターミナルに訪れる人は、国際線を利用する人よりも、見学しに来る人の方が全然多いのですから…。
そして、展望デッキもまた良い環境でした。東京スカイツリーまでも見えるとは、こちらも意外な感じでしたが、国内線ターミナルを一望出来る…というのもまた新鮮でした。離発着は頻繁に繰り返されており、その中でもやはり海外エアラインの存在は大きなものでした。今回は香港の航空会社、キャセイ・パシフィック航空のジャンボ機を見る事が出来ましたが、現在、日本ではジャンボ機自体が貴重になっている中で、こうした存在はとても頼もしいものです。一昔前までは、ジャンボばかりだったというのが嘘のようですが、現在では小さい飛行機で数多く飛ばす時代になっており、皮肉にも、それは空港の拡張によるところも大きいのです…。展望デッキから飛行機を眺めているだけでも、確実に新しい時代は来ている…と感じさせる時間でもありましたね。着実に、羽田は変わってきています。
さて、モノレールに戻り、そのまま新整備場駅、羽田空港第1ビル駅と過ぎて、ここまで来るとあっという間に終点の羽田空港第2ビル駅へと到着します。ここは全日空のターミナル側の駅でもあり、自分もどちらかと言うと、こちらの利用回数の方が多いような気がします。ここで、今回の“さんぽ”は終了となりますが、今回使用した“沿線お散歩 1day パス”は役に立ちました。東京モノレール全線が、1日乗り放題で700円なのです!…単純に、終点までの片道を乗り通すと470円なので、往復でも元が取れてしまう計算です。特に、今回のような目的の場合には最高でしたね(笑)。これで浮いたお金で、空港で食事でもとる事にしましょうか…。
実は、羽田空港の国際線ターミナル開業で、陰に隠れがちなのですが、このターミナル2の方でも最近、建物の拡張が行われおり、色々なお店も新たにオープンしているのです。まだまだ空いているせいか、雰囲気的にも良い感じです。特に、展望デッキはわざと照明を落としてあり、更には夜の滑走路をイメージしたような光の使われ方がされており(右下写真参照)、なかなか興味深い事になっていました。
この1年、それこそ色々な路線を“さんぽ”させて頂きましたが、1年の最後を空港ターミナルで終えるというのも、また一興ではありませんか!…お疲れの意味を込めて、ターミナルで食事(勿論、お酒も注文♪)を済ませてきたものでした。
今や空港はただ通過するだけではなく、大いに利用したい場所にもなってきました。そして、それらの雰囲気に一役買っているのが、モノレールという存在でもあると思います。これからも空港アクセス路線としての役割を筆頭に、より良い発展を期待したいと思いました。
…そして自分は、また新たな路線を散歩していきたいと思います!…ひとまず、2010年の御愛読、どうもありがとうございました♪
☆東京モノレールのHP…www.tokyo-monorail.co.jp/