この日は本当に暑く、過去の“さんぽ”の中でも屈指の過酷さを極めていましたが(笑)、それ故に本気の夏を体感できた1日でもありました。写真と共に、そんな夏の“さんぽ”を楽しんで頂ければと思います!
●日時…2010年8月16日 ●路線距離…10.0km ●駅数…15駅
江ノ電の旅は、藤沢駅から始めるのが良いかもしれません。鵠沼の住宅地を抜け、江ノ島駅を過ぎると海が見え、そして徐々に鎌倉の街並みに入っていくのが奥ゆかしいです。路線距離こそ10kmしかありませんが、その車窓の変化はあり過ぎるほど、見所の詰まった路線でもあると思います…。そんな旅の始まりの起点、藤沢駅は、デパートの中にホームがあるという形態の、ある意味で江ノ電で最も近代的な駅でもありますが、それでもどこかノスタルジックな雰囲気を醸し出しているのは、やはりこの鉄道が持つ魅力によるところでしょう。いきなり旅気分を盛り立ててくれるわけです。
江ノ電の時刻表は、実にシンプルです。それは早朝・深夜を除き常に12分間隔で、藤沢駅発の時刻を見ると、毎時00、12、24、36、48分発となっています。これなら時刻表もいらないくらいでしょう。…逆に、これ以上の増発は出来ません。全線単線で、列車同士が行き違い出来る駅も限られ、しかも現在それらはフル活用しているからです。列車は2両編成を基本とした車両を繋ぎ、4両編成で走っている事が多いですが、元々が小型車でもある為、よく混んでいるようなイメージがあります。まあ、基本的に自分が江ノ電に乗る時期というのは夏が多く、しかも観光客がよく利用する時間帯に限られる為、たまたまそうなのかもしれませんが、江ノ電は都心から1時間で来れるような場所でもある為、こういった方達にもよく利用されているのは事実です。この日も例外ではなく、藤沢駅発車の時点で、かなりの立ち客が目立つ感じになっていました。
江ノ電に使われている車両は、2両編成が基本…と書きましたが、それら2両分は全て連接車〔鉄道さんぽ 3.(JR東日本、京葉線編)参照〕となっていて、急カーブでも曲がれやすいようになっています。また、右下の写真を見ても分かるように1両は短く、この後紹介する併用軌道区間を有する鉄道でもある為、よく路面電車に分類されそうになるのですが、扱い的には普通の鉄道となっています。しかし、こういった車両、線形の特徴から、付近の街並みに驚くほど溶け込んでおり、これもまた江ノ電の魅力の1つになっているのだと思いますね。それぞれの駅の個性も強く、本当は1つ1つ紹介したいくらいですが、ここでは主な駅・路線風景に留めておきたいと思います。
藤沢駅を出て、最初の行き違い駅が鵠沼駅です。ここまで藤沢駅から約5分掛かるので、ここで藤沢駅行きの列車とすれ違って、その列車が再度藤沢駅に着くのが、前の列車が発車してから約10分後…。江ノ電は12分間隔で運転されているので、基本的に藤沢駅で折り返しの為に停まっている時間は約2分…という事になります。藤沢駅に列車がやってきて折り返して発車するまで、いつも短い時間で発車している感じがあるのですが、こういった事情があるわけですね。全線単線という状況ならではだと思います。
話しが逸れましたが、鵠沼駅周辺の道路は狭く、車もろくにすれ違いが出来ないような状況の街並みでしたが、これが鵠沼という土地らしさを表しているような気もしました。大通りが近くにないので、閑静な住宅街…という感じでしょうか。そこに時折聞こえる江ノ電の走行音、そして踏切の音だけが、時間の動きを作り出し、また、夏のワンシーンを展開させているようにも思いました。この駅の鎌倉方には、遠くに江ノ島を臨む事が出来、いよいよ海が近付いたと感じさせますが、まだ海が見えるのは少し先の区間になります。
この後は路線を右に左とカーブを繰り返しながら、江ノ島駅に到着です。実際の江ノ島までは少し歩きますが、駅から一本道なので迷う事はまず無いでしょう。中枢の駅、また、江ノ島観光の拠点駅でもあるので、何となく明るい雰囲気が漂っているようにも感じられます。
この駅から次の腰越駅までが面白いです。路線は道路との併用区間に入り、さながら路面電車のような風景が展開されるのです!…更に言えば、1両が基本の路面電車と比べると、こちらは最大4両編成ですから、いくら小型車と言えど迫力が違うわけです。また、この道路があまり広くない(商店街ですからね…笑)という事もあって、ますますスリル感が倍増されているように見えます。よく車に当たらないものだと感心してしまいますね…(笑)。
併用軌道区間に入ったところに、かつて江ノ電を走っていた昔の車両の先頭部が入っているお店を見付ける事が出来ます(左下写真参照)が、このお店こそが、江ノ電名物?江ノ電もなか…と作っているお店でもあり、実際、この運転部分でお菓子が作られています。ここから眺める、線路の上を走る現役の車両達…というのも何とも興味深い光景ですが、行き交う列車を見守っているようにも感じられ、何とも和やかな思いにさせられますよね。是非、注意して観察してみて下さい(笑)!
走っている車内からは、やはり運転台からの景色が気になってしまいます…。
そして、こんな緊張感のある区間(笑)が終わると、まるで路地裏にあるかのように腰越駅へと到達していきます。写真で見ても狭さは伝わると思いますが、更にこの駅は3両分しかホームが無く、4両編成の列車が停車する際は、1両分だけホームからはみ出して停車、右下の写真のように、1両はドア扱いもせずに乗降を行います。車内ではその旨は何度も案内していますが、やはり慣れない人は戸惑ってしまうようです。実際、自分が今回乗っていた時にも、これらの事に気付かずに、腰越駅で降りれないお客さんがいたくらいです…。これもまた、江ノ電お馴染みの風景…(笑)?
さて、こんな腰越駅を出ると、暫く狭い区間が続く…という感じですが、これが一気に目の前が広がる風景に出合います。そう、海に出るのです。…この瞬間が、江ノ電の車窓の中で最も華やかな瞬間ではないでしょうか。混んでいる車内からも、喜びと驚きの声が上がるくらいです。ひとまずは海に釘付け…という感じでしょうね。そして、その海の風景は暫く続くので、やはり印象的な区間になっているに間違いありません。
海に出て暫くすると、鎌倉高校前駅です。道路を挟んで反対側はもう海…という感じで、これぞ湘南の駅という雰囲気満点です。鎌倉高校は、駅前の道を線路方向に進み、最初の踏切の道を左に曲がって坂を上って行けば辿り着きますが、この踏切の風景はとても有名で、もしかしたら誰もが一度は見た事はあるのではないでしょうか(右下写真参照)…。坂の上から踏切を臨み、その向こうは無限に広がる雄大な海…。何とも素晴らしい光景であると共に、江ノ電がよく似合う“絵”でもあるのです。如何に江ノ電が海と共に歩んできたか分かるというものです。そんな事を思いながらも、炎天下の中、身体は汗だらけではあったのですが…(笑)。
鎌倉高校前駅を出るとすぐに、江ノ電唯一の信号所、峰が原信号があります。駅は設置されてないものの、列車の行き違いは可能で(日中は必ず行います)、海を見ながら対向車を待つという風情も良いかもしれません。元は鎌倉高校前駅が行き違い駅になっていたのですが、並行する道路の拡幅に伴い、現在の場所が選ばれたのだそうです。その為か、ここではよく藤沢行きの列車が先に到着して、鎌倉駅行きの列車を待っているようなイメージがあります。
稲村ケ崎駅を過ぎると、これまで並行してきた海と離れ、少し山間に入って行きます。やはり近くを走る道路は狭く、走る列車にしても車にしても、どちらも肩身が狭そうにしているのが面白いです。恐らく江ノ電の沿線で一番ひなびた雰囲気を走る区間ですが、カーブが多く、そんなに速く走れないのも、そういった雰囲気を後押ししているように思います。この稲村ケ崎駅から次の極楽寺駅の間に、江ノ電の車庫が設置されています(右下写真参照)。
次の極楽寺駅は、駅名の由来となった極楽寺の真ん前に位置し、ここもまた風情溢れる駅だと思います。駅の鎌倉方には極楽寺トンネルが控え、その向こうはいよいよ鎌倉旧市街です。鎌倉という土地は、どうしても山を超えないと入れない場所にありますが、現在でもその入り方は変わってないと思わせるような地形でもありますね。ちなみに極楽寺駅は、鎌倉高校前駅と共に、関東の駅百選に選定されています。
極楽寺トンネルを抜けて、すぐ左側にある神社が御霊神社です。この神社は裏側からも入れますが、表から入るには、まず江ノ電の踏切を越えて入らなくてはならないという、なかなか面白い構造になっています。如何に江ノ電が古くから走っていて、そして如何に昔から街に溶け込んで存在しているか…という事ですよね。ちなみに、この辺りの線路に面している住宅も、やはり江ノ電の線路を経由しないと玄関に達せない構造になっている所が幾つかありました。ここを過ぎると長谷駅。鎌倉大仏の最寄り駅ともなっています。
昨今では、鎌倉大仏がかなりメジャー化?(外人に特に…)した事により、長谷駅~鎌倉駅は常に混雑している区間にもなってきた感じがありますが、ここから鎌倉駅までは、後5分という道のりです。そして、鎌倉駅までの最後の交換駅が長谷駅でもありますので、列車の運転形態的には、先程説明した藤沢駅~鵠沼駅間と似たような状況がここにはありますね。とにかく、鎌倉駅まではあと3駅です。
…という事で、終点鎌倉駅に着きました。藤沢駅からは34分の旅です。鎌倉駅も藤沢駅と同じく、発時刻が毎時00、12、24、36、48分となっているので、基本的に鎌倉駅での折り返しも2分弱ぐらいしかありません。江ノ電車両は、今日も休みなく働き続けるのです!
…如何でしたでしょうか。営業距離がたったの10kmという路線の割りには、本当に見所が沢山といった感じだったと思います。しかし、これでも相当端折ったのです。そもそも今回は、バラエティに富んだ車両についてあまり説明をしませんでしたし、その中には300形という、車齢50年もなる車両も含まれています。この車両は2両1編成しか残っていなく、そして夏場はあまり出番が回ってこない(この日も車庫で休憩?中でした)ので、今回は説明は省きましたが、この車両こそが江ノ電のイメージ・リーダーと称する人も多く、まだまだ江ノ電には魅力が一杯です。そして最初に話した通り、やはり江ノ電には夏という季節が似合うのです。
首都圏から約1時間で行けてしまうこの路線。全線乗っても34分ですし、そもそも江ノ島という場所が著名な観光地であるので、行く理由は沢山あると言っても良いでしょう。何だかんだで一度くらいは乗った事があると言われそうな路線でもありますが、今一度、江ノ電の魅力に触れてみては?…と思った1日でした!
☆江ノ島電鉄のHP…www.enoden.co.jp/
降りてますねぇ~
34分の何倍沿線にいたのかが伺える…(笑)
そうそう、線路に面したとこに店の入口とか民家の玄関とかありますねー。よく線路歩いてる人います。
写真とってる人もいるいる!お茶帰りに着物で、鉄っ子(おじさん)に、あ、撮られた…てのを思い出す…
今私がよく使用するのは今回竹内さんが最後にはしょった鎌倉~長谷間ですが、ここは5分くらいでも歩くとカフェや雑貨屋さんやアンティークショップやらで、40分…いや1時間は余裕で楽しめます
いやぁ…お疲れ様でした…
実は自分も、鎌倉駅~長谷駅間は何度か使ってまして、、、
だから、今回は端折っても良いかなって(笑)、勝手に
思ってました。お店も取り上げると、趣旨が変わってくるし…。
こんなマニアックな記事ですが、どうぞ今後ともよろしくです♪
踏切らしき音が聞こえてきます(笑)。それでも、慣れない人は
一瞬、何なのか分からないでしょうね…。電車の速度が
遅いのが救いでしょうか。何にせよ、安全運転を祈ります…。
それとも小田急の「江ノ島・鎌倉フリーパス」でしょうか・・・。
江ノ電に一番最近乗ったのはもう3年前のこと。藤沢と鎌倉で2分しか停まらないんですね・・・少し知識が増えました。(また洗脳?)また乗りに行きたくなりました。
写真も見慣れた景色が多いですが、まだ行った事がない場所もありましたので、今度行ってみようと思いました。
江の島好きで、たまに遊びに行ったりします。
岩屋まで行き、そこでゆっくり海を眺めるのも良いですよ☆(←しかもその時に麦酒片手にしていたのは、どこのどいつだ?(苦笑))
御名答です!…そうです、今回は1日乗り放題で580円の、
“のりおりくん”を使わせて頂きました!…藤沢駅~鎌倉駅間が、
普通運賃で片道290円なので、ちょうど往復したら元が取れる
計算です。もちろん、今回は大いに活用出来た事でしょう(笑)。
往復が小田急電鉄で良ければ、“江の島・鎌倉フリーパス”も
捨て難いですね。しかも、こちらは2日間有効ですので!
…何気に切符は充実しています。是非良い旅をしてみて下さい!
>よぅこさん
お馴染みな風景、ありましたか?…自分も江ノ電は何度となく
乗っていますが、景色によって雰囲気が変わる風景もありますよね。
なかなか奥の深い鉄道だと、改めて思った1日にもなりました。
今回は江ノ島自体には寄れませんでしたが、それを組み合わせた
旅も絶対に良いですよね。また季節を変えて訪れてみましょうか!?
つくづく久々に江ノ電に乗りたくなりました~。
江ノ島の旅も本当オススメですよ(^^)v
ある生しらす丼のお店に行きたかったのですが、そこがまた人気のお店の為、入れなかったので、リベンジするつもりです(笑)
ぜひぜひまた、ウェルカム江ノ電&江ノ島です~♪
新鮮で、凄く美味しかったような印象があります。
後は…やたらと野良猫が多かった事かな…(笑)。
電鈴が鳴って、電車はどちらからくるのか覗き込み、いや反対からよみたいな感じで、黄色のゾーンから撤退します。慣れてる感じです(笑)。100年も前はそれこそ電車の中心の道だったけれど、そのあと家や自動車の道が出来たんでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=V9XJbZI7nto
なんか色々と YouTube であるようですね。
色々な角度からの映像があって楽しいです。