日本の翼である日本航空(以下JAL)。そのJALが現在経営再建中である事は周知の事実だと思いますが、4月28日に発表された“2010年度路線便数計画”によると、今年度中に、保有してあるボーイング747-400(国内線用含む、以下ジャンボ)全てを引退させるとの明記がなされていました。
JALのジャンボと言えば、会社のフラッグシップという存在以上に、通算100機を超える運用実績という、一時は世界最多のジャンボ・オペレーターでもあったわけで、ジャンボ自体がJALの象徴だったと言っても過言ではありません…。しかし、今のJALの状況からすると、全部で4発もエンジンを備えたジャンボは燃費の悪さが目立ってきてしまい(現在主流なのは、エンジンを2発だけ備えた双発機です…この装備でも、日本からニューヨークくらいまでは直行で飛べてしまうのです)、今度は“改悪の象徴”という事になってきてしまったのです。
まさかのジャンボ引退で、しかもそれが今年度中とは寝耳に水な感じでしたが、実際のところ羽田空港でジャンボを見かける機会は本当に少なくなっています。現在JALのジャンボが就航している地は、羽田の他に、新千歳と那覇だけで、本当に数えるくらいしかありません。しかも前者が3往復、後者が2往復だけで、実際のところ、2機もあれば賄える運用になっているのだそうです。
…では国際線は…というと、やはり相当減っていて、JALの場合、バンクーバ線やミラノ線など、路線そのものから撤退していしまうケースが今後控えているので(JALは2009年度の路線計画から数えると、国内、国際線合わせて80近い路線を運休します…)、尚更その退役は速度を速めそうです…。JALのジャンボ路線の象徴だったホノルル線も、今後はボーイング767型という、2回りくらい小さな飛行機で飛ばしていくようですし…。もう昼前のホノルル空港で見られた、JALのジャンボ機が海外で勢揃い!…というような光景も〔竹内大輔の写真日記(~2009)、旅日記 5.アメリカ、ハワイ・オアフ島編(2006.7.20~7.25)参照〕、もう見納めになりそうです…。
実はJALにとってライバルの全日空(ANA)も、国際線仕様のジャンボは今年度中に引退が決まっています。こちらは既に定期運用が無く、スタンバイ機としての存在になってしまっていますが、幸いなのは、国内線仕様のジャンボは全10機がまだ元気に運用されているという事でしょうか…。しかし、今後の情勢によっては、いつ引退してもおかしくない状況ではありますので、動向を暖かく見守っていきたいものです。
こうなると、来年の今頃で日本で運用されているジャンボ機というと、外資系かNCA(日本で唯一の貨物専門航空会社です)を除くと、ANAの国内線仕様の機体のみ…という事になってしまいます。ジャンボ黄金期を知っている身からすると、俄かには信じ難い状況ですが、これが現実だという事でしょう…。これからの日本の国内路線は、中型機や小型機が主流となる時代になるわけですね。
しかし、実はジャンボが国内線を飛んでいる…というのは、そもそも世界から見ると非常識な光景であるわけで、とりわけ日本は空港事情が良くなく(空港が大きくなく、滑走路自体も少ないので)、少ないスロット数で如何に多くの人数を運べるか…という事から、ジャンボ機が多く投入されていたのでした。それが今年の10月には、羽田空港に新国際線ターミナルが完成し、4本目の滑走路が出来て発着回数が飛躍的に増やせるなど、これからは、“1度に大勢の人が運べる飛行機で”…から、“サイズを小さい飛行機にして、本数を増やす!”という時代がやってくるのかもしれません。これは世界のスタンダードな運用方法でもあり、ようやく日本の航空事情も、世界の水準に近付いてきた…と見る事も出来るのかもしれません。
…それは分かっていても、やはりジャンボが無くなるのは寂しいんですよね…(笑)。さて、残された時間はあと僅かです!
☆日本航空のHP…www.jal.co.jp/