バンドにとって聖地とも言われる場所である QUATTRO で目にする、エントランスに貼られた自分達の文字、そしてステージの後方に飾られた、今回のツアーでも行動を常に共にしていったバックドロップ幕。いよいよここまで来たのかという想いと、QUATTRO という文字から無言で放たれるプレッシャーと相まって、緊張感も高まっていたと思います。
そしてリハーサルの時にいざステージに立ってみると、やはりその広さに驚かされます。それこそ入念にリハーサルを行わせて頂きましたが、いつも以上に時間をかけ、そしていつも以上に拘りを持ちつつ進めていきました。この日は約2時間ぐらいのステージになる事は予想はついていましたが、だからこその下準備の大切さを改めて思ったものです。
…リハーサルを終え、お店のオープン準備、そして開場、開演という順を踏んでいきますが、時間が経つにつれて徐々に辺りが慌ただしくなってきているのが分かります。自分達は本番前に向け、如何にリラックス出来るかという時間ですが、周りのスタッフの皆さんは、むしろこの時間が一番大変な時間でもありましょう。開場に向けた準備、最終的な打ち合わせ、そして何より前述の、自分達が如何にリラックスしてステージに臨めるか…という場作りにとても気を遣って頂いているのです。この気遣いには大変頭が下がりますが、だからこそ良いステージを作っていきたいとも自然に思えるものです。そしていよいよ、本番の時間がやってくるのでした。
SEが流れ、ドラムのフィルと共に TRI4TH 全員のサウンドをかき鳴らし、“Black Crows”から豪快にスタートさせます。…とは言え、曲調は TRI4TH らしいクールな雰囲気を貫きつつも、それぞれのソロでは燃え上がるような印象でしょうか…。純粋にテンポの速い曲である事から、自分達の確かなテクニックも披露出来る曲でもあると思います。そんな事を考えながらも目に飛び込んできたのは、満員のお客さんで溢れるフロアでした。これはテンションが上がるではありませんか!
間髪入れずに“SNAKE”へ。入念に打ち合わせも行った照明も、上手く機能していた時間だったと言えましょう。アッパーな曲でありながら、皆で手拍子を行いながら進行させられる、序盤でのフロアとの一体感も作り出せる曲です。だからこそ前々作のCD『Defying』の作品ながら、今回のステージにも組み込められたのだと思います。
そしてお馴染みの曲“Hop”へ。TRI4TH の楽曲の中で、ここまで第一線のステージで演奏し続けている曲は、“Dance 'em All”を除くとなかなかありません。TRI4TH Horns の2人のソロ演奏も勿論楽しめますが、何と言っても手拍子を用いた会場との一体感、そして間に挟める自分達からの煽りをリラックスして受け入れて頂けるので、自分達の大事な「掴み」の一曲なのです。特に今回のステージは緊張感が溢れており、それは自分達もフロアの皆さんも分かっていた事でもあるのです。だからこそ、ここで緊張感を解す意味でも、“Hop”は絶対的に無くてはならない選曲だったのでした。
そのまま続けて、ピアノ高速連打イントロでお馴染みの“Freeway”へ…。楽曲については今更説明するまでもないでしょう。“Hop”で解した空気感をギュッと締めてくれるような大事な存在です。この曲は、ベース以外は全て個人ソロをとるという、そういった意味では珍しい曲でもありますが、メンバー紹介という意味も含まれているのかもしれません。それぞれが異なる曲調の中に、演奏する意図、目的も盛り込まれている事が分かります。
『4th Rebellion』以外の曲が続いていたので、ここで TRI4TH 史上最も爽やかな曲(笑)という紹介で始まった“Morning Smile”を演奏しました。爽やかなのも勿論ですが、お客さんも含めて皆ですぐに歌えるくらい、極力サビのメロディをシンプルにしているのが特徴の曲でもあります。メロディをシンプルにしているという事は、2管というハモりパートもよく映えるのは言うまでもありません。その後の展開で面白いのがホーンソリ。メロディをシンプルにしているからこそ、何か刺激の効いた構成にしたかった意図が出ているのかもしれませんね。
続いて久し振りの“Blow this Moment”…。実はこの曲は、この『4th Rebellion』ツアーでは今回初めて取り上げました。本来、この部分には別の曲が予定されていたのですが、それを後半にもっていきたかったので、“Blow this Moment”が採用されたのでした。ビートもダンスビートにやや寄せさせていて、いつもよりノリやすい、踊りやすい環境を、さり気なく作りました。
この後にきたのが、アルバム・タイトルチューンでもある“Rebellion”です。「反乱」という自分達の強い意味、意志を込めたこの楽曲。ピアノの高速アルペジオイントロから始まり、ホーンのメロディも細かいパッセージで怒濤のように演奏します。その後、手拍子出来る部分もありますが、すぐに圧倒する場面へと変わり、サックスソロへ…。そう、この曲は展開がとにかく多いのです。うっかりするとノリ遅れそうになってしまうのですが、ここで TRI4TH の成す演奏力の高さを見せていきます。それは、ただ高速にフレーズを弾ける…という事ではなく、相手の邪魔にならないように演奏する事が出来るというスキルに注目とでも言いましょうか。相手の演奏に耳を傾け、音の隙間、もしくはハーモニーを考えて自分の音を入れていく。この行動は瞬間的、突発的な事が要求されますが、この部分に自分達はとにかく力を注いでいるので、ゴチャゴチャしないで聴かす事が出来ると思っています。サックスソロ、ベースソロでも盛り上がり、曲全体として盛り上げる事が出来ました。
ここでドラムのタカオさんのMCが入り、メンバー紹介、今までのお礼、これからの展望等を話していきました。ここからは少し「聴かせる」時間となり、まずは Mute Beat のカバー曲である“After the Rain”、そしてCD『4th Rebellion』の異色の曲調とも言える“Night Fly”をお届けしていきました。片やソプラノサックスを使い、片やエフェクティブなサウンドを大胆に使うという、今まで大事にしてきたサウンド、そして今後大事にしていきたいサウンドの意志もここには込められていたと思います。
“Night Fly”が終わると、場面転換と言うかの如く、スカのビートで辺りを支配していきます。ここで今回のゲストの1人、バリトンサックスの青木ケイタさんをお呼びし、もはや TRI4TH でも重要なビートと言える程になったスカ曲“On Fire”をお送りしました。イントロでケイタさんはバリトンサックスソロも行い、その後、低音を生かしたスカの裏打ちを堂々と吹き始めました。このサウンド、本当に厚みがあって嬉しくなってきてしまいます。自分達のテンションも自然と高くなってきたものでした。
そしてそのまま“Sand Castle”に突入します。CD『Defying』の代表的な曲ですが、ここではケイタさんにもたっぷりとソロをとって頂きました。御存知のようにテンポもとにかく速い曲ですが、ここでバリトンサックスから放たれる音のうねりは曲調にとても合っていて、非常に格好良いのです。そしてホーンの皆でメロディをユニゾンしているのが、最高に熱い時間を作り出していたのでした。
続いてゲストの2人目、ギターのヒラマミキオさんをお迎えしました。QUATTRO のステージもついに演奏メンバーが7人になってお送りするのが、『4th Rebellion』のもう1つの重要曲、お馴染み“Guns Of Saxophone”です!…この曲は、MV自体が今回の7人の編成でお送りしているので〔TRI4TH、『4th Rebellion』MV2本同時公開!参照〕、あの時以来、ついに再現された形になりました。まず7人でステージに立てたというのが本当に嬉しく、演奏にも喜びが溢れていたと思いますが、それぞれのパフォーマンスも素晴らしいのは言うまでもありません。間違い無く、今回のライブの1つの大きな山場になっていました。
そのまま7人で“Tick Tack”へ。CD『AWAKENING』の曲ながら、今回のツアーでもよく演奏していた曲ではありますが、これをケイタさんのバリトンサックス、そしてヒラマミキオさんのギターで聴いてみたかったんです。これこそが今回の“Blow this Moment”の部分に今まで挿入されていた曲でしたが、7人で出せた音の分厚さは本当に想像以上のインパクトがありました。
ここで、いったんゲストのお2人には下がって頂き、再び5人での演奏となりました。ひとまずクールダウンという感じで気持ちも落ち着いてくると、改めて自分達は CLUB QUATTRO のステージに立たせて頂いている事に気付かされます…。気付くのは当たり前とは言え、何だか不思議な感覚だったような気がしています。ここで感謝の気持ちを込めて、CD『4th Rebellion』では唯一のバラード曲、“Light In The Dark”を演奏させて頂きました。
この曲が終わるとステージは暗転し、スポットがドラムの方向に向けられました。…言うまでもなく TRI4TH リーダー、タカオさんのドラムソロです。これまでリリースした作品達の持つ、「覚醒」、「反逆」、「暴動」、「反乱」…。その全てをドラムスに込めるかの如く、力強く、そして1音1音の意味を持たせてパフォーマンスしていっていました。ここにベース、ピアノが重なり、“Bastard”のイントロに突入していきます。
“Bastard”はとにかく圧倒系。もう、自分達が馬鹿になるくらい?の勢いで、とにかく演奏に魂を込めていきます。細かいフレーズを紡いでいくのですが、あまりにも速いので、逆に音楽は大きく動いているように感じてしまう程です。いよいよステージも佳境になってきました。ここで疲れを出すわけにはいきません!
ここからは最後まで踊り続けていきましょうとばかり、TRI4TH 流のスカ“FULL DRIVE”をお送りしました。この曲が TRI4TH にスカの良さを提示してくれました。モンキーダンスなんか知らなくても、皆で楽しんでいけば良いのです!…最後の煽りを入れて、もう1段高いところに皆で向かっていきました。
そしてその高みを維持し続け、ラストの曲である“HORNS RIOT”を演奏します。ここまであっという間に来てしまいましたが、ここまで17曲、特に休憩も入れずにやり続けているのは確かです。それでもお客さんの表情は爽快感そのもので、勿論自分達だって、体力を酷使していたのは事実ですが(笑)、感覚的にはまだまだステージに立てる気持ちです。…拍手も鳴り止まないではありませんか。有り難く、アンコールへと進めていきました。
アンコールは再度7人で、ステージを楽しんでお届けしていきます。お馴染みのドラムフィルから始まったのは“N.I.N.K.Y.O”。ここで7人のサウンドをいきなり全開にし、押し寄せる波の如くフロアに響き渡らせます。曲中のソロはサックス、そしてピアノといういつもの順番ではありましたが、この分厚いサウンドのインスピレーションから生まれるソロというのは、正に今回だけでしか味わえないものがお聴き頂けたのではないでしょうか。…会場の熱気も最高潮に達しています。いよいよ本当にラストの曲に突入です。
正真正銘のラスト曲は勿論“Dance 'em All”。この曲が TRI4TH を「踊れるジャズバンド」へと導いてくれて、今の自分達の音楽性を示してくれました。お客さんも皆、更に更に踊りたい気持ちで溢れていて、そこをタカオさんの「踊ろうぜ!」の掛け声と共に、フロアの一体感が確かなものになりました。ステージから見えたその景色は最高の一言で、この景色をまた見たいが為に更に自分達は音楽を頑張れるのかもしれません…。全ての人への感謝と共に、この TRI4TH への音楽愛に包まれた空間を、とにかく楽しみました。
“Dance 'em All”のソロは、最初はヒラマミキオさんと青木ケイタさんを入れてフロント4人で回していき、その後にピアノソロ、そしてドラムとの掛け合いという特別な構成で進めていきました。ここまで来ると、もうすぐツアーが終わってしまうという若干の寂しさも感じてしまいますが(笑)、まだまだ TRI4TH にはやりたい事が沢山あります。今回のツアーはこれで終了となりますが、自分達のプロジェクト的にはあくまでも通過点の1つに過ぎません。これからの展開を楽しみにしつつ、まずは『4th Rebellion』ツアーが無事に終われた事への感謝が先にあったものでした。
最後はカーテンコールへと参りましょう。フロアを見渡し、こんなにも多くの方々にお越し頂けた事に改めて驚かされつつ、これからまた沢山面白い事を作っていきたいですし、自分達にはその責任があるとも思いました。このカーテンコールの直後、フワッと肩の力でも抜けたのか、急にメンバー全員がリラックスした表情になっていますが(右上写真参照)、これは既に新しい事を考えている表情でもあると言えましょう。今後の展開をお見逃しにならないよう、どうぞよろしくお願いします!
『4th Rebellion』ツアー、やり切りました。ピッタリ2時間の熱いステージと、今回のツアーでは一番長いステージになったのではないかと思いますが、長さを感じさせない、とても拘りが詰まった内容のものになったのだと思います。ツアー・ファイナルという事で、本来はツアーの集大成を表すのでしょうが、それよりも、この TRI4TH というバンドの11年という歴史の集大成が今回には表れていたのではないかなと思いました。それを自分達で再確認出来たからこそ、思う存分、次のステップへと繋げていく事が出来るのです。多くの方に御協力頂き、成功に導く事が出来ました。これからも TRI4TH は走り続けます。応援どうぞよろしくお願いします。
『4th Rebellion』ツアー・ファイナル、どうもありがとうございました!!
Live Photo by kayo sekiguchi
☆TRI4TH のHP…http://www.tri4th.com/
☆渋谷 CLUB QUATTRO のHP…http://www.club-quattro.com/shibuya/
自分自身にとっても客席人生総決算のように感じ、今までを振り返る作業にも突入。「わらべJAZZ」でTRI4THに出会ってまる6年になっていました。喜んだりワクワクしたりスケジュール詰め込んでズタズタでもLIVEに行ったり、新しい出会いがあり別れがあり、旅したり戸惑ったり笑ったり泣いたり…これからTRI4THの音楽に出会う・出会っている沢山の人達にもこんな幸せな体験をさせてくれるに違いないですね。今後マイペースで聴き続けて行ければなと思っております。
ツアー・ファイナル大成功おめでとうございます
去年の墨田ジャズでtri4th知れてほんとうによかった~人生かわりました!これからも頑張ってください!
客席人生総決算とのお言葉、嬉しいです。TRI4TH も
ここまで大きい会場でワンマンライブが出来るように
なりました。お越し頂ける皆さんのお陰だと思います。
今後も更に走り続けます。どうぞよろしくお願いします。
>最高!さん
すみだジャズで自分達を知って頂けたとの事。それからの
ワンマンライブ、嬉しいですね。仕事での疲れ等、これからも
どうぞここに来て発散させていっちゃって下さいませ!