郷原君は、自分と一緒にライブをやる時は大体がデュオ編成で組まれたものになるのですが、今回のライブは、“Deep River”と名の付いた、郷原君が昔からメインでやっているバンドによるものです。編成はサックス・カルテットですが、そのバンド・メンバーというのも全員、自分の顔見知りなので(特に、ドラマーは自分のピアノトリオのメンバーでもある、佐々木俊之さんですので…笑)、本当に気軽に足を運べるライブでもありました。
しかし、何を隠そう自分は“Deep River”のライブを生で見るのは今回が初めてで、実際、自分は人のライブに行く事が殆ど無いので(笑)、今回は凄く貴重な時間を体験させて貰ったとも思います。よく自分と一緒にやるメンバーが、他の場所でライブをしているところを見るのも面白いもので、今回も、なんとか時間が空けられたので見に行けたライブでもあったのでした。
特に、今回はその“Deep River”のレコ発ライブでもあったのです。新作を出すとは前々から聞いていましたが〔竹内大輔の『奢らせて頂きます!』5.(郷原繁利編) 参照〕、なかなか実行する日が作れずにいた感じだったので、郷原君にとってこの日は、正に念願の日でもあったの事でしょう。じっくりと見させて貰いました。
“Deep River”というバンドは、郷原君や、そのメンバーのオリジナル曲を中心にやるバンドでもあります。しかし、普通のオリジナル・バンドとは違った側面で、今回はライブを見れた感じになったと思いました。…と言うのは、曲を殆ど知っているからです。自分が郷原君とデュオでライブをやる時も、曲の半分くらいは郷原君が作曲したのを演奏するので、今回のライブでは、デュオとの違い…という部分も含んだライブの見方にならざるを得なかったのです。
しかし、それがまた新鮮で面白かったです。わりと昔めの曲は、前回の作品『苔色の地平線』で既に知っている部分がありましたが、今回の新作に入っている曲というのは、バンド編成でのサウンドを殆ど聴いていません。勿論アレンジからして異なる箇所もあるのですが、ここはこういったアプローチになるのか…とか、こういったバッキングの弾き方もあるのか…とか、ドラムのトシさんが、郷原君の曲を叩くとこうなるのか…とか(笑)、色々な発見等があったりして、それこそ忙しく聴いていたものでした(笑)。
いや、そもそもCDとライブは違います。恐らく、新鮮と思っていた中にも、ライブだからこその盛り上がりが含まれていたに違いありません。それは、メンバー達の演奏中の表情を見ていれば明らかで、正にその時の、生きているライブが目の前で繰り広げられていたこそ、自分は楽しめたのだと思いました。
さて、今回自分が最も気になっていたのは、一部の曲ではありますが、このカルテット編成に弦楽器を入れた曲があったという事です…。しかも、郷原君とのデュオ・ライブでもよく演奏する“晴れた”という曲で、ストリングス・アレンジも郷原君が考えたらしいので、これは確実に押さえておきたい曲でもありました。
勿論この日は、ストリングスの方達(2人)を加えての演奏も実現していました。…そして、これら弦楽器を入れる事で出来上がるサウンドの奥深さというものに、改めて感心の一言…という感じでした。何だか、曲に新たな表情が出来上がったような気がします。それは今まで自分の中では思い描けなかった側面で、正に目の前が“晴れた”感じでした(笑)。弦楽器というものの可能性を、新たに感じた瞬間でもありましたね。楽しい時間を過ごせて良かったです!
☆郷原繁利のHP…sgohara.com/
☆中目黒楽屋のHP…www.rakuya.net/