これは、武蔵野線が元々は貨物路線として建設された事に起因します。国鉄時代の当初、東海道本線方面と東北本線方面とは山手貨物線で結ばれていましたが、貨物量の増加により、都心を通らないで迂回出来る首都圏の外環状路線として、武蔵野線のルートが出来上がったのでした。1964年に着工され、1973年府中本町駅〜新松戸駅間、そして各路線とを結ぶ支線となる、国立駅〜新小平駅間、新秋津駅〜日本国有鉄道線・西武鉄道株式会社線分解点間、西浦和駅〜与野駅間(支線ではこの区間のみ、JR東日本も管轄)、南流山駅〜北小金駅間、南流山駅〜馬橋駅間が開業。この内、本線となる府中本町駅〜新松戸駅間で、貨物路線建設の見返りとして旅客運転も開始されましたが、日中は40分毎、ラッシュ時でも15分〜20分毎の運転と、その列車本数は少ないものでした。
その後、1976年には貨物列車のみの運転として鶴見駅〜府中本町駅間が開業し、続いて1978年には旅客列車のみの運転として新松戸駅〜西船橋駅間が開業して、現在の武蔵野線の大枠が出来上がりました。その後、西船橋駅より先は京葉線として建設され、武蔵野線が京葉線に乗り入れる事で海浜幕張駅行き、東京駅行き(直通運転開始当初は新木場駅行き)という列車が見られるようになりました。
旅客運転が開始された当初の運転本数は、首都圏内にしては微々たるものでしたが、1970年代後半になってくると、貨物列車は拠点間集中輸送で列車本数が削減されでダイヤに余裕が出てきて、更に沿線人口も増えてきた為に、列車本数も徐々に増発されていきます。現在の日中のダイヤは10分毎にまで増え、最初は6両編成だった列車も、現在は武蔵野線用の全列車が8両編成になりました。
2000年代になってくると更に沿線開発が進んできて、JR東日本はこの武蔵野線、乗り入れ先であるJR京葉線、府中本町駅で接続するJR南武線、そして西側を通るJR横浜線を『東京メガループ』と指定しました。これら路線に共通する事は、首都圏の外環状線の一部を形成し、首都圏中心部から放射状に伸びる各路線と接続駅を多く持っているという事で、利用者が伸びているこれらの路線の活性化に、現在特に力を入れている状況でもあります。これらの路線は、首都圏中心部から放射状に伸びるJR中央線やJR東海道本線等から比べると、車両や駅の施設等、近代化が遅れていた傾向がありました。しかし、これまで『鉄道さんぽ』でも取り上げてきた、
〔鉄道さんぽ 3.(JR東日本、京葉線編)〕
〔鉄道さんぽ 25.(JR東日本、横浜線編)〕
〔鉄道さんぽ 29.(JR東日本、南武線編)〕
…を見てみると、新製E233系が相次いで投入。京葉線を一部車両を除いて、殆どがこの車両に統一されました。これらが置き換えられたのは205系で、かつて東京のJR通勤形の代表だったこの車両は、関東では今や武蔵野線やJR相模線等、限られた路線でしか見れなくなってきてしまいました。そしてこの武蔵野線の205系も現在、世代交代が進行中です。JR山手線〔鉄道さんぽ 39.(JR東日本、山手線編)〕に新製E235系が投入されていまして、そこで置き換えられるE231系500番台がJR中央・総武緩行線へ…。更にそこで置き換えられるE231系、209系500番台が武蔵野線にやってきている…という状況です。これはつまり、山手線がE235系で統一された後、武蔵野線の205系も引退するという事を意味しているのです。
山手線の全E235系化はまだ2年くらい掛かりますが、これはあっという間の時間であるとも言えそうです。既に武蔵野線にはE231系、209系500番台の営業運転も開始されており、205系との共演というのも貴重なものになってくるかもしれません。そのような状況も含め、今回は『鉄道さんぽ』に武蔵野線を選ばせて頂いたのでした。
沢山の路線と線路が繋がっているという性格上、臨時列車も多く設定されている武蔵野線ではありますが、今回の『鉄道さんぽ』では、今年度末にデビューする予定の西武鉄道の新型特急の甲種輸送を見る事も出来ました。これは臨時列車以上にレアな列車です。こうした楽しみもまた武蔵野線の魅力の1つ。それでは見ていく事にしましょう!
●日時…2018年10月28日
●距離…100,6km
(鶴見駅〜府中本町駅…28,8km《定期旅客営業無し》、
府中本町駅〜西船橋駅…71,8km)
その他、西浦和駅〜与野駅、武蔵浦和駅〜別所信号所…4,9km
※JR貨物管轄路線は省略
●駅数…29駅
(旅客駅…26駅、貨物駅…3駅)
どうぞお楽しみに!