ステージ内…というか、ホール内に入った瞬間からアートとのコラボは始まっており、画家の田川誠さんの作品がズラリと並べてあり、ここから既に物語の世界に足を踏み込んでいる事が分かります(尚、右上写真のステージ上に並べられてある複数の絵画ですが、最初は黒い布で覆われています)。そして、その世界に音楽と朗読という要素が加わって、本番が始まっていくのでした。この“音楽”というのも、ただライブをするというものではなく、飾られている絵画との関連性をうまく繋ぎながら、全ての曲、動作の時間に意味を持たせて進めていくという、物語自体にも全力で注いでいかないと置いていかれそうな内容のものではありました。
…故に、今回のステージは非常に時間を掛けて作られたものでした。特に、出演者への、物語の意味合いの共有と言いますか、何故自分達は今この曲を演奏するのか…といった事を十分に分かっていないと、このステージに立つ事は許されないかもしれません。それくらい、入念に作られたものだったと思います。
…とは言え今回はそれ以上に、限られた時間しか準備期間はありませんでした。自分も、本当に本番の日になって、やっと筋書きの意味合いが分かったくらいで、それらを理解させた上で、ようやく演奏出来る身分になった…とでも言えるのではないでしょうか。
その為か、本番が始まってみると、あっという間にそのステージは終わってしまったという印象でした。今回、お客さんからは「1回だけでは勿体無い」とか、「再演を希望!」という声が多かったのですが、自分も同じ想いでいっぱいでした(笑)。
特に、あんなに時間を掛けて作った舞台上のセットが、終演後は迅速に跡形も無く片付けられてしまった光景を見て、音楽や舞台の儚さを感じたものでした。…とは言え、だからこそ自分達は1回1回のステージに全力を注がなければ…とも思ったものです。普段からそういう想いでは臨んでいるつもりですが、今回は準備期間も長かった為か、特別そう感じた1日になりました。本当に田川さんの絵の中の、一種夢の世界に居たような…貴重な経験をさせて頂きました。皆様どうもありがとうございました!
☆田川誠さんのHP…http://www.tagawamakoto.com
☆鹿嶋敏行さんのブログ…http://blogs.yahoo.co.jp/kajimarl_to_the_world
☆調布市文化会館たづくりくすのきホールのHP
…https://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=841
演じられていることはもちろん、照明やスクリーンに映し出される画像も含め、ひとつのすてきな世界でしたね。
鍵盤の皆様の役どころは「アトリエの楽士」、しっとり溶け込んでおられました。
音楽や舞台の儚さ、時に感じますが、それだからこそそのひとときを大切に思うし、好きにならずにはいられないのです。静かに何かを見つめることができたような、そんな機会をありがとうございました。
過ごせて何よりです。自分の演奏も、時と場合に
よってまた、周りから変化させられている事にも
気付いたりしました。貴重な経験になったと思います!