さて、この奈良線ですが、競合する形で近畿日本鉄道(以下、近鉄)京都線があり、こちらは市街地の近くを走る部分が多い事から以前から列車本数で勝り、利用者数にも水を開けられているのが事実です。それこそ奈良線は非電化、単線の路線でしたが、1984年に遅れつつ電化、そしてJRになってからは輸送改善が進み、現在では一部が複線化され、更に複線化工事も進められている状態で、やっと近鉄と同じ土俵に立ててきたという感じなのかもしれません。
2001年には当初予定されていた複線化の部分が完成し、JR西日本自慢の設備を持つ車両である221系を使った『みやこ路快速』が設定され、速達列車が増発、所要時間も大きく短縮され、近鉄の急行列車(特急列車は更に速いのですが、特急料金が必要です)と同じくらいの到達時間になりました(奈良駅〜京都駅間で、ほぼ45分)。『みやこ路快速』は設定当初は全列車4両編成でしたが、現在では6両編成で運転される列車も増えてきています。
これで近鉄に並んだかのように見えますが、まだまだ絶対数的には近鉄が抜きんでいて、快速を除く普通列車の利用状況を見ると、近鉄京都線の通らない稲荷駅や宇治駅からの京都駅間利用以外では、まだまだローカル線のような状態と言っても差し支えない感じではありましょう…。今まで、どちらかというと改善のメスは快速列車に向いていて、車両に関しても、快速等の速達列車は221系で統一されましたが、普通列車は長年、国鉄型である103系での運用が基本ではありました。
103系というと、既に関東圏内では見られなくなって久しいですが、関西では随分と長生きしていて、以前にここでも取り上げた〔鉄道さんぽ 41.(JR西日本、阪和線編)〕や〔鉄道さんぽ 46.(JR西日本、大阪環状線編)〕では、さんぽ実行日にもまだ活躍している状況でした。しかし、これが最近になって、急速にその姿を減らすようになってきてしまったのです。上記の阪和線や大阪環状線では既に完全引退をしており、ここ奈良線でも103系の廃車進行により、普通列車の約3分の1が221系による運行となりました。そして今年2018年3月のダイヤ改正では、阪和線で引退になった205系1000番台5編成が奈良線へ転入。積極的に運用に投入されており、日中は103系の稼働を見るのが難しくなってきた感じもありました。
こうなると、やはり『鉄道さんぽ』に出向かざるを得なくなります。阪和線や大阪環状線、そしてここではまだ取り上げていませんが、JR関西本線でも近年103系が引退になり、もはやオリジナルの103系4両編成を見るにはここ奈良線が最後の砦になっていると言っても過言では無いのです。
実際に奈良線に足を運んでみると、予想以上に221系が幅を利かせ、そして205系も頻繁にその姿を見られるのが分かりました。その日、日中に動いていた103系は2編成だけだったようで、それでも動いていただけマシだったのかもしれません。阪和線には205系0番台の車両も余っているので(既に当線からは引退済み)、その気になればすぐに103系全編成を置き換えられる事は可能でしょう。この先どうなるかは分かりませんが、今のうちに足を運んでおいて良かったと思いました。そして、ここでの103系のウグイス色塗装が、また奈良線によく溶け込んだ塗装だった事にも気付けました。現在のJR奈良線の状況、どうぞ御覧下さいませ。
●日時…2018年6月10日 ●距離…34,7km ●駅数…19駅
お楽しみに!