11月21日(1日目)
この日、ボーカルの里アンナさんを除く、黒船4人のメンバーは、羽田空港第1ターミナルへと集合していました。ライブは次の日の22日に福岡で予定されていたのですが、その福岡に行くならまずは前入りして、御当地のご飯を食べて貰いたいという、リーダー関谷君の意向によるものでした。
航空会社はスカイマークを利用しましたが、機材はこの時期に導入されていた(結局、この時期限定になってしまいましたが)エアバスA330−300。日本の航空会社では珍しい機材なのですが、スカイマークはこの飛行機を豪華仕様にしていて、座席が他社でいうビジネスクラス並みのものにしているのが特徴です。自分もこの仕様の機材には初めて乗るのでワクワクしていたものですが(笑)、確かに座り心地も抜群で、この広さは癖になってしまいそうです。それでいて料金は通常のスカイマーク料金と変わらないので、これは破格のサービスだと思うのですが、前述通り、やはりこの戦略は長くは続かず、この機材もスカイマークからは撤退しています。
…正直、自分はこの時点でも長くは続かないだろうと思っていたので、今回は思う存分、この豪華仕様の飛行機を楽しみました。有料ではあるもののビールを頼みつつ、しばし空の旅を満喫します。椅子が豪華なので、想像を膨らませば、国際線のビジネスクラスにでも乗っている気分に浸れるのです…(笑)。
…とは言え福岡空港までは約2時間。この座席に身体を委ねている身としては、あっという間の時間ではありました。空港までは関谷君のお義母さんに迎えに来て頂き、そのままお義母さんの家へ…。どちらかというと佐賀県に近い所らしいので、福岡空港からは結構な時間が掛かりましたが、これもまた九州を旅しているような気分になれるではありませんか。ある意味でツアーの醍醐味でもあるのです。
しばし御自宅で休憩をし、セッティングされたお店へと向かいます。目的地は鰻屋で、どうやら関谷君はこれを食べさせたかったようです。…なるほど、東京のとは少し異なる様式となっていて、美味しかったです。前打ち上げ…というわけではありませんが、メンバー一同、至福の時間を過ごせたと思いました。仕事の為に、福岡には前乗り出来なかったアンナさんには申し訳ないですが…(笑)。
福岡の味を楽しみつつ、次の日から始まるツアーに備えさせて頂きました。黒船は順調に九州に馴染んでいるようです(笑)!
11月22日(2日目)
いよいよこの日は、黒船初の福岡ライブの日です。今回泊まらせて貰った所からライブ場所である New Combo までは、車で約1時間の距離。それなりに時間が掛かるので、早めに車を出発させますが、福岡と言ったら、うどん…でしょう!…という事で、お勧めのうどん屋にも寄らせての道のりでもありました。これもまた美味しく、本当に今回はグルメツアーなのではないかと思う程でした(笑)。
そうして New Combo に到着。アンナさんも合流後、早速リハーサルに入ります。アンナさんは移動直後で大変かもしれませんが、自分達としてはグルメを満喫、そして前日から福岡入りしてゆっくり休めていたので、だいぶ万全な状態でした。インスト組で良いサポートが出来たらとも思いましたが、そんな気も他所に、アンナさんもなかなか調子が良さそうな感じです(笑)。どうやら良いライブになりそうです。
New Combo も初めての場所でしたが、自分達のやりたいようにやらせてくれて、そんなに苦労する事無く本番を迎えられたと思います。そして蓋を開けてみたら大盛況!…黒船にとっては福岡自体が初めての地であったわけですが、多くの方にお越し頂けて本当に有り難かったです。後は白熱したライブをお届けするのみです!
北の津軽三味線と、南の奄美島唄が出会い、ジャズをベーシックに演奏していく…という黒船のコンセプトを基に、1st.CDアルバム『CROSSOVER』に収録されている曲を中心にお届けしていきます。オリジナル曲、カバー曲、そして民謡曲の3方向から成り立っているこの作品は、今回のステージにもそのまま反映させ、それがそのまま黒船の魅力を特徴付けたライブを出来上がらせました。その中でも、福岡県の民謡“黒田節”はマスト曲でもありましょう(勿論、今作品の『CROSSOVER』にも収録済みです!)。だいぶハーモニクスを変えた、フリージャズらしいアプローチとも言えそうなアレンジでしたが、福岡のお客さんには面白く?受け入れて頂けたようです(笑)。
最初は緊張気味だったステージも、後半になるに連れて解けていく感じはありました。そうなればもうこっちのもので、どんどん演奏の熱量も上がっていきます。そして5人のパワーが1つになって、福岡の夜を鮮やかに彩らせる事が出来ました!…お客さんの反応も上々で、黒船という名前を多くの方に知って貰える切っ掛けになったのではないかと思います。どうもありがとうございました。この5人のメンバーになって初めての地方公演でもありましたが、無事に終えられてホッとした感覚もあったので、やはりどこか構えて臨んではいたのかもしれません。…とは言え、楽しく演奏出来たので良かったです。
打ち上げは、福岡の定番とも言える、もつ鍋屋さんを敢えて選択!…ここで飲んだビールもまた美味しかったのでした。次の日の大阪ライブもまだ控えていますが、まずは最初のライブ場所であった福岡が無事に終えられた事への感謝の気持ちが大きく、この日は盛大に打ち上げさせて頂きました。それはもう、大阪での成功のビジョンが見えるくらいの自信の表れでもあり、だからこそ、この5人が揃った初の地方での夜を楽しんだのでした!
11月23日(3日目)
この日は大阪へ移動して、そのままライブです。まずは福岡空港へ移動し、搭乗手続きへ…。ここで使う航空会社は、日本の LCC として代表的な Peach です。東京(成田便のみ)からの便は関西空港行きしかないので、東京での知名度はまだ小さいですが、拠点の関西空港では最近、専用のターミナルビルを建て、日本各地は勿論、国際線まで運航している、とても活発な航空会社でもあるのです。大阪に寄る時には是非とも使いたい航空会社の1つと言っても良いかもしれません。荷物を預けるのが有料で、それは個数によっても変動するのですが、荷物の少ない自分の分を、荷物の多いメンバーの分にあてたりと工夫して、なるべくコストを掛けずに移動させていきました。チェックインもスムーズに済ませ、最後の福岡の“食”を頂いておきます(笑)。
飛行機に乗ってしまえばこっちのもの。福岡空港から関西空港までは約1時間のフライトで、感覚的には離陸して巡航高度に達してしまえば、少しウトウトしてくる頃に着陸態勢に入っている感じです。そうして、あっという間に関西空港に到着。Peach の専用ターミナルに入っていきますが、LCC らしく、ボーディング・ブリッジではなく、タラップでの乗降、そしてターミナルの建物自体も大きな倉庫のような、だいぶ簡素な造りとなっているのは、最近のトレンドと言えばトレンドなのでしょう。更に、関西空港の鉄道駅まではバス移動も伴う等、色々と面倒な事はあるのですが、航空券を安く抑えたい演奏ツアーではもはや常識の光景。それならば、その過程を楽しんでいきたいものです。
そうして、JR線に乗って大阪駅へと向かいます。ここも約1時間の行程なので、飛行機と同じくらいの移動時間が掛かっていますが(笑)、無事に大阪の Mister Kelly's に着く事が出来ました。そう、ここは初代?黒船が2013年の9月に、初めて地方公演を行ったライブ場所であるのでした〔黒船、大阪・東京ツアー(2013.9.14、9.21)参照〕。あれから1年2ヶ月経っての同場所ですが、その間に黒船はメンバーも入れ替わり(そもそも、アンナさんも正式メンバーではありませんでした…)、新作CDも抱えての訪問となったのは、何だか感慨深くも思ってしまう程です。それはやはり演奏面でも、メンバー皆で作り上げた曲…という感覚があるからで、今回は本当にバンドでやってきた…という思いが強かったのではないかと思います。
勿論、サウンドチェック、リハーサルは順調に終わり、控え室では既にビールやらワインやらを楽しんでいる自分達がいました(笑)。この控え室が、普段はバーとして営業している所を使わせて貰っている為、衣装に着替えたアンナさんをキャストに見立て、思い思いの時間を楽しみます(笑)。こう見ると、黒船メンバーもだいぶ余裕が出てきたというものです。
さて、いよいよライブが始まりました。基本的には、前日の福岡でのセットリストに近い形でお送りしていきましたが、演奏面でのリラックスが大いにあり、前日よりも伸び伸びと演奏していっている印象がありました。また、関谷君自身が大阪出身であり、凱旋ライブという思いも強く出ていたのでしょう。ステージ上では良い弾けっぷりが披露されており、お客さんも含めて大いに盛り上がっていました。
前回の大阪でのライブを思い出すに、関谷君のMCが空回りしていたような印象が残っていたのですが(笑)、この日はやはりバッチリでした。前回ら今に掛けての黒船の事、そして初めてリリース出来たCDの事等、話題は豊富です。更に、このツアーはまだ続いており、念願の奄美にまで行く予定があるとならば、お客さんの興味も自然と上がってくるものです。そうして奄美民謡の曲もお送りするのですが、関谷君の大胆アレンジがまた光り、お客さん達もノックアウト(いい意味で)。だいぶインパクトのある時間になったのではないかと思いました。
関谷君もホームの場所ですが、ひかりさんも兵庫県出身なので、大阪はホームの場所と言っても良いでしょう。黒船にとって大阪とは、本当に来るべくして来た場所だったのかもしれないですね。前回以上に温かい空間を感じ、とても気持ち良く演奏出来ました。前回以上に大盛況に終わった大阪ライブ。どうもありがとうございました!
ライブ後のCD販売も好調で、より多くの方に黒船サウンドをお届けする事が出来たのではないかと思います。また、既にこの時点で、CDに入っていない、いわゆる新曲も取り上げていたりしたので、今後の作品への期待も込められていたかもしれません。また来れる場所があるというのは、本当に有り難い事でもあるのでした。
さて、次の日は東京に帰るだけで、しかも飛行機の夕方ぐらいの便にしていたので、この日の打ち上げも万全体制で臨みました(笑)。メンバーで赤ワインのボトルを頼み、ここにて乾杯。前回大阪に来た時も、ワインで乾杯していたような気もしますが(笑)、この日のワインはまた格別でもありました。ツアーに来れて、本当に良かったです。
…いつまでも飲んでいたいところでしたが、この日の宿泊場所に自分と関谷君は、お馴染みの関谷君の実家を予定していたので、終電で帰らなければなりません。それでも、途中の駅からはタクシーで良いか!…ぐらいの気持ちになっていたので、終電を1、2本遅らせての帰宅となりました。
地下鉄で途中の駅まで行き、ここからはタクシーを乗ろうとしていていざ駅を降りると、家の近く(…と言っても30〜40分は歩くと言われましたが…笑)を通る深夜バスがあるではないですか。途中から歩くのも酔い覚ましに良いか!…という発想に切り替り、関谷君ですら乗った事の無い深夜バスにて、無事に帰宅の路に着いたのでした。…とは言え歩いていた事情もあり、御実家に着けたのは深夜2:00頃。どうもお疲れ様でした(笑)。
11月24日(4日目)
この日はもう東京に帰るだけ…。個人的には、今回は全体的にゆったりなツアーをさせて頂きましたが、それは帰りの日まで続いていたようです。飛行機は夕方の便でしたが、直接空港に行くのも味気が無いので、難波で大阪の食を楽しむべく、まずはここに向かう事にしました。関谷君の実家から難波までは、南海電鉄高野線を使います。こちらもまた渋い路線なのですが、久し振りに乗れて良かったです(笑)。
そうして、難波にてドラムの佐々木俊之さんと合流。打ち上げの続きをするかのようにお好み焼きを食べ尽くしたのでした。時間的には余裕があったので、頑張ればもっと色々な所には行けた気もするのですが、何だかんだで1軒に居座っちゃいましたね(笑)。
そうして、そろそろ時間とばかりに、今度は難波駅から関西空港駅まで、今度は南海電鉄本線で向かいます。ここでもコストを抑えようと、関谷君は金券ショップえ出向き、見事に1割り引きの値段で空港までの切符を購入していました。勿論、特急とかではなく、急行列車等の一般車の選択です。自分的にはこれもまた一興です(笑)。
…さて、そろそろツアーの終わりが近付いてきました。昨日、来た道を辿るかのように、空港駅からバスで Peach のターミナルへと向かいます。まだ余裕のある造りなのか、利用者数にしてはターミナルが広いようにも思いましたが、今後 Peach の路線がまだまだ増えて、利用者増を見込んでの事なのかもしれません。
確かに、Peach のような航空会社がもっと増えれば、自分達で企画するようなツアーの助けになる事は確実であり、それがもっと浸透していけば、より各地で気軽にライブが出来るようにもなると思います。そんな期待感もありつつ、成田行きの便に乗ったのでした。勿論、ターミナルを出てからのタラップでの搭乗で、改めて間近で見る飛行機に、ひと際格好良く見える瞬間を感じたりしたものでした。
こうして、黒船の福岡・大阪ツアーは終了しました。このメンバーになって初めてのツアーという事で、移動やブッキングも含めて初物尽くしでもありましたが、本当に充実した内容のものになったと思います。この後には奄美ツアーが控えていますが、ここで得た自信を確かなものにして、万全の状態で臨みたいと思いました。今度は、アンナさんにとってのホームの場所となりますね。どんなツアーになるのか、この時点で既に楽しみだったという事で、筆を置きたいと思います。皆さんありがとうございました!
☆黒船のHP…http://www.peaceofcake.net/kurofune/
☆天神(福岡)New Combo のHP…http://www.f2.dion.ne.jp/~combo/
☆梅田(大阪)Mister Kelly's のHP…http://www.misterkellys.co.jp/
☆Peach のHP…http://www.flypeach.com/pc/jp