場所は静岡の清水にあるスタジオで、スケジュールとしては、着いたその日に最終打ち合わせ兼リハーサル(プリプロ)、そしてその後の2日間がレコーディングというものです。見た目は一軒家風の建物に中に、グランドピアノやレコーディングブースが完備されていたその部屋は、かなり年季が入っていましたが(笑)、自分達のレコーディングに見合った、十分なスペースを与えていたように思います。
弾楽は御存知の通り、タップダンスが入っている、特徴的なサウンドを持つバンドです。このような編成でレコーディングをした事は自分も全く無く、そもそもタップダンサーの丹精君も、バンドマスターであるいづみさんも、レコーディング自体が今回が初めてという事だったので、手探りで進めていかなければならない事は明白でした。自分としても、これまでの経験をどこまでフィードバックして良いのかも分からずだったので、1日目のリハーサルは本当に重要な時間だったように思います。そして、この日には予め打ち上げもやっておきました。レコーディングの期間中は音録りに集中したい事もあり、あまり夜に時間が取れない事が予想出来た為でもあります。地元の飲み屋に出向き、良い時間を過ごせました。
そしてレコーディングの日を迎えます。スタジオは清水にあると前述しましたが、前日に宿泊させて頂いたところが何故か富士宮にあり、車で片道に1時間ぐらい掛けなければいけない場所だったのは計算外でした(笑)。…とは言え、宿の近くで見れた富士山は綺麗でしたが、この移動がレコーディングに影響しない事をとにかく祈りながら、いざ音を録り始めていくのでした。
レコーディング曲は、7曲+α…。これまで自分達のオリジナル曲を含む、普段ライブで取り上げているような曲ばかりで、CDはいつ出来るんですか?…という、ようやくお客さんからの要望にも応えられる事になりそうです。全部で2日間あるので、1日目のうちに4曲は完成させておきたいところでしたが、やはり作業はなかなか大変でした。
それぞれの音に拘りを持って臨んだレコーディングでもありましたが、ある意味で拘り過ぎた部分もあったかもしれません。曲の進捗度は思うように進まず、例えば曲のイントロだけを録るのに1〜2時間ぐらい掛かってしまう事もありました。こういった事は、プリプロ時にメンバーのお互いの解釈をシェア出来てないと起こりうる事で、自分達も事前にやっておいたつもりでしたが、まだまだ足りなかったという事でしょう。また、いざレコーディングをして実際に録った音を聴いて、新たな発想が生まれてきてしまう事も多々あります。ここを妥協出来るかどうかが大事ではあるのですが、その判断に時間を取られてしまう事にもなってしまいました…。故に、1日目に録れたのは全部で3曲…。2日目で残り4曲+αを録らなければなりませんでした。
前日の反省もあり(笑)、レコーディング1日目の宿泊はスタジオ近くにしたので、すんなりと身体を休める事が出来ました。そしてせっかく、日本で消費されるマグロの半分が水揚げされるという清水にいるので、近くの魚市場付近にある食堂で海の幸を頂いてきました!…マグロの2色丼、最高でした。これでかなり元気を蓄えられたと思います。
このマグロパワーが功を奏したのか分かりせんが、2日目のレコーディングはハイペースで進める事が出来ました。また、メンバーの慣れもあるでしょう…。ライブとはまた異なった雰囲気があるのがレコーディングですが、それに見合った環境作りを身体が自然に覚えていったのかもしれませんね。
…とは言え、最後の最後は本当にギリギリで、自分は夜の新幹線で東京に戻る予定にしていたのですが、その時刻は最終電車となってしまいました(静岡駅発22:00過ぎ…)。それでも尚、自分以外のメンバーで録り残しの部分にあたっていたらしいので、何とか終えられた…というのが正直なところでしょうか。紆余曲折ありましたが、無事に録り終える事が出来たのは本当に良かったです。
まだ作業にはミックスとマスタリングが残っており、こちらも再度静岡のスタジオでやらせて頂く為、完成にはもう少し時間を要しますが、限りある中で、今の自分達の力を最大限に残せたのではないでしょうか…。これから、どのようにそれらの音源が披露されていくのかは分かりませんが、どうぞ楽しみにして頂けたらと思います。今回は自分にとっても特殊なレコーディング状況であり、色々と学ぶ事もありました。皆様、お疲れ様でした!