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 今回の『鉄道さんぽ』は、千葉県内を走る、新京成電鉄新京成線を取り上げたいと思います。松戸駅と習志野市の京成津田沼駅を結ぶ京成グループの鉄道会社で、関東では唯一の準大手私鉄に分類されます。全線普通列車のみの運転で、半環状的なルートを通っているので、全線を乗り通すというよりは、短距離間で利用される側面が大きいと思います。正直、地味な路線ではあるのですが(笑)、この路線の沿線に自分の祖母の家があり、個人的に昔からよく利用していた路線でもあるので、非常に馴染みはあります。以前は京成電鉄からの中古やそれに準じた車両ばかりが使われてきていたのですが、徐々にオリジナル性を開拓してきていて、現在の車両は高性能のものばかりとなっています。
 新京成電鉄の路線は、以前は陸軍鉄道連隊演習線として使われていたものを第二次世界大戦の激化に伴って放置され、それが後に京成電鉄に払い下げられたもので、そこで新京成電鉄という会社も発足されました。演習線は、様々な状況での路線敷設演習の為に急曲線が多数介在するような路線で、旅客線開業時に可能な限り直線化を図りましたが、現在でも非常にカーブが多い路線となっています。事実、松戸駅〜京成津田沼駅間の営業キロ数は約26kmですが、直線距離にすると約16km程となっています。
 一時期、北総開発鉄道との相互直通運転がされていましたが、現在はそちらは解消し、代わりに京成電鉄千葉線への片乗り入れが開始されました。これにより松戸駅〜京成津田沼駅〜千葉駅が1本化されましたが、その頃の新京成電鉄が最大8両編成だったところを、京成千葉線は6両編成が限界だったので、乗り入れ編成は限定される事になります。その後、全編成が6両化される事になりますが(乗り入れ非対応車も有り)、編成を敢えて短くするというのは珍しいかもしれません。
 新京成の塗装は、暫くは茶色のラインカラーをベースにしていた部分がありました。これは古さも否めませんでしたが、味のあるカラーでもあり、新京成らしさを出していたとも言えるものでした。…しかし、2014年になって新たなコーポレートカラーが発表され、それがピンクとホワイトをベースにしたものだったので、これには驚かされました。車両の塗装も順次変更されていますが、会社の規模がそんなに大きくないので、そのペースはゆっくりなものとなっているようです。…とは言え、これから新京成電鉄は新たな時代に突入するものと思われるに十分な状況となりました。現在の新京成電鉄をどうぞ御覧頂ければと思います!


 ●日時…2015年10月28日 ●距離…26,5km ●駅数…24駅

 新京成の“さんぽ”は起点の松戸駅から始めたいと思います。JR常磐線との乗り換えが出来る松戸駅は一大ターミナルで、新京成の中で1位の乗降客数を誇っています。当然、常磐線との乗り換え客が多く、両線は中間改札を1度通るだけで乗り換えが出来るようになっています。

    

 現在、新京成には大きく分けると4種類の車両が走っていますが、8000形、8800形、8900形、N800形と、全て8から始まる形式となっています。以前存在した800形という車両が、新京成にとっては使いやすい車両だったようで、それを上回る性能を…という意味合いで8000形が、その8000形と800形の長所を併せ持った車両という意味で8800形という名が…というように付けられていったのだとか。これらは、親元の京成電鉄と、それらと直通運転する都営浅草線や京浜急行電鉄の車両との重複を避ける為、関係各社の車両形式の数字割当て(千の位が1、2が京浜急行、3、4が京成、5、6が都営等)が存在しています。

    

 新京成の車内装備として特徴的なのが、ドア横に設けられた鏡です(上写真参照)。日本の他鉄道事業者では名古屋市営地下鉄や、相模鉄道(最近の車両は未装備)に見られる程度なので、結構珍しいと思います。前述のように、2014年に新コーポレートカラーが発表され、全車にその新塗装が施されるという事で、現在は旧塗装と新塗装車両が両方が見られるという過渡期の状況になっていますが(左下写真参照…両方ともN800形車両です)、鏡はしっかりと残っていますので(笑)、今後も新京成の特徴として生き続けていく事でしょう。

    

 さて、松戸駅を出ると、常磐線と分かれて右に大きくカーブし、早速とばかり下総大地を登る勾配に差し掛かります。上り勾配は暫く続き、国道6号線を越えた先を頂点として、そのまま上本郷駅へと到着するのですが、この辺りは変化に富んだ所ですので、この区間を早速“さんぽ”してみましょう。勾配とカーブが連続するので、新京成電車の撮影地としても知られている区間でもあります。

    

 現在は4編成のみが残っている(※2016年1月に1編成が廃車され、2月時点では3編成のみが残っています)最古参8000形(左上写真参照)も、新塗装が施されるとの事で、こちらはまだ全車が旧塗装なので、どのような出で立ちになるかが楽しみですね。新京成の中で最多車両を占める8800形(右上写真参照)は既に半分くらいが新塗装になったでしょうか。この車両は、日本の直流1500V鉄道路線用として、初めてVVVFインバータ制御を早期に本格採用した先駆車(1986年に登場)ではありますが、塗装が変わり、違った意味で徐々に新京成の車両が垢抜けていくのを感じたものです。

    

 車両の特徴ばかり説明してしまいましたが、今度は線路付近の特徴も見てみましょう。右上写真は上本郷駅での写真ですが、線路の付近にトゲトゲしいものが設置されているのが分かりますでしょうか。現在こそ駅のホームに行くには、橋上駅舎を通ったり、地下道を通ったりする事が多いですが、まだまだ駅の規模が小さい頃は駅構内に踏切があり、道路から改札を通ってホームまで、段差無く行ける駅も多かったのです。その時に駅付近の踏切(改札外)から線路を通って直接ホームに行けてしまうのを防ぐ為に設置したもので、今でも地方の鉄道や小規模の鉄道の駅ですと見られたりします。新京成は橋上駅舎になっても、まだ色々な所でこの施設は残っているので、今では珍しいものに映るかもしれませんね。

    

 上本郷駅を出ると、駅間が短い区間が続きますが、八柱駅ではJR武蔵野線との乗り換えが出来ます。個人的に話しになってしまいますが、当駅から次の常盤平駅までの付近が自分の祖母宅の界隈であるので(笑)、昔から馴染みのある区間でもあります。せっかく?なので、この付近も躊躇わず“さんぽ”してみましょう。
 この付近は新京成の開通後に常盤平団地として開発され、ベッドタウン化したという街でもあります。開発区域は扇のような形をしており、新京成はその弧を描くような感じで線路が敷設されています(故に八柱駅を出て左にカーブするも、その後は暫くは右カーブが続きます)。

    

 そして常盤平駅へ…。もう、何度この駅を利用したか分かりませんが(当然、今でも度々利用しています!)、今後も末永くお世話になりたいものですね。内装は少し新しくなったものの、基本的な外見は自分が生まれた頃とそんなに変わっていないような気もします。…という事で、弧を描くような線路敷設は、次の五香駅辺りまで続きます。

    

 その後、自衛隊松戸駐屯地の横を走り、新京成本社のあるくぬぎ山駅となりますが、この先には新京成の車両基地が置かれている為、ラッシュ時を中心に、当駅を始終着とする列車も何本か設定されています。鉄道の車両基地というと、何だか壮大で機械的な印象を受けますが、新京成電鉄のくぬぎ山車両基地は、外周道路からもよく見え、何だか開放的で、そして中規模私鉄の為なのか、アットホームな雰囲気を受けました。8800形の塗装変更等も行われているようでしたが、1両1両じっくりと時間を掛けてやっているような雰囲気もあり、とても長閑で好印象な空間でした。こうした車両基地もあるのですね…。この“さんぽ”の日は、8900形(右下写真の4編成のうち、右2編成)は昼間の運用に付いていなかったようで、全3編成が車両基地で昼寝をしておりました(笑)。こちらも新塗装化が進んでいるようです。

    

 この長閑なくぬぎ山車両基地に反して、近くに北総・成田スカイアクセス線の高架橋が見えてきますが、北初富駅で合流し(駅は新京成のみ)、暫く併走して、その先の新鎌ケ谷駅で乗り換えが出来ます。当駅は東武野田線〔鉄道さんぽ 26.(東武鉄道、野田線編)参照〕との乗り換え駅でもあります。

    

 新鎌ケ谷駅が開業したのは1991年と新しく、まずは北総線に駅が誕生、その後に新京成側にも駅が完成し、野田線に駅が出来たのは1999年の事でした。以前は北総鉄道北総線と新京成が乗り入れていた事もあり、その分岐駅が北初富駅だったわけですが、北総線が高砂駅まで延伸した際に新京成との乗り入れを辞め、高砂駅より先の京成線や都営浅草線との乗り入れを開始したのでした。そして新鎌ケ谷駅が誕生したのです。現在、北総線は成田スカイアクセス線としての機能も有しているので、それらも含めて一気に4路線が合流する駅ともなったわけですが、駅周辺の開発も、2000年頃から一気に進められた感じはあります。元々は畑や梨園が広がる土地に3つの線路が交差しているに過ぎない場所でしたが、開業当初とは大きく変貌を遂げた駅の1つでもありましょう。この付近は新京成路線の高架工事の真っ最中で、更なる変化が起きるかもしれませんね。

    

 新鎌ケ谷駅を出ると急カーブして進路を南に変え、初富駅に至ります。高架化工事はこの辺りまで行われるようです。この先は畑や果樹園等の田園風景と、幾つもの団地街が続け様に見えてきて、周辺には学校も多いのか、東葉高速鉄道との乗り換え駅である北習志野駅では学生も多い印象を受けます。一部区間に、直線距離が続く部分もあるも、やはり基本的にはカーブが多い区間が続きます。

    

 北習志野駅は習志野市ですが、この先船橋市に入り、習志野駅へと着きます。そして前原駅を過ぎると、ここでも大きくカーブして新津田沼駅へと入ります。繁華街の中の駅ですが、JRの津田沼駅とは400メートル程離れていて、ここは徒歩での連絡となります。…とは言え、乗り換え客は多く、それ故に繁華街も発展してきていると言えるのかもしれません。

    

 新津田沼駅を出ると、新京成で唯一の単線区間へと入ります。一瞬、複線が続くのかと思いますが、分岐器後の右の線路は留置線になります(右上写真参照)。この単線区間の為に、朝方のラッシュ時は新津田沼駅での折り返し列車が多数設定されています。この先は急カーブが続きますが、これは以前、新津田沼駅と京成津田沼駅への路線が2路線あったものを、それを急カーブでまとめて1路線にした名残でもあります。
 新津田沼駅を出ると、大きく逆S字を描きながら、JR総武本線を越え、そして京成本線へと合流し、終点の京成津田沼駅となります。新京成のホームは1面2線ですが、端の1線は車止めが設置されているものの、もう1線は京成千葉線の線路へと繋がっており、日中を中心に、2本に1本は京成千葉線の千葉中央駅まで片乗り入れが行われています。

    

 京成千葉線への乗り入れは、8000形とN800形が全車可能、8800形は一部編成のみ可能、8900形は全車乗り入れ不可と、少々複雑ですが、京成千葉線は6両編成の路線の為、以前8両編成だった8800形と8900形は物理的に対象外とされていたのでしょう。後に全車両が6両化されたのは前述しましたが、それでも尚、乗り入れ対応ではない車両が存在するのは面白いところです。

    

 さて、これにて新京成線の“さんぽ”は終了となります。地味ながらも、地元に根ざした活躍を昔から続けており、全体的に長閑な時間を体験させて頂きました。昔から利用していた路線ではありましたが、今回のように全線に亘って乗り降りを続けていった事は無く、新たな側面も垣間見えた1日でもありました。まだまだ全車が新コーポレートカラーになるのは時間が掛かりそうですが、今までの新京成電鉄と、これからの新京成電鉄が入り組む“現在”の新京成の姿をじっくりと体感する事が出来たのは良かったと思います。…そして、今後ともお世話になります!

 ☆新京成電鉄のHP…http://www.shinkeisei.co.jp

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HN:
竹内大輔(Pf,Key)
性別:
男性
自己紹介:
1980年1月29日生まれ
の生粋のO型(…が、初対面
ではよくA型と見られる)。
3歳(自分では記憶に無い)
からクラシックピアノを始め、
高校ではジャズに目覚め、大学
ではバンドも経験する。現在の
活動は日本全国から海外に及び、
各地のライブハウスやラウンジ、
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